「P2Pデータ共有における暗号化データのアクセス制御」(Vol.44,No.10)
平成16年度論文賞受賞者の紹介
「P2Pデータ共有における暗号化データのアクセス制御」(Vol.44,No.10)
[論文概要]
Peerのネットワークからの離脱や再参加が頻繁に行われるP2P環境でのデータ共有において、データに対する一貫したセキュリティを実現しながら利便性の高いサービスを提供するために、非接続状態にあるPeerの復号鍵を必要とする場面が頻繁に起こりうる。本論文では、「変換サーバ」と呼ぶ中立な第3者機関を利用することで、暗号文の受信者が、特定の期間、復号処理の代行を代行者に対して依頼できる枠組みを実現する。他のPeerが復号鍵を行使する権限をアクセス制御ポリシーにより制限することにより、極めて柔軟なセキュリティサービスの構築を可能とする。
[推薦理由]
本論文は、Peerの離脱や参加が頻繁に行われるようなP2Pネットワーク環境において、共有データの一貫性とセキュリティを実現しながら利便性の高いサービ
スを提供するため、「変換サーバ」と呼ばれる中立な第3者機関を利用する方式を提案している。提案方式はP2Pネットワーク環境での信頼性の高いサービスの提供を行う上で優れた方式を提案しており、平成16年度論文賞にふさわしい論文である。なお、本論文の元論文は平成14年度のDPSワークショップで発表され、同ワークショップにおいても優れた論文として優秀論文賞を受賞しており、DPS研究会から推薦論文として推薦されたものである。
渡邊 裕治君 平成13年東京大学大学院工学系研究科電子情報工学専攻博士課程修了.同年日本アイ・ビー・エム株式会社入社.東京基礎研究所副主任研究員.ネットワークセキュリティ,プライバシー保護方式に関する研究開発に従事.博士(工学).
沼尾 雅之君 昭和33年生.昭和58年東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻修士課程修了.同年日本アイ・ビー・エム株式会社入社.現在,同社東京基礎研究所にてトレーサビリティ技術グループ担当,専任研究員.ネットワークセキュリティ,プライバシー保護方式に関する研究開発に従事.博士(情報理工学).