米田 英一 君
2002年度(平成14年度)功績賞受賞者の紹介
米田 英一 君(よねだ えいいち)
米田英一君の情報処理分野における功績は次の通りであります.すなわち同君は40余年の永きにわたり,計算機を利用した数値解析,システム・インテグレーションの方法論開発に関与し,また一方情報技術教育の分野においてはその重大性を訴え続け,学界,産業界において,当該分野の地位確立に献身的に努力してこられました.
さらに情報技術分野での企業倫理に関しては,健全な信念を常に主張し,その重要性を絶えず啓蒙し続けるなど,類い稀な多くの業績を積まれました.
同君は1959年(昭和34年),東京大学理学部数学科を卒業,直ちに東京芝浦電気(株)(現(株)東芝)に入社して以来,情報システム,電子計算機システム一筋の道を歩まれました.電算機OAシステム担当技師長を経て,1989年,システム・インテグレーション開発部長,1995年役員待遇という経歴を重ね,とりわけ,TSSとマルチプロセッサシステムを日本で初期に実現されました.大型計算機の利用方法におけるこれらの成果は,情報システムを構築する重要な技術としてあまねく利用され,日本の情報化社会発展のための欠かせない技術の1つとなっております.開発のみならず,東芝のシステム・インテグレーション部門の総責任者としても,そのなみなみならぬ能力と経験を発揮され,社会に必要な数々のシステムを世に出してこられました.
学会運営の面では,本学会の会誌編集委員,創立30周年記念事業運営委員,情報処理学会倫理綱領調査委員,理事,監事などの要職を歴任され,現在では著作権委員,アクレディテーション委員,フェローとして学会の発展に寄与されています.
倫理面での貢献は格段に顕著であり,1994年にIFIPの働きかけに呼応して情報処理学会の倫理綱領制定を提案し,「情報処理学会倫理綱領調査委員会」設立や,同委員会での倫理綱領とりまとめなどに主導的役割を果たし,綱領制定に大きな貢献をされました.さらに,情報技術教育への関心もことのほか高く,この分野における貢献も目覚ましく,JABEE(日本技術者教育認定機構)設立準備委員会委員として,透明性の高い運営組織実現に尽力されました.同機構発足以降,本学会を代表して運営委員会に参加し,認定基準の提案,意見陳述を数多く行いました.現在では,情報処理学会アクレディテーション委員会副委員長,JABEE運営委員会(情報処理学会代表)委員として活躍されております.また,通産省情報処理技術者試験専門委員会の主査を務めるなど,国の委員会委員なども多数歴任され,情報技術界の教育・企業倫理面で大きな貢献を果たしておられます.
上述の如く,米田英一君は我が国の情報処理,情報技術教育,企業倫理分野の発展に終始尽力され,その功績誠に顕著というべきであります.