私が総務担当理事を拝命して間もなく1年になります。総務担当は「何でも屋」的存在で、理事会や総会の司会・議事進行から他学会との連携、そして制度改革まで、どちらかというと裏方的な種々の役割をこなす必要がありますが、最も重要なミッションは会長、副会長を補佐して、健全な学会運営を行うことだと認識しています。
昨年度の最も大きなニュースの1つは、本学会会員数がわずかながら増加に転じたことです。企業内会員の減少が主因となり、会員数は1991年の32,108人をピークとして以降は漸減をつづけ、2012年度末に19,015名となってしまいました。2013年度は、学生無料トライアルなど種々の施策と関係者の努力により、299名増えて19,314名となりました。やっと会員減に歯止めがかかったというのは喜ぶべきことですが、無料トライアル会員を除けば、なお微減ですし、今年度末にさらに増加させるのは、昨年以上の努力が必要になるのは明らかです。
皆様は学会というと、どんなイメージをお持ちでしょうか? 私の偏見で恐縮ですが、以前は、私の持っていたイメージは、「保守的」および「権威主義的」でした。理事会も、あらかじめ決められた議題が粛々と承認されていくものと思っていました。もちろん、論文の審査や種々の表彰についての審査など、公正さや、ぶれない価値基準が重要なのは当然ですが、特に変化の激しいIT業界を支える本学会としては、世の中の求める価値、技術の変化に追随できる柔軟な仕組みと制度が重要です。
昨年度から喜連川会長の「Move Forward」のスローガンと強力なリーダシップにより、学会は大きく変わろうとしています。幹部全員が「以前と同じことをやっていてはダメ」という意識を共有し、「保守的」と決別し、学会価値の向上、会員サービスの向上につながる新しい施策へのチャレンジを行っています。石橋をたたいて渡らないのではなく、トライしてみてから修正、拡張していくというスタンスです。また常にビジネスマインドが求められています。会員の皆様からいただく貴重な会費や協賛金、イベント参加費などを1円たりとも無駄にせずに、お届けするサービスの価値を最大化するためには、これが非常に重要だからです。
柔軟な組織運営を行うために、理事会の構成を変更し、若手の意見を運営に反映させるための「新世代担当理事」、実質的に4年間就任いただき、中長期戦略を継続的に検討いただく「長期戦略担当理事」を新設いたしました。また、それぞれの理事は自主的に学会への貢献目標を設定し、これを実現することが求められます。理事会では何も発言しないと帰れません。
具体的な施策としては、情報教育にさらに一歩踏み出し、学会として初めて情報分野の教員免許更新講習を開始しようとしていますし、研究会の動画配信・アーカイブの本格的展開もスタートしました。学会誌もリニューアルし、皆様に毎号を楽しみにしていただけるようにと努力を継続しています。学会の情報システムもクラウドベースの新たなものに更新し、柔軟な運営変更への容易な対応や拡張ができるようにするとともに、会員参加型の新たなサービスを容易にトライできるためのプラットフォームの整備が検討されています。新たなサービスのコンテンツについては、中田副会長による
前月号(5月7日版)をご参照ください。
また、今年度より「
シニア会員制度」を開始いたしました。これは、情報処理分野において継続的な貢献いただき、また学会活動を通して本会の発展に寄与いただいた正会員の皆様に敬意を表明するとともに、将来にわたって引き続き学会活動の中心となって、学会の発展、ひいては社会への貢献をいただくという趣旨によるものです。いろいろとお問合せいただいておりますが、これはフェローと同じく称号としてご利用いただくものであり、会員サービスについては正会員と同じです。シニア会員になられた方には、下記に示す楯をお送りする予定であり、みなさまにも気に入っていただけるものと期待しております。毎年4月1日現在で正会員として連続5年以上在会の皆様に申請書をご提出いただき、審査させていただきます。申請には本会の名誉会員、フェロー、現役員と過去3年度の役員、シニア会員のいずれかに該当する2名からの推薦書が必要となります。当初はシニア会員が少なく、推薦者を見つけるのに苦労するとのご意見も承っております。次第に状況は改善されると期待しておりますが、お困りの場合には学会(
soumuアットマークipsj.or.jp(アットマークの箇所は、‘@’(半角)に置き換えて下さい))までご相談下さい。