片山 卓也 君
2004年度(平成16年度)功績賞受賞者の紹介
片山 卓也 君 (かたやま たくや)
本会正会員 片山卓也君は,永年にわたり一貫してソフトウェア科学・工学の両分野の研究に携わり,数多くの優れた業績をあげてこられました.特に,関数的プログラミングに基づくソフトウェア開発方法論の構築,ソフトウェアの検証方式の開発,ソフトウェアの発展・進化モデルについての一連の研究は,形式手法と呼ばれるソフトウェア構築方法の先駆的な成果としてきわめて高く評価されています.またこれらの研究を通じて,優れた教育を行い,同分野のみならず,ネットワークの分野などでも,優秀な人材を送り出してこられました.
また,同君は科研費特定領域研究「発展機構を備えたソフトウェアの構成原理の研究」研究代表者,日本学術振興会未来開拓研究「ソフトウェア開発方法論」プロジェクトリーダ,21世紀COEプログラム「検証進化可能電子社会」プロジェクトリーダ等を歴任し,ソフトウェアおよびソフトウェア工学研究分野の日本のリーダとして,現在もなお活躍されています.
本会においては,各種委員会委員,主査,理事等を歴任され,また日本ソフトウェア科学会の第3代理事長として活躍されるなど,日本のソフトウェア科学・工学に指導的な貢献をされました.また国際的には第7回ソフトウェアプロセス国際ワークショップ組織委員長,ソフトウェア工学分野の第1級の国際会議であるICSEのプログラム委員長等を歴任し,同分野の国際的な発展に貢献されました.これらの業績により,日本ソフトウェア科学会より特別功労賞,さらにフェローの称号を授与されています.
一方,日本初の独立キャンパスを持つ国立の大学院大学の創設において,先駆的な研究・教育システムの構築・運営などに中心的貢献を行い,その後の日本の大学改革に多大の影響を及ぼしました.
以上のように同君は,ソフトウェア研究の進展に大い貢献したのみならず,日本の大学の教育・研究システムの改革にも大いに尽くしたものであり,その功績はまことに顕著であります.