2022年06月30日版:荒川 豊(技術応用担当理事)

  • 2022年06月30日版

    「連続セミナーへの想い

    荒川 豊(技術応用担当理事)


     1年前に理事に就任し1年が経過しました九州大学の荒川です。仕事としては、技術応用担当ということで、主に、連続セミナーやCITP(資格制度)などを担当しています。この担当は、企業からの理事が担当されることが多く、今回、アカデミアの立場から担当させていただくことで学ぶことが多い仕事と感じています。アカデミアにとってもちろん学会は重要ですが、企業にとってもなくてはならないと言われるような場にしていけるようにと思っています。今回は、仕事の中でも、連続セミナーについて取り上げたいと思います。

     連続セミナーとは、情報処理学会が毎年6月から12月にかけて実施している有料のセミナーのことです。1991年から実施されている歴史あるセミナーで、2019年までは、対面で終日かけて勉強するという形態で実施されてきましたが、コロナ禍を機にオンライン化を進めています。産業界(実務家)の視点から、関心度・注目度の高いテーマ、技術の先進性に富んだテーマを取り上げており、コロナ禍2年目の2021年は「ニューノーマル時代に向けた情報技術の潮流」として、ポストコロナ社会に対して情報技術がどのように貢献していけるのか、AIとSF、AIとロボティクス、量子インターネットなど、非常に魅力的なテーマが用意されました。

     さらに、2021年度からは、オンライン配信に加え、録画をあとから閲覧できる見逃し配信、1回あたりの時間を2時間程度とするなど、参加しやすくする工夫を行っています。これはコロナ禍への対応ということもありますが、インターネット、ウェブ会議システムなどは情報処理技術の賜物であり、本学会が率先してそれを活用するべきであるという考えからです。

     今年度の連続セミナー2022も、昨年度と同じく、とにかく参加しやすい形を追求し、見逃し配信の期間を大幅に長く設定したり、外部の一般的なチケット販売サイトで参加券を購入できるようにするといった工夫を加えています。テーマは「その先へ 情報技術が貢献できること」として、情報技術のニューノーマル社会への貢献と動向を俯瞰しつつ、AIの基礎、仮想現実(メタバース)、SDGs(カーボンニュートラル)、eスポーツ、富岳、コロナシミュレーション、など今後活用が期待される技術を取り上げています。
    https://www.ipsj.or.jp/event/seminar/2022/

     コロナ禍によって、会議のオンライン化が急速に進みました。オンライン化によって、どこからでも参加できる、移動時間・コストが不要になる、録画しやすくなる、字幕がつけられる(情報保障がしやすくなる)など、多くのメリットがあります。この結果、学会だけではなく、企業もウェビナーを開催することが多くなり、連続セミナーにとっては競合が増えたような気がしました。しかも、参加費を聴取する有料セミナーともなると、参加者が一気に減るのではないかと不安になりながら、本会がセミナーをやる意義を考えながら進めてきた1年でした。

     連続セミナーは、その年度の旬なテーマについて、その分野の一流の研究者が複数名で公演すること、そして、そのような濃密なセミナーが連続で提供されることに意義があると考え、今年度のテーマとコーディネータの選定を行いました。12回券を複数人、たとえば研究室の学生の皆様、で利用すると一人あたりの参加費は、かなり安い金額となりますので、知識獲得のためにご活用いただければ幸いです。