2015年04月06日版:黒橋 禎夫(監事/第77回全国大会プログラム委員長)

  • 2015年04月06日版

    「第77回全国大会 ー社会に浸透し、社会を変革するICTー

    黒橋 禎夫(監事/第77回全国大会プログラム委員長)

     「社会に浸透し、社会を変革するICT」をスローガンとして、3月17日〜19日、第77回全国大会が京都大学で開催されました。この大会のプログラム委員長を務めさせていただきましたので、この場をお借りして報告させていただきたいと思います。

     本原稿執筆(〆切)が3月23日ですので正確な数字はまだ集計中ですが、論文投稿は約1,400件、参加者数は3,600人超でした。31会場での一般・学生発表に加えて、6会場でイベントを開催しました。3,600人超の参加は昨年大会の2割増、東京大学での学会創立50周年の第72回大会に継ぐ過去2番目の規模となりました。京都大学ICTイノベーション/情報学シンポジウムとの共催、同時期に京都大学で開催された言語処理学会年次大会との相互の後援も参加者増の要因であったと思います。

     今回の大会ではさまざまな新しい試みを行いました。まず、従来はイベントの提案がプログラム委員、学会の委員会・研究会などに限られていましたが、今回は会員であれば誰でも提案できることにしました。おかげさまでさまざまな魅力的な提案があり、調整の結果、イベントを6並列としました。特筆すべきは、新世代企画委員会からの提案で新進気鋭の若手研究者による弾丸トーク、IPSJ-ONEを開催し、好評を博しました。また、ドワンゴと学会の提携に基づき、2会場のイベントをニコニコ生放送で動画中継し、延べ15万人が視聴しました。これは学術コンテンツを広く社会に届ける上で大きな意味があったと考えます。また、学会の盛り上がりを可視化するWebアプリ、IPSJ77Nowを京都のIT系学生コミュニティと開発・運用しました。今回はやや宣伝不足ではありましたが、今後につながればと考えています。さらに、託児所の開設や情報保障(第一イベント会場での字幕付与とその他要望に応じた対応)を実施しました。

     イベントの講演者・関係者は懇親会にご招待するという慣例に従った結果、懇親会招待者が300名を超えるということになり、会場があふれるのではと心配しましたが、料理がやや少なかったことはお許しいただくとして、多数の方にご参加いただき大変に活気のある懇親会となりました。

     私がこの寄稿をさせていただいておりますのは、この2年間、学会の監事を務めさせていただいているからです。その前には2年間企画担当理事も務めさせていただきました。この4年間で学会は大きく変わりました。20年来の会員減少に歯止めがかかって増加に転じ、まさに「ICTによる社会の変革」を牽引する学会にふさわしい勢いを得つつあります。失敗をおそれずに新しいことに挑戦するという喜連川会長の後押しもあり、今回の大会は新しいことをやりすぎた感もございますが、ICTの重要性、意義、勢いを社会に発信する一定の役割を果たすことができたのではないかと安堵しております。

     全国大会の開催意義についてはさまざまなご意見がありますが、学生を含め研究者・技術者が自身の研究を発表しfeedbackを得るというベースとなる価値に加え、そこにくればICTの今を俯瞰することができる、さまざまな専門分野のトッププレイヤーの生の声を聞き、質問することができる、情報処理学会の広範な活動を知ることができる、そのような意義は大きく、そのことを今回の大会で幾ばくか示すことができたのではないかと思っております。

     このように全国大会を成功裏に終えることができましたのは、大会委員会、プログラム委員会、実行委員会、学会事務局をはじめ、多数の皆様の献身的なご貢献のおかげです。お一人お一人のお名前を挙げることができず大変恐縮ではありますが、心より感謝申し上げます。