棟上 昭男 君

2003年度(平成15年度)功績賞受賞者の紹介

棟上 昭男 君 (とうじょう あきお)

棟上昭男君は,2次元パターンの認識処理手法,特にその並列処理手法の研究に取り組まれ,そのための並列処理アーキテクチャの提案を行うとともに,実験システムの開発により有効性を確かめられました.さらに,今日バイオメトリクス技術として脚光を浴びることになった分野や,当時はまだ未熟であった実験情報処理向き対話型オペレーティングシステムの研究開発などでも大きな成果をあげられました.

これらの活動と併行して,1970年代からの20数年間に実施された通産省による情報関連の大型研究開発プロジェクトのほとんどにプロジェクトリーダ等として参画され,我が国のこの分野の技術力向上のために尽力されました.さらに情報処理振興事業協会(現情報処理推進機構)時代には,「独創的情報技術育成事業」や,現在の「未踏ソフトウェア創造事業」などの立上げに尽力され,我が国の情報技術分野の技術開発促進に大きく貢献されました.

また情報技術の標準化についても,ISO/IECの情報技術国際標準の開発に関連して長年にわたり日本の代表として貢献され,さらに国内標準規格JISについても,JISC情報部会長としてその開発制定を主導され,情報産業界の発展に寄与してこられました.

本会の運営についても,学会誌編集委員会委員,欧文誌編集委員会幹事等を務められるとともに,1978年から18年間にわたり論文査読委員を務められるなど,地道な貢献を続けられ,さらに1984年から1986年には理事として学会運営にも参画されました.一方学会情報規格調査会に関しても,副会長および会長として計15年間にわたりその運営に力を注いでこられました.

さらに最近は学会研究活動との連携も視野に入れた学会試行標準制度の新設を推進され,その枠組みのもとで具体的な成果も出始めているところであります.