都倉 信樹 君

2001年度(平成13年度)功績賞受賞者の紹介

都倉 信樹 君(とくら のぶき )

都倉信樹君は,永年にわたって情報処理の基礎理論分野の研究に携わり,数々の優れた業績をあげられるとともに,その成果を教育に生かして情報処理分野の人材育成に多大な貢献をしてこられました.

計算機科学の進展とともに,符号理論,論理設計(フェィルセーフ回路の理論),オートマトンと形式言語理論,プログラム理論,VLSIアルゴリズム,分散アルゴリズム,並列アルゴリズム,計算幾何学,オブジェクト指向プログラムの理論など理論系列で多くの論文を発表するとともに,常に実際的な面の研究を続けてこられました.早期にCコンパイラを実現し,企業等に技術移転を行ったり,プログラム開発支援システムを構想するなど,時代に先がけた実用的な研究を行うとともに,メールをベースとした教育支援システムを実現するなど,実用性の高いソフトウェアを多数開発制作してこられました.

特筆すべきなのは,こうした研究成果を教育面にフィードバックして,常に新しい教育方法を試みてこられたことです.その成果は勤務していた大阪大学の教育に生かされるだけでなく,放送大学を通じて一般にも広く知られるものとなりました.

1991年に発足した情報処理学会カリキュラム調査検討委員会には設立と同時に参加し,計算機科学のカリキュラムの検討に尽力されました.その成果は教育カリキュラムJ90,J97としてまとめられ,日本の大学における情報関連学科の教育に大きな影響を与えました.情報処理教育委員会の常置化に際しては,準備と初年度の委員長職を全うされました.また,アクレディテーション委員会の幹事として,委員会の運営に当たっておられます.

情報処理学会では編集,論文関係に関与してこられましたが,電子情報通信学会が10年近い検討ののち,ソサイエティ制への移行準備をするに際しては,Dグループの副委員長,委員長としてその移行のための作業に尽力し,初代ソサイエティ会長を務めることになりました.また,日本ソフトウェア科学会でも評議員,大会関係委員などを務めておられます.

以上のように,我が国の情報処理分野の発展に尽くされた功績は誠に顕著であります.