2016年11月07日版:加藤 由花(会誌/出版担当理事)

  • 2016年11月07日版

    「「理事からのメッセージ」に関するあれこれ

    加藤 由花(会誌/出版担当理事)

     「理事からのメッセージ」は、IPSJメールニュース内に月1回掲載されるコラムです。掲載といっても最初の数行のみが表示され、続きは学会のWebページに誘導されるスタイルです。以前は会誌の中に理事が執筆する「巻頭言」があったのですが、それがなくなったこともあり、理事がさまざまな意見表明を行える場があるとよいのでは、ということで始まったようです。今回で44回目。私は期せずして2回執筆することになりましたが、通常は理事の2年の任期の間に1回執筆することになります。理事としての所感や担当として取り組んでいることなどを書く人が多いのですが、特に内容の指定もなく、「巻頭言」というほど堅苦しくないこともあり、自身の研究のことや、最近の出来事から思うことなどを語っている人もいます。各人の個性が出ており、私自身、毎回楽しみに読んでいます。(これまでのバックナンバーはこちら(https://www.ipsj.or.jp/annai/aboutipsj/riji_message.html)から読むことができます。)

     この「理事からのメッセージ」は、IPSJメールニュースとともに、会誌・出版担当理事の所管です。毎回、その月の担当者に執筆を依頼し、閲読も担当理事(鳥澤、加藤)が行います。ちなみに、IPSJメールニュースの確認も我々が毎週行っていて、こちらは配信の頻度が高いこともあり結構手間がかかります。さて、会誌担当理事がこの役割を担っているのはなぜでしょう? それは、会誌の役割の一部をメールニュースが担っていると考えられるためです。会誌の役割については、会誌原稿執筆要領に以下の4つが記されています。(1)会員の知識の向上に資すること、(2)本学会の活動を報告し、会員各位の学会活動への参画意識を高めること、(3)会員の意見発表、討論、情報交換の場を提供すること、(4)学会の行事、ニュース、各種情報の要約等を提供すること。現在、会誌本体ではニュース等をお知らせするページはなくなっているので、この機能をメールニュースが担っていることになります。月一度発行される会誌に掲載されるよりも、速報性や他の情報へのリンクのしやすさ等で適した媒体といえるでしょう。

     ところで、会誌については、それを作る側は、特集記事や解説など、会員の知識の向上に資する記事(役割の(1))を掲載することに注力しがちです。また、読む側もそれを期待することが多いようです。一方、前述したように、会誌には本来、会員の学会活動への参画意識を高める、意見発表や討論の場を提供するというコミュニティー形成の部分にも大きな役割があります。これは、そもそも学会というものが、研究者・技術者の自主的な集まりであり、研究者・技術者自身の運営によるコミュニティー活動にほかならないためです。といっても、会員数約20,000人の大規模学会である本会では、すべての会員が自分ごととして学会活動を捉えるのはなかなか難しいことです。この部分をどう会誌に反映させていくか、会誌担当を務めるようになってから意識するようになりました。そのような思いから、会誌本体としては、学会の諸活動を会誌編集委員が取材し、記事として報告する「女子部が行く! 学会探訪記」という企画を立ち上げました。理事会や総会、学会事務局や各種委員会の活動内容を知ってもらうとともに、それを取材する編集委員(ここでは特に女性委員)の活動にも意識を向けてもらうことで、私たち自身が運営しているコミュニティーであることを伝えられれば、というのが意図です。

     「理事からのメッセージ」も、実はそのための仕掛けの一つのように思います。まず学会の活動を知ってもらうこと、そして学会の運営に携わっている各人が顔の見える形で(各人の個性に応じて)メッセージを発信していくこと、それによって会員の皆さんに学会活動を身近に感じてもらうというものです。さて、この活動、今後はこれが双方向になり、意見発表や討論を行っていく場に発展していくことが期待されます。情報処理の専門家である私たちは、すでにさまざまなツールを持っていますが、これを実現するための仕組み作りはそれほど簡単ではありません。今後、新たな取り組みとして、チャレンジしていく必要があると思っています。