東野 輝夫 君
2018年度功績賞受賞者の紹介
東野 輝夫 君 (ひがしの てるお)
本会正会員東野輝夫君(フェロー)は,高度情報化社会を支える情報ネットワークや分散処理の分野において創造性に富む研究を行い,その基盤技術の確立に大きく貢献されました.近年では,モバイル・ユビキタスコンピューティングやエッジコンピューティング,サイバーフィジカルシステムなどの分野でも先進的な研究成果を収めています.同君は,都市の人や車の位置や行動などのモビリティを推定・再現する技術や現実環境におけるモバイルネットワークの性能解析を効率良く行うシミュレーション技術を創出し,その成果に基づくモバイルネットワークシミュレータMobiREAL を開発しました.同君はまた,災害時救命救急支援を目指した人間情報センシングシステムの研究開発にも精力的に取り組まれ,災害時に傷病者からバイタルサインを取得するための電子トリアージ・タグを開発し,無線アドホックネットワークにより傷病者の位置や病状変化を一括で監視する救命救急医療支援システムを構築されました.
その成果は学術的に高く評価されるとともに,テレビや新聞で多数報道されるなど,社会的な要請に応える成果としても広く注目を集めました.同君はこれらの優れた研究成果により,本会50 周年記念論文賞(2010 年),本会論文賞(2014 年,2018 年),平成30 年度文部科学大臣表彰(科学技術賞)(2018 年)等を受賞されました.
同君は,学術の振興や関連分野の発展,学会活動の活性化に対しても多くの貢献をされています.日本学術会議会員(2014 年〜2020 年),日本学術振興会 学術システム研究センター主任研究員(2013 年〜2016 年),本会においては,マルチメディア通信と分散処理研究会主査(2002 年〜2006 年),理事(2001 年度〜2002 年度),監事(2009 年度〜2010 年度),副会長(2016 年度〜2017年度),関西支部長(2009 年度〜2010 年度)などを歴任されています.さらに,ICNP2010, P2P 2011, ICDCS2016 など多数の国際会議の大会委員長やプログラム委員長を務められ,当該学術分野の発展に大きく貢献されました.
以上のように,同君が,情報処理分野ならびに本会の活動の発展に尽くされた功績はまことに顕著であります.