2016年度受賞者詳細

2016年度コンピュータサイエンス領域奨励賞受賞者詳細

コンピュータサイエンス領域奨励賞は,コンピュータサイエンス領域に所属する研究会および研究会主催シンポジウムにおける研究発表のうちから特に優秀な研究発表を行った若手会員に贈呈されます.本賞の選考は,CS領域奨励賞表彰規程,CS領域奨励賞受賞者選定手続およびCS領域奨励賞受賞者推薦内規に基づき,領域委員会が選定委員会となって行います.本年度は10研究会の主査から推薦された計17編の優れた論文に対し,慎重な審議を行い,決定しました.本年度の受賞者は下記17君で,各研究発表会およびシンポジウムの席上で表彰状,賞金が授与されます.

●トピックモデルに基づく大規模ネットワークの重複コミュニティ発見
 [WebDB Forum 2015(2015/11/25)](データベースシステム研究会)

野沢 健人  君 (学生会員)

発表時所属:筑波大学 情報学群 知識情報・図書館学類 4年
受賞時所属:筑波大学大学院 図書館情報メディア研究科 博士前期課程1年
[推薦理由]
本論文では,大規模ネットワークにおける重複コミュニティ発見の課題に取り組んでいる.LDAを用いた重複コミュニティ発見手法において,確率的変分ベイズ法を適用することで大規模データに対するスケーラビリティを高めている.6,000万ノード,18憶エッジの大規模ネットワークを用いた実験により高速にコミュニティを発見可能であることを示した.大規模ネットワークにおける重複コミュニティ発見手法は応用範囲も広く,本研究による貢献は大きい.よって,本論文をCS領域奨励賞に推薦する.
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●合流による利益を考慮した単一目的地への集合経路最適化
 [DEIM Forum 2016(2016/2/29](データベースシステム研究会)

瀧瀬 和樹  君 (学生会員)

発表時所属:京都大学 工学部 情報学科 第4学年
受賞時所属:京都大学大学院 情報学研究科 修士課程1回生
[推薦理由]
本論文では経路探索問題に新たな問題設定を行い,厳密解だけでなく近似アルゴリズムの提案を行っている.本論文の独創的な点は,複数の移動者が合流によって移動コストを低減させることに着目した点にある.提案手法を実データに適用し,高速に解が求められることが示されている.例題として複数人でタクシーをシェアするシナリオが示されているが,ほかにも荷物の運搬問題など,様々な応用に対して有用な示唆を与えるものである.このように,独創的かつ有用である方法を示したものであり,今後の発展が大いに期待される.よって,CS領域奨励賞にふさわしい論文として推薦する.
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●不確かさを包容した開発プロセスとその支援環境 iArch-U
 [2015-SE-189(2015/7/23)](ソフトウェア工学研究会)

深町 拓也  君 (学生会員)

発表時所属:九州大学大学院 システム情報科学府 情報知能工学専攻 修士1年
受賞時所属:九州大学大学院 システム情報科学府 情報知能工学専攻 修士2年
[推薦理由]
絶えず変動し続けるソフトウェアへの要求に対して,その分析,設計,実装,テストにおいて不確かさの発生は避けられず,それを取り入れた開発方法論は必須である.このような状況において,不確かさを記述する2つの技法を組み合わせた開発プロセスを提案している.論文では,ソフトウェア開発の設計,実装,テストにおいて不確かさが発生した場合の3つのシナリオを取り上げ,従来の開発プロセスにおいて場当たり的に対処していた状況が,2つの技法で系統的に解決できることを示している.今後のソフトウェア開発プロセスに与える影響が大きな研究であり,非常に興味深い.以上より,CS領域研究賞にふさわしい論文である.
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動的スライスを用いたバグ修正前後の実行系列の差分検出手法の提案
  [2016-SE-191(2016/3/14)](ソフトウェア工学研究会)

松村 俊徳 君 (正会員)

発表時所属:大阪大学大学院 情報科学研究科 コンピュータサイエンス専攻 ソフトウェア工学講座 修士2年
受賞時所属:NTTデータ  公共社会基盤事業推進部
[推薦理由]
動的スライスを用いて,プログラム動作の差分を検出する手法を提案している.従来の手法のようにテストの結果だけに基づきバグ修正の影響を判定するのではなく,実際のプログラムの動作の差分から影響を判定する点が特徴である.ソフトウェアの大規模化に伴い,静的情報だけでなく動的情報を用いたソフトウェア解析は,今後ますます重要になることが予想され,バグ修正支援の観点から将来の貢献に期待できる.関連研究の調査を通して,既存の手法との差異も明確に示されている点もよい.また,小規模ではあるものの実際に実験を行い,手法の有用性を示している.以上より,CS領域研究賞にふさわしい論文である.
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●ストリーム計算ハードウェアコンパイラSPGenを用いたFPGA津波シミュレータの開発
 [2016-ARC-218(2016/1/20)](システム・アーキテクチャ研究会)

長洲 航平 君 (学生会員)

発表時所属:東北大学 工学部 機械知能・航空工学科 4年次
受賞時所属:東北大学大学院 情報科学研究科 情報基礎科学専攻 博士課程前期2年 1学年
[推薦理由]
時に甚大な被害を及ぼす自然災害である津波に対して,地震発生後にその規模や到達時刻等を正確に予測する高性能シミュレーションが求められている.本発表は,高速かつ低電力な津波シミュレーション専用のストリーム計算ハードウェアを設計し FPGA により実装を行った成果に関するもので,独自に開発したハードウェアコンパイラを使用した大規模実装の他,太平洋の水深データを用いた津波シミュレーションに対する計算性能・消費電力の実測および評価と GPU との比較などが,学術的・技術的な価値に加え有用性や完成度の点で優れている.よって,本発表を受賞候補に推薦するものである.
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●次世代不揮発性メモリとDRAMを搭載したシステムにおける高性能なメモリスワップ機構の構成
  [2015-OS-134(2015/8/4)] (システムソフトウェアとオペレーティング・システム研究会)

川田 裕貴 君 (正会員)

発表時所属:筑波大学大学院 システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻 博士前期課程 2学年
受賞時所属:LINE(株)開発1センター LINE開発1室
[推薦理由]
本研究発表は,メインメモリに次世代不揮発性メモリ(NVM)を用いるシステムを想定して,現在のDRAMを高速なスワップ領域として利用する手法について述べたものである.提案手法ではスワップ領域であるDRAMの電源を動的に管理することにより,消費電力の削減と高速アクセスの両立を図っている.NVMとDRAMの新しい組み合わせ方法について詳細な設計を行っており,高い将来性が感じられる.以上により,この研究はコンピュータサイエンス領域奨励賞に値する特に優れた発表であると判断しここに推薦する.
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●IaaS環境におけるネットワーク帯域を考慮したMapタスクスケジューラ
  [2015-OS-135(2015/11/24)] (システムソフトウェアとオペレーティング・システム研究会)

尾板 弘崇 君 (正会員)

発表時所属:東京農工大学大学院 工学府 情報工学専攻 博士前期 2年
受賞時所属:NTTデータフロンティア 経営企画本部
[推薦理由]
本研究発表は,IaaS環境におけるMapReduce処理において,利用可能なネットワーク帯域を考慮に入れた Map タスクスケジューラを提案している.IaaS環境ではVM(仮想マシン)毎に利用可能なネットワーク帯域が異なることが予想されるが,MapReduceにおけるShuffle処理が多いタスクがネットワーク帯域の細いVMに割り当てられると,全体的な処理性能の低下を引き起こす.本研究では,Mapタスクの分配においてMapOutputの良をネットワーク帯域の比率に合わせて割当て,Shuffle-Heavyなワークロードで最大25%の性能向上を実現している.以上により,この研究はコンピュータサイエンス領域奨励賞に値する特に優れた発表であると判断しここに推薦する.
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●デバイス特性の経年劣化に起因する不良確率変化の効率的な解析手法
 [DAシンポジウム2015(2015/8/28)] (システムとLSIの設計技術研究会) 

粟野 皓光 君 (正会員)

発表時所属:京都大学大学院 情報学研究科 D3
受賞時所属:日立製作所 研究開発グループ エレクトロニクスイノベーションセンタ
[推薦理由]
本論文は,半導体の特性劣化に起因する不良確率の時間変化を効率的に解析する手法を提案している.従来手法では,劣化によって経時変化する不良確率を解析するためには,複数回の解析が必要であったのに対し,提案手法では,Augmented reliability問題とSubset simulationを組み合わせた効率の良い不良確率計算の枠組みを構成し,1回の解析のみで推定する.実験により,従来手法と同等の精度を保持しつつ,解析時間を1/10程度まで高速化できることを示した.本論文は,半導体の特性劣化に起因する不良確率の時間変化を高速に解析する手法を提案しており,非常に有意義なものである.また,論文構成,及び,発表内容も非常に優れていた.以上より,本論文をCS領域奨励賞受賞論文として強く推薦するものである.
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●Fast Estimation of NBTI-Induced Delay Degradation Based on Signal Probability
 [DAシンポジウム2015(2015/8/28)] (システムとLSIの設計技術研究会)

辺   松 君 (学生会員)

発表時所属:京都大学大学院 情報学研究科 修士1年
受賞時所属:京都大学 情報学研究科 通信システム専攻 佐藤高史研究室
[推薦理由]
本論文は,NBTIによる遅延劣化に対し,静的遅延解析とシミュレーションに基づくLUTを用いた高速評価手法を提案する.ここでは,異なる劣化レベル,異なる負荷容量,及び,異なる入力端子数におけるゲートをそれぞれモデル化し,これらを利用してパス遅延を効率良く評価する.提案手法の有効性を確認するため,5段のパイプライン構造を持つプロセッサを対象に,シミュレーション結果と比較して,13%程度の誤差におさえつつ5760倍高速化を実現した.本論文は,経時劣化を評価する高速手法を提案するものであり,非常に有意義なものである.また,論文構成,及び,発表内容も非常に優れていた.以上より,本論文をCS領域奨励賞受賞論文として強く推薦するものである.
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●アクセラレータ向け並列プログラミング言語Xcalable ACCにおけるTCA/InfiniBandハイブリッド通信
 [2015-HPC-150(2015/8/6)] (ハイパフォーマンスコンピューティング研究会)

小田嶋哲哉 君 (正会員)

発表時所属:筑波大学大学院 博士課程 システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻 3年
受賞時所属:国立研究開発法人理化学研究所 計算科学研究機構
[推薦理由]
本研究では,GPUを搭載したPCクラスタにおいて,GPUを直接結合するPCI Express に基づく低レイテンシ通信PEACH2システムと高バンド幅通信InfiniBand によるハイブリッド通信を有効利用するために,アクセラレータ向けの並列言語XcalableACC のフレームワークにハイブリッド通信を組み込む環境を構築した.ベンチマークプログラム,および集団通信Broadcast,Allgatherを用いた評価では, InfiniBand のみの通信と比較し,それぞれ最大40%,21%,46%の速度向上を確認し,ハイブリッド通信の優位性を示した. PCクラスタにおける高性能計算の可能性,および今後の有望なシステムを提案したものであり,コンピュータサイエンス(CS)領域奨励賞に推薦するものである.
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●Towards a Distributed Large-Scale Dynamic Graph Data Store
  [2016-HPC-153(2016/3/1)] (ハイパフォーマンスコンピューティング研究会)

岩渕 圭太 君 (学生会員)

発表時所属:東京工業大学大学院 情報理工学研究科 数理・計算科学専攻 博士課程2年
受賞時所属:東京工業大学大学院 情報理工学研究科 数理・計算科学専攻 博士課程3年
[推薦理由]
本研究は,データ局所性を持つコンパクトなハッシュテーブルを用いた大規模動的グラフ向けのデータ格納方式DegAwareRHHを提案し,分散メモリ型システム上でマルチプロセス実装を行った.ローレンスリバモア国立研究所のクラスタCatalyst上で10億個の枝挿入および54百万個の枝削除の処理を行った結果,従来の処理よりも約206倍高速な処理速度が得られた.また,128ノードを用いて1秒当たり20億個の枝挿入処理を行うことを可能にした.今後,グラフ処理はビッグデータを扱う分野で重要なことから,本手法は極めて有用な方法と認め,コンピュータサイエンス(CS)領域奨励賞に推薦するものである.
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●GPGPUのための並行分離論理のCoqによる健全性証明
  [PRO-2015-1(2015/6/4)] (プログラミング研究会)

朝倉  泉 君 (学生会員)

発表時所属:東京工業大学大学院 情報理工学研究科 数理・計算科学専攻 修士課程2年
受賞時所属:東京工業大学大学院 情報理工学院 数理・計算科学系 数理・計算科学コース 博士課程1年
[推薦理由]
BlomらはGPGPUカーネルの自動検証を目的として並行分離論理(CSL)を拡張したが,その推論規則には,仕様をモジュラーに記述するのに有用な推論規則の一つとして知られるframe規則がない.本発表では,GPGPU向けのCSL(GPUCSL)を再設計し,その健全性を定理証明支援器Coqを用いて証明している.GPGPU向けプログラミング言語でのプログラミングにおいてバリア同期の適切な挿入はプログラマにとって大きく負担となっているものの一つであるため,その負担の軽減に寄与するプログラム論理の構築は重要な貢献の一つであると考えられる.また,GPUCSLの健全性の証明にCoqを用いている点は定理証明支援器の利用例としてたいへん興味深い.以上のことから,本発表はCS領域奨励賞を授与するにふさわしいと考える.
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●タスク並列プログラムの効果的なカットオフ閾値の決定
  [PRO-2015-2(2015/8/6)] (プログラミング研究会)

岩崎慎太郎 君 (学生会員)

発表時所属:東京大学大学院 情報理工学系研究科 修士1年
受賞時所属:東京大学 情報理工学系研究科 修士2年
[推薦理由]
この発表は,タスク並列処理系を用いた分割統治型アルゴリズムのプログラムにカットオフ基準を設け,ある深さ以降の実行を逐次化することで高速化するという手法を提案している.逐次化のアイデア自体は,単純で古くから知られているものである.しかしこの研究では綿密な考察や予備評価に基づく適切なカットオフ値の設定,多段インライン展開やループ化などの単純な逐次化に留まらないコード変換など多くの最適化を実施しており,その結果大きな性能改善を得ることに成功している.これは,単純なアイデアをできる限り深く追究した結果として非常に興味深く,またタスク並列処理系の実用性を高める重要な貢献である.
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●極大誘導木遷移問題
 [2015-AL-153(2015/6/13)] (アルゴリズム研究会)

和佐 州洋 君 (正会員)

発表時所属:北海道大学 大学院 情報科学研究科 コンピュータサイエンス専攻 博士後期課程3年
受賞時所属:国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系
[推薦理由]
本研究では,グラフ上の極大誘導木の遷移問題について,その計算複雑さを考察している.遷移問題は,制約空間内で2つの実行可能解が与えられ,近傍の実行可能解への遷移を繰り返して,一方から他方に到達可能かを問う問題である.実行可能解の存在を問う決定問題と,その遷移問題とには,計算複雑さにギャップがあり,解空間の構造についての深い理解へとつながるアプローチとして注目されている.本研究では,極大誘導木をその構成頂点へのトークンの配置と対応させ,トークンを隣接頂点に移動させる遷移ルールのもとでも,任意の頂点に移動させる遷移ルールのもとでも,PSPACE 完全性を示しており,CS領域奨励賞にふさわしいものとして推薦する.
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●びまん性肺疾患識別における Deep Convolutional Neural Network 特徴の解析
 [2015-MPS-103(2015/6/24)](数理モデル化と問題解決研究会)

鈴木 聡志 君 (学生会員)

発表時所属:電気通信大学大学院 情報理工学研究科 博士前期課程1学年
受賞時所属:電気通信大学大学院 情報理工学研究科 博士前期課程2学年
[推薦理由]
本発表は,ディープラーニングの一種であるDeep Convolutional Neural Network(DCNN)を医用画像の識別に応用した研究発表である.DCNNの学習には大量のデータが必要であると考えられているが医用画像の場合,十分なデータが得られない場合が多くある.そこで著者らは単純に DCNN を適用するのではなく大量の自然画像で事前学習したDCNNに少数の医用画像を追加的に学習させることで,識別性能の向上が見込めることを示した点が評価された.
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●高精度な視線計測を実現する瞼の形状を考慮したハフ円検出による虹彩位置計測
 [組込みシステムシンポジウム(ESS2015)(2015/10/22)] (組込みシステム研究会)

平野 公太 君 (正会員)

発表時所属:九州大学大学院 システム情報科学府 情報情報知能工学専攻 修士2年
受賞時所属:トヨタ自動車(株)
[推薦理由]
本論文は,カメラを用いた視線計測のための画像内の虹彩位置推定の精度を向上させる手法を提案した.ハフ円検出によるオーソドックスな推定手法を用いた場合,原理上瞼により虹彩が隠れることが推定を困難としていた.本研究では,推定の原理はそのままに,眼球運動の性質や瞼の位置と形状,直前のフレームでの推定結果などを先験情報として用い,ハフ円検出時の,虹彩周囲の円弧位置により重み付けをする,重みの構成方法を検討,提案している.また,重みの構成に先立っては,虹彩位置により虹彩外周の隠れる部分を,実験により調べている.これらの手法,実験結果が,今後の推定の高精度化に寄与することが期待される.以上より本論文をCS領域奨励賞に推薦する.
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●リアルタイム通信 Responsive Link の消費電力削減手法
 [組込みシステムシンポジウム(ESS2015)(2015/10/23)] (組込みシステム研究会)

萩原 秀磨 君 (正会員)

発表時所属:慶應義塾大学大学院 理工学研究科 修士2年
受賞時所属:ソフトバンク(株)
[推薦理由]
本論文はリアルタイム通信規格である Responsive Link の消費電力削減手法を提案した.Responsive Link の実装されたターゲットを用いた予備実験により,スイッチング電力が一定の割合を占めることと,ノード毎の動作周波数が他の要素と比べスイッチング電力の削減に寄与することを確認した上で,帯域を保証できる範囲でノード毎の動作周波数とリンク毎の通信速度を低く設定するアルゴリズムを提案している.また,異なるトポロジーを持つ複数のネットワークシミュレーションにより,提案アルゴリズムがメッセージの転送レートに応じたスイッチング電力の削減を実現出来ることを確認した.これらの結果は組込み分散リアルタイムシステムで必要とされるリアルタイム性と低消費電力を両立する通信技術の発展に重要であることから,本論文をCS領域奨励賞に推薦する.
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