2022年12月01日版:高岡 詠子(教育担当理事)

  • 2022年12月01日版

    「情報入試と高等学校情報科教員研修

    高岡 詠子(教育担当理事)


     本会理事に就任した2021年6月から1カ月も経たないうちに文部科学省が2025年の大学入学共通テストへの「情報」の出題を正式に発表し,そこから大学入学共通テストへの「情報」の出題に関して世の中の関心が一気に高まっています.

     2022年1月28日,国立大学協会(国大協)は,2025年度入学者の選抜からすべての国立大学が大学入学共通テストにおいて「情報」を加えた6教科8科目を原則として課すことを発表しました.国大協の発表に呼応して,本会は2022年1月31日に意見を会長名で表明しました.

     本会は,「大学入学共通テストへの『情報』の出題」に関して数年にわたりさまざまな活動を行ってきましたが,提言や意見書だけを取り上げても2020年3月以降でも8文書あります.

     今まで教科「情報」に関しては,臨時免許状・免許外教科担任の問題などがありましたが,文部科学省では教員配置状況の改善が進んでいない都道府県・政令市に対して抜本的な改善計画の提出を求めており,臨時免許状や免許外教科担任が解消されつつあります.しかし複数の免許を持ち,情報科以外の教科も掛け持ちで教えているケースなどもまだ多く,情報科だけを担当する専任教員の配置を増やしていく必要があるでしょう.

     2022年5月に「教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律」が成立し,2022年7月1日より教員免許更新制が廃止されました.このときは「教育職員免許法施行規則及び免許状更新講習規則の一部を改正する省令案」について文部科学省からパブリックコメントの募集があり,本会は2021年7月14日に意見を提出しました.

     本会は,文部科学大臣から免許状更新講習規則(平成20年文部科学省令第10号)第1条第4号の規定に基づき教員免許状更新講習の開設者として指定を受け,2014年度より教員免許状更新講習を実施してきました.2022年7月1日に教員免許更新制が廃止されましたが,本会は高等学校情報科研修の必要性を鑑み,文部科学省等と連携しながら,今までの教員免許状更新講習の内容を発展させた教員研修を実施しております.

     2022年度は文部科学省から後援をいただき,東京都高等学校情報教育研究会との共催で「高等学校情報科教員研修」を実施いたしました.7月31日,8月5日,8月16日の3日間のオンライン研修に加え,8月20日に広島国際会議場でWCCE 2022(World Conference on Computers in Education 2022) のプレイベントとして対面研修+オンライン研修を併催という形で行いました.そしてこの4日間の録画を編集し2023年1月末までオンデマンド視聴できるようになっています(申し込みは2022年12月15日まで).

     特に,教員免許状を保有しているが教職には就いていない,または教員免許を保有しない外部人材が新たに教員として入職する際においても参考になるコンテンツ作りを行っています.また,オンデマンド研修申込者を対象とし,「情報入試‹超最新補遺› ver.2022.12」をリアルタイム研修としてオンラインで行うなど,常に最新の情報提供を実施していますのでまだ申し込まれていない方はぜひお申し込みください.会員の方は無料です.詳細は https://www.ipsj.or.jp/annai/committee/education/KOSHU2022.html をご参照ください.

     これからも文部科学省や全国高等学校情報教育研究会などと連携しながら教員研修を行っていきたいと思っています.なお,来年度から従来の「教員免許更新講習委員会」は「情報科教員・研修委員会」に名称を変更する予定です.

     また,本会は高等学校の情報科の先生方にぜひ入会していただき高等学校情報科や情報入試について一緒に勉強させていただきたいと思っていますのでよろしくお願いいたします.本会は毎年,小中高教員新規入会キャンペーンを行っておりますのでこれもぜひご案内ください.