「新しい会員層を取り込む成長戦略の実現に向けて」
大場 みち子(長期戦略担当理事)
私は,総務担当理事,事業担当理事に続いて,現在,3つ目の長期戦略担当理事を昨年度拝命しました.この「理事からのメッセージ」は事業担当理事以来,2度目になります.長期戦略担当理事の職務や推進状況については,これまでの「理事からのメッセージ」では深く語られていないので,この機会にみなさんに紹介します.
長期戦略担当理事は2014年度から設置され,2期4年の任期です.その他の理事は1期2年の任務ですから,まさに「長期戦(略)」です.
会則では,長期戦略の職務,分掌が次のように書かれています.
(理事の職務および分掌)
第12条 会長および副会長以外の理事は,業務執行理事として,この法人の業務を分掌する.理事の分掌事項は原則として次により,具体的な業務内容は理事会において定める.
(省略)
長期戦略:長期ビジョンを踏まえた学会運営企画に関する事項
(省略)
つまり,学会の長期ビジョンを担う責任重大な任務に就いたわけですが,1年目はほぼ勉強状態でした.そこで,これまでの先輩理事のみなさんが立案した長期ビジョンと推進状況を紹介します.
最新の長期ビジョンとして,情報処理学会中期計画(2021年度〜2025年度)(2021年7月29日公表)1)が策定されています.ここでは,「情報処理学会創立60周年宣言~More local and more diverse for global values~」2)を実現するための中期計画として,つぎの方針と3つの柱を掲げています.
方針
社会の情報処理への期待が大きく,情報処理ユーザ向けに本会の貢献の余地があり,財務状況も安定しているため,新しい会員層を取り込む成長戦略が必要である.次の5年間の中期計画で,情報処理ユーザへのアプローチとサービスを試行しながら,10年後の安定した学会活動の基盤を築く.既存事業の見直しは計画に含まず,新しい取り組みに重点を置くが,必要に応じて見直しをし,事業のPDCAサイクルを健全に回すための環境整備にも着手する.
3つの柱
- 広く新しい情報処理ユーザへの学会活動の訴求
- 広く新しい情報処理ユーザへの新しいサービスの提供
- 自らが運営しやすい学会の情報システムと業務プロセスの整備
上記の中長期計画3つの柱に対する実績として,2022年度はさまざまなチャレンジを実施していますが,きわめて一部のみを紹介します.詳細は総会資料3)の2022年度事業報告をご覧ください.
- CMO(Chief Marketing Officer)を軸とした広報・広聴マーケティング活動の推進,倫理綱領の改訂を含むダイバーシティ向上に向けた施策,非会員に対する学会プレゼンスを向上するための各種セミナーや学生向けイベントを開催.情報教育のためのコンテンツ整備や提言,IT 連盟などIT エンジニア向け団体との連携やデジタルの日に連動した各種イベントの開催をした.
- 全国大会等における新企画,オンラインイベントの開催方法の改善やコラボレーションツールの導入,会誌における企業技術者や若年層を対象とした企画を実施した.情報環境領域に新たにIoT 行動変容学研究グループ(BTI)を設置した.
- 財務管理体制の強化,各種システムの統合・更新を行うとともに,学会業務のデジタル化を進めた.