「日本最高の同人誌を目指して」
楠 房子(会誌編集担当理事)
情報処理学会の機関誌は、「情報処理」(以下会誌)、「情報処理学会論文誌」(以下論文誌)および「情報処理学会デジタルプラクティス(以下デジタルプラクティス)」の3つがあり、各編集委員会が編集を行っています。会誌は,読者の方により親しみやすく、また商業誌では得られない知識の習得に役立つ雑誌を目指し、月刊誌として編集しています。会誌編集委員会のメンバは、委員長、副委員長、会誌担当理事、編集委員、ゲスト編集員および専門委員会の主査から構成されています。会誌担当理事は、委員会をサポートする役割りと学会全体と会誌編集委員会をつなぐ役割を担っています。私も微力ながら昨年度から、会誌担当理事としてお手伝いさせていただいています。そしてあっというまに残すところ1年を切ってしまいました。
会誌担当委員会では,会員の皆様の声を大事にすべくモニターアンケートを最初に確認します。そしてそこに記載されているコメントにも丁寧に目を通します。そこから、会誌の企画のニーズを読者から汲み取ろうと話し合います。近年は、ジュニア会員の増加に伴い、従来の会員に加え、年齢層が拡大し読みたい記事のニーズも読む媒体も多岐になってきました。そのためますます会誌委員会の企画に関して、果たしてその記事が会員にとって重要なのかの見極めが大事になってきました。
最近の新しい試みとして、「IT紀行」企画が始まりました。この企画は、編集委員が直接取材に出かけ、実際に取材を行い、それをイラストと記事にします。難しい内容でも分かりやすいビジュアル表現(漫画)と合わせることで、ジュニア会員にも届くようで好評です。やはり漫画は、世界共通だと私の周囲の留学生たちの発言を聞きながら納得です。
またInfo-WorkPlace委員会と合同企画で「出前授業」も昨年から開始しました。全国大会の開催地の市内の中学校で、情報処理学会の研究者が話をするという内容です。中学生からたくさんの質問をもらいますが、時間的な制約ですべてには答えられません。そこで全国大会企画「先生質問です」で取り上げて研究者たちが答えます。今年(2019年)は、福岡市内の中学校に編集長と行きました。来年(2020年)は金沢市内の中学校に行く予定です。また出前授業内容は会誌にも掲載します。
また11月からは、ネットで会誌を読んでいる会員の方に向けてのサービスとして「情報広場」での「会誌一括ダウンロード」ができるようになります。通勤通学のときにも携帯などで会誌を読んでいただけると幸いです。個人的には,今後は紙媒体のnot=デジタルコンテンツとなって、取材動画など記事の多様性を広げられたらいいなあと思います。そしてもっと読みやすいUI・UXデザインを検討できれば,会誌の可能性が広がると思っていますが、まだまだデジタル化は、今後の議論の余地がありそうです。
会誌編集委員会では、編集長の掲げる「日本最高の同人誌」を実現すべく、毎月新しい企画を考えては、掲載か否かを議論しています。モニターアンケート等を通じて記事企画についてのフィードバックもお待ちしております。会誌を引き続きよろしくお願いいたします。