「Programmable Architectures and Design Methods for Two-Variable Numeric Function Generators」

2010年度論文賞受賞者の紹介

「Programmable Architectures and Design Methods for Two-Variable Numeric Function Generators」

[IPSJ Transactions on System LSI Design Methodology Vol.3, pp.118-129]
[論文概要]

 受賞論文では,二変数数学関数を計算する数値計算回路の設計法および書換え可能な回路構成を提案した.提案手法では,二変数関数を実現するために,与えられた定義域(平面)を複数の小さな領域に分割し,各領域毎に関数を多項式でする.二変数関数の定義域を効率よく分割するために,論文では,再帰的平面分割アルゴリズムを提案した.また,多様な二変数関数を単一の回路構成で実現できる二種類の書換え可能な回路構成を提案し,提案した回路構成を用いることで,高速かつコンパクトな二変数関数回路のシステマチックな設計が可能になることを示した.



[推薦理由]

 本論文は、二変数の数値計算関数をプログラム可能なハードウェアを用いて実現するアーキテクチャと、その設計手法を提案している。従来手法の多くは、適用可能な関数が一変数関数、あるいは、ある特定の特徴を有する多変数関数に限定されていた。一方、本論文は任意の二変数関数を体系的に設計する手法とアーキテクチャを提案しており、その新規性と有用性は非常に高い。理論的考察とそれを裏付ける実験も示されており、研究の完成度と信頼性も高い。また、論文の構成も優れている。以上のことから、本論文を論文賞に推薦する。

永山 忍 君

 2000年明治大・理工・情報科学卒.2002年同大大学院博士前期課程了.2004年九州工業大学大学院博士後期課程了.博士(情報工学).現在,広島市立大学大学院情報科学研究科准教授.多値論理や論理設計に興味を持ち,主に多値決定グラフの最適化,数値計算回路や組込みシステムの設計法に関する研究に従事.2006年情報処理学会優秀論文賞受賞.

笹尾 勤 君

 1972年大阪大学工学部電子工学科卒業.1977年同大大学院博士課程修了.同年同大学助手.1988年九州工業大学情報工学部助教授.1993年同・教授.論理設計、スイッチング回路理論の研究に従事. IEEEフェロー.工学博士.著書『論理設計:スイッチング回路理論』近代科学等、8編.

Jon T. Butler 君

 received the B.E.E. and M.Engr. degrees from Rensselaer Polytechnic Institute, Troy, New York, in 1966 and 1967, respectively. He received the Ph.D. degree from The Ohio State University, Columbus, in 1973. Since 1987, he has been on the faculty at the Naval Postgraduate School, Monterey, California, where he holds the rank of Distinguished Professor.