「平成27年度における電波資源拡大のための研究開発の基本計画書(案)」に対する意見

2015年3月19日
一般社団法人 情報処理学会
会 長  喜連川 優

以下のとおり,2015年3月19日付で意見書を提出しましたので,ご報告いたします.
(協力:モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)研究会,
   高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS)研究会)


2015年3月19日
総務省総合通信基盤局電波部電波政策課 御中
一般社団法人 情報処理学会
会長 喜連川 優
以下の通り意見を提出しますので、宜しくご査収ください。


■個別研究開発課題名:第5世代移動通信システム実現に向けた研究開発
   ~複数移動通信網の最適利用を実現する制御基盤技術に関する研究開発~
 項目:イ 複数移動通信網対応無線システム技術

周波数の有効利用を実現するには、無線だけでなく、IPアドレスの取り扱いなど、上位レイヤに係る検討が必須です。インターネットではIPv4グローバルアドレスが、自営網では多くの場合IPv4プライベートアドレスが利用されています。局所的にはIPv6アドレスが導入されています。このように、異なるアドレス空間が混在するネットワーク環境において、IP通信の開始を保証し、かつ通信中のネットワーク切り替えを可能にする必要があります。複数の移動通信網と自営網が連携して、ネットワーク側でIPアドレスを管理する方法も考えられますが、ネットワークの整備/運用が大きな負担になる可能性があります。ネットワークのアドレス体系を一切変えることなく、ホスト間の連携のみでの対策が可能であれば、新しい無線システムの導入も容易になります。ネットワークをできるだけ変更しないという考えは、インターネットの基本であるエンドツーエンド原理に沿っています。具体的には、ホスト間の連携による、以下のような上位層での方式検討が考えられます。

a.ホストがどのようなアドレス空間に接続されていたとしても、IP通信の開始を保証し、かつ可能な限りエンドエンド通信が実現できる通信方式を検討する。

b.ネットワーク自体がIPv4アドレスからIPv6アドレスに移行しても、ユーザにいっさい影響を与えないことを保証する技術を検討する。

c.通信中にネットワークを切り替えてIPアドレスが変化したとき、切り替え先がどのようなアドレス空間であっても、IP 通信の継続を保証し、かつ可能な限りエンドエンド通信を維持できる方式を検討する。


■個別研究開発課題名:小型高速移動体からの大容量高精細映像リアルタイム無線伝送技術の研究開発
 項目:ア 占有周波数帯幅狭帯域化で実現する技術の開発/イ 混信回避技術の開発

基本計画書(案)に記載されている電波資源拡大のための研究開発は、スマートな社会環境を構築するために必要であると考えます。モバイルトラヒックのほとんどが映像によるものである現状においては、研究開発の方向性について全体としては適切であると考えます。しかしながら、スマートな交通システムの実現による安全・安心社会の実現という観点からは、自動車を始めとする高速移動体における超低遅延の通信が必須となると考えます。その場合には、大容量高精細映像のリアルタイム無線伝送だけでなく、小容量ではあるが多数のノードからのリアルタイム無線伝送が必要になると考えます。その観点からの研究開発についても推進していただくようお願いします。
 
以上

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