井上 克郎 君

2023年度功績賞受賞者の紹介

井上 克郎 君 (いのうえ かつろう)

井上 克郎

 本会正会員井上克郎君(フェロー)は、ソフトウェア工学分野の研究を牽引してこられました。特に、コードクローン検出技術やプログラムスライス技術を用いたデバッグ支援等のプログラム解析、ソフトウェア部品検索システムの開発や高速クラスタ分析システムの開発等のプログラム部品の重要度評価、オープンソース環境下におけるソフトウェア工学データの標準化やデータ収集・分析・フィードバッグシステムの開発やソフトウェアプロセスモデルの作成と評価等のソフトウェア開発環境に関する研究、において顕著な業績をあげてこられました。また、2012年より、enPiTおよびenPiT2(高度IT人材を育成する産学協働の実践教育ネットワーク)の事業責任者としてIT人材育成にも尽力し、組込みシステムやクラウドコンピューティング、セキュリティ分野等における多くの領域に関わる人材を輩出してきました。上記の卓越した研究および教育業績に対しては、第35回市村学術貢献賞(2004年)、文部科学大臣賞 情報化促進貢献個人等表彰(2018年)、科学技術分野の文部科学大臣表彰(2015年)、ACM SIGSOFT教育功績賞(2021年)、本会フェロー(2007年)、電子情報通信学会フェロー(2008年)、日本ソフトウェア科学会フェロー(2014年)などを授与されています。また、コードクローン検出ツールCCFinderの提案と実装を行った論文は、ソフトウェア工学のトップジャーナルであるTransactions on Software Engineeringに2002年に掲載され、Google Scholar上での引用文献数は2,400件超であり、この値はソフトウェア工学分野においては非常に高く、さらに現在も増加を続けています。
 同君は、学会活動の活性化についても多大な貢献をされており、SANER2016やMSR2009でGeneral Chairをはじめとしてソフトウェア工学分野の著名な会議においてChairを歴任し、国際的な第一人者として長きにわたって活躍されています。本会では、情報処理教育委員会委員やソフトウェア工学連絡委員等を務めてこられました。
 以上のように、同君が情報処理分野の教育研究および学会活動の功績は誠に顕著であります。