安西 祐一郎 君
2007年度(平成19年度)功績賞受賞者の紹介
安西 祐一郎 君 (あんざい ゆういちろう)
本会正会員安西祐一郎君は,永年にわたり情報科学,認知科学の分野を中心に数多くの優れた研究業績をあげるとともに,情報科学分野において多くの優秀な人材の育成に努められました.特に,我が国における人工知能研究や認知科学分野の黎明期から,人間の認知,思考,学習,記憶などの情報処理過程の情報科学的方法論による解明,および人間と環境,コンピュータ,ロボットなどとのインタラクティブシステムの研究分野におけるパイオニアとして,さまざまな研究開発を推進され,情報科学と認知科学の新しい融合を先導されてきました.
また,同君は,さきがけ21「情報と知」領域の研究統括,科学研究費特定領域「ITの深化の基盤を拓く情報学研究」領域総括,文部科学省リーディングプロジェクト「細胞・生体機能シミュレーションプロジェクト」統括マネージャ等として,情報科学と他分野の研究者たちが参加したプロジェクトをとりまとめられ,新しい学際的研究分野を開拓されました.
教育の分野では,慶應義塾大学および北海道大学において,30年以上にわたり情報処理分野の優秀な研究者・技術者を育成されただけでなく,現在は,慶應義塾の塾長,日本私立大学連盟会長,日本私立大学団体連合会会長,全私学連合代表等として,我が国の大学改革,教育研究の向上や国際化に大きく貢献されました.これらの功績により,フランス教育功労賞コマンドゥールを受賞されています.
本会においては,会長(平成17年~18年),副会長(平成14年~15年),理事(平成5年~6年),調査研究運営委員長,領域委員長,研究会主査など数多くの役職を歴任されたとともに,会長として「学術と実務の2つの焦点」や「新しい多様な価値の創造を先導する場」としての魅力ある学会へと飛躍させ,学会の発展に多大な貢献をされました.
また,日本認知科学会会長,日本神経科学会理事,計測自動制御学会理事,日本学術会議会員などを歴任され,情報科学,認知科学,学際的研究分野の発展に大きく貢献されました.
以上のように同君が,我が国の情報処理に関する研究・教育,ならびに本会の発展に尽くした功績は,まことに顕著であります.