2004年度研究会活動報告
2004年度研究会・研究グループ活動報告
<コンピュータサイエンス領域>
DBS SE ARC OS SLDM HPC PRO AL MPS
<情報環境領域>
DPS HI CG IS FI AVM GN DSM DD MBL CSEC ITS QAI EVA BCCgr
<フロンティア領域>
NL ICS CVIM CE CH MUS SLP EIP GI
コンピュータサイエンス領域
◆データベースシステム(DBS)研究会
[主査:石川 博、幹事:片山 薫、佐藤 聡、土田 正士、原 隆浩]
1.定例の研究会活動報告
第133~135回の研究発表会を開催した。特集テーマとしては、情報のマイニング、組織化、可視化などを取り上げた。 特に7月に開催した第134回研究会は発表件数96件、招待講演1件、参加者数も167名に上る会議となり盛況を博した。 また、1月に開催した第135回研究会ではデータベース分野と他分野の融合を目的として、去年度に引き続き「ブロードバンド時代のデータベースと放送コンピューティング」をテーマとして情報処理学会放送コンピューティング研究グループとの共催研究会を開催した。
主な研究発表は、マルチメディアDB、放送型DB、空間DB、XML・半構造DB、Webコンテンツ検索・管理、Webマイニング、データマイニング、モバイルDB、P2P・並列処理、ストレージ、時系列データ・ストリーム処理、DB高度応用、感性情報処理などである。
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
・データベースとWeb情報システムに関するシンポジウム(DBWeb2004)
このシンポジウムは、ACM SIGMOD日本支部、電子情報通信学会データ工学研究専門委員会、日本データベース学会、文部科学省科学研究費補助金・特定領域研究「ITの深化の基盤を拓く情報学研究」A05班、情報処理相互運用技術協会、国立天文台にも協賛を頂いており、我が国におけるデータベース研究領域の最大規模のシンポジウムとして、11月26日、27日の2日間、「情報融合」を特集テーマとして開催した。平成15年度は、お台場の日本科学未来館で開催した。
Webデータへの知識処理の適用、テキストマイニング、XML、メタデータの構成と利用、情報の共有と協調利用、検索の高速化、並列・分散処理、バイオインフォマティクスへの応用という一般セッションに加えて、本シンポジウムでは、データベース高度応用分野の専門家と連携した特別セッションを設けた。そのテーマとしては、セマンティックWeb、グリッド、ユビキタス、モバイルコンピューティング、ストリーム、自律コンピューティング、ディペンダビリティ、セキュリティを取り上げた。本シンポジウムでは、 これらの多種多様なトピックとデータベース技術との関わりについて、 招待講演と研究発表の形態で議論する場を提供した。
一般研究発表論文としては、12件が採択された。最終的な参加者数は92名であった。
また、本シンポジウムでは情報処理学会論文誌「データベース(IPSJ -TOD)」(電子情報通信学会データ工学研究専門 委員会共同編集)第26号(来年度発行予定)との同時投稿による連係を行った。同時投稿件数は8件であった。
3.情報処理学会論文誌:データベースの報告
平成10年度にFI研と合同で創刊した研究会論文誌「データベース(IPSJ-TOD)」(電子情報通信学会データ工学研究専門 委員会共同編集)の第22号、第23号、第24号、第25号の発行を終えた。また、第22号では 22 件、第23号では 4件、第24号では 7 件、第25号では7件が採録された。来年度発行予定の第26号は、データベースシステム研究会が主催しているシンポジウムとの同時投稿による連係を行い、同時投稿件数は8件あった。
4.総括
インターネットの普及はわれわれを取り囲む情報化社会を一変させた。モバイル情報機器や無線LAN、ICタグなどのネットワーク関連機器やインフラストラクチャが普及するとともに、WWWに代表されるように多種多様なコンテンツが、刻々とわれわれに提供され、まわりに蓄積されつつある。このような状況下では、異種・大量のコンテンツをどう共有し、検索・利用するかを追及してきたデータベース技術が益々その重要性を増してきている。さらにデータベース技術はこれまでは、考えられなかったような新たな応用分野に適用されつつある。このような背景のもとデータベースシステムの重要性が一層大きくなるとともに、インターネットが普及し、コンテンツがあふれる時代の新しい情報共有のための中枢機構としての新しいデータベースシステム像が求められている。
データベースシステムは、広い範囲でのメディアデータの共有・利用を実現するための中心的なシステムとして位置づけられ、それとともにさまざまな情報・コンテンツの融合に関する研究開発や、関連する情報技術・応用技術との融合に関する研究開発が、今後さらに重要な課題になっていくと考えられる。
データベースシステム研究会は、メディアデータおよびネットワークが形成する新しい情報環境を視野に入れながら、さらに、平成16年度に、DBWeb2004で電子情報通信学会Webインテリジェンスとインタラクション研究会、1月研究会で放送コンピューティング研究グループと連係したように、他分野との連携を積極的に行うことによって、データベースシステム分野の発展拡大に貢献することを目指していく。
5.その他
データベースシステム研究会は、永続的な情報の共有・検索・利用のための諸技術に焦点をあてた研究会であり、広範なデータ処理技術と応用分野をカバーし、今後データベースや情報検索に対する需要の高まりと共に、益々その守備範囲が拡大していくものと予想される。
そこで、本研究会は、他学会の関連組織(電子情報通信学会データ工学研究専門委員会、ACM SIGMOD 日本支部、日本データベース学会)と一層の連携を強化し、データベース関連の研究者、技術者のコミュニティの更なる発展を目指ざす。
◆ソフトウェア(SE)工学研究会
[主査:青山幹雄、幹事:田村直樹、中島 震、中谷多哉子]
1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.ワ-キンググループ活動
4.総括
5.その他
◆計算機アーキテクチャ(ARC)研究会
[主査:笠原博徳、幹事:安里 彰、工藤知宏、西 直樹、森眞一郎]
1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括
4.その他
◆システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)研究会
[主査:石川 裕、幹事:木下俊之、河野健二、西尾信彦]
1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括
◆システムLSI設計技術(SLDM)研究会
[主査:神戸尚志、幹事:稲森 稔、木村晋二、枝廣正人]1.定例の研究会活動報告
以下に示す第115~119回の研究発表会を開催した。
- 第115回:発表件数:11件、5月27・28日、テーマ:システム設計および一般、パナヒルズ大阪、電子情報通信学会(VLSI設計技術研究会(VLD))と共催
- 第116回:発表件数:27件、10月21・22日、テーマ:プロセッサ、DSP、画像処理技術および一般、伝国の杜、電子情報通信学会(ディジタル信号処理研究会(DSP)、集積回路研究会(ICD)、画像工学研究会(IE))と共催
- 第117回(デザインガイア2004):発表件数:48件、12月1・2日、テーマ:VLSI の設計/検証/テストおよび一般、北九州国際会議場、電子情報通信学会(VLSI設計技術研究会(VLD)、集積回路研究会(ICD)、ディペンダブルコンピューティング研究会(DC))と共催
- 第118回:発表件数:27件、1月25・26日、テーマ:FPGAとその応用および一般、慶応大学日吉キャンパス、電子情報通信学会(VLSI設計技術研究会(VLD)、コンピュータシステム研究会(CPSY)、リコンフィギャラブルシステム研究会(2種)(RECONF))と共催
- 第119回:発表件数:28件、3月17・18日、テーマ:組込技術とネットワークおよび一般、倉敷芸術科学大学、組込技術とネットワークに関するワークショップ、電子情報通信学会(コンピュータシステム研究会(CPSY))と共催
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
以下に示すシンポジウムを開催した。
- DAシンポジウム2004:発表件数:58件、7月21~23日、浜名湖遠鉄ホテルエンパイア、SWEST6(組込みシステム技術に関するサマーワークショップ)と同時開催
3.その他の活動
編集委員会を組織してジャーナル特集号「システムLSIの設計技術と設計自動化」の論文募集、編集を行った。運営委員会を年度内に4回開催し、以上の活動や全体の方針を審議決定した。
4.総括
本研究会は、システムLSIを中心とする電子装置の設計技術、設計自動化技術の研究分野をスコープとして活動している。
平成11年度に実施された「設計自動化研究会」からの改称と、それに伴うスコープの拡大により、活動の活性化が進んでいる。特に、研究会単独主催の「DAシンポジウム」では、組み込みシステム技術に関するサマーワークショップと同時開催することにより、相互に技術交流を図っている。今年度の参加者は、151名である。
5.その他
本研究会は、今後共、常に時代の要請に的確に応えながら、将来の電子機器の設計およびEDA技術の先端研究開発の交流の場として、皆様のお役に立てるよう一同頑張って参りたいと存じます。今後共ご支援の程お願い申し上げます。活動予定については、下記をご参照ください。
http://www.sig-sldm.org/
◆ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)研究会
[主査:関口智嗣、幹事:安崎篤郎、高橋大介、横川三津夫]
1.定例の研究会活動報告
- 第98回 4月13日 宇宙航空研究開発機構(JAXA) 航空宇宙技術研究センター 飛行場分室 会議室
- 第99回 7月30日~8月1日 青森市文化会館 [SWoPP2004]
- 第100回 12月17日 KKRホテル東京
- 第101回 平成17年3月7~9日 北海道大学学術交流会館小講堂 [HOKKE2005]
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
- SACSIS2004 5月26日~28日 札幌コンベンションセンター (札幌市)
- HPC Asia 2004 7月20日~22日 大宮ソニックシティー (さいたま市)
- インターネットコンファレンス 10月28~29日 産業技術総合研究所 (つくば市)
- HPCS2005 1月18日~19日 東京大学山上会館 (東京都文京区)
3.総括
HPCAsiaの盛会は、新たなコンピューティングスタイルとしての、グリッド、クラスタに対する、業界からの注目も大きな要因であった。グリッドの文脈から、新たに「インターネットコンファレンス」との協賛を開始。
4.その他
◆プログラミング(PRO)研究会
[主査:八杉昌宏、幹事:岩崎英哉、竹内 泉、渡部卓雄]
1.定例の研究会活動報告
第49~53回の研究発表会を開催した。このうち、第50回(7月、SWoPP2004)が他研究会との連続開催であり、残りの4回が単独開催である。総発表件数は58 件であった。平成16年度も、トランザクション:プログラミング(PRO)と密着した体制で研究発表会を開催した。トランザクション(PRO)に投稿された論文は、まず研究会で発表され、発表会の直後に開催されるトランザクション(PRO)編集委員会において議論し、査読者を定めて本査読を行なった。投稿の有無に関わらず、1件あたり発表25分、質疑・討論20分の時間を確保し、参加者が研究の内容を十分に理解するとともに、発表者にとっても有益な示唆が得られるように務めた。SWoPPの回には特集テーマを定めたが、特集テーマと直接は関係しない発表も常に受け付けるようにした。発表総数58件中投稿論文からの、総採録件数は26件になる予定である。採択率は約53% である。
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
情報処理学会5研究会(ARC, OS, HPC, PRO, AL)および電子情報通信学会1研究会(CPSY)およびIEEE CS Japan Chapter の共同主催、ならびに電子情報通信学会1研究会(DC)の協賛により、先進的計算基盤システムシンポジウム(SACSIS 2004)を5月26~28日に開催した。また、第12回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2004) 12月1~3日、日本ソフトウェア科学会「インタラクティブシステムとソフトウェア」研究会に協賛した。
3.総括
平成16年度の発表件数は58件でここ2年ほどの発表件数減少から増加に転じた。登録会員数は増加傾向にあり、全体としてみると、発展傾向にあると考えられる。4.その他
1998年度のトランザクション(PRO)の発刊以降、7年が経過した。当面は安定した運営を進め、今後の展開に備えることとしたい。
◆アルゴリズム(AL)研究会
[主査:平田富夫、幹事:金子美博、渋谷哲朗、築地立家]
1.定例の研究会活動報告
第95回から100回までの合計6回の定例研究会を開催し、発表総数は一般講演56件、招待講演7件であった。一般講演での発表内容は、様々なアルゴリズムの開発対象となった、グラフ・ネットワークに関する問題、計算幾何学に関する問題、DNA計算に関する問題など、多方面に渡った。
また、平成12年度より継続的に企画・実施している毎回の定例研究会での招待講演に関して、今年度はアルゴリズムの分野だけでなく、その周辺で活躍する新進気鋭の研究者から、何年も第一線で活躍してきたベテランの研究者まで幅広い年齢層の方にご講演頂いた。このような招待講演が、 参加者への大いなる刺激になったことは言及するまでもない。このような企画は来年度も継続し、さらに充実させる予定である。
また、他研究会との連携としては、昨年度協議した電子情報通信学会コンピュテーション研究会との更なる連携の実施が挙げられる。具体的には、同研究会との共催を1回、連続開催を3回行った。また、同学会回路とシステム研究会・ コンカレントシステム研究会と連続開催を1回行った。このような開催方法は、来年度以降も引き継がれ、アルゴリズム研究会での、他の研究会との研究交流の基本姿勢となっている。
2.2004(情報科学技術フォーラム(FIT)2004
同フォーラムにおいて、量子計算に関するシンポジウムを企画した。講師に今井浩先生(東大)、岩間一雄先生(京大)、小柴健史先生(ERATO)を迎えた。定員200名の会場は、立ち見が出るほどの盛況であった。FITの援助を受け、予稿集も別途配布できた。研究会としては、今後もFITに対して積極的に関わる予定である。
3.総括
研究会への参加人数の維持ならびに発展は、研究会を開催する上で最重要課題である。毎回企画される特別講演は、研究会参加者の増大に繋がるだけではなく、幅広いアルゴリズム研究における各分野の最先端の動向を、参加者が知るよい機会となっている。このような招待講演は、情報科学・情報工学の土台であるアルゴリズムを研究する研究会の参加者増加への単なる広告塔ではなく、その講演で得られた見聞が、新規挑戦分野を開拓していく上でも示唆的である。今後CS領域の新規重要分野に対して、アルゴリズム研究会がどのように関わっていくべきか、大いに検討される課題であるといえる。関連して、新規分野のチュートリアル開催など、研究を普及する立場からの企画実施も引き続き望まれる。
◆数理モデル化と問題解決(MPS)研究会
[主査:城 和貴、幹事:秋山 泰、鈴木泰博、中條拓伯、三木光範]
1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括
4.その他
情報環境領域
◆マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会
[主査:東野輝夫、幹事:木原民雄、佐藤文明、重野 寛、西山 智]
1.定例の研究会活動報告
定例の研究会は、以下の通り5回実施した。
- 第118回DPS研究会/2004年6月3日~4日/山梨大学(甲府市)
- 第119回DPS研究会/2004年9月2日~3日/北海道大学(札幌市)
- 第120回DPS研究会/2004年11月4日~5日/福岡工業大学(福岡市)
- 第121回DPS研究会/2005年1月19日~20日/産業技術総合研究所(江東区)
- 第122回DPS研究会/2005年3月22日~23日/大阪大学(吹田市)
第118回は、15 件の研究発表が行なわれ、ネットワーク通信技術研究の進捗報告等について研究者相互の意見交換が行われた。第119回では、16 件の研究発表があり、主にコンテンツ流通技術や社会的課題等について討論が行なわれ、特別講演として、北海道大学 田村善之教授より「著作権制度の過去・現在・未来」という題目でご講演いただいた。第120回は、ネットワーク通信技術研究者からの進捗報告や、e-Learning などのコンテンツに関する新しい話題について20 件の研究発表があり、活発な議論が行なわれた。第121回は、GNとの合同開催とし、17 件の研究発表において、グループウェアやネットワーク通信に関する新たな話題について意見が交換された。第122回は、CSECとの合同開催とし、招待講演として大阪大学 西尾章治郎教授より「生物界に学ぶ情報技術創出へのアプローチ」という題目で興味深い講演を頂いた。
平成16年度の研究発表件数は、招待講演も含めて 134件であった。
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
*マルチメディア、分散、協調とモーバイルシンポジウム(DICOMO2003)
平成16年7月7~9日、於長崎県雲仙温泉ホテル東洋館(長崎県南高来郡)発表件数:207件(招待講演1件を含む)。参加者 272 名。
本シンポジウムは、DPS、GW、DSM、MBL、CSEC、ITS、QAI、UBIの8つの研究会の主催、及び放送コンピューティング研究グループ、電子化知的財産・社会基盤研究会の協賛による非常に大規模なシンポジウムである。招待講演は、日立製作所宇佐美光雄氏によりミューチップの最新技術動向に関する興味深い話題であった。今回のデモセッションは 8 件の展示が行われ、非常に多くの見学者が夜遅くまで熱心に展示の説明を聞いていた。本シンポジウムにおけるDPS 関連発表は、ほぼ4分の1から3分の1程度を占めており、多くのDPS関連の研究者がこのシンポジウムに参加し、交流を深めたことがわかる。
* マルチメディア通信と分散処理ワークショップ
今回で12回目となった本ワークショップでは、66 件の論文発表を合宿形式で行い、97名の参加者(招待講演者1名を含む) のもと真摯な議論が行われた。投稿されたすべての論文は、プログラム委員によって並列査読された。発表は、既存の研究分野にとらわれず、分野を融合した先駆的試みを持つ論文も多く見られ、査読コメントに基づいて改良された論文をベースとした討論は、発表の場として発表者及び参加者の双方にとって有意義であった。また今年は論文発表セッションの中に、初めての試みとして英語セッション(4セッション:15論文)を設けた。
表彰としては、プログラム委員会の審査によりBest Paper Award 2件、Young Researcher Award 4件がおくられた。また、参加者の投票により、Best Presentation Award 2件、Best Conversant Award 2 件がおくられた。これらの賞により、優秀な研究成果及び研究者を評価奨励し、活発なワークショップとすることができた。
招待講演として北陸先端科学技術大学院大学 知識科学教育研究センター助教授 西本一志氏に「思いを伝えるメディア」という講演タイトルでご講演を頂き、新たな研究分野の見識を深めることができた。また、恒例となった合宿形式によるワークショップの実施により、論文発表セッションでは勿論のこと、懇親会や温泉に浸りながら、大学や企業組織の枠を超えて議論し、新しい研究の発展が得られるワークショップとなった点でも, 今後の本研究領域の発展に寄与するものと考えられる。
*論文誌「新時代の分散処理とネットワーク(Web サービスと P2P)」特集
本特集は、近年発展が目覚しい Web サービスや P2P ネットワークに基づく新時代の分散処理システムに関わる通信品質やプロトコルなどの基礎研究から、プラットフォーム、ミドルウェア、さらにはアプリケーションや実用化を含む研究全般についての最新の研究や開発事例に関する論文を一括して掲載することを目的として企画された。ゲストエディタとして本学会監事の鈴木健二氏(ケニスブロン)を迎えて編集委員会を組織した。通常の新規独創的な研究論文に加えて、サービスを実現するためにシステムの実装やその評価から得られた有効性や問題点を明らかにし、その有用性を示した論文を積極的に評価する方針とした。
47 件の論文投稿(内取り下げ3件)に対し、編集委員による査読評価の結果、22 件を採録とした。最終 50 %という採択率は、当初の目標としていた60%には至らなかったが、採録された論文は、理論、プロトコル、システム構築の方法論、システム評価論文を含め、新時代の分散処理システムに関する十分な品質の論文を掲載することができたと考えられる。
3.総括
本研究会では、5回の定例研究会、シンポジウム、ワークショップを通して、研究者相互の交流と研究に対する活発な意見交換の場を提供することができた。特集論文については、非常に多くの方にご協力いただき、遅延のない査読プロ セスを進めることができた。ここに改めて、ご協力頂いた皆様に感謝する。今後も、DPS関連研究者の更なる研究の活性化、また国際化への支援を進めていく予定である。皆様の積極的参加とご協力をお願いしたい。
◆ヒューマンインタフェース(HI)研究会
[主査:増井俊之、幹事:小池英樹、田村弘昭、中小路久美代]
1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括
4.その他
◆グラフィクスとCAD(CG)研究会
[主査:斎藤隆文、幹事:岡田 稔、金田和文、山口 泰]
1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括
4.その他
◆情報システムと社会環境(IS)研究会
[主査:市川照久、幹事:阿部昭博、鈴木律郎、刀川 眞]
1.定例の研究会活動報告
第88回(5/21名桜大)、第89回(8/26化学会館)、第90回(11/17静岡大)、第91回(3/15-16専修大)の計4回研究発表会を開催し、前年度の34件を大きく上回る47件の発表があった。内容的にも現実の社会環境における情報システムの分析・設計・開発・運用・利用から、情報システムと人間・組織・社会との相互関連に関する学際的研究まで多彩なテーマが集まった。特に、本年度は「若手の会」を2日間に拡大して論文募集を行い、学部生・院生を中心に萌芽的な研究テーマについて19件の発表があり参加者も60名と大変盛会であった。
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
「事例から学ぶプロジェクト・マネージメント」チュートリアルを1月21日に日本IBMにて開催した。時宜を得たテーマであったこと、産業界から情報サービス産業協会の協賛を得たことなどから、定員60名に対して30名超の参加希望があり好評であった。
3.総括
平成16年度もこれまでと同様に情報システムの方法論の提案や、具体事例の分析・考察を中心として、上記の通り定例の研究会活動とチュートリアルを実施した。ここ数年、研究活性化の方策として取り組んできた情報システム論文の普及啓蒙や研究分科会活動の成果が、研究発表件数、登録会員数の増加などに着実に表れてきている。
4.その他
当研究会が母体となって学会論文誌「情報システム論文」特集号を発行した。また、情報システム論文の更なる定着を目指して、「新たな適用領域を切り開く情報システム」特集号を平成18年3月予定で企画中である。
◆情報学基礎(FI)研究会
[主査:仲尾由雄、幹事:岩山 真、宇陀則彦、大山敬三、吉岡 真治]
1.定例の研究会活動報告
第75-78回の研究発表会を開催し、57件の発表があった。
第75回は「異種情報源の有効活用」をテーマにデータベースシステム研究会と合同で開催し、15件の発表(うち2件は招待講演)があった。第76回は「Webマイニングによる情報活用と自然言語処理」をテーマに自然言語処理研究会と合同で開催し、24件の発表があった。この発表件数は、平成16年度のFI研では最多であり、テキストマイニングや質問応答等のテキスト処理系のトピックスへの注目の高さが伺える。第77回は「メタデータ、e-learning、およびディジタル図書館一般」をテーマに、デジタル図書館ワークショップと共同で開催し、7件の発表があった。第78回は「電子化文書の活用と知識管理」をテーマに、デジタルドキュメント研究会図書館ワークショップと合同で開催し、11件の発表があった。
いずれの回のテーマも、近年注目されているトピックスを含み、多くの発表・参加者を集めることができた。
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
日本学術会議他と共催で、2005年情報学シンポジウムを2日間にわたって開催した。今回のシンポジウムテーマは「社会システムを支える情報学」で、基調講演2件、招待講演8件、一般発表17 件(口頭発表6件、ポスター発表11件) からなるプログラムを構成した。シンポジウムでは、このプログラムに沿って、情報と社会や生活との関わりを中心に多様な側面について、第一線の研究者による講演と討論が行われた。テーマとしては、近年、「社会技術」といったキーワードでも注目されている、様々な分野の知見を統合して安心・安全な社会システムを実現しようとする動きに関わり、また、情報学に期待される様々な分野の知見の統合基盤としての役割にも相応しいものであったと考えるが、 参加者は約60名とやや低調であった点に、次年度以降の運営課題が残った。
3.研究会論文誌の活動報告
DBS研および電子情報通信学会データ工学研究専門委員会と共同で刊行している研究会論文誌「データベース(TOD)」については、第22-25号を予定通り刊行した。各号ともコンスタントに十数件(11~17件)の一般論文投稿(シンポジウム連係以外の投稿)があり、この分野の主要な論文投稿先の一つとして認知されてきたと判断できる。第23号からはPDFによる電子投稿の受付を開始したが、大きなトラブルはなく順調に利用されており、投稿者の利便性の向上と査読プロセスの効率化に効果があったと判断される。
4.総 括 (研究会活動の全般的な視点からの総括)
本研究会の基調テーマは、情報とその利用に関する基礎理論(情報の特性解析・情報/ユーザのモデリング・情報組織化等)であるが、近年は、Web情報処理やコンテンツ・知識管理など、適用分野が大きく拡大してきている。そのため、研究対象が関連し、異なる技術的あるいはシステム的指向を持つ他の研究会と、研究発表会や研究会論文誌などを通じて連携を深めるとともに、情報学シンポジウムにおいて、情報学の利用側の分野の研究者・開発者との交流の場を設ける形で活動してきた。他研究との連携については相補的な効果が期待できるので、引き続き強化を図っていく予定であるが、情報学シンポジウムについては、ここ2 年やや参加者が少ない状況が続いているので、開催方針・運営体制を再検討したいと考えている。
5.その他
情報学シンポジウムに関しては、主要な共催団体である学術会議の改組が平成17年度に予定されている関係で、運営体制の見直しが必要な状況になっている。本シンポジウムは、1984年以来、研究・開発者と利用者が交流し、情報・知識の利用に関するアイディアや知見を交換する場の提供を目的に、毎年開催してきたものであるので、その趣旨を汲む何らかの企画は継続したいと考えているが、現在は関連団体等と協議を進めている状態で結論は出ていない。
◆オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)研究会
[主査:渡辺 裕、幹事:高村誠之、内藤 整、永吉 功]
1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括
4.その他
◆グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会
[主査:星 徹、幹事:井上智雄、関 良明、野村 恭彦]
1.定例の研究会活動報告
平成16年度は以下の通り、第52-55回の研究発表会を開催しました。
- 第52回: 発表11件、参加者28人 (平成16年5月20日 化学会館)
コミュニケーション支援/電子会議、情報共有/コミュニティ、ソフトウェア開発/映像コンテンツ/ネットワークの3セッションを開催 - 第53回: 発表12件、参加者27人(平成16年9月16-17日 岩手県立大学)
日本バーチャルリアリティ学会 第22回サイバースペースと仮想都市研究会と共催し、ネットワークとコミュニティ、プレゼンテーション/学習、協調作業、発想/議論支援、サイバースペースの5セッションと、村山 優子 教授の招待講演を実施 - 第54回: 発表18件、参加者43人 (平成17年1月19-20日 産業技術総合研究所)
第121回マルチメディア通信と分散処理研究会と共催し、システム開発法、コミュニティウェア、通信プロトコルと分散処理、協調作業/ヒューマンインタフェースの4セッションと、(株)ゆびとま 蒲原 幸也 取締役副社長の招待講演、およびサイバーアシスト研究センターの見学を実施 - 第55回: 発表20件、参加者43人 (平成17年3月17-18日 北陸先端科学技術大学院大学)ナレッジワーク環境、実世界志向、アウェアネス、ディスカッション支援、ネットワークサービス(1)、(2)の6セッションと、松下 温 教授(GN研究会顧問)の招待講演を開催
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
平成16年度は以下の通り、2シンポジウムと1ワークショップを開催しました。
- マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2004)シンポジウム: 発表179件、参加者272人 (平成16年7月7-9日 長崎県雲仙温泉)
平成9年度より共催しているDICOMOの平成16年度の主催研究会は、DPS、GN、DSM、MBL、CSEC、ITS、QAI、UBI の8研究会へと拡大し、さらに BCC研究グループが協賛 - インタラクション2005: 発表95件、参加者622人 (平成17年2月28日-3月1日学術総合センター)
平成9年より共催している「インタラクションシンポジウム」は、HI、UBIと共催 - グループウェアとネットワークサービスワークショップ2004: 発表18件、参加者35人(平成16年11月11-12日 栃木県鬼怒川温泉)
平成16度は新たな試みとして、論文発表に加えて通常の研究会では発表に至らない構想や提案、または検討段階の研究などに対しても発表・議論の場を提供する第1回目のワークショップを開催
3.総 括
当研究会は、平成5年度の発足以来、グループウェア技術に関して、理論から応用、情報科学から社会科学、と幅広い学際的研究活動を活発に推進してきました。この間、グループウェアの実用化が急速に進み世の中に定着しましたが、ここ数年の動向を質の面から見ると、当初は企業内の既成組織など目的の明確なグループの協調作業を対象にした研究や応用システムが大部分でしたが、インターネット技術の発展とともに、企業対企業、企業対個人、また個人対個人での作業、あるいは業務にとらわれない人と人とのコミュニケーションや興味を主体とするコミュニティ形成にまで対象が広がってきております。これらの動向を踏まえて、平成13年度より、研究会名称をグループウェアとネットワークサービス研究会へと変更し、ネットワークサービスも対象として、これらの分野での研究の推進役としての活動を行っております。具体的な活動として、4回の研究会、2回の共催シンポジウムの開催に加え、今年度は、GNワークショップの開催を行い、小規模国際会議Collabtech2005の計画を推進しました。また、英文図書の発行を行いました。
4.その他
欲しい情報がいつでもどこからでも入手できるユビキタスネットワーク社会になりつつあります。そこでは人が遍在する多数の端末を用いて協調作業を行うので、人と人との情報のやり取りのプラットフォームであるグループウェアはユビキタスネットワーク社会の必然となります。
グループウェアは人間中心のシステムのため、国民性によって発展が異なります。
欧米ではグループウェアはWebを中心とした非リアルタイムのサービスが主流ですが、本研究会では電子会議などだけではなく、我が国が世界に誇る情報家電、ゲームやアートの分野を発展させた、リアルタイムのグループウェアおよびそれを使ったサービスにも注目しています。
本研究会をさらに有意義な場とするために下記の3つのアプローチを考えています。
(1)研究発表しやすい場を提供する:
参加して楽しく自由な雰囲気の議論の場を多く設ける。
(2)発表の幅を広げる:
メーカや大学などの研究者だけではなく、学生やシステム開発者、ゲーム開発者、アーティストなどもメンバーに取り込む。
(3)評価される場を積極的に設ける:
これまでにも増して推薦論文を増やしていく。
そして本研究会主催の国際会議CollabTechを発展させ「日本発の情報発信」と「認知度向上」に取組み、国際的な CSCW(Computer Supported Cooperative Work)の研究の拠点をめざします。
◆分散システム/インターネット運用技術(DSM)研究会
[主査:松浦 敏雄、幹事:樋地正浩、宮地利雄、渡辺健次]
1.定例の研究会活動報告
第33-36回の研究発表会を開催した。
- 第33回 5/13~14 佐賀大学
- 第34回 7/30 大阪大学
- 第35回 9/24 秋田大学
- 第36回 3/18 東京農工大学
4回の研究会で合計 63 件の発表があり、参加者数は延べ250人であった。
第33回研究会は、電子情報通信学会テレコミュニケーションマネジメント(TM)研究会との共催により、2 日間にわたり 20件の発表があり、80 名を越す参加者をえた。第34回は、システムに対する信頼性向上に関する話題など含む13件の発表があり,台風10号の接近する悪天候にも関わらず49名の参加者により活発な議論が行われた。第35回は、従来、研究会への参加が少なかった東北地方を中心に、14件の発表があり、初めて研究会に参加する人も含め70名を越える参加があった。第36回は、16件の発表があり51名の参加者により活発な議論が行われた。また KAIST韓国情報科学会会長のKim先生による特別講演を開催した。いずれの会場でも、ネットワークのリーチャビリティが確保されているなど、快適な環境下で研究会が開催できた。
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
分散システム/インターネット運用技術シンポジウム2004年度
日程:平成16年12月9日(木)~ 12月10日(金)
会場:広島市まちづくり市民交流プラザ(広島市中区袋町6-36)
後援:特定非営利活動法人 中国・四国インターネット協議会
協力:財団法人 広島市ひと・まちネットワーク まちづくり市民交流プラザ
参加人数:75(計画:100名)
プログラム委員長:山之上卓 鹿児島大学学術情報基盤センター
実行委員会委員長:相原玲二 広島大学情報メディア教育研究センター
今回のシンポジウムは「再考:ネットワークの運用・管理とセキュリティ」を全体テーマとし、招待講演2件、一般講演14件、パネルディスカッション1件 で構成した。
招待講演は、野川裕記氏(東京医科歯科大学)による「大学におけるセキュリティ人材育成:大阪大学における試み」および、岡村久道氏(英知法律事務所)による「システム管理とサイバー法」の2件をお願いした。
一般講演は「分散システムの危機管理、情報漏洩対策技術、認証技術」「コンピュータウィルス対策技術、迷惑メール対策技術」等を投稿分野として論文公募を行った。認証方式、セキュリティ管理とログ解析、メールのスパム対策、分散システムの構築、分散システムの応用などに関して、2日間を通じて活発な議論が行われた。
パネルディスカッションでは「失敗例から学ぶ情報セキュリティ再考」のテーマで、安東孝二氏(東京大学)をコーディネータとし、4名のパネリストによる、
実例に基づいた小講演、及び、ディスカッションが行われた。会場からも活発な発言があり、貴重な意見交換がなされた。
また、併設プログラムとして企業展示を実施した。11社からの申し込みがあり、製品の実演・デモを交えた展示は非常に好評であった。
3.総括
上記の研究会、シンポジウムに加えて、7/7~9に雲仙で開催されたDICOMOシンポジウムを共催した。このシンポジウムでも本研究会に関連したテーマで7 件の発表が行われ、そのうちの1件に優秀論文賞が授与された。
また,前年度に引き続いて,本研究会が中心となり,『オープンソース時代の分散システム/インターネットの構築・運用技術』をテーマとする論文誌特集号を企画し、論文募集を行った。33件の投稿があり、最終的に14件を採録とし、Vol.46, No.4として発刊予定である。本研究会が扱う分野の研究を更に活 性化するために、来年度も引続き論文誌特集号の発刊を計画している。研究会活動・シンポジウム等を円滑かつ活発に進めるため年 5回の運営委員会を開催した。
4.その他
研究会での発表件数、参加者数ともに増加傾向にあり、研究会の活動が定着してきた感がある。また、論文誌特集号も投稿件数を増やしており、シンポジウムについても、10%ほど参加者数が増加している。研究会およびシンポジウムの参加者のうち、大学関係以外の参加者が少ないように思われるので、今後は企業側の参加者を増やす努力をしたいと考えている。
◆デジタル・ドキュメント(DD)研究会
[主査:大野邦夫、幹事:今村 誠、中挾知延子、根岸寛明]
1.定例の研究会活動報告
第44回~49回の研究会を開催した。第44回,46回,47回,48回は当研究会単独開催で、発表件数は計20件であった。第45回は、電子情報通信学会オフィスインフォメーション研究会との共催であり、発表件数は9件である。また、第49回は、情報学研究会(FI)との共催であり、発表件数は11件である。なお、第47回以降はXMLコンソーシアムの協賛である。
単独開催の回の発表件数は当研究会の方針として、発表件数を押さえて、討議の時間を十分に取るようにしている。参加人数は平均約20名程度である。発表内容は、ここ数年の傾向どおり、XML関連の発表が約半数を占めたが、XMLが普及/利用段階に入ったことを反映して、Webサービス利用システムや知識管理など応用面の発表も増える傾向がみられた。 なお,発表者の産学の比率は、約1対1であった。
合同開催を年2回開催したことにより、他分野との技術交流を深めることができた。具体的には、オフィスインフォメーション研究会との共催により、P2P,モバイル端末、全周映像などユビキタス環境でのコンテンツ利用技術についての発表討議した。また、情報学基礎研究会との共催により、情報検索やXMLデータベースなどの基礎技術についての発表討議した。
2.総 括
当研究会は、1998年のシンポジウム以来、XMLを先進的に取り上げて適用技術の検討、市場動向、技術動向の紹介などに努力してきたところである。その後XMLがインターネット上の幅広いアプリケーションのインフラとして認知され、当研究会の守備範囲も単にドキュメントの枠を超えて幅広い分野に展開しつつある。平成16年度は、XMLが普及/利用段階に入ったことを反映して、Webサービス利用システムや知識管理など応用面の発表が増えた。また、他研究会との共催により、ユビキタス環境でのコンテンツ活用技術、や検索やデータベースなどの基礎技術など関連分野との技術交流を実施できた。
3.その他
平成16年度年度は、企業での実用システムに関する技術発表/交流を促進するという目的から、研究会推薦論文を実施した。最初の経験であったため、手続面で不慣れな点もあったが、研究会討議内容の発表者へのフィードバックを図ることにより、研究会発表の質の向上を図るという観点から、来年度も継続して実施していく予定である。
◆モバイルコンピューティングとワイヤレス通信(MBL)研究会
[主査:高橋 修、幹事:太田 賢、藤野信次、河口信夫、横田英俊]
1.定例の研究会活動報告
第29-32回の研究発表会を開催した。
- 第29回研究会 5月13、14日 ホテルみゆきビーチ(沖縄)
共催:電子情報通信学会モバイルマルチメディア通信研究会(MoMuC) - 第30回研究会 9月17日 NTT武蔵野研究開発センター
- 第31回研究会 11月11、12日 宮崎大学
共催:ITS研究会、BCC研究グループ - 第32回研究会 3月17、18日 玉川大学
共催:UBI研究会
本年度の定例研究会の発表件数は63件であり、モバイルコンピューティング研究が引き続き活発に行われていることを示している。
発表内容はアドホックネットワーク、センサーネットワーク、位置情報取得/アプリケーションに関するものが増え、昨今のユビキタスコンピューティングへの注目を反映している。一方、モバイルネットワークのアーキテクチャ/プロトコルに関するものや、センサやRF-IDタグなどのデバイス利用技術、セキュリティなどの要素技術に関する研究発表も行われており、より多くの人にとって興味が持てる内容となった。
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
■マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2004)シンポジウム
2004年 7月7~9日 ホテル東洋館(長崎県雲仙温泉)
共催:DPS, GN、DSM、CSEC、ITS, QAI、UBIの各研究会
協賛:BCC研究グループ
本シンポジウムは、昨年同様8つの研究会の主催、及び1研究グループの協賛による大規模な開催となった。今年は272名の参加者が集まり、2名の招待講演と179件の研究発表が6パラレルセッションにて行なわれ、それぞれの分野の研究者の間で活発な議論が行なわれた。招待講演は、三菱電機米国研究所の菅隆志氏による近距離無線のIEEE標準化動向に関する講演と、マックス・ヴァルト研究所の横山雅子女史による女性たちの視点からのインターネットに関する講演が行われ、どちらも興味深い講演であった。
■プレミアワークショップ:ユビキタス・モバイルネットワークとセキュリティ
2004年 9月7日 同志社大学
企画:情報処理学会 DPS, GN, MBL, CSEC, ITS, UBI 研究会
電子情報通信学会 OIS研究会
本ワークショップは、FIT2004のイベント企画として併催され、100名以上の参加者があり盛況のうちに終了した。特別講演としてアドホックネットワークの研究で著名なロンドン大学のC.K.Toh教授を招き、ユビキタス、モバイル、セキュリティに関する7名の専門家による招待講演が行われた。
3.総 括 (研究会活動の全般的な視点からの総括)
平成16年度は、MBL運営委員会の活動の元、4回の定例研究会、シンポジウムの他、7研究会合同でワークショップを開催し、モバイルコンピューティング技術の発展に寄与し、研究者相互の交流および産学連携のための活発な意見交換の場を提供することができた。今後とも、国際会議の開催などにより、国内のみならず外国の研究者との交流を深め、本研究会をより発展・充実させたい。
4.その他
H15年度に初開催された国際会議International Conference on Mobile Computing and Ubiquitous Networking (ICMU)の第2回目はH17年4月に開催されることとなったため、本報告からは割愛した。
◆コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会
[主査:村山優子、幹事:菊池浩明、寺田真敏、松浦幹太]
1.定例の研究会活動報告
平成16年度は第25回~第28回の研究発表会を開催し、発表件数も計148件にのぼった。
- 第25回 平成16年5月21日 / ソニー・コンピュータエンタテインメント(港区赤坂)
- 第26回 平成16年7月20日~21日 / 徳島大学(徳島市)
- 第27回 平成16年12月20日 / 情報処理学会会議室(東京)
- 第28回 平成17年3月22日~23日 / 大阪大学吹田キャンパス(吹田市)
このうち、第26回の研究発表会では、セキュリティ分野での学会間の交流を目的とした合同研究発表会を「電子情報通信学会情報セキュリティ研究会(ISEC)」と共に、また、第28回の研究発表会では、研究会間の交流を目的とした合同研究発表会を「マルチメディア通信と分散処理研究会」と共に開催した。いずれの合同研究発表会も、セキュリティの研究視野を広げる上でも有意義であった。平成16年度の発表内容も、電子社会、電子透かし、ネットワークセキュリティ、暗号、セキュリティ評価など多岐に渡っているが、世相を反映してか、相対的に侵入検知、DDoS対策やウイルス・ワーム対策などを研究テーマとする発表が多く見られた。
また、第28回の研究発表会においては、2件の招待講演を実施した。
- 生物界に学ぶ情報技術創出へのアプローチ-21世紀COEプログラム-
西尾章治郎(大阪大学情報科学研究科長) - ISP(通信事業者)として何を守るべきか インターネットで発生しているインシデントの実態と Telecom-ISAC Japanの取組みについて
小山 覚(Telecom-ISAC Japan)
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
- コンピュータセキュリティシンポジウム2004 (CSS2004)
北海道大学 学術交流会館において10月20日~22日にかけ開催した。発表論文数140件、参加者245名、特に発表件数については過去最高となり、3パラレル、35セッションと盛況なシンポジウムとなった。CSS2004の特徴としては、サイバーテロ対策関連の発表が多くみられ、また、その内容も細分化されつつあることが挙げられる。具体的には侵入検知、ウィルス・ワーム対策、ネットワークセキュリティが計3セッション、また、セキュリティ評価・監査に関するセッションも新たに生まれた。さらに、個人情報保護法の施行も目前であったことからプライバシー保護関連が2セッションあり、まさに、時代のニーズを敏感に反映したセッション構成となっていた。このように、本シンポジウムは、セキュリティ基礎から応用にいたるまで幅広い技術に関する国内最新の研究活動を披露する場として定着してきたとの感触を十分に得ることができた。
CSS2004においては、2件の招待講演を実施した。
・情報セキュリティ早期警戒パートナーシップ 脆弱性関連情報流通体制の整備について
川口 修司(経済産業省)
・モバイルコマースの展開 決済事業者から見たモバイルコマースのビジネス要件と今後の展望
山本 正行(ビザ・インターナショナル) - マルチメディア、分散、協調とモバイル (DICOMO2004) シンポジウム
7月7日~9日にかけ、雲仙温泉において開催した。DICOMOは、情報処理学会のCSEC研究会を含む多数の研究会が協賛しているシンポジウムであり、ネットワークからセキュリティまで幅広い研究分野をカバーしている。このため、セキュリティについての発表テーマも、セキュリティ管理、セキュアシステムとその実現手段、認証ならびにプライバシ保護と多岐に渡っている。一般講演177件、参加者272名の盛大なシンポジウムとなった。 - 論文誌 「プライバシを保護するコンピュータセキュリティ技術」特集
本特集では、情報化社会において十分な頑強性を持つプライバシ保護技術を確立していくために、理論、方法論ならびに、実際の応用システムに関する研究論文を一括掲載することを目的として企画した。査読の結果、暗号の基礎理論から実践的な侵入検出まで、幅広いテーマの論文の中から22件を採録とした。 - 論文誌 「多様な社会的責任を担うコンピュータセキュリティ技術」特集
本特集号は、2005年8月の発行を予定しており、現在、特集号編集委員会により編集作業を進めている。本特集号においても方法論だけではなく、実システムの評価論文も数多く採録することにより、コンピュータセキュリティ技術の新たな側面を読者に伝えていきたいと考えている。
3.総 括
研究発表会4回のうち2回を合同研究会形式とし、また、DICOMO2004シンポジウムにも協賛するなど、研究会発足7年目も、学会ならびに研究会間の交流に力を入れ、セキュリティ技術の研究の広がりと深みを増すための場の提供に注力した。今後共、時代のニーズに答えるべく、各方面の研究者の意見交流の場の提供、研究の活性化の支援に努めていく。
4.その他
平成17年度は、研究発表会4回(うち地方開催2回)、平成17年10月26日~28日にかけてCSS2005(松山市)を開催する予定である。研究発表会では、第30回「情報セキュリティ研究会 (ISEC)、技術と社会・倫理研究会 (SITE)、情報通信システムセキュリティ時限研究会 (ICSS)」との合同開催、第32回「マルチメディア通信と分散処理研究会」との合同開催を企画している。また、2006年8月発行をめざした特集号編集委員会の立ち上げ、「マルチメディア、分散、協調とモバイル (DICOMO2005) シンポジウム」なども計画している。さらに、 第20回IFIP情報セキュリティ国際会議 (SEC2005:20th IFIP International Information Security Conference)(平成17年5月30日~6月1日、幕張メッセ)開催向け準備を進めている。
今後共、会員の方々には積極的な発表、論文投稿と参加をお願いしたい。
◆高度交通システム(ITS)研究会
[主査:小花貞夫、幹事:久保田浩司、児島史秀、小西達裕、屋代智之]
1.定例の研究会活動報告
平成16年度は、次の通り第17-20回の研究発表会を開催した。59件の発表があり、内 容もITSに関する国内動向から、交通流解析・制御、路車間・車車間通信方式、車載通 信端末、画像解析、ナビゲーション、ヒューマンインタフェース、歩行者ITS、鉄道へ の応用、交通心理学など基礎から応用までの技術について幅広い発表、議論が行われ た。9月研究会は電子情報通信学会ITS研究会、電気学会ITS研究会と、11月研究会は MBL研究会、BCC研究グループとの共催で開催した。
- 第17回 5/28(金) YRP 発表7件(招待講演1件)
- 第18回 9/28(火) 機械振興会館 発表14件(各代表挨拶3件) 電子情報通 信学会ITS研究会・電気学会ITS研究会共催
- 第19回 11/11(木)-12(金) 宮崎大 発表23件 MBL研究会・BCC研究グ ループ共催
- 第20回 3/10(木)-11(金) ATR 発表15件
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
- マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2004)シンポジウム
平成16年7月7日(水)~9日(金)、長崎県・雲仙温泉・ホテル東洋館にて、 DPS研究会・GN研究会・DSM研究会・MBL研究会・CSEC研究会・QAI研究会・UBI研究会・ BCC研究グループとの共催で開催した。発表172件、デモンストレーション7件があっ た。複数の研究会に関連する発表テーマが一同に会した合宿形式で有意義なシンポジ ウムであった。 - 高度交通システム(ITS)2005シンポジウム
平成17年1月14日(金)、日本科学未来館(臨海副都心)にて、「セカンドステー ジITSとそれを支える技術」のテーマで開催した。セカンドステージITSへの取組み状 況として、総務省、経産省、国交省よりそれぞれの取り組み状況を、ITS Japanより ITS-WC愛知・名古屋会議の報告を講演頂き、セカンドステージITSを支える技術とし て、ユビキタスセンサネットワーク、インターネットITS、ITS車載器の技術動向の講 演が行われ、87名の参加があった。また、山下記念研究賞、ITS研究会優秀論文(5 件)の表彰も行われた。
3.総 括 (研究会活動の全般的な視点からの総括)
研究発表会4回の内2回を共催とし、また、DICOMO2004シンポジウムにも共催参加す るなど、今年度も学会ならびに研究会間の交流に力を入れて取り組んだ。また、ITSシ ンポジウム2005を開催し、ITS関連の研究活動の拡大や潜在的な研究者の発掘などにも 取り組んだ。ITSは他の分野・技術との関連性が大きいことから、今後もより広範な意 見交換が行える場の提供を行っていきたいと考える。
4.その他 (今後の活動予定、主査の抱負、研究会運営上の問題点等、気がついた こと)
昨年度まで情報処理学会の事業の一環として取り組んできた産業フォーラム/ITS は、情報処理学会非会員を含む多くの一般の研究者に対してITS分野の研究に興味をも ってもらうための啓蒙として有効であったと考えている。そこで、今後は、ITS分野の 研究活動のすそ野の拡大、潜在的な研究者の発掘、啓蒙を図るため、ITS研究会の取り 組みとして、年2回程度のITS産業フォーラムを企画、開催していきたいと考えている。
◆高品質インターネット(QAI)研究会
[主査:砂原秀樹、幹事:一井信吾、藤川和利、山崎克之]
1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括
4.その他
◆システム評価(EVA)研究会
[主査:福田 晃、幹事:河野知行、清水尚彦、中西恒夫]
1.定例の研究会活動報告
第9回の研究発表会(平成16年6月11日、東京、発表件数:10件)を開催し、アドホックネットワーク、サーバ処理能力などに関するシステム評価に関する発表があった。第10回の研究発表会(平成16年8月1日、青森市文化会館、発表件数:5件)をSWoPPの一貫として開催し、性能基礎データ、シミュレーションモデルなどの発表があった。第11回の研究発表会(平成16年11月4日、高知県工業技術センター、発表件数:8件)を開催し、エンタプライズ系サーバシステムなどに関する発表があった。第12回の研究発表会(平成17年3月23日、福岡システムLSI総合開発センター、発表件数:7件)を開催した。PCクラスタの性能評価の発表が多くあった。
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
平成16年度は実施なし。
3.総括
システム評価研究会は、性能評価だけにとどまらず、幅広い多様な観点からの評価を目的としているが、性能の観点からの発表論文が多かった。今後、幅広い観点からの議論の場を提供したい。
4.その他
登録会員数が少ないので、今後会員獲得に努め、より活性化していきたい。
◇放送コンピューティング(BCC)研究グループ
[主査:水野忠則、幹事:岡田謙一、塚本昌彦、阿倍博信]
1.定例の研究会活動報告
平成16年度は、第8-10回の研究発表会を開催した。第8回は単独、第9回はITS、MBL研究会との共同開催、第10回はDBS研究会との共同開催という形で実施した。発表内容は、放送型情報配信、データ放送、通信放送融合方式をはじめとした放送コンピューティングに関する各種要素技術や放送コンピューティングを応用した各種アプリケーションなど多岐にわたっている。
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2004)シンポジウム(2004/7/7-9 雲仙温泉 ホテル東洋館)
研究グループとして上記シンポジウムに協賛した。このうち1セッション(インターネット放送)の運営を担当し、合計で4件の発表があった。
3.総 括
今後、本研究グループの関連するFTTHなどのインターネット上での放送サービスやモバイル端末向けデジタル放送サービスの急速な実用化が予想されており、本研究グループに関連するテーマは大きく広がっていくことが予想されている。また、平成17年度は、平成16年度に継続して研究会を行うとともに、関連研究会とのシンポジウムの協賛や小規模国際会議の共催を予定している。
フロンティア領域
◆自然言語処理(NL)研究会
[主査:島津 明、幹事:森 辰則、内元清貴、白井清昭]
1.定例の研究会活動報告
第161~166回の研究発表会を開催した。9月の研究会は情報学基礎(FI)研究会と合同で早稲田大学において開催し、マイニング、情報抽出、フィルタリ ング、質問応答など、計24件の発表と有意義な議論があった。11月の研究会は電子情報通信学会の言語理解とコミュニケーション(NLC)研究会と合同で
広島市立大学において開催した。解析、知識獲得、検索、Web情報処理などの一般発表に加え、「言語理解と行動」というテーマで特別セッションを開いた。特別セッションでは10件の発表があり、有意義な議論が交わされた。他の4 回の研究会は単独で開催し、解析、生成、辞書、抽出、知識獲得、分類などの言語処理の基礎技術から、テキスト検索、要約、質問応答、機械翻訳、Web情報処理などの応用まで幅広く発表が行われ、活発な討論があった。
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
平成16年度は実施なし。
3.総括
平成16年度も6回の研究会を開催した。発表申込、参加申込とも順調で、127件の発表と353名の参加者があった。開催の一部を他学会(電子情報通信学会NLC研究会)および他研究会(FI)と協賛し、隔月で関東方面とその他の地域を交代で開催地とすることにより、自然言語処理に関する多様な研究発表と討論が活発に行われ、当研究会は自然言語処理に関する代表的な研究発表の場として機能している。
4.その他
今後も、年6回の関東およびその他地域での開催、他研究会との合同開催を進める予定である。
◆知能と複雑系(ICS)研究会
[主査:山田誠二、幹事:河野浩之、栗原 聡、川村秀憲、今井倫太]
1.定例の研究会活動報告
第136~139回の研究発表会を開催した。人工知能学会「知識ベースシステム」研究会、電子情報通信学会「人工知能と知識処理」研究会、JAWS2004(合同エージェントワークショップ&シンポジウム)との共催により、先端的な研究領域をテーマとした研究会をオーガナイズした。
- 第136回は、特集テーマ「ネットワークが創発する知能」で、平成16年8月4日~6日に、ホテルメゾン軽井沢にて、人工知能学会「知識ベースシステム」研究会との共催で開催された。32件の発表があり、60名程度が出席して、スケールフリーネットワーク、スモールワールドに関する研究発表と活発な議論が行われた。
- 第137回は、JAWS2004の特別セッションとして、人工知能学会「知識ベースシステム」研究会との共催で, 10月27日~29日にホテルメゾン軽井沢にて開催された。特集テーマは、「ヒューマンエージェントインタラクション:HAI」であり、10件の発表が行われた。各発表は、人とエージェント、ロボットとのインタラクションやインタフェースに関する質の高いものであった。
- 第138回は、Joint Workshop of Vietnamese Society of AI, SIGKBS-JSAI, ICS-IPSJ and IEICE-SIGAI on Active Mining として、人工知能学会「知識ベースシステム」研究会、電子情報通信学会「人工知能と知識処理」研究会との共催で、12月4日~7日にハノイのハノイ工科大学にて開催された。46件の発表があり、80名程度が出席して、アクティブマイニング関する研究発表と活発な議論が行われた。
- 第139回は、「社会システムにおける知能」というテーマで、平成17年3月14日~16日に、札幌の定渓ビューホテルにて、電子情報通信学会「人工知能と知識処理」研究会との共催で開催された。31件の発表があり、60名程度が出席して、社会システムへの人工知能の応用を中心に、活発な発表・議論が行われた。
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
平成16年度は実施なし.
3.総 括 (研究会活動の全般的な視点からの総括)
全ての回で特集を組んだ結果、発表者および参加者は予想以上に多く、質の高い研究発表に加え、非常に活発な討論がなされ、研究の活性化が図れた。また、研究会と国際会議の垣根を取り払う試みとして、3回目の海外での開催をベトナムで行い、国際交流にも貢献した。
4.その他(今後の活動予定、主査の抱負、研究会運営上の問題点等、気がついたこと)
次年度も、4回の研究会開催を予定している。JAWS-2005でのHAI特別セッションを始め、新たにマルチエージェント、オークションに注目した研究会も開催し、より先進的な分野を開拓していく予定である。具体的な開催時期とテーマは、以下を予定している。
- 第140回 平成17年 8月 「ネットワークが創発する知能」
- 第141回 平成17年11月 「HAI (JAWS2005特別セッション)」
- 第142回 平成18年 1月 「社会システムと知能」
- 第143回 平成18年 3月 「マルチエージェントとオークション」
◆コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)研究会
[主査:横矢直和、幹事:斎藤英雄、村上和人、山澤一誠、和田俊和]
1.定例の研究会活動報告
第144~148回の研究会を開催した。本年度は、以下のテーマ別オーガナイズドセッションを企画し、毎回100名前後の聴講者があり、熱心な討論が行われた。
- 第10回(2004年9月):コンピュータビジョンのためのパターン認識・学習理論の新展開
- 第11回(2004年11月):ロボットのインタラクション
- 第12回(2005年1月):高度センシングに基づくコンピュータビジョン
- 第13回(2005年3月):人をみる
本年度は、通常の研究発表に加えて、特定の分野・応用に関してサーベイを行うサーベイシリーズを継続的に実施した。また、若手研究者の育成を目的に、前年度に学部を卒業し修士課程に進学した学生を対象とした特別セッション・第4回「卒論セッション」及び、初めての試みとして前年度に博士の学位を取得した若手研究者を対象とした「D論セッション」を2004年5月に開催した。卒論セッションは卒業論文の内容をポスター形式で発表するものであり、D論セッションは博士学位論文の内容を通常の発表時間よりも長い時間枠で口頭発表するものである。卒論セッションの発表数は20件、D論セッションの発表数は5件であった。そして、卒論セッションにおいては、優秀な発表に対して、研究会より最優秀賞ならびに優秀賞を授与した。受賞者は以下の通りである。
- 最優秀賞 (1名)
【144-10】題名:鮮明な画像撮影のための高速追従型アクティブカメラ
著者:○大池 洋史、呉 海元、加藤 丈和、和田 俊和(和歌山大) - 優秀賞 (2名)
【144-19】題名:未校正多視点可動カメラを用いた高精細な自由視点画像生成
著者:○伊藤 洋輔、斎藤 英雄(慶應大)
【144-20】題名:Sequential Point Clusters:大規模モデルに対する効率的なポイントベーストレンダリングシステム
著者:○岡本 泰英、池内 克史(東大)
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
第7回画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2004)を共催した(主催:電子情報通信学会パターン認識・メディア理解(PRMU)研究会)。MIRU2004は、招待講演1件、優秀論文発表5件、一般口頭発表82件、ポスター発表115件、デモ発表29件の計232件の発表からなり、428名の参加者を得て過去最大の規模となった。また、本年度から優秀な論文に対する表彰制度を設けた。受賞発表は以下の通りである。
- MIRU長尾賞(最優秀論文賞) (1件)
題名:勾配拘束と距離濃淡画像を用いた距離画像とカラー画像のレジストレーション
著者:○梅田 和昇(中央大)、Guy Godin、Marc Rioux(カナダNRC) - 優秀論文賞(4件)
・題名:未知パターンとカテゴリカル近傍平均パターンとの距離に基づく分類器
著者:○堀田 政二、喜安 千弥、宮原 末治(長崎大)
・題名:実物体の仮想化のための相互反射を考慮した表面反射特性の推定
著者:○町田 貴史(阪大)、横矢 直和(奈良先端大)、竹村 治雄(阪大)
・題名:空間的配置特徴に基づく胸部X線CT像からの肺動脈・肺静脈自動分類
著者:田中 友章、○目加田 慶人、村瀬 洋(名大)、長谷川 純一、鳥脇 純一郎(中京大)、尾辻 秀章(済生会吹田病院)
・題名:影に基づく光源推定の周波数解析とHaarウェーブレットを用いた適応的手法の提案
著者:○岡部 孝弘、佐藤 いまり、佐藤 洋一(東大)
3.情報処理学会論文誌:コンピュータビジョンとイメージメディアの報告
本年度は、第9、10号を発行した。いずれも、平成15年度に実施した研究会テーマ別オーガナイズドセッションと連携した特集号である。また、両号とも、研究会における優秀発表を選出した研究会推薦論文を合わせて掲載した。
第9号 「特集:顔」(2004年6月発行)
第10号 「特集:街を観る」(2004年12月発行)
4.総 括 (研究会活動の全般的な視点からの総括)
本年度は、研究会における従来からの卒論セッションに加えてD論セッションを設け、若手研究者の育成策を充実させた。今後は両セッションと研究会論文誌における研究会推薦論文制度の連携が期待される。
5.その他
次年度は、我が国を代表する画像関係の研究集会となった第8回画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2005)を2005年7月に主催するため、5回の研究会開催を予定している。2005年5月の第149回研究会では、昨年に引き続き、卒論セッションとD論セッションを企画している。次年度のオーガナイズドセッションで予定しているテーマは以下の通りである。
- 第14回(2005年9月):CVとHCI
- 第15回(2005年11月):安心・安全のためのCV
- 第16回(2006年1月):ユビキタスセンサネットワーク-インフラとしてのCV-
- 第17回(2006年3月):CVのためのパターン認識・学習理論の新展開
◆コンピュータと教育(CE)研究会
[主査:川合 慧、幹事:角田博保、竹田尚彦、立田ルミ、辰己丈夫]
1.定例の研究会活動報告
第74~78回の研究発表会を、順に東京国際大学、北海道大学、静岡大学、金沢学院大学、内田洋行(中央区)で開催し発表総数は62であった。金沢の研究会は電子情報通信学会教育工学研究会及び教育システム情報学会との共催である。前年に引続き、11月と2月の発表件数が増加している。後述の情報教育シンポジウムも含めて、研究発表活動が年を追って活発化して来ていると言える。
昨年度も一昨年度に続いて、実際的なeラーニングを目指す研究、教育・学習支援システムや教材コンテンツの研究、教育現場の環境を高度化する研究、HCI(Human-Computer Interaction)とも関連して、教材やシステムに意味論的な視点を持ち込む研究、などが盛んに発表された。また、新学習指導要領の中の高等学校「情報」に関しては、関心の重点が実際の教育実践内容と実際的な分析に移ってきている。さらにこれらを意識しながら大学教育を考える傾向も強まっており、2006年度への対応の必要性が強く認識されるようになってきているといえるであろう。
2.シンポジウムの報告
平成16年8月28日~30日に「情報教育シンポジウム SSS2004」を長野県千曲市のホテル清風園で開催した。これは、当研究会が主催するシンポジウムとしては6回目となるが、“情報教育”に関わる三つの立場である教育、研究、教具教材開発にそれぞれ携わる人々が、立場の境界を越えて語りあうという趣旨で開いたものであり、SSS99以来、熱気のこもった合宿型研究発表会となっている。今回も、厳正な査読をパスした38件の質の高い研究発表の論文を224ページの予稿集として初日に配布し、二泊三日にわたって夜遅くまでの議論が続いた。112名に上る参加者があり、内容的にも収支的にも成功を収めた。8つの全体セッションを設け、並列発表を避け、デモンストレーション付きの発表の時間を一般発表とは別に確保した。内容的にも優れた論文が多く見られ、併設した企業展示・販売ともあいまって、充実したシンポジウムとなった。
3.総 括
平成16年度は、2年前から始まった「初等中等教育における情報教育」への対応から、より高度な「大学などにおける情報教育」へと力点が移る動向を引 き継いだ年である。発表された論文は、実用性や先見性の点で従来とは異なった特徴と充実が見られるようになり、これからの発展が期待される。
研究会の登録会員数に比べて発表件数が少なかった状況については、共催の研究会の開催と開催地の選定への配慮をおこなった成果として、発表件数は一昨年の50件から62件へと増加した。ただし、単に件数を増加させるだけではなく、近年の教育観の変化と、情報社会に対する洞察を根底において、独創的な研究活動の支援を発展充実させることを目標にしている。以前から検討を重ねていた論文化推進の活動によって、研究会発の論文を数多く世に出す努力も継続して行なっており、実際、昨年度は研究会推薦の論文が学会論文誌に初めて1編掲載された。
4.その他
平成12年度から始まった研究運営委員制度の本質(単なる情報収集者から運営者への転換)が次第に浸透・定着してきた。具体的には、運営委員会への出席、研究会発表の推進、シンポジウム他の活動への積極的な寄与、などが活発となり、研究会としての主体性を確立しつつある。その結果、たとえば発表会の司会に若手で意欲的な研究者を当てることが出来るようになり、討論の内容も深まってきた。ただし、FITやハンドブックなどの学会全体の活動に対応する活動も必要となってきており、運営委員会のさらなる質的・量的充実をはかってゆく予定である。
◆人文科学とコンピュータ(CH)研究会
[主査:桶谷猪久夫、幹事:安達文夫、村上晴美、吉岡亮衛]
1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括
4.その他
◆音楽情報科学(MUS)研究会
[主査:片寄晴弘、幹事:西本一志、平賀瑠美、莱 孝之]
1..定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議等の報告
3.総括
4.その他
◆音声言語情報処理(SLP)研究会
[主査:中村 哲、幹事:武田一哉、畑崎香一郎、山田武志]
1. 定例の研究会活動報告
第51~55回の研究会を開催し、合計120件の講演、うち16件の招待講演(プロジェクト紹介を含む)、7件のデモ発表、1件のパネルディスカッションが行われた。
- 第51回:電子情報通信学会音声研究会(SP)と合同で開催した.テーマは、音声処理一般で、9件の一般講演があった。
- 第52回:ヒューマンインタフェース研究会(HI)と共催で登別温泉で合宿形式の研究会を開催した。音インタフェース、ヒューマンエージェントインタラクションの特集とし、前者のテーマについて、後藤真孝(産総研)、五十嵐健夫(東大)、江渡浩一郎(産総研)による招待講演と、後者のテーマについて、司会に嵯峨山茂樹氏(東大)、パネリストに荒木雅弘氏(京都工繊大)、小林哲則氏(早大)、小林宏氏(東京理科大)、土肥宏氏(東大)をお願いして、「擬人化/顔インタフェース再考」と題したパネルディスカッションを行った。
- 第53回:早稲田大学において、対話システムのインタラクティブデモセッションを特集とした研究会を開催した。既発表のものは概要講演、新規発表のものは口頭発表とあわせて、音声対話システムに関するインタラクティブなデモセッションを企画した。7件のシステムの発表があり大変盛況であった。
また、山下賞贈呈式を行い、藤江真也氏(早大)、駒谷和範氏(京大)に山下賞が贈呈された。 - 第54回:3日間の構成でATRにて研究会が開催された。初日は、電子情報通信学会音声研究会・音声研究会と共催で、「Beyond HMMs」と題して、国際ワークショップを開催し、国内外の著名人6名、Erik McDermott氏(NTT), Koichi Shinoda氏(東工大), Konstantin Markov氏(ATR), Mark Gales氏(Cambridge大)、 Jeff Bilmes氏(Washington大)、William Byrne氏(Cambridge大)に招待講演をお願いした。2、3日目は、第6回目となる「音声言語シンポジウム」の形式で開催された.(電子情報通信学会音声研究会・言語理解とコミュニケーション研究会、音声研究会と共催.) 「音声・言語における標準化動向」および「自然言語処理の展開」という特別セッションを企画し、平尾努氏(NTT)、中岩浩巳氏(NTT/ATR)、中村 哲(ATR)、徳永健伸氏(東工大)に招待講演をお願いした。全体で56件の発表があり、大変盛況であった。
- 第55回:南知多温泉で合宿形式の研究会を行った。「音声認識のビジネス動向」という特集を企画し、畑岡信夫氏(日立)、庄境誠氏(旭化成)、西村雅史氏(日本IBM)に招待講演を賜った。音声言語処理技術の現在のビジネスの状況や、期待される技術に関して熱心な討論が行われた。
2.シンポジウム・小規模国際会議の報告
平成16年度は実施なし。
3.総括
本年度は、運営委員の皆さんの専門分野をきめ、企画を運営委員レベルで行ったため、種々の新しい企画が立案され、大変成功裏に終わった。今後も、この体制で新しい企画をさらに生み出して、研究だけでなく、研究会にも新規性を吹き込みたい。
また、本年度は、これまで本研究会の下で活動を続けてきた連続音声認識コンソーシアムが終了し、それを受け、これまでIPAで活動していた擬人化音声対話エージェントのグループが、音声対話技術コンソーシアム(ISTC)として、新しいSLP傘下のコンソーシアムが発足した。マルチモーダルインタフェース、音声対話技術は、音声言語情報処理の核の技術であり、これらに対する標準的ツール群がコンソーシアムから配布され、研究開発のインフラとして普及することを切に願うものである。
また、雑音下の音声認識評価を目的としたSLPのワーキンググループの活動により、連続数字、自動車内発話の単語を対象とした標準学習データ、評価データ、認識スクリプトなどの配布がなされた。このようなフレームワークは評価の困難な音声認識に極めて重要であると考える。また、6年目を迎えた12月開催の「音声言語シンポジウム」は、国際シンポジウムも併催され、例年にもましての盛況をみた。
◆電子化知的財産・社会基盤(EIP)研究会
[主査:岸上順一、幹事:井出 明、櫻井紀彦、中野 潔]
1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議の報告
3.総括
4.その他
◆ゲーム情報学(GI)研究会
[主査:松原 仁、幹事:伊藤毅志、田中哲朗、中津良平、中村貞吾]
1.定例の研究会活動報告
2.シンポジウム・小規模国際会議の報告
3.総括
4.その他