2022年度マイクロソフト情報学研究賞

2022年度マイクロソフト情報学研究賞の表彰

 天方 大地
 

天方 大地 君(正会員)

「多次元ビッグデータに対する高速アルゴリズムに関する研究」

2012年大阪大学工学部電子情報工学科卒業.2014年同大学大学院情報科学研究科博士前期課程修了.2015年同大学院情報科学研究科博士後期課程修了後,同年同大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻助教となり,現在に至る.情報科学博士.2019年よりJSTさきがけ研究者を兼任.データベース,データマイニング,機械学習向けの高速アルゴリズムに関する研究に従事.2019年度上林奨励賞およびIEEE Computer Society Japan Chapter Young Author Award 2020等を受賞.

[推薦理由]
天方大地氏は,多数の属性を持つIoTデータを管理するような多次元データベースから有用な知識をマイニングする処理をインタラクティブに行うための高速アルゴリズムを精力的に開発しており,その成果も顕著で,データベース,人工知能,および推薦システムといった様々な分野の発展に貢献している. 研究の対象は,k最近傍検索,最大内積探索,クラスタリング,およびアウトライア検出といった長年研究されている重要な課題であり,それらをビッグデータ上で実践的に高速に実行するため,現代の計算リソースに適応する新技術を次々と提案している. これらの技術はオープンソースとして公開しており,研究成果の社会還元にも積極的である. また,成果の一部は企業との共同研究によるものであり,今後さらに増えるであろうデータの処理に関する課題を産学連携で解決していくことも期待できる.

 
 

シモセラ エドガー 君(正会員)

「コンテンツ制作のための機械学習を用いた対話型画像処理技術の研究」

2011年BarcelonaTech(UPC)工学科卒業,2015年同大学でPh.D.を取得.この間,豊田工業大学シカゴ校,トロント大学,東京大学にて短期研究員.2015年8月から2017年3月まで早稲田大学理工学術院総合研究所研究院助教,2018年3月まで同研究所研究員講師,2018年4月から2021年3月までさきがけ研究員,2018年9月より,早稲田大学理工学術院専任講師,2021年4月より同大学准教授.コンピュータビジョンとコンピュータグラフィクスと機械学習,特に画像処理に関する研究に従事. ICCV-CVF Best paper賞,科学技術への顕著な貢献2018に選定,Visual Computing2019 最優秀研究発表賞などを受賞.

[推薦理由]
芸術・娯楽コンテンツは社会を豊かにし,社会を健全に維持する上で重要な役割を果たしている。従来、芸術・娯楽におけるコンテンツ制作には多くの人手が費やされていたが,機械学習を用いて創造活動の一部を計算機に担わせる試みが近年注目を集めている。このような中,シモセラ氏は,対話型ニューラルネットワークや最適化手法などを駆使して,グラフィックデザイン,イラスト,撮影,映画,ゲームなど,様々なコンテンツ制作を支援する画像処理技術に関する先駆的な研究を行い,数多くの成果をあげた.