2021年IPSJ/IEEE Computer Society Young Computer Researcher Award

2021年 IPSJ/IEEE Computer Society Young Computer Researcher Awardの表彰

 
sakamoto

坂本 大介 君(正会員)

Outstanding Research on Designing User Interface and Interaction

2008年公立はこだて未来大学大学院 システム情報科学研究科 博士(後期)課程修了.博士(システム情報科学).国際電気通信基礎技術研究所(ATR)でインターン,東京大学で日本学術振興会特別研究員PD,JST ERATO 五十嵐デザインインタフェースプロジェクト研究員,東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻助教,特任講師を経て現在,北海道大学大学院情報科学研究院 准教授.人とコンピュータやロボットなどとのインタラクション設計に関する研究に従事.情報処理学会 論文賞(2009年),情報処理学会学会活動貢献賞(2015年)などを授賞.

[推薦理由]

坂本氏は,最先端の情報技術を万人がアクセスし利用できるように,ユーザインタフェースとインタラクションの設計に関する研究に従事してきた.特に,情報技術をエンドユーザが享受できるような新奇のインタラクションを実現する革新的な技術を創造することにより,ヒューマンコンピュータインタラクション (HCI) とヒューマンロボットインタラクション (HRI) の分野を先導してきた.坂本氏の研究業績はこれまでに,42の学術雑誌論文,41の国際会議論文(フルペーパー),22の国際会議ポスター・デモ発表,110を超える日本語学術雑誌論文として発表されている.日本語論文には16の情報処理学会論文誌論文と19の研究会報告が含まれる.以上の研究業績により38の賞を受賞している.これらの賞には,ベストペーパー賞(2007年情報処理学会インタラクション,2007年ACM/IEEE HRI),2009年情報処理学会論文賞が含まれる.
坂本氏は2004年より情報処理学会会員であり,2020年よりIEEE/IEEE-CSのメンバーである.情報処理学会の活動としては,シンポジウムのプログラム委員と運営委員を24回務め,そのうち2回はプログラム委員長を務めた.これらの活動が学会に認められて,新世代企画委員会委員に推薦され,2015年には学会貢献賞を受賞した.IEEEの活動としては,2013・2014年にIEEE GCCEの特別セッションチェアを務め,2013・2015-2017年にはACM/IEEE HRIの募金・展示コチェアを務めた.さらに,2022年ACM/IEEE HRIのジェネラルコチェアに任命されている.

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安積 卓也 (正会員)

Outstanding Research on Embedded Real-time Platform

2009年名古屋大学大学院情報科学研究科博士課程修了.博士(情報科学).2008年より日本学術振興会特別研究員(DC2, PD).2010年より立命館大学情報理工学部・助教.カリフォルニア大学アーバイン校・客員研究員(兼任).2014年より大阪大学大学院基礎工学研究科・助教.2018年より埼玉大学大学院理工学研究科・准教授,現在に至る.2017年よりJSTさきがけ研究者(兼任).組込みリアルタイムシステムの研究に従事.ESS 優秀論文賞(2019), IEEE/ACM DS-RT Best Paper Runner-up Award(2019), IEEE ICESS Outstanding Paper Award(2020),情報処理学会 山下記念研究賞(2021)などを受賞.IEEE 2804-2019の世界標準化に貢献.

[推薦理由]

安積氏は,組み込み実時間プラットフォームに関する研究に従事してきた.特に,組み込み実時間システムの分野を先導している.安積氏の研究業績は,23の学術雑誌論文と61の国際会議論文として発表されている.このうち,8の学術雑誌論文と45の国際会議論文は情報処理学会とIEEE-CSから出版されており,特に2018年IEEE ICCPS論文は125回引用されている.安積氏は情報処理学会とIEEE-CSより10の賞を受賞している.40を超える招待講演と二つのキーノートスピーチを行っている.研究代表者として176.6百万円の研究予算を獲得している.2004年より情報処理学会会員であり,2006年よりIEEEとIEEE-CSのメンバーである.情報処理学会の活動としては,組み込みシステム研究会とシステムソフトウェアとオペレーティング・システム研究会の運営委員を務め,2015-2017年には組み込みシステム研究会のワークショップであるSWESTのプログラム委員長を務め,組み込みシステム研究会のシンポジウムであるESSのプログラム委員を務めた.IEEEの活動としては,WiPのチェア,2013年CPSNAの広報コチェア,2014・2015年CPSNAの出版チェア,2011年EUC,2014・2015・2016年ISORC, 2015・2020年RTCSA,COOL chips XIXのプログラム委員を務めた.さらに安積氏はIEEE標準であるIEEE 2804-2019(公開日2020-01-24)の制定にも貢献した.

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清 雄一 (正会員)

Outstanding Research on Privacy-Preserving Web/IoT Data Analysis

2009年東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻博士課程修了.同年(株)三菱総合研究所入社.2013より年電気通信大学.現在,同大学大学院情報理工学研究科准教授.JSTさきがけ研究員(兼任).三菱総合研究所客員研究員(兼任).博士(情報理工学).エージェント,プライバシ保護技術等の研究に従事.情報処理学会DICOMO2007最優秀論文賞,2016年度土木学会水工学論文賞,情報処理学会論文賞受賞などを受賞.

[推薦理由]

多くの人々や組織が,WebとIoTのデータを全面的に活用する新しいサービスを構築し展開すべきかどうかを検討している.将来的に,そのようなデータを配布して組み合わせるシステムやインフラが稼働することが期待される.しかし,個人のプライバシがどこから漏洩するかを予測することは難しいだろう.したがって,プライバシを保護する堅牢な共通フレームワークの構築は喫緊の課題である.本研究は,安全・安心かつ正確な解析が可能なように,プライバシ情報を含むWeb・IoTデータを保護しつつ共有することを目標としている.清氏は,プライバシを保護しつつ,エラーと欠損を含み数万の属性を有するデータの収集,機械学習,統計解析を行う世界初のアルゴリズムを開発した.
清氏は,被験者が実際に居住する建物においてライバシ情報を含むIoTデータを収集し,現実世界のデータに対して提案したアルゴリズムが有効であることを実証している.この研究は,現実世界のアプリケーションを念頭に遂行されており,未知のデータとエラーの組み合わせに対処するとともに,数学的に厳密に安全であることが証明されている.清氏は,この分野の理論と実践の両面で,世界のトップの研究者となりつつある.