岡本 栄司 君
2012年度功績賞受賞者の紹介
岡本 栄司 君 (おかもと えいじ)
本会正会員岡本栄司君(フェロー)は,永年にわたり,暗号と情報セキュリティ分野の研究に携わってこられました.
1978年日本電気株式会社入社,1991年北陸先端科学技術大学院大学教授などを経て,2002年筑波大学教授として今日に至るまで,我が国における当該分野のパイオニアの一人として,暗号鍵管理をはじめとした先駆的研究成果で安全・安心なIT利用環境の礎を築かれました.著書「暗号理論入門」は,教科書として広く利用されています.また,国際会議の創設と運営,国際誌(International Journal of Information Security)創刊と編集委員長業務,今や登録会員数500名規模の研究会として発展著しい本会コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会設立と同主査,本会理事(2006年度〜2007年度)を通じ,国内外の人材育成と普及啓蒙にも尽力されました.たとえば,創設に主体的な役割を果たし現在も諮問委員として指導力を発揮されている国際会議ISC(Information Security Conference)は,2012年9月に第15回が開催され,論文集はSpringer社LNCSとして出版されています.過去の開催国と地域は,日本,マレーシア,オーストラリア,スペイン,ブラジル,イギリス,アメリカ,シンガポール,ギリシャ,チリ,台湾,イタリア,中国,ドイツと多岐にわたり,継続して世界に支持されています.IFIPのTC 11日本代表も務めるなど,国際的貢献には多大なるものがあります.また,同君は公職活動等にも積極的で,たとえば委員として尽力されてきたCRYPTREC(暗号技術検討会)は電子政府用暗号標準化相当の活動として世界的に手本とされています.さらに,暗号の応用を広げる基盤の実用化を進める活動であるペアリングフォーラムでは,創設以来の幹事として産学双方のセクタを牽引されています.
以上のように,同君が,国内外の情報処理分野ならびに本会の活動の発展に尽くした功績は,まことに顕著であります.