2020年度マイクロソフト情報学研究賞

2020年度マイクロソフト情報学研究賞の表彰

 

松田 隆宏 君(正会員)

「高い安全性と機能を有する公開鍵暗号技術のモジュラーかつ汎用的な設計法に関する研究」

2011年3月 東京大学大学院 情報理工学系研究科 電子情報学専攻博士課程 修了, 博士(情報理工学). 2011年4月 - 2013年3月 日本学術振興会特別研究員(PD)として産業技術総合研究所に所属. 2013年4月 - 2017年9月 産業技術総合研究所 研究員. 2017年10月より産業技術総合研究所 主任研究員. 現在に至る. CSS優秀論文賞(2010, 2011), SCIS論文賞(2009), SCISイノベーション論文賞(2012, 2014), 2011年度情報処理学会山下記念研究賞, 第15回(2016年)ドコモ・モバイル・サイエンス賞(先端技術部門), ACISP 2019 Best Paper Award 等受賞.

[推薦理由]
暗号技術では,「暗号化したデータを復号すれば元に戻る」といった機能的要件に加え,厳密に数学的に証明された安全性も同時に満足する必要がある. 松田氏は, 公開鍵暗号や電子署名などの基礎的な要素技術の組み合わせによって目的とする公開鍵系暗号技術を構成する"モジュラーな設計法"とその安全性解析(安全性の数学的な証明)に関し, 数多くの成果を挙げてきた. 特に, 実利用で標準的に要求される"CCA安全性"をはじめとする高度な安全性を有する公開鍵暗号の構成法, 従来技術よりも高度な機能を有する公開鍵暗号技術の構成法,暗号要素技術の他の要素技術からの構成の原理的な不可能性などについて顕著な国際的成果を挙げ, 高い安全性と機能を有する公開鍵暗号技術の社会への提供や, 暗号理論の体系化などに貢献した. 
 

 

松原 靖子 君(正会員)

「大規模時系列データのリアルタイム解析と将来予測に関する研究」

2006年お茶の水女子大学理学部情報科学科卒業, 2009年同大学院博士前期課程修了, 2012年京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻博士後期課程修了.博士(情報学), 2012年NTTコミュニケーション科学基礎研究所RA, 2013年日本学術振興会特別研究員(PD), 2014年熊本大学大学院自然科学研究科助教.この間,カーネギーメロン大学客員研究員.2016年国立研究開発法人科学技術振興機構さきがけ研究者.2019年5月より大阪大学産業科学研究所准教授.2016年度日本データベース学会上林奨励賞,情報処理学会山下記念研究賞.2018年度IPSJ/ACM Award for Early Career Contributions to Global Research,ACM Recognition of Service Award等受賞.大規模時系列データマイニングに関する研究に従事.

[推薦理由]
実社会においてIoTやWebを巡る環境が急速に変化し、ビッグデータ・AI関連技術に対する新たなニーズが生まれ、特に製造業におけるDXや省エネルギー化の取り組み、Webと連携した災害時の情報提供や予測等、リアルタイム性が求められる大規模データ解析技術が幅広い分野で必要とされている。松原氏はこれまで、時系列ビッグデータ解析に関する基礎研究を行い、特徴自動抽出技術、非線形テンソル解析技術、リアルタイム予測・要因分析技術等、他に類を見ない独創的な技術を確立し、国際的な場で極めて高い評価を得ている。また、同氏は、学術面で世界最高レベルの研究成果を出すとともに、国内有力企業と産学連携を行い、社会実装に関しても精力的に取り組み、成果をあげている。