2020年07月06日版:窪田 歩(総務担当理事)

  • 2020年07月06日版

    「情報処理学会の持続的発展に向けて
    窪田 歩(総務担当理事)

     2019年度より総務担当理事を拝命し、学会全体の円滑な運営に目配りをする立場から、この1年間、さまざまな委員会に参加させていただいてきました。学会活動に関し、私自身はこれまで研究会やシンポジウムへの参加などでのかかわりが主でしたが、学会全体では教育、資格制度、標準化などのさまざまな事業を実施しており、また、全国8支部において地域ごとの多様な取り組みが行われていることを知り、いろいろと勉強させてもらっているうちに早くも1年が過ぎたという状況です。

     現在、本会では、2015年度から始まったジュニア会員制度により、小中高生を含む若年層の会員数が伸びており、さらなる拡大に向けた取り組みとして、ジュニア会員を教える立場の教員の皆様に向けた加入促進キャンペーンの試行なども行っております。一方で、依然として正会員の減少は続いており、特に企業系の会員減が大きな課題となっております。このため、これまで本会を支えてくださってきた企業の会員向けのサービス拡充に加え、ITを活用する立場のユーザ企業など、従来、学会とのかかわりが薄かった企業の取り込みに向けた検討も進めております。5月には日本最大級のIT団体の連合体である日本IT団体連盟と提携を結び、IT業界へのアウトリーチを強化する体制の構築を進めています。また、長期戦略理事が中心となり、学会の新たな成長戦略を描く中長期計画を今年度中に策定すべく検討を行っています。

     こうした学会事業の拡大や再構築を検討する上で忘れてはならないのは、学会のサービスや提供価値を生み出しているのが、研究発表などの、学会という場での会員の皆様の活動や、諸事業の企画・運営にボランティアで携わってくださる皆様の貢献だという点です。会員層の拡大に際して、新しく会員になられる方々に向けて、サービスの受け手としてのメリットを訴求するだけでなく、学会のサービスや価値を生み出す側の活動に主体的に参加する意義を感じてもらえる仕組みをどう提示していくのかが非常に難しい課題です。

     この中で、総務担当理事としては、学会の諸活動にボランティアでかかわってくださっている皆様の負担を軽減できるよう目配りすることもひとつのミッションと考えています。現在、コロナ禍の影響で学会の各種委員会は原則オンライン開催となっていますが、移動の負担がなくなる点はメリットですし、シンポジウムやセミナー等の開催についても、運営にかかる負担増を抑制しながら規模拡大を図っていく手段としてオンラインの活用を進められるのではないかと思います。 また、これまで各支部で構築、運用されていたサーバを本部で統合し、支部における運用の負担を軽減するための取り組みも進んでいます。一方、新たな取り組みを始めるにあたって学会事務局に過度な負担がかからないように考えることも重要です。学会を支える会員の皆様の活動や事務局の仕事を含め、学会全体としてサステナブルな発展を目指していく中で、今後1年、学会の運営全般を見る総務担当理事の立場で微力ながら貢献できればと考えておりますので、学会運営の改善についてお気づきのことがあれば、ぜひご意見をお寄せいただければと思います。