「企業系会員について」
平井 規郎(総務担当理事)
総務担当理事を拝命し、先日開催された定時総会をもって約1年が経ちました。学会活動について、これまであまり深くかかわったことはなかったのですが、この1年理事として活動させていただいたことで、課題も含めいろいろなことが分かってきました。
現在、情報処理学会における最も重要な課題の1つは、江村新会長の会長就任挨拶にもありますように、学会の運営基盤を安定的に支えるための、会員数増に向けた施策です。この数年、会員数は減少傾向が続いてきましたが、昨年度は、この会員数減に歯止めがかかり、増加傾向に転じました。これは2018年度のすばらしい成果の1つですが、一方で産業界の正会員数については、残念ながら、依然として減少傾向が続いている状況です。
企業系理事としては、これについても、何とか減少傾向に歯止めをかけたいという思いがあり、会員数増に向けさまざまな施策を検討していきたいと思います。そこで、ここではITエンジニア向け活動の強化のための取り組みについて、少しご紹介させていただきたいと思います。
(1)認定情報技術者(Certified IT Professional:略称 CITP)制度について
2018年度は、IFIP IP3からの認定に伴いCITPの認知度が向上したことにより、累計認定者数9,402名、企業累計8社を達成しました。2019年度は累計認定者数1万人超えを目指します。また、Society 5.0やデジタルトランスフォーメーション(DX)に代表されるIT技術分野の広がりと社会ニーズを踏まえ、データサイエンティストやIoT人材などの新しい職種の資格化に向けての検討を進めていくとともに、CITPコミュニティの更なる活性化を目指します。
(2)ITエンジニア向けのイベント、フォーラム、論文誌
ソフトウェアジャパン、連続セミナー・短期集中セミナー、ITフォーラム等を通して、ITエンジニアの育成に貢献するとともに、会員増、収入増を図ります。具体的にはメーリングリストやフォーラムなど、CITPの交流・発表の基盤の拡大を進めるとともに、コミュニティへの参加を促し、活性化を図ります。
また、実務家向けの論文誌「ディジタルプラクティス」は、ITエンジニアにとってより魅力的な論文誌にするため、さまざまな課題も見えてきました。そこで論文の位置付けの明確化、投稿数の確保、認知度の向上、財政面の改善などの課題に対し体制を作って対策を実施してまいります。それ以外にもCITPやITフォーラム・研究会、業界団体とも連携していくことで、活性化を図ります。
(3)関連学協会との連携
情報処理学会では、情報処理推進機構(IPA)、情報サービス産業協会(JISA)、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)、電子情報技術産業協会(JEITA)、科学技術振興機構(JST)、先端IT活用推進コンソーシアム(AITC)、インターネット協会(IAJ)、情報通信技術委員(TTC)、日本データ通信協会(JADAC)、新世代M2Mコンソーシアム(M2M)、日本規格協会(JSA)、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)などのITエンジニアを対象とする団体や企業との連携を深め、共同イベントの開催などを推進して、企業会員増に貢献していきます。
以上が、企業系会員数増に向けた取り組みですが、もちらんこれらITエンジニア向け活動以外にも、学生・若手研究者育成の活動も、いろいろと新しい取り組みを実施中・検討中です。ぜひ、ご活用いただくとともに、良いアイディアがありましたら、遠慮なくご提案ください。情報処理学会をさらに魅力的な学会にしていくため、ご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。