「Entire Shape Acquisition Technique Using Multiple Projectors and Cameras with Parallel Pattern Projection」-情報処理学会

2012年度論文賞受賞者の紹介

Entire Shape Acquisition Technique Using Multiple Projectors and Cameras with Parallel Pattern Projection
［IPSJ Transactions on Computer Vision and Applications Vol.4 pp.40-52］

［論文概要］

　複数のプロジェクタとカメラから成り，運動する物体の全周囲形状を高密度かつ高フレームレートで計測するシステムを提案する．通常，ワンショット計測で利用される投影パターンは複雑であり，全周囲計測のために複数のパターンを重ねると，パターン同士の干渉が問題となる．また，複数方向からの計測結果を重ねたときの誤差も問題となる．これらを解決するため，提案手法では最大2色の平行線パターンを利用し，パターン同士の画像上での分離を容易にした．さらに，複数のカメラとプロジェクタを利用した複数視点復元手法を提案した．構築された実システムでは，高密度な全周囲形状の復元に成功した．

［推薦理由］

　パターン光投影による３次元形状計測技術は，コンピュータビジョンにおける基本問題の1つである．本論文では，複数のプロジェクタとカメラを用い，密な３次元全周形状をワンショットで撮影できる手法を提案し，移動物体の計測も可能にしている．高い新規性に加え、有用性も高く、将来の実用化が期待できる技術である．以上のことから，コンピュータビジョン分野での新規性，有用性，実用性，いずれの面でも高く評価でき，本会論文賞に相応しい論文と判断する．

古川亮君

　1993 京大・工・電気電子卒．1997 奈良先端科学技術大学院大学博士後期過程修了．広島市立大学情報科学部助手，広島市立大学大学院情報科学研究科講師を経て，2012年より同研究科准教授．コンピュータ・ビジョン，CGに関する研究に従事．博士（工学）．2007 ACCV Songde Ma Outstanding Paper Award，2009 PSIVT Best Paper Award，2011 MIRU長尾賞．情報処理学会，電子情報通信学会，IEEE各会員．

佐川立昌君

　1998 京大・工・情報工学卒．2000東大大学院工学系研究科情報工学専攻修士課程修了．2003同研究科電子情報工学専攻博士課程修了．2003大阪大学産業科学研究所助手、2007同大助教．2010産業技術総合研究所研究員を経て、2013より主任研究員．2008～2009スイス連邦工科大学チューリヒ校客員研究員．実時間視覚処理と物体のモデリングの研究に従事．博士（工学）．日本ロボット学会，情報処理学会，電子情報通信学会，IEEE 各会員．

川崎洋君

　1994 京大・工・電気電子卒．2003 東大・工・電子情報工学博士課程了．博士（工学）．埼玉大・工・情報システム工学科を経て，2010より鹿児島大・工・情報生体システム教授．2009～2010 フランスINRIA国立研究所客員教授．2012 アメリカコロンビア大客員研究員．主としてコンピュータ・ビジョン，アクティブ3次元計測，街のモデリング，ＣＧに関する研究に従事．2007 ACCVベストペーパー受賞，2009 PSIVTベストペーパー受賞，2011 MIRUベストペーパー受賞，情報処理学会，電子情報通信学会，VR学会，IEEE各会員．

阪下和弘君

　2009 岡山大・工・情報工卒．2011 大阪大学大学院情報科学研究科コンピュータサイエンス専攻博士前期課程修了．現在，同大大学院情報科学研究科コンピュータサイエンス専攻博士後期課程在籍中．

八木康史君

　1983阪大・基礎工・制御工学卒．1985同大学大学院修士課程修了．同年三菱電機（株）入社．同社産業システム研究所にてロボットビジョンの研究に従事．1990大阪大学基礎工学部情報工学科助手．同学部システム工学科講師、同大学院助教授を経て，2003より同大学産業科学研究所教授、2012より同研究所所長．1995～1996英オックスフォード大学客員研究員，2002仏ピカルディー大学招聘助教授，全方位視覚センシング，画像理解，知能ロボットに関する研究に従事．1996信学会論文賞，2011 IPSJ TCVA Outstanding Paper Award，情報処理学会フェロー．IEEE，電子情報通信学会、日本ロボット学会各会員．博士（工学）．

浅田尚紀君

　1979京大・工・電気卒．同大学大学院博士課程修了．福井医科大学医学部助手，京都大学工学部助手，岡山大学工学部助教授を経て 1995 から広島市立大学情報科学部教授．2006 から同大学長．2013から兵庫県立大学教授, 現在に至る．工博．コンピュータビジョン，CG，文書画像理解，医用画像診断支援の研究に従事． 1993 情報処理学会論文賞．電子情報通信学会, 情報処理学会，人工知能学会，医用画像工学会各会員．