植村 俊亮  君

2006年度(平成18年度)功績賞受賞者の紹介

植村 俊亮  君 (うえむら しゅんすけ)

本会正会員(フェロー)植村俊亮君は,永年にわたりデータベース分野の研究分野に携わり,数多くの優れた業績を挙げるとともに,情報科 学分野の優れた人材の育成に努められました.特に,情報科学分野で最 も重要な基盤技術の1つであるデータベース技術をいち早く我が 国に紹介し,その第一人者として研究教育にあたってこられました. 1966年に通商産業省工業技術院電気試験所に入所後,日本語文書の自動 索引や磁気バブルメモリによる革新的なデータベースマシンの研究開発 にあたられました.その後,東京農工大学,奈良先端科学技術大学院大 学に赴任され,言語横断や多言語情報検索の研究を先導するとともに, COBOL,MAPプロトコル,データベース言語NDLおよび SQL等,日本工業標準調査会委員としてデータベースの関連技術の標準 化,国際化活動に貢献されました.この工業標準化の功績により, 2000年に通商産業大臣表彰を受けられました.
  また,データベース研究の新しい方向性を国際的に議論するため, International Symposium on Advanced Database Technologies and their Integration(ADTI'94),Digital Media Information Base(DMIB'97),International Conference on Mobile Data Management(MDM2006)の3つの国際会議を組織運営されま した.一方,我が国の貴重な考古学情報に関して,情報処理技術の導入の必要性をいち早く説かれ,日本情報考古学会の設立に尽力されるとと もに,同会理事としてご活躍されています.教育の分野では,教科書の 執筆も精力的に行われ,「入門COBOL(新版)」(オーム社, 1993),「データベースシステムの基礎」(オーム社,1979)は 高く評価され,現在でも多く購読されています.さらに,情報処理技術 者試験専門委員として,我が国の情報技術者の育成にも注力されました.
  本会においては,理事(1986年度~1987年度, 2003年度~2004年度),論文誌データベース編集顧問を歴任されました.1998年に標準化の功績により,情報規格調査会標準化貢 献賞を受賞,2001年にはフェローの称号を授与されています.近年では,学際分野であるバイオ情報学研究会の設立に尽力され,初代主査として今なお本会の発展に多大な貢献をされています.
  以上のように同君は,国内外の学術の発展に多大なる貢献を行っただけでなく,我が国の情報処理技術者の養成にも尽くした功績はまことに 顕著であります.