論文誌ジャーナル編集の手引き

論文誌ジャーナル編集の手引き

1993年7月19日制定
2012年4月2日改訂(16)

一般社団法人 情報処理学会
論文誌ジャーナル編集委員会

情報処理学会論文誌ジャーナル/JIP編集委員(以下、編集委員)をお引き受けいただき、ありがとうございます。編集委員の役割について簡単ではございますが、以下にまとめましたので添付資料(「査読のための論文査読管理システム手引き」など)とあわせてご参照いただければ幸いです。

論文誌ジャーナル/JIP編集委員会(以下、編集委員会)は、基盤、ネットワーク、知能、情報システムのグループで構成されます。それらグループには主査1名と副査2名がおり、各グループを統括します。また、各グループの主査、副査および編集長、副編集長から構成される幹事会があり、全グループを統括しております。
編集委員には、基盤、ネットワーク、知能、情報システムのいずれかのグループに所属していただきます。情報処理学会論文誌ジャーナル/JIPに投稿された論文は、その論文のメインキーワードに記されたグループに対応するグループの編集委員を担当とし、採否が決定するまで、その担当委員(以下、メタ査読者)によって管理されることとなります。

編集委員会では、2007年(平成19年)3月よりオンライン論文査読管理システムを導入し、投稿、査読の電子化を開始しております。査読管理システムの利用マニュアルは以下にご用意いたしておりますので、処置記録作成の手引き、論文査読の手引きおよび遅延論文の督促ルールと併せて、ぜひご一読くださいますようよろしくお願いいたします。

*査読のための論文査読管理システム手引き
*処置記録作成の手引き
*論文査読の手引き
*遅延論文の督促ルール

  • (1)投稿論文の査読プロセス管理

    事務局から投稿論文の査読者選定依頼が届いたら、文面より論文内容をチェックし、自身が担当を承諾するか否かの判断をする。担当を承諾する場合、以下(2)以後の手順で論文の査読プロセス管理を行う。自身が何かしらの理由で承諾しない場合、主査ないし副査と相談し、適切なメタ査読者を選定し、その旨事務局に連絡すること。
  • (2)再投稿論文ならびに二重投稿論文に関する特例処置

    1. 投稿された論文が、再投稿論文もしくは二重投稿論文の疑いがある場合、その判断はメタ査読者が行う。

    2. 再投稿論文と判断したメタ査読者は、必要ならば事務局を通して編集委員会名で投稿者に対して「再査読の必要性を検討する目的で、前回の投稿論文と今回のそれとの違いを明確に述べた差異説明書」の提出を求めることができる(ただし、投稿者に対しては差異説明書の提出は投稿者の義務ではないことを伝える)。メタ査読者は、自らの責任において「不採録」の判定を下すことができる。この場合、メタ査読者は査読結果をメタ査読結果として用意する(ただし、差異説明書が提出されていれば、それも添付されていなければならない)。編集委員会は、再投稿論文の場合はメタ査読者が用意するメタ査読結果、前回投稿時の査読結果およびメタ査読結果とからなる資料3点をもとに、「査読なし不採録」とする提案を審議する。

    3. 二重投稿論文の場合はメタ査読者が用意するメタ査読結果からなる資料1点をもとに、投稿論文を再投稿論文ならびに二重投稿論文として取り扱い、「査読なし不採録」とする提案を審議する。
  • (3)査読者の選定

    事務局から投稿論文の査読者選定依頼の受領後、1週間以内に査読管理システムの委員検索を参考にして査読者を2名選定する。委員検索結果以外の査読者(臨時査読員)を選定することもできる。このとき、査読者および著者の所属もしくは研究グループが同じにならないようにする。また、査読者同士も同所属、同じ研究グループにならない等、公平な査読を行えるように注意する。査読者を選定したら、その査読者の内諾を得た上で、事務局に伝える。
  • (4)査読者の再選定

    査読者が辞退した場合は、再度選定を行う(仮承諾を得ているので基本的にはあり得ないが、たとえば、論文を見てから査読するかどうか返事をする旨打ち合わせてあった場合等)。
  • (5)査読者へ査読の督促

    査読期間が過ぎても報告のない査読者へ督促を行う。査読の遅れている場合、事務局からも督促を行うが、メタ査読者自ら査読者に査読状況の照会を行うことが望ましい(「遅延論文の督促ルール」を参照のこと)。
  • (6)査読者の交替

    査読期間が大幅に過ぎても報告のない場合、メタ査読者はグループ主査および副査、もしくは、事務局と相談をして、査読者の交替を行う(依頼後2.5ヵ月(10週間)を目処)。その後の処置は(3)と同じ。
  • (7)査読者とのコミュニケーション

    メタ査読者は査読報告に関して査読者に個別に問合せを行うことができる。ただし、査読の際には、著者との連絡はもちろんのこと、査読者が互いに連絡をしないように注意すること。
  • (8)条件付採録による照会の判断

    メタ査読者が条件付採録と判定し著者への照会の必要性を認めている時、事務局は採録の条件を著者に照会する。事務局は、著者からの改訂済み原稿と回答書がそろった時点で、メタ査読者と2名の査読者に再査読を依頼する。査読者は、4週間以内に採録または不採録の再査読報告を行う。事務局は再査読結果をメタ査読者に連絡する。この際、すでに採否の判断を出していた査読者の判断の変更も認める。4週間以内に査読報告がない場合、メタ査読者は、前回採録または不採録と判定した査読者のものに限り、先の判断に変更なしと判断し、事務局に該当の判定欄を未着とすることを依頼できる。
  • (9)論文の採否の判断

    メタ査読者は、2名の査読者からの報告に基づき、2週間以内にメタ査読を行い、事務局に結果を報告する。この際、2名の査読者の査読結果の内容を両者に示し、個別に再度意見を求めることができる。その結果、査読者は、先の査読報告を変更することが可能である。
    メタ査読は、単に、多数決での判断や2つの評価の平均による判断ではなく、両査読者の意見を参考にしつつ、自身も査読を行い、総合的に判断を下す。この際、結論が両査読者と異なることもあり得る。
    この後、編集委員会での審議を経て、最終的に採録判定委員(原則、主査)によって処置の確定が行われる。

    上記(8)、(9)の処置を行う際、処置記録を作成し、判断を示す。処置記録入力の際、事務局または編集委員会で判断に迷うような曖昧な記述は避ける。

    ただし、メタ査読者は、2回目の処置記録を書く過程で、査読者から受け取った査読結果あるいは自らの査読結果の判定が「採録」であり、そのコメント(あるいはその一部)を最終稿に反映することが論文を採録する上で必須であると判断した場合には、例外的に、著者に対し2回目の照会を行い、その結果をもとに処置記録の作成を行うことができる。この際、著者による再改訂済み原稿の提出は原則2週間以内とし、それを受け取った後、メタ査読者による処置記録の作成は、原則1週間以内とする。
  • (10)第2メタ査読者との意見交換

    メタ査読者は原則として採否の判断を下さなくてはならないが、特別な場合として判断不能の場合には、グループ主査および副査と相談して、第2メタ査読者を選び、査読を依頼することができる。逆の場合として自身が他論文の第2メタ査読者として選定されることもあり得る。第2メタ査読者は依頼後2週間以内にメタ査読者と意見を交換し、2人の意見を集約したメタ査読を行い、メタ査読結果を報告する。第2メタ査読者は原則として著者への照会は行わない。
  • (11)その後の処理

    メタ査読者と2名の査読者の意見が採録で一致した場合には、原則として採録だが、最終判定は編集委員会で行う。
    メタ査読者と2名の査読者の意見が不採録で一致した場合には、原則として不採録だが、最終判定は編集委員会で行う。
    2名の査読者の意見が割れた場合、原則としてメタ査読者の判断を採用し、最終判定は編集委員会で行う。

    2名の査読者の意見が同じで、メタ査読者の判断がこれと異なる場合には、編集委員会で議論して判断する。原則として、メタ査読者の判断を尊重するが、特に、さらなる査読が必要と判断された場合には、第2メタ査読者を選び、査読を依頼する。その後の処理は(9)と同じ。
  • (12)委員会審議

    毎月開催される編集委員会に出席して論文の審査やその他の審議を行う。開催の案内が事務局から送付されるのですみやかに出欠の回答をする。編集委員は極力出席を心がける。主査、副査でなくとも幹事会にも出席できる。
  • (13)特集号の企画

    編集委員は、特集号の企画、編集を行うことも可能である。詳細については、「論文誌ジャーナル編集細則第17条」を参照のこと。
  • (14)テクニカルノートの審査

    テクニカルノートは論文と査読プロセスが異なるため、「テクニカルノート査読のプロセス」を参照のこと。
  • (15)主査、副査

    編集委員は主査または副査になることがある。グループ内の互選等により選定された主査、副査の候補を編集委員会(幹事会)で承認、任命する。主査、副査に任命された編集委員は、編集委員会(グループ会議、幹事会)に出席し、論文の審査やその他の審議を行う。また、目次の作成、編集委員会(幹事会)で要請のあった仕事、グループ内の意見調整等を行い、その他事務局から要請のあった作業も行う。
  • (16)論文賞受賞論文の選定

    論文賞委員会ワーキンググループ委員として論文賞受賞論文の選定を行う。受賞論文を選定後理事会の承認を得る。