辻井 潤一 君

2013年度功績賞受賞者の紹介

辻井 潤一 君 (つじい じゅんいち)

本会正会員辻井潤一君(フェロー)は. 永年にわたり機械翻訳. 計算言語学. 自然言語処理の研究に携わり. 当該分野を国際的に牽引してこられました.

 自然言語が持つ構造と意味. またそれらと知識の関係を情報科学の立場から究明する研究を先導し. 計算言語学・自然言語処理分野を代表する研究者の1 人として数多くの先駆的な業績を挙げるとともに. 多数の優秀な人材の育成に貢献されています. 京都大学における初期の研究では. 科学技術庁が推進する機械翻訳プロジェクトを主導され. 現在の機械翻訳技術に多大な影響を与えました. 1988 年には英国マンチェスター大学に教授として着任され. ヨーロッパ連合が推進する機械翻訳プロジェクトにおいて中心的な役割を果たされました. 1995 年に東京大学に教授として着任されてからは. 自然言語の複雑な構造. 意味. 知識を処理する理論や基礎技術の研究を進めるとともに. これらの実際の応用として機械翻訳やテキストマイニングなどのアプリケーションの開拓にも精力的に取り組まれました. 特に. 単一化文法に基づく言語解析システムEnju の開発. 豊かな意味アノテーションを持つGENIA コーパスの構築. 機械翻訳やテキストマイニングシステムの実運用システムMEDIE, Info-Pubmed, FACTA 等の開発において世界的な注目を浴び. 計算言語学・自然言語処理分野の発展に多大な貢献をされました.

 これらの卓越した研究業績は. 本会創立25 周年記念論文賞. 日本IBM 科学賞. 大和エイドリアン賞. IBM Faculty Award. 本会フェロー. 紫綬褒章等の賞・章を受けており. 国内外で高く評価されています. また. 計算言語学会(ACL)会長. 国際機械翻訳協会(IAMT)会長. 国際計算言語学委員会(ICCL)委員長. 言語処理学会会長. 本会理事(2001 年度~ 2002 年度). 本会自然言語処理研究会主査等の要職を歴任され. 計算言語学・自然言語処理分野における国際的なリーダーとして当該分野を牽引されました.

 以上のように. 同君が. 国内外の情報処理分野の発展と教育・研究. ならびに本会の活動の発展に尽くされた功績は. まことに顕著であります.