世界的なCOVID-19の感染拡大により、ここ数カ月で私たちの生活のありようは大きく変化しています。ことに、日々の生活においては、マスク着用、外出自粛、他者との接触の忌避に伴う在宅ワーク・在宅での授業受講の拡大、イベントの自粛や中止などが急速かつ半強制的に進みました。本会関係のイベントに関しても、全国大会、FIT情報科学技術フォーラムなどのイベントが、COVID-19対策として現地開催を中止しオンライン開催となりました。今年(2020年)は本会が1960年に設立されてから創立60周年にあたりますが、創立以来このような大きな社会変化は初めてではないでしょうか。
本会主催イベントのうち、私は技術応用担当理事として「連続セミナー」の開催に関与しています。このセミナーでは、第一線の研究者、技術者を講師にお迎えし、6回のシリーズで関心度の高い先進技術をテーマとして取り上げ、旬の先端技術を俯瞰することを目的としています。「連続セミナー」もCOVID-19の影響を受けて開催形態を検討し、実会場での開催から完全オンラインでの開催に舵を切りました。
このようなセミナーでは、講師による最新技術の講演に加え、講師や他の参加者との直接的な会話の機会を持てることが付加的なメリットといえるでしょう。一方で、オンライン開催もさまざまな利点を考えることができます。実開催を伴わないことで会場への移動時間がなくなること、参加場所の制約がなくなること、チャットなどにより質問がしやすくなることなどがオンライン開催の大きなメリットと考えられます。これまでセミナー開催は化学会館など東京都内の会場での実施が主であり、遠隔地の皆さまへ情報をお届けすることが難しいことが課題の一つでした。これに対して、大阪、仙台などに遠隔会場を設ける試みを進めてきましたが、幅広い地域の方々に参加いただくことには限界がありました。今回のオンライン開催は、これに対する一つの解になるものと考えています。
現在来年度(2021年度)のセミナー開催に関して議論を開始しています。今回のオンライン開催は初めての試みになりますが、将来的には、空間的な制約の緩和に加えて時間的な制約の緩和、オンラインならではのメリットの検討など、新しいイベント開催のあり方も検討していければと考えています。今後のセミナーのあり方に関する期待や、開催を期待するテーマなどありましたら、ご意見・ご要望をお寄せください。
なお、今年の「連続セミナー」は「人間中心社会を支える情報技術の新潮流」(
https://www.ipsj.or.jp/event/seminar/2020/)と題し、データ流通、AIと人間、産業とのかかわり、ブロックチェーン、インタラクション、量子コンピュータなどのテーマについて深く語っていただく予定です。連続セミナーの開催は6月から12月にかけて半年間を通例としていますが、今年は開催予定であったオリンピック開催の影響を避けるため、10月からの開催開始を予定しています。個別回での参加も可能ですので、ぜひご参加を検討いただければ幸いです。