2023年度業績賞

  • ◆「スポーツ情報処理のためのセンシングデバイス・システムの開発実践」

    [推薦理由]

    貢献者らは、建設業界で培ってきた計測技術の横展開を試み、フィールドスポーツ全般の選手の位置、姿勢と心拍情報を収集・解析できるセンシングデバイス・システム「xG-1」を開発した。同時に、サッカー(FIFA)とラグビー(WORLD RUGBY)の認証を取得。特徴としては、選手の走行距離、トップスピード、スプリント回数、加減速回数やインパクト回数をリアルタイムに可視化し、指導者の判断・指示を科学的に支援できる。スポーツを科学する方策を実装・実践し、多くの導入実績よりその有用性が確認されたことから業績賞に相応しいと判断する。

  • 田中 成典田中 成典君(正会員)
    関西大学大学院工学研究科土木工学専攻修了。(株)東洋情報システム(TIS)に入社。人工知能に関する研究開発業務に従事。現在、関西大学総合情報学部教授・社会空間情報科学研究センター長。博士(工学)。学生センター副所長(スポーツ担当)及びUBC客員助教授を歴任。また、(株)関西総合情報研究所を起業し、約20年間ベンチャー企業を経営。現在、Intelligent Style(株)(代表取締役会長)に全て移管。2016年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(科学技術振興部門)と2019年度国土交通省i-Construction大賞 優秀賞を受賞。
     
    今井 龍一今井 龍一君(正会員)
    2000年関西大学大学院工学研究科土木工学専攻修了。博士(工学)東京大学。日本工営(株)、国土交通省国土技術政策総合研究所等を経て現在、法政大学デザイン工学部教授・Intelligent Style(株)(代表取締役社長)。産官学の関係者と連携し、国土空間・都市活動の計測・分析等の理論的・実際的な活動に従事。2021年度東京大学空間情報科学研究センター客員教授。2016・2020年度文部科学大臣表彰 科学技術賞(科学技術振興部門)、2019・2020年度国土交通省i-Construction大賞 優秀賞、2021年度情報処理学会業績賞、2022年内閣府日本オープンイノベーション大賞 総務大臣賞等を受賞。
     
    政木 英一政木 英一
    1996年埼玉大学大学院理工学研究科生物環境科学専攻博士後期課程修了。博士(学術)。現在、アジア航測(株)取締役DX戦略本部長とクロスセンシング(株)代表取締役社長を兼任。また、2024年度関西大学先端科学技術推進機構特別任命教授。土木情報学及び地理空間情報学の研究開発に従事。特に、国際標準化機構(ISO)の地理空間情報分野(GIS)における我が国の標準化活動に貢献。(財)日本規格協会地理情報JIS原案作成・地物カタログ分科会、地物カタログ化法分科会主査を歴任。アジア航測初ベンチャー企業の立ち上げに携わり現職に至る。
     
    山田 貴之山田 貴之
    2000年日本大学理工学部土木工学科卒業。アジア航測(株)に入社後、GIS(地理情報システム)を活用した業務支援システムの開発に従事。2016年から現在まで関西大学社会空間情報科学研究センター研究員。スポーツにおける生体情報リアルタイム計測のプラットフォームビジネスの提案において、2017年経済産業省×IoT推進ラボIoT Lab Selectionファイナリストを受賞。2020年センシングイノベーションの実践とスポーツを科学することをビジョンに掲げてクロスセンシング(株)を創業。現在、クロスセンシング(株)取締役企画部長。
     
    松林  豊松林  豊
    1996年北海道大学大学院地球環境科学研究科生態環境科学専攻修士課程修了。現在、アジア航測(株)ビジネス企画部長とクロスセンシング(株)取締役、アンドヴィオラ(株)取締役を兼任。約15年間、建設分野の地理空間情報に係る多数の研究開発及び実業務に携わった後、アジア航測(株)の潜在的技術をベースとした新規ビジネスの企画開発に従事。そこでは、社内ベンチャー制度の確立と、起案者として日々新しい試みに奔走しながらスタートアップ企業の立ち上げを担当。現職に至る。
     
  • ◆「都市交通を支えるシェアリングオペレーション最適化システムの実用化」

    [推薦理由]

    近年、導入が進んでいるシェアサイクルは、CO2排出削減が見込まれる重要な移動手段である一方、収益性に課題がある。受賞者らは、貸し出し実績データや気象データ、人口統計データ等によりリアルタイムな状況も加味した需要を予測し、再配置作業とバッテリー交換作業の最適な作業ルートを提示するシステムを開発し、様々な都市でその効果を示した。本システムは、シェアリング事業の持続性を確保し、深刻化する交通渋滞緩和やCO2削減を実現する都市交通の一つを支えるシステムとして期待される。

  • 三村 知洋三村 知洋 君(正会員)
    2018年立命館大学大学院情報理工学研究科修士課程修了。同年株式会社NTTドコモ入社。以降、人流データ分析に基づいたモビリティーに関する研究開発に従事。情報処理学会、人工知能学会各会員。
     
    小出 英理小出 英理 君(正会員)
    2022年京都大学大学院農学研究科修士課程修了。同年株式会社NTTドコモ入社。人流データ分析を用いた需給最適化に関する研究開発等に従事。
     
    石黒  慎石黒  慎 君(正会員)
    2014年東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。同年株式会社NTTドコモ入社。2018年10月より東京大学大学院工学系研究科博士後期課程入学。人流データ分析に基づいた位置情報サービスに関する研究開発に従事。
     
    鈴木  喬鈴木  喬 君
    2008年株式会社NTTドコモ入社。以降、3G/LTE装置開発、位置情報技術開発、光ブロードバンドサービス開発、ビッグデータ分析に基づくサービス開発等に従事。
     
    山田  曉山田  曉 君
    1998年東京工業大学工学部卒業、2000年東京工業大学大学院理工学研究科電子物理工学専攻修了。同年株式会社NTTドコモ入社。以降、無線LANシステム開発、3G/LTE装置開発、5G研究、3GPP標準化、IEEE802標準化、ARIB標準化、ビッグデータ分析に基づくサービス開発等に従事。2005年電子情報通信学会学術奨励賞受賞。現在、日本電信電話株式会社。
     
  • ◆「AIを活用した材料開発ソリューションの産業応用展開」

    [推薦理由]

    貢献者らは、材料業界各社の知見にもとづき、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)の産業用ツールとして分子生成AIを開発した。そこからさらに機能拡張し材料開発用の大規模AI基盤モデルを開発している。これらの技術の適用により、材料開発の要である分子構造設計の期間を約100分の1に削減、物性予測精度の大幅向上など、導入実績を積みながら、MI技術のWebアプリおよびオープン・ソース・ソフトウェアとして展開、すでに数万件規模でダウンロードされ普及も進められている。今後も機能拡張を継続し、MI技術の発展と業界へのさらなる普及が期待されているため、本賞にふさわしいと判断する。

  • 武田 征士武田 征士 君(正会員)
    2010年慶應義塾大学大学院博士課程修了。同大学院特任助教、Ecole Central Lyon 客員研究員を経て、2012年日本アイ・ビー・エム株式会社入社。東京基礎研究所にてAccelerated Material Discoveryチームを立ち上げる。国内外のお客様やIBM Research海外チームとともに、マテリアルズ・インフォマティクスに関するプロジェクトを数多く手掛ける。博士(工学)。IEEE Open Software Service Awardなど受賞。情報処理学会 会員。
     
    岸本 章宏岸本 章宏 君
    2005年アルバータ大学コンピューティング・サイエンス科博士課程修了。2020年より日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所にて、マテリアル・ディスカバリーの研究に従事。以前は東大将棋の開発に従事。IJCAI 2005、ICAPS 2009 各最優秀論文賞、2012年文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞。チェッカー解明の研究が、Science誌 2007年 Breakthrough of the year(第10位)に選ばれる。Ph.D. (Computing Science)。AAAIシニアメンバー。
     
    浜田 梨沙浜田 梨沙 君
    2019年日本学術振興会特別研究員として慶應義塾大学大学院博士課程修了、工学博士。在学中、理工学研究科 藤原賞受賞。同年より日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所に入所後、行動特徴量を用いた認知症の早期発見を目指す研究に従事。2021年よりマテリアル・ディスカバリーの研究に従事し新たな分子記述子を開発。IEEE Open Software Service Awardなど受賞。博士(工学)。
     
    Indra PriyadarsiniIndra Priyadarsini 君
    インド・バンガロールPES工科大学にて学士号を取得。その後、アジアブリッジプログラムで来日し、2019年静岡大学大学院修士課程、2022年同博士課程修了。在学中、静岡大学院長表彰を受賞。博士(学術)。2023年より日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所に入所、マテリアル・ディスカバリーの研究に従事。2019年、2020年連続でNOLTA最優秀論文賞受賞。
     
    篠原  肇篠原  肇 君
    2018年船井情報科学振興財団FOS奨学生として、ケンブリッジ大学キャベンディッシュ研究所博士課程修了(Winton Scholar)、Ph.D. (Physics)。外資系コンサルティングファームにて、国内外の機関に対するサイバーセキュリティや監査、反テロ資金供与対策等のコンサルティングを経て、2023年より日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所にてマテリアル・ディスカバリーの研究に従事。