長期戦略担当理事の小野寺(日本IBM)です。「理事からのメッセージ」は2021年4月19日に一度寄稿
☆1しているのですが、長期戦略担当理事は1期2年を都合2回務めることになっており、1期ごとに寄稿機会をいただけることになっているようです。有難いことです。
前回は、「ゆゆしき問題」と題して、会員数が1992年をピークに長期減少傾向が続いていることを取り上げ、企業の正会員の減少がこの傾向を牽引していることを述べました。もっとも合計人数だけ見れば、必ずしも狭義の単調減少ではなく、年度末会員数のデータ
☆2が示しているように、2013年度2014年度2018年度そして直近の2021年度と若干増加しています。特に2021年度末には2009年度末以来の2万人台を回復しています。関係各位の不断の尽力の賜物であり、喜ぶべき事態には違いありません。
とはいえ、会員種別で見てみると、これは、2015年度に新設されたジュニア会員の増加に負うところ大であり、企業会員が含まれる正会員の減少には歯止めがかかっていないのも事実です。銀の弾丸はありませんが、デジタル変革の波にのり、回天の機を伺いたいところです。また、前回、長期戦略担当理事として関与した仕事として、「SNSの積極活用」と「情処ウェビナーの立ち上げ」について紹介しました。これらはいずれも2021年度新設された広報小委員会(辰己丈夫委員長)に引き継がれ順調に活動が継続しているのは欣快の至りです。ところで、もうひとつ小生が関与したこととして、これは前回書かなかったのですが、量子ソフトウェア研究会の立ち上げ(2020年度)があります。本来、研究会の新設は容易ではなく、研究グループとして一定期間の活動実績を上げてから新設申請するのが通例のようです。しかし、本分野は世界的に急速に勃興しつつあるのみならず、主要国が国家の技術戦略の中核に位置付けて取り組んでおり、その喫緊性を鑑み「いきなり新設」を試みました。幸い、伊藤公平先生(現慶應義塾大学塾長)はじめ量子情報技術の分野を牽引してこられた方々に発起人なっていただいたこともあり、承認されるに至りました。そのへんの経緯は、会誌Vol.61 No.4に学会活動報告
☆3として短く書いています。
研究会の新設が、小生の理事としての職責とどう関係するかについて、いささか強引な見解を述べます。研究会活動は学会の中核的活動です。それは、このページ
☆4からたどれるファイルを見れば分かります。それによると、2021年10月時点のそれぞれの研究会の登録者数のデータがあり、41研究会合計で9,309名が登録しています。この中には学会員になっていない方もいるでしょうし、1人で複数の研究会に登録している方もいるでしょうから、単純なことはいえませんが、あえて数字だけ見れば、学会員数に0.47を乗ずればおおよそ研究会登録者数になるという状況です。まさに、中核的活動といっていいのではないでしょうか。研究会活動に会員増の伸び代はないと考える人もいるかもしれませんが、適切にかつ機動的に研究会のポートフォリオを組むことができれば、まだまだ伸び代はあるのではと思いたいです。
小生も理事としての任期は残すところ1年となりました。これまでの3年間、徒に年を経た感もなきにしもあらずですが、ゆゆしき問題の解決に向けて妄想を逞しくして何らかの微貢献をしたいと思っています。
☆1 https://www.ipsj.or.jp/annai/aboutipsj/onodera_tamiya_2021.html
☆2 https://www.ipsj.or.jp/member/nendomatu-kaiinsu.html
☆3 http://id.nii.ac.jp/1001/00203929/
☆4 https://www.ipsj.or.jp/kenkyukai/plan2022.html