「世界最先端IT国家創造宣言 改定(案)」に関する意見

2014年6月17日
一般社団法人 情報処理学会
会 長  喜連川 優

以下のとおり,2014年6月17日付で意見書を提出しましたので,ご報告いたします.

2014年6月17日
内閣官房IT総合戦略室 御中
一般社団法人 情報処理学会
会長 喜連川 優
以下のとおり意見を提出しますので,宜しくご査収ください.

平成25年6月に行われた「世界最先端IT国家創造宣言」に対する意見募集に対し,情報処理学会は,IT利活用を成長戦略の柱と位置づける本宣言に大いに共感を表明するとともに,本宣言が目指す社会の実現に向けて学術・科学技術・教育の各側面からの積極的な支援を表明しました.今回の改訂案に対しても,同様の支持を基本としつつ,いくつか意見を述べさせていただきます.
  1. 公共データの民間解放とパーソナルデータ利活用環境整備の重要性は,昨年の意見でも指摘しました.III.1.(1)(p6~p8),III.3.(1)(p20~p21),V.3.①(p28~p29)に沿った施策の強力な推進をお願いします.公共データの1次利用や2次利用に関するガイドラインを早急に整備することが望まれます.情報処理学会は,このようなオープンデータ/ビッグデータを有効に利活用した事例の創生と普及に取り組んでゆきます.例えば,ソフトウエアジャパン2013では,「ビッグデータの潮流を探る」というテーマの下でデータ利活用の実情と課題を議論しました.

  2. IV.1.(p23~p25)の人材育成・教育に関しても,昨年の意見で言及しました.情報処理学会は,高校情報科教員に向けた教員免許更新講習会の実施など初等・中等教育レベルの底上げ支援,大学での高度先進教育実施,社会人における上級プロフェッショナル資格制度策定など,既に取り組んでいる施策を関係府省庁とも連携しつつさらに推進してゆきます.

  3. IV.2.(p25~p26)に関して,先進的な研究開発を推進するための基盤整備を改めて要望します.先端科学技術の研究開発やそのための人材育成にはITインフラが必須であり,従来に増してその重要性は高まっています.しかし,現在のわが国の大学や研究機関の持つITインフラは脆弱で,欧米はおろか中国にも遅れをとっており,世界最先端ITと言える環境から遠く乖離していることを昨年の意見で指摘しました.状況はこの一年でさらに悪くなっています.早急にこの現状を打開できなければ,ITを社会に活かせる人材の輩出や世界最先端の研究推進を実現することは困難です.このような事態はわが国の将来を危うくするものであることから,早急にネットワークを始めとする学術界のITインフラを強化する必要があると考えます.情報処理学会は,ITに関するオープンな意見交流の場としての役割をより充実させることにより,このようなITインフラを最大限に活かした研究開発の推進および社会への実装・浸透に協力してゆきます.

  4. 2020年パラリンピック開催時には,様々な障がいを有する人々が世界中から日本を訪れることになるでしょう.しかし,III.1.(6)(p12)「東京オリンピック・パラリンピック等の機会を捉えた最先端のIT利活用による『おもてなし』の発信」では,障がい者に対する特段の配慮が見当たりません.我が国では2016年に障害者差別解消法を施行予定であり,ITによる障がい者支援の施策を強く推進すべきと考えます.「おもてなし」という言葉を健常者だけへのサービスにとどめず,障がい者に対する温もりのあるサービスを実現することで,日本の持つ真の意味の「おもてなし」が実現できると確信します.ITによる障がい者支援を是非ご検討・推進下さい.
以上

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