2012年度研究会活動報告

2012年度研究会・研究グループ活動報告

<コンピュータサイエンス領域>
DBS SE ARC OS SLDM HPC PRO AL MPS EMB

<情報環境領域>
DPS HCI CG IS IFAT AVM GN DD MBL CSEC ITS EVA UBI IOT SPT CDS DCC

<メディア知能情報領域>
NL ICS CVIM CE CH MUS SLP EIP GI EC BIO CLE  NEgr
 

コンピュータサイエンス領域

◆データベースシステム(DBS)研究会

[主査: 山名早人,
  幹事:牛尼剛聡,大島裕明,岡本真,小山聡,川島英之,戸田浩之,平手勇宇,堀井洋,山口実靖]

1.定例の研究会活動報告

    第154~156回の定例の研究会を開催し,合計59件の発表があった. 8月はIFAT研究会との合同研究会として,11月はWebDB Forum2012との連続開催として,12月は電子情報通信学会DE研究会との連立開催として実施した.

2.シンポジウム・国際会議等の報告

    DBS研究会では,年間3つの主なシンポジウムを実施している.

  • 「データベース,Web,情報マネジメントに関する若手研究者国際ワークショップ (iDB Workshop 2012))(8月実施)は国内外の研究者メンターが,メンティである若手研究者の研究への対面での直接のコメント,アドバイスを行う形式のワークショップである.2012年は,若手研究者から合計21件の応募があり,発表後メンターからのコメント,アドバイスを行った.なお,投稿・発表・質疑応答は全て英語で実施した.

  • 「Webとデータベースに関するフォーラム (WebDB Forum 2012)」(11月実施)は, 2008年から開催している本分野で唯一の査読付シンポジウムである.一般セッションでは,42件の投稿から選抜された27件の研究発表が行われた.また,その内,最優秀論文賞1件,優秀論文賞2件を表彰した.特別講演1件の他,特別セッションとして「ビッグデータの勘所」「食の情報検索」の2件を実施した.技術報告セッションでは,最新のWeb/DB技術に関して企業から10件の発表が行われた.参加者数は312名であり,WebDBは,大学や研究所の研究者ばかりではなく,Webに関係する企業の協賛・参加が多く,産官学連携のために重要な役割を果たしている.

  • 「データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2013)」(3月実施)は,本分野最大の規模で実施されるシンポジウムである.発表件数は474件(一般発表300件,インタラクティブ発表174件),参加者数は492名と盛況であった.
3.情報処理学会論文誌 データベースの報告

    「情報処理学会論文誌 データベース」(電子情報通信学会データ工学研究専門委員会共同編集)のVol.5 No.2~No.3,Vo.6 No.1~No.2(合計27件)の発行を終えた.

4.総括

    本研究会では,通常の研究会に加えて年間3つの大きなシンポジウム(日本データベース学会,電子情報通信学会データ工学専門委員会と共催)を実施しており,今年度も多くの方の発表と参加をいただくことができた.また,若手研究者育成を目指したiDBも定着してきており,成果が出てきている.

5.その他

    ビッグデータの重要性が増す中で,本研究会の役割はさらに重要となってきている.また,WebDBフォーラムでの企業連携は年々活発になってきており,社会との連携による研究会活動を今後も続けていく予定である.

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◆ソフトウェア(SE)工学研究会

[主査:岸 知二,幹事:阿萬裕久,鵜林尚靖,野田夏子,松下 誠]

1.定例の研究会活動報告
   以下に示す第172~175回の研究発表会を計画し,合計57件の研究発表申込み(活動報告を含む)があった.
  • 第176回    5月21日~22日早稲田大学 発表9件 (SIGEMBとの共同開催)
  • 第177回    7月19日~20日 大阪大学 発表11件
  • 第178回    11月1日~2日 広島市立大学 発表20件 (電子情報通信学会SIGSSとの連立開催)
  • 第179回    3月11日~12日 化学会館 発表36件
   研究発表の分野は,要求分析から設計・実装・テストに至るソフトウェアライフサイクルの一部分または全体を対象とした発表が多く,全体的には大きな傾向の変化は見られなかった.またビジネス系や組込み系,研究や事例・経験といったドメインや発表内容も従来通り幅広くとりあげられていた.発表件数も昨年度より増え,活発な議論ができた.また新しい試みとして電子情報通信学会の研究会との連立開催を行ったが,相互に刺激となりよかったと考える.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2012(SES2012)
    2012年8月27日~8月29日の3日間にわたり,東京電気大学(東京都・足立区)にて開催した.シンポジウム論文については,研究論文36編,および経験論文6編で計42編の投稿があった.このうち,フルペーパーとして13編,ショートペーパーとして15編を採録し,シンポジウム当日にこれら28件の発表が論文発表セッションで行われた.本年も例年同様,要求からテスト・保守まで,ソフトウェア開発の上流から下流に渡る幅広いテーマでの発表があった.特にテストとコードクローンに関する発表が多く,それぞれ関連するものとして2セッションずつ設けられたことは本年の1つの特徴と思われる.どのセッションでも活発に質疑が行われた.
    また,論文発表セッションに加えて,例年同様,基調講演,チュートリアル,ポスター発表,パネルディスカッション,ワークショップを企画したが,参加者は一様に充実した時間を過ごし,満足した様子であった.
    参加者には約130名だった.例年通りの水準ではあるが,参加募集の開始が遅れたことなどが参加者数に影響した可能性もある.今年度は例年と違い実行委員長をおかず,プログラム委員長と研究会の主査・幹事が共同して運営を進めたが,そうした新しい体制での運営に不慣れだったこともこうした遅れの要因のひとつと考えられ,来年度以降は今年度の経験を踏まえ改善していきたい.また昨年より論文集を,紙媒体ではなくCD-ROMおよび電子図書館での提供としたが,特に大きな問題もなく,今後もこの方向で考えていきたい.
    また昨年度に引き続き,ジャーナル特集号の募集をシンポジウムの論文募集と時期を同時期にし,シンポジウムへの投稿論文を論文誌へ同時投稿することを認めた.これにより,ジャーナル特集号への投稿が48件,採録が18件と昨年同様,多くの投稿をいただくことができた.
  • ウィンターワークショップ2013・イン・那須(WWS2013)
    2013年1月24日~25日の2日間,ラフォーレ那須(栃木県・那須郡)にて,開催した.論文投稿は47件で,様々な問題提起や研究成果の速報を含むものであり,これらを基に活発な議論を行うことができた.参加者は当初の計画より若干少ない57名であったが,密度の濃い議論が行われ,充実したワークショップとなった.今回のワークショップでは,研究会会員を中心とするソフトウェア工学の研究コミュニティからセッションテーマを募集し,7つのテーマ(「形式手法」,「ソフトウェア開発マネジメント」,「サービス指向」,「ソフトウェア工学研究の評価」,「ソースコードと機能の対応関係を特定する技術」,「モデリング,アジャイルとパターン」,「要求工学」)に関するセッションを設定した.参加者は,それぞれの討論グループに分かれて,1 日目午後から2 日目午前にかけて深い議論を行った.議論の成果として参加者全員で論文の執筆を行う等,セッション毎に様々な試みが行われた.2日目の最後に行われた全体セッションでは,各討論グループにおける議論の成果を参加者全員で共有した.今回のワークショップにより,ソフトウェア工学分野における研究および実践のさらなる発展に貢献できたと考える.
3.総括

   上記報告した研究会,シンポジウム,ワークショップ等,本年度の活動には概ね多くの方の参加を頂くことができた.SES2011への投稿論文を同時にジャーナル特集号への論文投稿として扱えるように企画し,投稿数・採録数とも大幅に増加できたことは収穫であった.今後とも質量の両面からソフトウェア工学分野の活性化につながるように,会員に対するサービスレベルの向上に努めていき,さらに充実した活動を行っていきたい.特に研究会活動のベースである通常研究会の発表件数の増加させていきたい.

4.その他

   2013年度は,4回の定例研究会,SES2013,WWS2014を開催し,さらに国際会議(SPC2013)も主催する予定であり,一部は既に準備を進めている.第1回目の研究会はSIGEMBとの共同開催で2日間行うことを予定している.また論文誌特集号もSES2013への同時投稿可能な形で募集を開始した.

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◆計算機アーキテクチャ(ARC)研究会

[主査:佐藤寿倫,幹事:甲斐康司,木村啓二,津邑公暁,山下浩一郎]

1.定例の研究会活動報告

 第192-196回の研究発表会を開催した.

  • 第192回 2012年5月7-8日 @サンマリーナホテル(OSとの共催)
    発表20件.OS研究者とのコミュニケーションを活性化する目的で,1件の招待講演「企業R&Dにおけるデザインメソドロジ」を催した.
  • 第193回 2012年8月1-2日 @とりぎん文化会舘(SWoPP)
    発表27件.例年多数の参加者で賑わうSWoPPであるが今年も多くの発表と参加があり,登録会員間のコミュニケーションに貢献した.
  • 第194回 2012年12月13-14日 @北海道大学(HOKKE,HPCとの共催)
    発表37件.HPC研究者とのコミュニケーションを活性化と国際化の目的で,1件の招待講演「FBG applications in geotechnical monitoring & testing」を催した.
  • 第195回 2013年1月31-2月1日 @早稲田大学(ICDとの連催)
    発表15件.集積回路研究者とのコミュニケーションを活性化する目的で,5件の招待講演と1件のパネルを催した.
  • 第196回 2013年3月26-27日 @和歌山県立情報交流センター
    発表11件.育成とコミュニケーションの目的で,2件の招待講演「スマートグリッドからスマートコミュニティへ」と「LSI化に繋がるシミュレータ開発手法と設計事例」を催した.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

    先進的計算基盤システムシンポジウムSACSIS2012を,2012年5月16日(水)~18日(金)の日程で神戸国際会議場にて,OS/HPC/PRO,電子情報通信学会のCPSY/DC/RECONFとの共催で開催した.

3.総括

    計算機アーキテクチャ研究会の「理念と目的」を明文化し3年目になる.これに基づき,今年度も「育成」「コミュニケーション」「国際化」のキーワードを具体化するイベントを開催した.研究会独自の若手奨励賞も定着し,今年度は9件を選定できた.上述のSACSISや夏恒例のSWoPP,そしてOS/HPC/ICDとの共催研究会は今年度も好評だった.ICDとは春のLSIとシステムのワークショップの共催と秋のアクセラレーション技術発表討論会の協賛を通じ,またEMBとは組込みシステムシンポジウムの協賛を通じて,登録会員に異分野交流の機会を提供した.第195回研究会では初めての試みとして,メニーコアシンポジウムを協賛し連続開催した.2013年度には第200回という大きな節目を迎えるが,引き続き登録会員が必要とする研究発表の場を提供すべく,関連する研究会と密な連携を保ちつつ,さらに活動を盛り上げていく予定である.

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◆システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)研究会

[主査:河野健二,幹事:阿部洋丈,高野了成,高宮安仁,毛利公一]

1.定例の研究会活動報告

    第121~124回の計4回の研究発表会を開催した.

  1. 第121回 2012年5月7日(月)~8日(火) サンマリーナホテル
    昨年に続き,「システムソフトウェアと計算機アーキテクチャの協創」のトピックで計算機アーキテクチャと共催で開催し,計算機アーキテクチャとシステムソフトウェアの相互関係などを議論した.本トピックおよび一般の発表を合わせ,OSアーキテクチャ,I/Oアーキテクチャ,仮想化,分散システムなど計 19 件の発表があり,1泊二日の滞在型の研究会として活発な議論が行われた.また,富士通研究所の山下浩一郎氏により「企業R&Dにおけるデザインメソドロジ」と題した招待講演を行った.

  2. 第122回 2012年8月1日(水)~3日(金) とりぎん文化会館
    例年にしたがい「並列/分散/協調処理に関するサマー・ワークショップ」として複数の研究会と共催により開催された.メニー/マルチコア向け OS,仮想化,ストレージ管理,分散システム,セキュリティなどについて全21件の発表が行われた.

  3. 第123回 2012年12月5日(水) 筑波大学 東京キャンパス文京校舎
    一昨年まで ComSys 併設ワークショップとしていたものを研究会に格上げし,組込みシステム研究会との共催として開催した.組込みシステム向け拡張言語やエミュレータ,仮想化環境などについて全 12 件の発表が行われた.

  4. 第124回 2013年2月28日(木)~3月1日(金) 岡山コンベンションセンター
    システムソフトウェア一般について発表を募集し,マルチコア・メニーコア向けの OS やスケジューリング方式,仮想化,セキュリティ,デバイス管理などの OS の基本的な機能についてなど全14件の発表が行われた.

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • 第24回コンピュータシステムシンポジウム 2012年12月6日(木)~7日(金)
    場所: 筑波大学 東京キャンパス文京校舎
       OS研究会としては,コンピュータシステムシンポジウムを研究会活動として重要視している.本シンポジウムと連携したACS論文誌を企画することで質と量の充実をはかり,基調講演や招待講演により本分野の先端的な話題を提供している.
      今回のシンポジウムでは,シンポジウムの前日に研究会を併設するという昨年からの試みを継続しつつ,さらにその前日には「BitVisor Summit」と称して,純国産仮想マシンモニタであるBitVisor に関する特別企画を行った.これらの試みは ComSys を単なる研究発表の場から,産業界と学術界の交流を図るための場へと積極的に変換していこうという狙いをもって企画されたものである.
      ComSys にイベントを併設するだけではなく,ComSys 自身でも次のような企画を行った.それは,システムソフトウェア分野で話題となっている先進的な技術について,企業の若手研究員に発表していただくという企画である.具体的には,NEC の高宮安仁氏による「SDN 時代の開発について:OpenFlow と Trema」,NTT の藤田智成氏による「本当はこんな風に使いたい SDN:既存ネットワークと Ryu」,NEC クラウドシステム研究所の喜田弘司氏による「ビッグデータをリアルタイムに処理するデータストリーム処理技術」,株式会社プリファードインフラストラクチャーの比戸将平氏による「Jubatus: 分散協調をキーとした大規模リアルタイム機械学習プラットフォーム」の4件である.この企画は大成功であり,例年に比べ企業からの参加者が大幅に増えるという効果をもたらした.これは ComSys を産学交流の場にしていこう狙いが見事に的中した形となり好ましい結果である.
      他にも筑波大学加藤和彦先生による「仮想化とシステムソフトウェア研究」と題する基調講演や,一般論文 5 件,ショート発表論文 4 件の発表,萌芽的な研究内容を発表するポスター・デモ(発表件数14件)も行った.
3.総括

   システムソフトウェアとオペレーティングシステム分野の研究発表活動では,社会的要請に応じてそのトピックが遷移し,今年度はクラウド,マルチコア,ストレージ,省電力などに関連した発表が増加傾向にあった.
   昨年度から研究会の回数を増やして年 4 回の開催としている.おおよそ 3 ヶ月に 1回の開催となり,萌芽的な研究発表の場として利用しやすくなったのではないかと考えている.研究会の開催回数を増やして 2 年目となったため,年 4 回開催が会員にも浸透したようで,どの研究会も 10 ~ 20 件の発表が集まるようになり,うまく機能していると感じている.
   また,今年度のシンポジウムは企業からの技術的内容についての招待講演を多くするという試みを行った.そのおかげで企業からの参加者が例年より多く,産学連携の場を提要するというシンポジウムの狙いにそった形となった.このような試みは来年度以降も継続していきたい.
   若手育成という視点から,2006年度より継続している学生表彰も継続して行っている.また,計算機アーキテクチャ研究会および組込みシステム研究会との合同開催を行った.今後も各種分野との研究交流について検討したい.これらの活動により,ますます重要性を増す OS 分野の活性化を行うことができた.
   なお,本年度は主査がサバティカルにより海外に滞在という異例の形となってしまったため,幹事団や運営委員の皆様にはいろいろとご迷惑をかけてしまったものの,皆様の力添えでなんとかこなすことができた.本研究会の各種学会活動のみならず,本分野のさらなる発展のため,今後とも,各方面のご支援・ご協力をいただければ幸いである.

4.その他

   本研究会では幹事が 4 名であるため,年 4 回の研究会開催,年 1 回のシンポジウムを運営していくためには若干,人手が足りない面がある.来年度から,運営委員に幹事補佐としての役割をお願いし,積極的に研究会等の運営に携わっていただくこととした.

 

◆システムLSI設計技術(SLDM)研究会

[主査: 村岡道明,幹事:岩田直樹,小松裕成,戸川 望]
1.定例の研究会活動報告

   以下に示す第156~160回の研究発表会を開催した。

  • 第156回: 発表件数: 10件,5月30・31日,
    テーマ: システム設計および一般,
    北九州国際会議場,
    電子情報通信学会 VLD 研究会と連催
  • 第157回: 発表件数: 20件,10月18・19日,
    テーマ: プロセッサ,DSP,画像処理技術および一般,
    ホテルルイズ盛岡(岩手県盛岡市),
    電子情報通信学会 SIP/IE/ICD/VLD 研究会と連催
  • 第158回(デザインガイア2012): 発表件数: 81件,11月26-28日,
    テーマ: デザインガイア2012 VLSI の設計/検証/テストおよび一般,
    九州大学百年講堂(福岡県福岡市),
    電子情報通信学会 VLD/DC 研究会と連催,CPSY/RECONF/CPM/ICD研究会と併催
  • 第159回: 発表件数: 29件,1月16・17日,
    テーマ: FPGA応用および一般,
    慶應義塾大学日吉キャンパス,
    電子情報通信学会 VLD/CPSY/RECONF研究会と連催
  • 第160回: 発表件数: 48件,3月13・14日,
    テーマ: 組込み技術とネットワークに関するワークショップ ETNET2013,
    対馬市交流センター会議室(長崎県対馬市),
    情報処理学会 組込みシステム研究会(EMB)と共催,
    電子情報通信学会 CPSY/DC 研究会と連催
2.シンポジウム・国際会議等の報告

   以下に示すシンポジウムを開催した.

  • DAシンポジウム2012: 8月29・30日,下呂温泉水明館 (岐阜県下呂市),発表件数: 35件
3.総括

   本研究会は,システムLSIを中心とする電子装置の設計技術,設計自動化技術の研究分野をスコープとして活動している.

   平成11年度に実施された「設計自動化研究会」からの改称と,それに伴うスコープの拡大により,活動の活性化が進んでいる.特に,研究会単独主催の「DAシンポジウム」では,研究発表だけでなく,新規の取り組みとして会場で課題の解法探索にチャレンジするDASコンテストの実験的開催を行い,次年度の本格的な開催に向けての課題等を探った.さらに,組み込みシステム技術に関するサマーワークショップと同時開催することにより,相互に技術交流を図っている.
   今回の参加者数は,昨年実績と同等数の100名の参加と盛況で,引き続き当研究会の活動が支持を得ていることが示されたと考えている.
   今年度も活発な議論ができるように2つの並列セッションで行い,発表件数は35件(昨年35件)で,発表内容は充実したものが多く,活発な議論が行われた.

   学生会員育成のための表彰SWGの活動(平成18年度創設)は,研究活動の更なる発展に向けた活動として定着し,DAシンポジウムにて学生賞18名が表彰された.

   平成20年度に創刊された,研究会独自のオンライン・トランザクション(TSLDM)は,平成24年8月に第9号(Vol.5 August Issue),つづいて平成25年2月に第10号(Vol.6 February Issue)を発行した.

4.その他
   本研究会は「DA シンポジウム」を中心としながら,電子機器の設計およびEDA技術の先端研究開発の交流の場を提供しています.発表件数と参加登録費がリンクしており毎年頭を悩ませていますが,適当なところで折り合いをつけて今後も種々の分野との連携を活発化させたいと考えています.活動予定については,下記をご参照ください.
   http://www.sig-sldm.org/

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◆ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)研究会

[主査:須田礼仁,幹事:建部修見,三吉郁夫,岩下武史,中田真秀]

1.定例の研究会活動報告

   第134-138回の研究発表会を開催した.
   第134回研究発表会は6月1日に電気通信大学で開催した.11件の講演のうち1件は計算科学連携招待講演として,電気通信大学の龍野智哉氏に講演をいただいた.発表件数は少な目であるが,参加者が多く活発な議論がなされた.
   第135回研究発表会は並列/分散/協調処理に関する『鳥取』サマー・ワークショップ(SWoPP 2012)の一部として,8月1日から3日にかけて開催された.開催可能スロット数を上回る申し込みを得たので,事前に取り決めてあった方針に従い,数件のご発表をご辞退いただかざるを得なかった.そのかわり46件の発表を1件あたり30分で拝聴することができた.
   第136回研究発表会は10月3日から4日にかけて沖縄で開催され,28件の充実した発表がなされた.
   第137回研究発表会は12月13日から14日にかけて,ARCと共催により北海道大学で開催された.37件の発表という多数の発表と活発な議論がなされた.
   第138回研究発表会は2月21日から22日にかけて,福井大学・あわら市の協力を得て,芦原温泉にて開催された.31件の発表が行われた.以上5回の研究発表会で合計153件の発表があり,極めて充実した討論ができたと考えている.数年来重要性が増しているGPUのほか,Intel MICの発表があり,また京やFX10で実行される計算科学アプリケーションに関する発表も活発であった.クラウドや分散ストレージに関する研究も充実している.

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  •  先進的計算基盤システムシンポジウム(SACSIS 2012):
    ARC, OS, PROおよび電子情報通信学会のCPSY, DC, RECONFとの共催で,5月16日から8日にかけて,神戸国際会議場で開催された.GPU,京コンピュータ,HPCに向いたプログラミング言語などのすぐれた発表があった.
  • 2013年ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム(HPCS 2013):
    HPC研究会単独で開催しているシンポジウムで,毎年開催になってから12回目となる.1月15日から16日にかけて,東京工業大学で開催された.本シンポジウムは計算科学と計算機科学の交流を重要な目標としており,アドバイザリ委員会からバイオと精度保証に関するオーガナイズドセッションをお願いした.京,TSUBAME,FX10 などのスーパーコンピュータを用いたアプリケーションの高性能化の発表があり,200名の参加者を得て,計算科学と計算機科学の交流の場としてコミュニティに貢献できたと考えている.
3.総括

   上記のほか,ARC, OS, PRO とともに論文誌「コンピューティングシステム」(ACS)を編集した.また,全国大会(東北大学)でHPCと防災に関するセッションを行った.HPC研究会は登録者も増加しており,研究発表会の発表件数も増加,シンポジウムも多数の参加者を得て活発な活動をできており,この場を借りて皆様にお礼を申し上げたい.

4.その他

   2013年度もこれまで通りの活動を充実させて望みたい.GPU,スーパーコンピュータ,クラウド等に加え,メニーコアに関する研究動向が注目されるところである.また,国際化について重要な観点ととらえており,特にシンポジウムと論文誌を英語にするかどうかについて慎重な議論をしているところである.我が国のコミュニティの発展のためによい選択ができるように,多くの方に意見を寄せていただければと思っている.

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◆プログラミング(PRO)研究会

[主査:増原英彦,幹事:西崎真也,長谷川立,南出靖彦,八杉昌宏]

1.定例の研究会活動報告
    第89-93回の研究発表会を開催し,合計40件の発表があった.このうち,第90回(8月,SWoPP2012)が他研究会との連続開催であり,残りの4回が単独開催である.

   平成24年度も,トランザクションプログラミング(PRO)と密着した体制で研究発表会を開催した.トランザクション(PRO)に投稿された論文は,まず研究会で発表され,発表会の直後に開催されるトランザクション(PRO)編集委員会において議論し,査読者を定めて本査読を行なった.例年通り,投稿の有無に関わらず,1件あたり発表25分,質疑・討論20分の時間を確保し,参加者が研究の内容を十分に理解するとともに,発表者にとっても有益な示唆が得られるように務めた.発表総数は40件で,その中,トランザクションへの投稿件数は23件であった.本稿執筆時点では一部の投稿論文の採否が確定していないため,採択率に関する報告は行わないが,今後とも,編集委員会において査読の観点を論文の欠点を見つけて評価する減点法ではなく,論文の長所を見つけて評価するようにこころがけていく方針である.

   また昨年度より開始した日本語採録論文の著者による英語化を続けている.本稿執筆時点においては3件の採録論文のうち1件がこの英語化の適用となった.

   若手を対象としたコンピュータサイエンス領域奨励賞の受賞者を2名選んだ.第93回研究発表会の場で表彰式を行った.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
    情報処理学会4研究会(ARC,OS,HPC,PRO)および電子情報通信学会3研究会(CPSY,DC,RECONF)の共同主催により,先進的計算基盤システムシンポジウム(SACSIS2012)を,5月16~17日に神戸国際会議場で開催した.

   また,日本ソフトウェア科学会インタラクティブシステムとソフトウェア研究会が12月6~8日に主催した第20回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2012)に協賛した.
3.総括

   プログラミング研究会の平成22-24年度の発表件数は順に42件,70件,40件であった.件数の増減がある一方で,発表テーマの多様性が増しているのが近年の傾向であると感じられる.

4.その他

   平成25年度もこれまで同様に5回の研究発表会を予定している.今後も,開催時期や場所の検討,査読方針や編集・査読体制の確認と検討をおこなうとともに, 会員にとってより便利で有益な研究会となることを目指したい.

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◆アルゴリズム(AL)研究会

[主査:宇野毅明,幹事:白井康之,田部井靖生,喜田拓也]

1.定例の研究会活動報告

   第140回から第143回までの合計4回の研究発表会を開催し,総発表数は34件であった.発表の内容は,グラフアルゴリズム,ネットワーク通信,列挙アルゴリズム,近似アルゴリズム,分散アルゴリズム,テキスト圧縮,計算複雑度,計算幾何,情報セキュリティなど,多岐に渡っている.本年度は2件の特別講演を企画した.1件は,3次元計測技術の第一線で活躍される今野晃市氏にご講演いただき,もう1件は,秘匿計算の第一線で活躍されている佐久間淳氏にご講演いただいた.どちらの講演も,参加者の視野を広げ,研究に新たな刺激を与えるよい機会となった.他研究会との交流としては,電子情報通信学会の「コンピュテーション研究会」と5月に連催,同学会の「回路とシステム研究会」・「システム数理と応用研究会」と11月に同時開催を行い,これらの研究会との研究交流も行った.

2.シンポジウム・国際会議等の報告

   小規模国際会議として,韓国の研究会と連携してJapan-Korea Joint Workshop on Algorithms and Computation (アルゴリズムと計算理論に関する日韓合同ワークショップ)を定期的に開催している.本年度は第15回のワークショップを7月に東京の情報学研究所にて開催した.発表件数は一般講演が21件,招待講演が1件であった.また,国際会議 International Symposium on Algorithms and Computation (アルゴリズムと計算理論に関する国際シンポジウム)への協賛も行った.

3.総括

   年4回の定例研究会に加え,小規模国際会議を開催し,例年通り活発な活動ができたと考えている.定例研究会では,学生を含め,若手研究者による発表が多数あり,当該研究分野の将来性が期待される.今後は,もう少し研究会の回数を減らし,一回当たりの発表件数を増やすことで,より研究会の活性化を図りたいと考えている.

4.その他

   アルゴリズム研究に関心を持つ研究者・学生の研究会への参加を促し,幅広い連携を展開していくことが,本コミュニティの発展にとって重要な課題のひとつであると考えている.研究会での発表形態の工夫や開催形態の工夫により,コミュニティ形成能力をより高くすることを考えていきたい.

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◆数理モデル化と問題解決(MPS)研究会

[主査:小林 聡,幹事:上田 浩,高田雅美,藤野昭典,関嶋政和,但馬康宏,棟朝雅晴]

1.定例の研究会活動報告

   第 88 - 92 回の 5 回の研究発表会を開催した.

  • 第 88 回:5月17日(木),於名古屋大学 ベンチャービジネスラボラトリー,発表25件,参加者数約40名.
  • 第89回:7月16日(月),於Monte Carlo Resort (Las Vegas),発表12件,参加者数約20名.
  • 第90回:9月19日(水)~20日(木),於北海道 小樽市 小樽経済センター,発表29件,参加者数約55名.
  • 第91回:12月 6日(木)~7日(金),於京都大学 桂キャンパス 船井交流センター,発表41件,参加者数約70名.
  • 第92回:2月27日(水)~28日(木),於佐賀県武雄市文化会館,発表 34 件,参加者数約50名.

   平成24年度の発表の内訳は,発表件数の多い順に,最適化とその応用,学習理論・データマイニングとその応用,バイオインフォマティクス,金融工学・経済物理学・ファイナンス,パターン認識および画像処理,数理モデル基礎,ソフトウエア工学,脳神経科学,並列分散処理,ユーザインタフェース,等の分野から合計141件であった.個々の研究会の活動状況は非常に活発であり,最適化理論やアルゴリズムに関する研究発表は,例年通り非常に件数が多く活発に研究がなされている.特に,進化計算に関する発表はそのうち半分近くを占めていた.学習理論とその応用に関する研究発表では,特に統計的機械学習に関する研究が非常に多く,著しい増加傾向にある.バイオイ ンフォマティクスの分野は,BIO情報学研究会との合同開催による増加がみられた.脳神経科学や金融工学の分野の発表も例年通り着実に研究発表が定着しつつあり,本研究会の活性化につながった.

   本年度も情報処理学会内外のいくつかの研究会と協力して開催した.第89回研究会は国際会議PDPTA12 の並列ワークショップとして英語での研究会発表を行い,第91回研究会はバイオ情報学研究会と共催を行ない,それぞれ大盛況に終った.

2.シンポジウム・国際会議等の報告

   本年度は以下の会議への協賛を行った.
   1) Japan Workshop on Emergent Intelligence on Network 2012 (JWEIN2012) への協賛(日本ソフトウエア科学会主催)
   2)  進化計算シンポジウム 2012 への協賛(進化計算学会主催)

3.総括

   本研究会では,これまでも活発に活動を行ってきた数理モデルとその解析,進化的計算を中心とする最適化アルゴリズムとその応用に関する研究分野に加えて,新規分野の開拓と,近 年増加傾向にある分野の定着に努めた.その結果,バイオインフォマティクスの分野の研究発表や,統計的機械学習に関する研究発表が非常に増加した.また,最近定着してきている金融工学の分野でも洗練された優秀な発表が目立った.そこで,今後も他の研究会や他学会などとの共同開催をすす めるなど,積極的な活動を行うことで,新規分野の更なる開拓を行い,数理モデルとその応用に関する研究者の活動の場としての一層の発展に努めたい.

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◆組込みシステム(EMB)研究会

[主査:中本幸一,幹事:久保秋真,武内良典,早川栄一]

1.定例の研究会活動報告

   第25回~28回の研究発表会を開催した.EMB研究会は組込みシステムというテーマに関してCS領域内の他研究会が扱う諸テーマ間の横串を指す役割を担っていることから,本年度も各関連研究会との共催の研究発表会を実施した.

  •  第25回研究会(5月21~22日@早稲田大学)
    ソフトウェア工学研究会との共催で13件の研究発表を行い,組込みシステム,ソフトウェア工学の共通領域について議論を行った.
  • 第26回研究会(9月10日@九州大学)
    単独開催で6件の研究発表があった.また,九州大学オートモーティブサイエンス専攻で導入した自動車統合シミュレータの試乗会を実施した.
  • 第27回研究会(12月5日@筑波大学)
    オペレーティングシステムとシステムソフトウェア研究会との共催で12件の研究発表を行い,組込みシステム,オペレーティングシステムの共通領域について議論を行った.また,ComSys2012と連続開催とすることによって,関連する研究者が多いシステム領域の研究者に多く参加頂いた.
  • 第28回研究会(3月13〜14日@対馬市交流センター)
    システムLSI設計技術研究会,および電子情報通信学会コンピュータシステム研究会,ディペンダブルコンピューティング研究会と共催で,「組込み技術とネットワークに関するワークショップ ETNET2013」を開催した.全部で 48件の研究発表があり,当該分野に関する議論を行った.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

   組込みシステムシンポジウム(ESS2012)を,8月17~18日に東京都市大学にてロボットチャレンジコンテストを,10月16~19日に講演会,論文発表会,ロボットチャレンジを東京・国立オリンピック記念青少年総合センターにおいて開催した.産業界・学術界から22件の論文発表や実践報告があり,また基調講演として,University of Oulu のProf. Juha Roningおよび慶応大の西先生のお二人に登壇いただいた.シンポジウム初日には4件のチュートリアルや学生を中心としたESSロボットチャレンジなど興味深いイベントも実施した.シンポジウムの参加者は約160名で組込みシステムに関する中心的なシンポジウムとして広く認知されるようになってきた.

3.その他の活動

・ 情報処理学会論文誌特集号(平成24年)を募集,査読し,12月発刊した.27編投稿があり,最終的に11編が採録された.
・ 情報処理学会論文誌特集号(平成25年7月発刊予定)を募集し,査読を終了した.19編投稿があり,最終的に10編が採録された.
・ 情報処理学会誌に研究会推薦博士論文速報を,平成24年度分1件を推薦した.
・ 山下賞1名,CS領域賞1名を推薦した.

4.総括

   研究会として発足し7年が経過し,その活動が多くの方々に理解されるようになってきている.研究会運営委員も初期のメンバーから徐々に世代交代をしながら,その裾野を広げつつあり,情報処理学会内に閉じることなく電子情報通信学会などの関係する研究会や産業界の団体などとも連携を保ち,組込みシステムの技術発展に向けて学術の世界のみならず実務の世界への積極的な発信が出来るようになりつつある.

5.その他

   情報処理学会全体の課題となっている会員増,研究会登録会員増や学生会員の参加,実務視点などを考慮した活動の活性化なども問題についても研究会としてより実効性のある施策を検討していきたい.

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情報環境領域

◆マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会

[主査: 勝本道哲,幹事: 加藤由花,新保宏之,藤田茂,山室雅司]

1.定例の研究会活動報告

 定例の研究会は,以下の通り4回実施した.

  • 第151回DPS研究会/2012年05月21日~22日/沖縄青年会館(那覇市)
  • 第152回DPS研究会/2012年09月13日~14日/尾道公会堂別館(尾道市)
  • 第153回DPS研究会/2012年11月15日~16日/彦根キャッスルホテル(彦根市)
  • 第154回DPS研究会/2013年03月14日~15日/東京電機大(東京都)

+ 第151回は,沖縄でMBL,信学会MoMuCとの合同での開催とし,全体で28件の研究発表(うちDPSは7件)があり,理化学研究所 青野真士様より「粘菌コンピューティング:時空間振動ダイナミクスによるボトムアップ型資源配分最適化」という題目で,ご講演を頂いた.
+ 第152回は,尾道でGN,EIPとの合同開催とし,全体で32件の研究発表(うちDPSは15件)があり,広島国際大 寺重隆視教授より「家庭と地域が主導する科学技術教育の推進」という題目でご講演を頂いた.
+ 第153回は,彦根で12件の研究発表があった.ここでは合宿形式での開催を試み,主査レポート,参加者全員による研究討論等を企画し,活発な議論が行われた.
+ 第154回は,東京でCSECとの合同開催とし,全体で58件の研究発表(うちDPSは21件)が行われた.
+ 今年度の発表件数は,招待講演を除き55件であった.

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • マルチメディア,分散,協調とモーバイルシンポジウム(DICOMO2012)
        2012年7月4日~8日に石川県 山代温泉 ホテル百万石において開催された.「新たな成長を目指すICT」という統一テーマを掲げ,318件の研究発表が行われた.本シンポジウムは,DPS,GN,MBL,CSEC,ITS,UBI,IOT,CDS,SPT,DCCの10研究会の共催による非常に大規模なシンポジウムである.本シンポジウムにおけるDPS関連発表は,11セッション,49件(デモを除く)を占めており,多くのDPS関連発表者がこのシンポジウムに参加し,交流を深めた.

  • マルチメディア通信と分散処理ワークショップ
       今回で20回目となった本ワークショップは,愛媛県松山市 ホテル奥道後で開催された.33件の論文発表と,デモ・ポスターセッションでの13件の発表を合宿形式で行い,81名の参加者のもと真摯な議論が行われた.投稿されたすべての論文は,プログラム委員によって並列査読された.参加者全員参加による深い議論を目指し,今年度もシングルセッションによる開催とした.
       また,特別セッションとして,デモ・ポスターセッションを初日に設け,活発な議論が行われた.査読コメントに基づいて改良された論文をベースとした討論は,発表の場として発表者及び参加者の双方にとって有意義であった.
       また,本年は,未来を見据え,若手研究者・学生をエンカレッジし,世界に羽ばたく研究者・ 技術者へと育成することを目的としたテーブルディスカッションを実施した.
       表彰としては,査読結果に基づく優れた論文に対して,最優秀論文賞1件,優秀論文賞4件,奨励賞5件,審査員及び参加者の投票によって優秀ポスター賞1件,優秀デモンストレーション賞1件,白鳥賞(審査員特別賞)1件,最優秀プレゼンテーション賞1件,優秀プレゼンテーション賞2件を授与した.また,3日間の発表を通して,活発な議論をしてくれた参加者に対してベストカンバサント賞を1件授与した.これらの賞により,優秀な研究成果及び研究者を評価奨励し,活発なワークショップとすることができた.また,通常のセッションはもちろんのこと,懇親会や宿泊している部屋で大学や企業組織の枠を超えた議論が深夜まで続き,新しい研究の発展が得られるワークショップとなった点でも,今後の本研究領域の発展に寄与するものと考えられる.

  • 論文誌「分散処理とネットワークサービス」特集号
        将来のネットワークを実現するネットワーク基盤技術,サービス技術,アプリケーション技術,新世代のマルチメディア処理や分散処理に関する優れた論文を一括掲載することを目的として本特集号が企画された.ゲストエディタには,木原民雄氏(NTT)を迎えて編集委員会を組織し,応用研究などの実用的な論文や,時事的に重要なテーマ,萌芽的な研究についても積極的に評価する方針とした.また,早い結果通知の実現のため,編集委員会のスケジュール等の工夫を行った.その結果,新世代のマルチメディア通信と分散処理に関する論文が 38件投稿され,編集委員会による査読評価の結果,26件を採録とした.採録率は68%であり,採録された論文は,基盤技術から応用まで多岐に渡り,特集号の狙いに合致した論文を採録することができたと考えられる.
3.総括

   本研究会では,4回の定例研究会,シンポジウム,ワークショップを通して,研究者相互の交流と研究に対する活発な意見交換の場を提供することができた.特集論文については,非常に多くの方にご協力頂き,遅延のない査読プロセスを進めることができた.ここに改めて,ご協力頂いた皆様に感謝する.今後も,DPS関連研究者の更なる研究の活性化,また国際化への支援を進めていく予定である.皆様の積極的な参加とご協力をお願いしたい.

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◆ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)研究会

[主査:西本一志,
  幹事:新西誠人,三浦元喜,中村聡史,中村嘉志,福地健太郎,吉高淳夫,小倉加奈代,小松孝徳]

1.定例の研究会活動報告

   第148~152回の研究発表会を開催した.各回のテーマと招待講演,発表件数等は以下の通り.

  • 第148回(沖縄産業支援センター) 2012/6/1~2
    テーマ:融合とインタラクション
    招待講演:「艶(あで)やかな知者-イカの社会と「わたし」と-」 池田譲氏(琉球大学)
    発表件数:23件
  • 第149回(源平荘(山口県下関市))2012/7/19~20
    テーマ:支援とインタラクション
    招待講演:「医療福祉現場のニーズに応えた支援機器の開発」 岩本英久氏(呉工業高等専門学校)
    発表件数:17件
  • 第150回(お茶の水女子大)2012/11/1~2 SIGUBIと共催
    テーマ:愛情とインタラクション
    招待講演1:「母子間相互作用研究からみたHCI」  開一夫氏(東京大学大学院)
    招待講演2:「イグノーベル賞受賞記念講演」  栗原一貴氏(産総研),塚田浩二氏(科学技術振興機構)
    発表件数:18件
  • 第151回(熱海(湯河原温泉)) 2013/2/1~2 SIGSLPおよびJSAI SIG-SLUDと共同開催
    テーマ:第3回対話システムシンポジウム
    招待講演:「音声対話システムの進化と淘汰」 河原達也氏(京都大)
    発表件数:13件 (うち7件はデモ発表)
  • 第152回(明治大学駿河台キャンパス) 2013/3/13~14
    テーマ:継続とインタラクション
    特別セッション:「インタラクティブメディアの保存と調査」
               森川嘉一郎氏(明治大学国際日本学部),山田俊幸氏(米沢嘉博記念図書館),
               岩城進之介氏(株式会社ドワンゴ),伊豫田旭彦氏(株式会社ドワンゴ)
    発表件数:29件

 以上,発表総件数100件

   第147回~151回研究会より,以下の7件を学生奨励賞として表彰した:

  • 第147回研究会(2012年3月21・22日 JAIST東京サテライト)
    ・竹内拓馬君(新潟大学)「手の形状を識別するマルチタッチテーブルの開発とインタラクション手法の検討」
    ・池之上あかり君(北陸先端科学技術大学院大学)「微少遅延聴覚フィードバックを用いたドラム演奏フォーム改善支援システム」
  • 第148回研究会(2012年06月1日・2日 沖縄産業支援センター)
    ・加藤慎一朗君(中京大)「Twitterから得られる自然言語情報を用いて行う単語への感情付加手法」
    ・梅本和俊君(京都大)「検索意図の遷移検出に基づく動的なクエリ推薦に向けた行動ログデータの分析」
  • 第149回研究会(2012年7月19日-7月20日 源平荘(山口県下関市))
    ・大江龍人君(筑波大)「軌跡に基づいたundo/redoインタフェース」
    ・大家眸美君(明治大)「ウェブコンテンツにおけるネガティブ感情表現の緩和手法」
  • 第150回研究会(2012年11月1日-2日 お茶の水女子大学)
    ・岩本拓也君(北陸先端科学技術大学院大学)「恋愛初期における愛着行動を伝える対面コミュニケーションメディア実現に向けた基礎的検討」
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  1. The 17th Human Computer Interaction Workshop (HCIP17) を,第149回研究会と併設開催した.研究会のテーマでもあった「支援とインタラクション」に関してグループを構成してディスカッションを行い,その議論結果を報告した.
  2. SIGSLPおよびJSAI-SIGSLUDと共同で,第3回対話システムシンポジウムを第151回研究会と併設開催した.パネルディスカッションにおいて,多様な立場から対話システムの可能性について議論した.
  3. インタラクション2013シンポジウム(2013/2/28-3/2)を,GN研・UBI研およびEC研と共催した.当研究会の澤田教授(香川大)が大会委員長を担当した.従来通り,質・量ともにきわめて高いレベルのシンポジウムとなった.
3.総括

   研究会での発表件数は100となり,第151回研究会でのデモ発表分をを除いても93件で,前年度よりも増加した.研究会登録会員数も高い水準維持している.このように,研究会活動は,昨年度に引き続き活発である.
   なお,年度末に当研究会のウェブサイトがマルウェアに感染していたことが判明し,多方面に多大なご迷惑をおかけした.以後このようなことが生じないよう,セキュリティに十分配慮した運営を行いたい.

4.その他

   H24年度で西本(北陸先端大)が退任し,新たにH25年度より河野(関西学院大)が主査に就任する.H25年度も,新体制において引き続き研究会の活性化に努める所存である.

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◆グラフィクスとCAD(CG)研究会

[主査:柿本正憲,幹事:伊藤貴之,栗原恒弥,土橋宜典,吉田典正]

1.定例の研究会活動報告
  • 第147回 テーマ:人にやさしいCGおよびCG一般
    平成23年 6月27日(月) お茶の水女子大学
    発表件数 7件 招待講演1件
  • 第148回(夏の集中研究集会) テーマ:自然に学ぶCGおよびCG一般
    平成24年 8月 29日(水) 九州大学西新プラザ
    発表件数 10件
  • 第149回 テーマ:実世界と仮想世界を繋ぐCV・CG
    平成24年12月3日(月)~ 4日(火) 横浜国立大学教育文化ホール
    発表件数 20件(CVIMとの合同開催)
  • 第150回 テーマ:自然現象の再現,CG教育およびCG一般
    平成24年 2月 18日(月)~ 19日(火) 東京大学柏図書館メディアホール
    発表件数 23件(CGARTSとの合同開催) 招待講演2件
   総発表件数は60件,このうち当研究会申込みの発表は45件で,昨年度の66件より減少した.優秀研究発表賞(GCAD賞)として,シンポジウム発表も含めた年間合計103件の中から14件を選出した.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • Visual Computing/グラフィクスとCAD合同シンポジウム2012
    平成24年 6月23日(土)~ 24日(日)
    早稲田国際会議場
    発表件数53件(うちポスター発表31件) 招待発表2件 投稿件数76件
    顔の表現や物理シミュレーション,モデリング,レンダリングといった伝統的な分野に加え,実物体の生成など,多岐にわたる分野での研究が多数報告された.
  • CEDEC2012共催イベント「物理シミュレーション最前線」
    平成24年 8月 21日(火)
    パシフィコ横浜
    招待講演 2件,パネル討論
    CEDEC2012から1会場の提供を受けて,当研究会関係者とゲーム開発者によるパネル&ラウンドテーブル企画「物理シミュレーション最前線」を実施した.研究会から招待された2名の若手研究者の講演と,パネル討論を合わせ,計1時間のイベントを実施した.聴講者は約70名で,パネル討論では時間を超過するほど活発な議論が交わされた.CEDEC2012参加者アンケートでも,本イベントが高く評価された.
3.総括

   研究発表会での発表者数が大幅に減少した.他学会の催しと時期が重なったことが一因である.
   研究会推薦論文制度の変更により,主査以外の共同推薦者がメタ査読者になることが可能となったこともあり,推薦件数が5件に増えた.
   2月の研究発表会は,第150回の節目と,この分野を牽引してきた西田友是先生の大学定年退職が重なり,特別講演を開催した.また,第147回と第150回でそれぞれ中国及び米国より著名な研究者を招いて招待講演を開催した.

4.その他

   発表件数を増やす基本方策として,参加者に積極的な質疑と議論を促し,発表者の研究進展を今まで以上に強く支援する研究会としたい.

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◆情報システムと社会環境(IS)研究会

[主査:刀川 眞,幹事:冨澤眞樹,児玉公信,高橋尚子]

1.定例の研究会活動報告

   第120回(6月4日,青山学院大学青山キャンパス,7件),第121回(9月10・11日,甲南大学マネジメント創造学部,12件),第121回(12月3日,NTT武蔵野研究開発センタ,5件),第123回(3月14・15日,東京工科大学 蒲田キャンパス,9件)と4回の研究発表会を開催し,計34件の発表があった.情報システムの分析・設計・開発・運用・利用に関する多彩なテーマ,情報システムの人材育成に関する実践や方法論のほか,情報システム評価に関する研究報告も見られた.また,2010年度に開始した情報システムの有効性評価手法分科会の活動の成果が発表された.

2.シンポジウム・国際会議等の報告

   FIT2012のイベント企画として,9月5日に「情報学研究における質的アプローチの可能性を探る」を開催した.情報システムを個別一回性の現象ととらえた場合の研究方法として「質的アプローチ」を取り上げ,2名の識者による実践を踏まえた講演と,さらに2名のパネラーを加えたパネルディスカッションを行った.約30名の参加を得て,活発な議論が行われ,情報システムの有効性評価手法分科会での研究ガイドライン策定に向けて多くの示唆が得られた.

3.総括

   本年度も情報システムにおける広い分野からの多くの種類の発表や議論が活発に行われた.それらに加えてPBL(Project/Problem Based Learning)に関係したテーマや東日本大震災の影響のためか防災関係のテーマが目立った.また研究会独自の論文執筆ワークショップを継続するとともに,情報システムの有効性評価手法分科会の活動成果である「量的評価ガイドライン」をホームページ上に公開した.

4.その他

   本年度も当研究会が編集母体となって,情報システム関連のジャーナル特集号の発刊を継続した.来年度からは研究活性化やジャーナル論文の質・量の向上を目指し,希望者には研究会発表においてコメンテータによるより詳細なアドバイスの提供を考えている.

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◆情報基礎とアクセス技術(IFAT)研究会

[主査:関 洋平,幹事: 稲垣陽一,岸田和明,酒井哲也,野本忠司]

1.定例の研究会活動報告

   第107-110回の研究発表会を開催した.
   定例の研究発表会は例年通り,DBS研・ディジタル図書館ワークショップ・NL研およびDD研とそれぞれ合同で開催した.第107回研究発表会では,iDB メンター講演会と連携することで,多くの研究者からの参加があった.第108回研究発表会では,「ディジタルアーカイブを語ろう ーDigital Archive Networkの実現に向けて」という特別セッションを企画した.第109回では,国際会議 COLING2012 について参加報告のセッションを設けた.第110回は,学生チャレンジという特集を組み,8人の学生から発表があった.

2.シンポジウム・国際会議等の報告

   第四回情報アクセスシンポジウム(IAS2012)を開催した(12/7, NII).昨年より導入した学生メンタリングセッションには,三名の参加があった.また,基調講演は,加治佐俊一氏(マイクロソフトディベロップメント社長・日本マイクロソフトCTO)から,「ユーザーインターフェースの進化とアクセシビリティ」というタイトルで,Natural User Interface に向けた発展,Kinect for Windows について,講演が行われた.招待講演は,村上明子氏(IBM 東京基礎研究所)から,「分析技術が創り出すレジリエントな社会」というタイトルで,通常時と非常時のソーシャルメディア分析・活用のシナリオについて,また,井手一郎氏(名古屋大学)からは,「大規模放送映像アーカイブの構造化と映像再編簒」というタイトルで,ニュース映像アーカイブにおけるトピックスレッド構造の分析や,映像の再編纂について講演が行われた.ワンポイントセミナーでは,若手研究者2 名による国際会議ACM SIGIR における発表に向けたアドバイスや,今年度行われた2 件の国際ワークショップからの今後の情報検索研究に向けた知見,あるいはデジタルライブラリ研究の方向性について,セミナ講演が行われた.また,第二回IFATヤングリサーチャ賞授賞式を開催した.査読付き論文セッションは,情報学広場でオープンアクセス公開した.IAS2013はメンタリングサービスをさらに充実させ,学生の参加者を拡大したいと考えている.

3.総 括

   情報基礎および情報アクセス技術の分野は,検索エンジンなどの情報アクセス手段が一般社会に浸透した今日,重要性が増すばかりである.今後は,韓中台など東アジアの興味を共有する研究グループとの連携等を通じ,同分野をさらに活性化していきたい.また,ASSIA(アジア情報アクセスサマースクール)への協力や,メンタリングサービスの導入などにより,若手研究者や学生の参加者の増加に務めたい.

4.そ の 他

- 情報基礎とアクセス技術研究会(通称IFAT)は,2010年4月に情報学基礎(FI)研究会より名称変更しました.http://ipsj-ifat.org
- twitterでも情報配信中です(@sigifat).
- 情報アクセスによる研究コミュニティを立ち上げました.https://www.facebook.com/groups/264260043657555
- IFATは,Asia Information Retrieval Societies conference (AIRS) の日本からの協賛研究会です.
- 2013年6月に開催予定の ASSIA(アジア情報アクセスサマースクール)に協賛します.
- 来年度から,主査は野本忠司先生に交代します.

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◆オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)研究会

[主査:酒澤茂之,幹事:石井大祐,井上雅之,高木幸一]

1.定例の研究会活動報告

   第77-80回の研究発表会を開催した.

  • 第77回研究発表会 2012年7月19,20日 
    筑波大学大学会館 特別会議室
    連催:電子情報通信学会モバイルマルチメディア通信研究会(MoMuC),画像工学研究会(IE)
    共催:映像情報メディア学会 コンシューマエレクトロニクス研究会(ITE-CE),メディア工学研究会(ITE-ME)
    テーマ: コンシューマエレクトロニクス,メディアエレクトロニクス,画像工学,オーディオビジュアル,モバイルマルチメディア通信,一般
    12件
  • 第78回研究発表会 2012年9月20,21日 
    鳥取県関西本部交流室
    連催:電子情報通信学会スマートインフォメディアシステム研究会(SIS)
    テーマ: 知的マルチメディアシステム,オーディオビジュアル,一般
    15件
  • 第79回研究発表会 2012年12月6,7日 
    福井市地域交流プラザ 研修室607号室
    連催:電子情報通信学会通信方式研究会(CS),画像工学研究会(IE)
    共催:映像情報メディア学会放送技術研究会(BCT)
    テーマ: 画像符号化,通信・ストリーム技術および一般
    32件
  • 第80回研究発表会 2013年2月22日 
    津田塾大学小平キャンパス
    テーマ: マルチメディア処理・符号化・理解,通信・ストリーム技術,一般
    8件
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • 画像符号化シンポジウム,映像メディア処理シンポジウム(PCSJ/IMPS)
    当分野の取り扱う分野に関連の深い表記研究会と共催した.2012年10月24~26日の3日間,ニューウェルシティ湯河原にて開催され,約150名の参加があった.画像符号化や映像処理,特にHEVCや新しい符号化処理方式,画像復元,超解像,三次元復元などの約100件の研究成果が発表された.また特別講演として,ソニーの鈴木輝彦氏による「次世代ビデオコーデックHEVC」,および名古屋大学・村瀬洋先生による「低品質な画像を認識する」が行われ,多数の質疑応答があった.また,恒例のナイトセッションでは,キヤノンの片山昭宏氏による「実用期を迎えたMR技術」~「ものづくり」現場での活用事例~に関する発表が行われ,活発な議論と意見交換が行われた.
3.総括

   映像符号化伝送に関して,国際標準化の動向も反映しつつ,専門性の高い研究発表が行われた.テーマとしては長年取り組まれているものではあるが,国際的な研究水準の向上も踏まえつつ,引き続き新たなアイデアが議論される場を研究会として提供している.一方で,研究分野の開拓は,他研究会との共催,連催を通して,様々な研究発表が行われる形で,多様性の確保が行われた.また,マルチメディア分野への進出と国際学会との連携を意図して,ICIPおよびACM Multimediaを紹介する特別講演を昨年度にひき続いて実施し,ステップとなる活動を行うことができた.

4.その他
   新たな研究分野を当研究会としても開拓していくことにより,新たな発表や参加者を獲得することが必要である.主要国際学会への橋渡しについては引き続き2013年度も継続し,また,国際ワークショップへのオーガナイズドセッション参加も新たに実施し,研究会の活性化を更に図っていきたい.

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◆グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会

[主査:小林 稔,幹事:緒方広明,金井秀明,金子 聡,斉藤典明]

1.定例の研究会活動報告

   平成24年度は以下の通り,第84-87回の研究発表会を開催しました.

  • 第84回(平成24年5月17-18日 千葉工業大学):発表件22件
         SPTと共催,電子情報通信学会LOIS研究会と連催.
  • 第85回(平成24年9月13-14日 尾道公会堂:発表33件
         DPS, EIPと共催.
  • 第86回(平成25年1月16-17日 名桜大学:発表41件
         CDSと共催.
  • 第87回(平成25年3月18-19日 北陸先端大 東京サテライト:発表18件
2.シンポジウム・国際会議等の報告

  平成24年度は以下の通り,2シンポジウム,1ワークショップを開催しました.

  • DICOMO2012シンポジウム(平成24年7月4-6日 石川県 山代温泉 ホテル百万石):
    発表286件,デモ20件,企業常設展示3件,基調講演・招待講演・特別講演9件
    平成9年より開催しているDICOMOシンポジウムは,DPS,MBL,CSEC,ITS,UBI,IOT,SPT,CDSと共催,DCCと協賛
     
  • インタラクション2013(平成25年2月28日-3月2日 日本科学未来館):
    一般講演18件,招待講演1件,インタラクティブ発表164件
    平成9年より開催しているインタラクションシンポジウムは,HCI,UBI,ECと共催
     
  • グループウェアとネットワークサービス研究会20周年記念シンポジウム&ワークショップ2012 (平成24年11月1-2日 東京農工大学):
    発表10件(招待講演4件,一般4件,ポジション2件)
    平成16年に第1回を開催して以来,GN研究会ならではの発表の場を提供するべく開催しています.質の高い研究成果の報告を得ると同時に,研究の芽や方向性に関する報告など,ワークショップにふさわしい多様な研究報告が行われました.H24はGN研究会結成20周年になるため,20周年記念シンポジウムをワークショップと同時開催しました.招待講演者の他,歴代主査の先生方にも参加いただきこれまでの振り返りと今後のグループウェアとネットワークサービスの研究の方向性について活発な議論が行われました.
3.総括

   当研究会は,平成5年度の発足以来,グループウェア技術に関して,理論から応用,情報科学から社会科学,と幅広い学際的研究活動を活発に推進してきました.この間,Webなどのグループウェアの実用化が急速に進み世の中に定着しました.当初は企業内の既成組織など目的の明確なグループの協調作業を対象にした研究や応用システムが大部分でしたが,インターネット技術の発展とともに,企業対企業,企業対個人,また個人対個人での作業,あるいは業務にとらわれない人と人とのコミュニケーションや興味を主体とするコミュニティ形成にまで対象が広がってきております.
   これらの動向を踏まえて,平成13年度より,研究会名称をグループウェアとネットワークサービス研究会へと変更し,ネットワークサービスも対象として,これらの分野での研究の推進役としての活動を行っております.発表内容もマルチユーザインタフェースからWeb2.0関連サービスまで広がっています.
   H24年度の具体的な活動として,4回の研究会,1回のワークショップ,2回の共催シンポジウムを開催しました.今年度よりサポートセッションという,研究の萌芽段階を支援する目的で,論文・発表は通常の研究発表よりも短くし会場での議論を中心とする発表形態を設けました.また,年度を通じて継続的な発表を行い研究会活動に貢献いただいた方を「グループウェアとネットワークサービス研究賞」とし,平成23年度に活躍された2名の方を平成24年に表彰しました.

4.その他

   研究会関連メンバへのサービスとしては,平成13年4月から毎月メーリングリストによるニュースレターの発行を継続しており,現在約300名がメーリングリストに登録されています.

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◆デジタルドキュメント(DD)研究会

[主査:今村 誠,幹事:秋元良仁,天笠俊之,高橋慈子,細見 格]

1.定例の研究会活動報告

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 

3.総括

4.その他

 

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◆モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)研究会

[主査:竹下 敦,幹事:太田 賢,山口弘純,石原丈士,荒川 豊,窪田 歩]

1.定例の研究会活動報告

   第62-65回の研究発表会を開催した.

  • 第62回研究発表会 5月21,22日,沖縄県青年会館
    ・共催:情報処理学会マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会
    ・連催:電子情報通信学会モバイルマルチメディア通信(MoMuC)研究会
  • 第63回研究発表会 8月30,31日,東京理科大学 森戸記念館
    ・優秀論文,優秀発表,奨励発表の表彰式を実施
  • 第64回研究発表会 11月15,16日,北海道大学 百年記念会館
     ・共催: 高度通信システム研究会(ITS)
  • 第65回研究発表会 3月14,15日,東京大学 駒場リサーチキャンパス
    ・共催:ユビキタスコンピューティングシステム研究会(UBI)
    ・連催:電子情報通信学会アドホックネットワーク(AN)研究会,モバイルマルチメディア通信(MoMuC)研究会

   本年度の定例研究会は計画通り4回実施した.デモ・ポスターセッションの新設等,発表の間口を広げる取り組みの成果もあり,発表件数(招待講演・共催分は含まない)は64件(うちデモ・ポスター5件)と,昨年度(42件)から大幅に増え,引き続き活発なモバイルコンピューティング研究の発表の場を提供した.発表内容としては,センサネットワーク等の従来からのテーマに加え,スマートフォン等を利用した,アプリケーション寄りの研究も増えてきている.また,研究会活性化の取り組みとして,第63回研究発表会ではデモ・ポスターセッションを設け,有益な情報交換機会を提供することができた.2012年度は優秀論文4件,優秀発表8件,奨励発表12件を選出するとともに,新たにインタラクティブセッション賞を設け1件を選出した.

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2012)シンポジウム
    7月4~6日, 会場:石川県 山代温泉ホテル百万石
    シンポジウムは今回で16年目を迎え,10の研究会による開催であった.MBL研究会からは57件(デモ1件を含む)の発表があり,12セッションが構成されるなど盛況振りを見せた.また,優秀論文5件(うち推薦論文5件)が選出され,発表の質も高いものとなった.

  • 論文誌特集号の発行・企画
    MBL/ITS特集号:平成25年1月号
    MBL/ITS両研究会の共同企画による論文誌特集号は平成13(2001)年7月号以来13回目の発行となる.今回は,27件の投稿があり10件を採録した.本分野の研究成果を示す場として広く認識されていることを示している.

  • 国際会議ICMU2012の開催
    5月23,24日,会場:沖縄県健康文化村カルチャーリゾート フェストーネ第6回となるICMU(International Conference on Mobile Computing and Ubiquitous Networking)を開催した.Mairo Geria教授(UCLA)による基調講演「Vehicular Cloud Computing」を皮切りに,6セッション26件の発表が行われ,活発な議論の場を提供した.
3.総括

   平成24年度は,MBL運営委員会の活動の元,4回の定例研究会,国際会議,シンポジウムを開催し,論文誌特集号の企画を滞りなく進めた.これにより,モバイルコンピューティング技術の発展に寄与するとともに,国内外の研究者相互の交流ならびに大学と産業界の連携のための意見交換の場を積極的に提供することができた.今後とも,これらの交流で得た研究者間の関係をベースに本研究会をさらに発展・充実させたい.

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◆コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会

[主査:松浦幹太,幹事:須賀祐治,寺田雅之,西垣正勝,山内利宏]                      

1.定例の研究会活動報告

   第57回~第60回の研究発表会を開催した.内容は,ネットワークセキュリティ,マルウェア対策,暗号,生体認証,セキュリティ評価など多岐に渡っている.

  • 第57回 2012年5月10~11日(秋田市,発表29件)
  • 第58回 同7月19~20日(札幌市,発表47件)
  • 第59回 同12月14日(横浜市,発表9件)
  • 第60回 2013年3月14~15日(東京都足立区,発表58件)

   第57回は,インターネットと運用技術研究会(IOT)との合同開催かつ電子情報通信学会情報通信マネジメント研究会(ICM)との連立開催(連催)であった.IOTやICMの発表にもセキュリティと関連するものが増え,三研究会で刺激し合い議論が深まった.
   第58回は,我が国の情報セキュリティ関連研究会の交流を目的として,情報セキュリティ心理学とトラスト研究会(SPT)との合同開催,電子情報通信学会情報セキュリティ研究会(ISEC),技術と社会・倫理研究会(SITE),情報通信システムセキュリティ研究会(ICSS),マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント研究会(EMM)との連催で開催した.色覚の多様性に関する招待講演が行われ,インターフェースやセキュリティの人間的側面を考察するよい機会となった.
   第59回は,日本セキュリティ・マネジメント学会ITリスク学研究会との合同開催であった.特別講演も含めて全てシングルのセッションを共有し,互いに議論を深めることができた.
   第60回は,マルチメディア通信と分散処理研究会(DPS)との合同開催で,今年度最多の発表が行われ,第60回という節目の開催に相応しい有意義な会となった.

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • コンピュータセキュリティシンポジウム2012 (CSS2012)
       2012年10月30~11月1日に松江市のくにびきメッセで開催された.MWS(マルウェア対策人材育成ワークショップ)と合同開催,参加者378人,論文投稿115件であった.一般セッションに加えて2件の特別講演「Rubyがもたらす多様性の世界」「世界と日本とCTF」も好評であった.
  • 7th International Workshop on Security (IWSEC2012)
       2012年11月7~9日に九州大学西新プラザで開催した.
       電子情報通信学会ISEC研究会との共催で,9カ国117名が参加し,16件の論文(Springer LNCSシリーズで出版)が発表された(採択率31%).また,若手奨励目的のポスターセッションを取り入れ,31件のポスターが発表された(うち4件を優秀ポスターとして表彰).さらに,暗号分野とシステム分野から2件ずつ計4件の招待講演が行われ,日米欧3ヶ国から4チームが参加してマルウェア分析国際競技会(IWSEC Cup)が行われた.

  • マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2012)シンポジウム
       2012年7月4~6日に石川県加賀市で開催された.10もの研究会が集い,幅広い分野をカバーしている.セキュリティと関連深い発表も,認証,トラストとユーザインタフェース,セキュリティ教育,プライバシ保護,マルウェアなど,多岐に渡った.

  • 論文誌「スマートな社会を実現するコンピュータセキュリティ技術」特集
       コンピュータセキュリティ技術全般に関して,スマートな社会というファクタを強く意識しつつ,基礎となる理論・技術,プロトコル,アーキテクチャ,ソフトウェアシステムの研究,及びそのアプリケーション,実装例,管理運用,さらに社会科学的考察をも含めた研究論文を掲載することを目的として,2012年9月に発行した.取り下げを除く46件の投稿から22件の論文を採録した(採択率48%).また,南カリフォルニア大学のTerry Benzel, John Wroclawski両氏による招待論文「The DETER Project: Towards Structural Advances in Experimental Cybersecurity Research and Evaluation」を掲載した.2013年9月発行の予定で次の特集号「未来を切り開くコンピュータセキュリティ技術」を企画し,編集作業を進めている.

3.総括

   傾向としては,テーマの広がりに加えて,国際会議が参加者を増やし,国際会議での国際競技会や特集号での海外招待論文を実現するなど,国際化が進んだ.国内シンポジウムでは過去最多の参加人数を達成し,裾野も広がっている.2011年度に震災後の厳しい時期にもかかわらず数値指標においてアクティビティが高いレベルで保たれた流れを,さらに発展させることができた.今後も,本研究会の役割を認識し,より広く深くコンピュータセキュリティの立場から情報処理分野へ貢献する組織であらんことを,強く願う.

4.その他

   2013年度は,研究発表会4回に加え,10月21~23日に香川県高松市でコンピュータセキュリティシンポジウム2013,11月18~20日に沖縄県那覇市で第8回情報セキュリティ国際会議IWSEC2013を開催予定である.今後共,会員及び関係者の方々には積極的な論文投稿と参加をお願いしたい.

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◆高度交通システム(ITS)研究会

[主査:屋代智之,幹事:梅津高朗,川股幸博,重野 寛,田坂和之,深澤紀子]

1.定例の研究会活動報告

   平成24年度は,第49~52回の研究発表会を開催した.
   全部で47件の発表があり,内容も,車載装備の性能計測手法,交通制御手法,通信実験,ネットワーク技術,歩行者サービスなど基礎から応用までの多岐にわたる技術について幅広い発表,議論が行われた.また,そのうちの2件は招待講演であり,いわゆるビッグデータと呼ばれるモバイル端末から収集される情報に関連したプライバシや,車車間通信に利用できる新たな光通信デバイスに関する技術紹介について専門家を招待して講演をお願いした.
9月は電気学会ITS研究会と共催,電子情報通信学会ITS研究会との連催,11月はMBL研究会との共催で開催した.

  • 第49回 6月15日(金)  首都大学東京 秋葉原サテライトキャンパス 発表5件
  • 第50回 9月10日(月)  奈良先端科学技術大学院大学 発表12件(内,招待講演1件) 電気学会ITS研究会共催,電子情報通信学会ITS研究会連催
  • 第51回 11月15日(木)~16日(金) 北海道大学(札幌キャンパス)発表26件(内,招待講演1件) MBL研究会共催
  • 第52回 3月16日(土)  日本科学未来館 発表3件
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2012)シンポジウム
    7月4日(水) - 6日(金) 石川県 山代温泉 ホテル百万石においてDPS研究会,GN研究会,MBL研究会,CSEC研究会,UBI研究会,IOT研究会,CDS研究会,SPT研究会,DCC研究会との共催で開催した.複数の研究会に関連する発表テーマが一堂に会した合宿形式で有意義なシンポジウムであった.
  • 高度交通システム(ITS)2013シンポジウム
    3/15(金),東京都江東区の日本科学未来館にて,「高度交通システム(ITS)2013シンポジウム ~時空間情報の高精度化とその応用~」のテーマで開催した.時空間情報に関連し,GPSやその他の位置計測技術に関する技術紹介や,地図情報のプラットフォームや応用,それらを用いた実サービス等について7件の招待講演が行われた.また,ITS研究会優秀論文(4件)の表彰も行われた.
3.総括

   本年度も2回の研究発表会を連催あるいは共催とし,またDICOMO2012シンポジウムにも共催参加するなど,学会ならびに研究会間の交流に力を入れて取り組んだ.
   また,ITSシンポジウム2013を開催し,ITS関連の研究活動の拡大や潜在的な研究者の発掘にも積極的に取り組んだ.ITSという分野は他の分野・技術との関連性が高いことから,今後もより広範な意見交換が行える場の提供を行っていきたいと考えている.
   また,研究発表会,シンポジウムとも,参加者の減少傾向が見られるため,広報の仕方について再検討を行うとともに,研究会登録会員を増やす施策を考えていく予定である.

4.その他

   2013年度も引き続き,ITS分野の研究・開発のすそ野の拡大や潜在的な研究者の発掘・啓蒙をはかる.
   また,2010年度まで実施していたITS産業フォーラムの位置づけを見直し,ITS分野における行政施策や産業の早期展開に学会として少しでも貢献できるよう次年度以降の開催へ向けて検討していきたいと考えている.

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◆システム評価(EVA)研究会

[主査:岸場清悟,幹事:杉野栄二,堀川 隆,義久智樹]

1.定例の研究会活動報告
  • 第38回研究発表会(平成24年8月3日,とりぎん文化会館,発表件数:2件)をSWoPP2012の一環として開催し,コード差分実行によるシミュレーションの所要時間短縮,EnergyCapping制御に関する発表があった.
  • 第39回研究発表会(平成24年9月27日~28日,テクノアークしまね)をIOT研究会(第19回)と共催し,システム評価研究会の担当企画としてはパネルディスカッション「システム評価研究の歩みと現在」を実施した.
  • 第40回研究発表会(平成25年3月22日,日立製作所横浜研究所,発表件数:4件)を開催し,仮想化サーバの性能管理,混雑状態のTCP通信性能評価,インターネット放送のデータ配信スケジューリング(2件)に関する発表があった.これがシステム評価研究会として開催する最後の研究発表会となった.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

   平成24年度は実施なし.

3.総括

   システム評価研究会は幅広い多様な観点からのシステム評価を目的としており,今年度も多様な評価対象に関する発表があった.それらを分類すると, 新しく提案したアーキテクチャやアルゴリズムの性能を評価したものが2件,システムモデル,手法,ツールを提案し,実際のシステムに適用したものが2件,性能測定方法に関するものが2件であった.
   当研究会の性格上,研究会発表は他分野の情報を互いに交換し,それを各自の今後の研究に役立てることが主眼となる.この主旨をより確実に実現するため,参加者全員での質疑応答が活発に実施されるような運営を心がけた.これにより,参加人数は比較的少ないながらも,活発な研究発表会を開催できたと考えている.

4.その他

   システム評価(EVA)研究会は2014年度よりインターネットと運用技術(IOT)研究会と統合し,(新)IOT研究会として活動します.

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◆ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会

[主査: 椎尾一郎,幹事:植原啓介,大内一成,川原圭博,角 康之]

1.定例の研究会活動報告
第34-37回の研究発表会を開催した.
  • 第34回研究発表会 5月17-18日,豊橋技術科学大学
    ※連催:電子情報通信学会アドホックネットワーク(AN)研究会,電子情報通信学会ユビキタス・センサネットワーク(USN)研究会
  • 第35回研究発表会 7月14日,東北大学電気通信研究所
    ※合同:エンタテインメントコンピューティング(EC)研究会
  • 第36回研究発表会 11月1-2日,お茶の水女子大学
    ※合同:ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)研究会  
    ※2011年度優秀論文賞・学生奨励賞表彰式を開催
  • 第37回研究発表会
    ※合同:モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)研究会
    ※連催:電子情報通信学会アドホックネットワーク(AN)研究会,電子情報通信学会モバイルマルチメディア通信(MoMuC)研究会
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • マルチメディア,分散,協調とモバイルDICOMO2012シンポジウム
    7月4-6日,石川県 山代温泉 ホテル百万石
    ※共催:マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会,グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会,モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)研究会,コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会,高度交通システム(ITS)研究会,ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会,インターネットと運用技術(IOT)研究会,コンシューマ・デバイス&システム(CDS)研究会,情報セキュリティ心理学とトラスト(SPT)研究会,デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会
  • インタラクション2012
    2月28-3月2日,日本科学未来館
    ※主催:ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)研究会,グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会,ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会,エンタテインメントコンピューティング(EC)研究会
    ※共催:日本科学未来館
3.総括

   2012年度は4回の定例研究発表会を開催した.すべての研究発表会を他研究会との合同,連催として開催し,様々な視点からユビキタスコンピューティングシステムについて,活発な議論を行っている.議論のテーマは,行動認識やセンサネットワークに関するものから,コミュニケーション支援,ヘルスケア,ライフログなど非常に幅広く,本分野がより広い分野に適用され始めていることを示唆するものであった.

4.その他

   ユビキタスコンピューティングの研究は黎明期を過ぎ,いよいよ産業実用化が問われる時期となってきた.産業界との連携を積極的に図り,社会的意義の高い議論を研究会の中で行いたい.多くの会員の参加を期待する.

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◆インターネットと運用技術(IOT)研究会

[主査:山之上卓,幹事:佐藤 聡,土井 裕介,桝田 秀夫,村上 登志男,山井 成良]

1.定例の研究会活動報告

   以下に示すように第17~20回の研究発表会を開催した.

  • 第17回 5月10日(木)~11日(金) 発表件数8件(全体29件)
    秋田大学 (参加者数37名, 全体86名)
    コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会と共催
    電子情報通信学会情報通信マネジメント(ICM)研究会と連催
  • 第18回 6月28日(木)発表件数9件
    東京学芸大学(参加者数40名)
  • 第19回 9月27日(木)-28日(金) 発表件数12件(全体13件)
    テクノアーク島根(参加者数46名)
    システム評価(EVA)研究会と共催
  • 第20回 3月14日(木)~3月15日(金)発表件数22件(全体45件)
    東大寺総合文化センター(参加者数67名, 全体114名)
    電子情報通信学会インターネットアーキテクチャ(IA)
     および技術と社会・倫理(SITE)研究会と連催
いずれの研究会においても,情報教育関連,インターネット運用技術,分散システム運用技術,ネットワーク構築,セキュリティ,性能評価など,幅広いテーマで議論が行われた.第19回研究発表会ではEVA研究会と初めて共催する形となり,盛況であった.また,第17回では1件,第18回では1件,第19回では2件の招待講演が行われ,いずれも好評であった.第19回では,株式会社インターネットイニシアティブ様のご厚意により松江データセンターパークの見学会を開催することができ,大変盛況であった.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • 第5回 インターネットと運用技術シンポジウム(IOTS2012)
    本シンポジウムは「クラウド時代におけるオーバーレイによる技術の有機的融合」をメインテーマとし,12月13日(木)~14日(金)に鹿児島大学郡元キャンパス(鹿児島県鹿児島市)で開催した.講演数は招待講演3,パネル討論1を含む19件で,参加者数は65名であった.

  • 第11回情報科学技術フォーラム(FIT2012)
    本フォーラムは9月4日(火)~6日(木)に法政大学小金井キャンパス(東京都小金井市)で開催された.一般講演582件のうち,本研究会に関連したテーマで35件の発表が行われた.IOT研究会は一貫して査読付き論文の受け入れを行っており,FIT2011では2件の査読付き論文が発表された.

  • Third Workshop on Company, Campus, and Community Networking - Technology, Management and Ethics (C3NET 2012)
    本ワークショップは本会とIEEE Computer Societyが共催する国際会議SAINT2012の一部として7月16日(月)にトルコ・Izmir市で開催され,10件の発表と1件の招待講演が行われた.

  • マルチメディア,分散,協調とモバイルシンポジウム(DICOMO2012)
    本シンポジウムは7月4日(水)~6日(金)に山代温泉ホテル百万石(石川県加賀市)で本研究会を含む10研究会の共催により開催された.一般講演306件,デモ展示20件のうち,本研究会に関連したテーマで18件の発表および2件のデモ展示が行われた.

  • 災害コミュニケーションシンポジウム
    本シンポジウムは,2012年2012年12月20日に東京理科大学(東京都新宿区)において,セキュリティ心理学とトラスト(SPT)研究会と共催し,大震災の教訓や対応策などについて情報交換を行った.招待講演も含めて,7件の発表があり,参加者数は19名であった.なお,このシンポジウムの開催にあたっては, 情報処理学会情報環境領域委員会情報環境プロジェクト(2012年度)の補助を受けた.

  • 論文誌ジャーナルIOT特集号
    「危機管理の視点を考慮したインターネットと運用技術」をテーマとした特集号では25編の投稿のうち,13編を採録した(採録率52%).投稿数,採録率とも昨年度を上回り,これまで取り組んできた指導的査読や「べからず集」の効果が現れたものと評価している.

3.総括
   2012年度は前年度と比較してEVA研究会との研究発表会の共催やSPT研究会とのシンポジウムの共催など,活動の範囲を広げることができた.2013年度からはEVA研究会と統合して活動することになるが,これだけに留まらずさらに活動の場を広げていきたい.

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◆セキュリティ心理学とトラスト(SPT)研究会

[主査:村山優子,幹事:寺田真敏,西垣正勝,松浦幹太]

1.定例の研究会活動報告

   平成24年度は,以下の通り第3-4回の研究発表会を開催した.

  • 第3回研究発表会
    平成24年5月17日(木)~18日(金)  千葉工業大学津田沼キャンパス 
    発表22件  招待講演3件
  • 第4回研究発表会 
    平成24年7月19日(木)~20日(金) 北海道工業大学 
    発表47件(内招待講演1件)
    セキュリティ技術の人間的側面,トラスト,リスク,災害に関する研究報告が多数発表された.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

   平成24年度は,次のシンポジウムを共催,協賛した.

  • マルチメディア、分散、協調とモバイルシンポジウム(DICOMO2011)
    平成24年7月4日(水)~6日(金) 百万石 (石川県山代温泉) 
    発表(一般講演):286件,この他,招待講演:8件,特別招待講演:1件,デモ:20件,企業展示:3件 
  • SOUPS2012論文読破会
    平成24年(2012)年10月9日(火)SECOM本社[セコムホール]  発表14件
  • コンピュータセキュリティシンポジウム 2012(CSS 2012)
    平成24年10月30日(火)~11月01日(木) くにびきメッセ[島根県立産業交流会館]
    発表115件(内MWS9件)  特別講演:2件
  • 災害コミュニケーションシンポジウム
    平成24年(2012)年12月20日(木) 東京理科大学[PORTA神楽坂]  
    発表6件(すべて招待講演) インターネットと運用技術研究会(IOT)と共催
    なお,災害コミュニケーションシンポジウムは,今年度は,IOT研究会と共催し,情報環境領域委員会共同プロジェクトとして実施した.
3.総括

   今年度は研究会として2年目にはいり,各研究発表会やシンポジウムなども定着化してきた.12月に開催した災害コミュニケーションシンポジウムは,IOT研究会と共催する等,他の研究会と連携し,本分野の展開を試みた.
   米国で毎年開催されるSOUPS Symposium On Usable Privacy and Security (SOUPS2013)の発表論文を,1日で読破するための勉強会も,セキュリティやトラストとユーザビリティの分野の推進と,若い研究者や学生諸君に関連研究調査の練習も兼ねたイベントとなった.
   また,学会誌の研究会推薦博士論文速報について,以下の博士論文を推薦し,学会誌に掲載された.
         著者名:五味 秀仁
         学位論文題目: Fine-grained and Flexible Identity Management in Distributed and Open Environments
         (学位論文題目の邦訳: 厳格な保護と柔軟な活用を両立するアイデンティティ管理技術)

4.その他

   平成24度より,研究会名の「情報セキュリティ心理学」の「情報」を除き,「セキュリティ心理学とトラスト研究会」に変更した.なお、英文省略形(SPT)の変更はない.

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◆コンシューマ・デバイス&システム(CDS)研究会

[主査:石川憲洋,幹事:峰野博史,齊藤義仰,一色正男]

1.定例の研究会活動報告

 平成24年度は,以下の通り第4-6回の研究発表会を開催した.

  • 第4回研究会 平成24年5月10日~11日 東北大学 発表17件
  • 第5回研究会 平成24年10月17日~18日 愛知工業大学(DCC研究会との合同)発表26件
  • 第6回研究会 平成25年1月16日~17日 名桜大学(GN研究会との合同)発表42件
   発表内容は,コンシューマ・デバイスとシステムの幅広い分野にわたっている.
   本研究会の狙い通り,昨年度同様に特に企業からの発表が多く盛況であった.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

   平成24年度は,以下の通りシンポジウム・国際会議を開催した.

  • マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2012)シンポジウム 平成24年7月4日~6日 山代温泉ホテル百万石
  • IEEE GCCE2012 SS8: Smart Consumer Devices and Networks 平成24年10月2日~5日 幕張メッセ
  • 情報科学シンポジウム 平成24年10月19日 愛知工業大学(DCC研究会と共催)
   DICOMO2012シンポジウムは,DPS研究会,GN研究会,MBL研究会,CSEC研究会,ITS研究会,UBI研究会,IOT研究会,CDS研究会,SPT研究会,DCC研究会の共催にて開催した.昨年度同様にCDSトランザクションと連携した取り組みも行い,多数の投稿があった.
   IEEE GCCE2012では,Special Sessionsの一つとして「Smart Consumer Devices and Networks」のセッションを企画した.初の国際会議への取り組みであり,20件の発表が行われた.
   情報科学シンポジウムはDCC研究会と共催で,「デジタルコンテンツ&コンシューマ機器の過去・現在・未来」というテーマで開催した.コンシューマ機器に関して,日本独自のからくり人形のテクノロジーをもとに,どのように進化しているかについて,最新の技術の現状を踏まえて紹介した.
3.総括

   本研究会に関連するコンシューマ・デバイスとシステムは,日常のあらゆる場面で幅広く利用される技術である.今後も本研究会は,企業の発表も積極的に受け入れ,産学問わず対象とし,技術者の相互情報交換の場を提供することを目指す.平成25年度は,平成24年度に継続して研究会およびシンポジウム・国際会議等を開催し,さらに活動を広げていきたい.

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◆デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会

[主査:塚本昌彦,幹事:阿倍博信,小川剛史,高橋光輝,檜山巽,水野慎士]

1.定例の研究会活動報告

    第1-3回の研究発表会を開催した.

  • 第1回研究会 平成24年5月17日~18日 日本大学法学部三崎町キャンパス 発表16件
  • 第2回研究会 平成24年10月17日~18日 愛知工業大学八草キャンパス(CDS研究会と共催) 発表27件
  • 第3回研究会 平成25年1月21日~21日 多摩美術大学八王子キャンパス 発表16件
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2012)シンポジウム
    平成24年7月4日~6日 山代温泉ホテル百万石
    DICOMO2012シンポジウムは,DPS研究会,GN研究会,MBL研究会,CSEC研究会,ITS研究会,UBI研究会,IOT研究会,CDS研究会,SPT研究会,DCC研究会の共催にて開催した.一般講演件数は304件,デモ発表23件と非常に大規模なものとなった.
  • DICOMO2012併設デジタルコンテンツ制作発表会
    平成24年7月4日 山代温泉ホテル百万石
    デジタルコンテンツ展示会(7件)および映像・CGコンテンツ上映会を行い,活発な議論が行われた.
  • IPSJ全国大会 企画セッション「デジタルコンテンツ研究のススメ」
    デジタルコンテンツのこれまで,現状,今後に関する講演(3件)と情報処理学会論文誌:デジタルコンテンツにおけるコンテンツ論文についてパネルディスカッションを行い,活発な議論が行われた.
3.総括
   本研究会では,デジタルコンテンツの制作,流通,利活用を促進し,健全な社会利用を推進するために,デジタルコンテンツクリエータを支援するための制作技術,管理技術およびそれに関わる利用技術に関する研究を産学問わず広く対象とするとともに,コンテンツ自体のアート・エンターテインメント性の観点からの表現技術も含め,デジタルコンテンツに関する技術者の相互情報交換の場を提供することを目指し,積極的に活動した.平成25年度は,平成24年度に継続して研究会を開催するとともに,関連研究会との連携によるシンポジウムへの共催を予定している.

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メディア知能情報領域

◆自然言語処理(NL)研究会

[主査:徳永健伸,幹事:飯田 龍,船越孝太郎 ,森 信介]

1.定例の研究会活動報告

   第206-210回の研究発表会を開催した.

  • 第206回 (2012年5月)@東京工業大学
  • 第207回 (2012年7月)@北海道大学
  • 第208回 (2012年9月)@東北大学
  • 第209回 (2012年11月)@京都大学
  • 第210回 (2013年1月)@宮崎JA AZMホール
   従来からある言語処理の研究課題に加え,Webの利用方法の多様化により,SNSやtwitter,検索クエリの利用など,Web固有の情報を対象にした研究が増えている.また,最近では教育分野への応用を扱う研究発表が散見されるようになっている.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
   平成24年度は実施なし.
3.総括

   年5回の開催を行い,61件の発表があった.発表件数の減少は下げ止まった感があるが,過去3年の傾向を見ると9月は発表件数が少なくなる傾向があり,これに対する対策が必要であると考えている.研究会がただの発表の場となるのではなく,議論の場となるように,完成した仕事の発表だけではなく,萌芽的な話題についても積極的な発表を促すために,研究会のWebページではこのことをアピールしている.また,昨年度から始めた主要国際会議の報告セッションは,今年度も1月におこなった.今回は2012年12月にインドのムンバイで開催されたColing 2012 (International Conference on Computational Linguistics)の参加報告を会議に参加した若手研究者6名に報告していただいた.今回の企画は言語処理学会との連携企画としておこない,発表内容をまとめてものを後日言語処理学会のニュースレターに記事として掲載していただいた.会議参加報告の企画か好評なので今後も継続しておこなう予定である.

4.その他

   今年度の反省をふまえ,次年度はチュートリアルや招待講演のようのな企画について検討する.

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◆知能システム(ICS)研究会

[主査:栗原 聡,幹事: 市瀬龍太郎,松尾徳朗,松原茂樹,山下晃弘]

1.定例の研究会活動報告
  • 第168回研究会
    開催日時 2012年9月19日
    開催場所 国立情報学研究所
    テーマ 減災と災害予測等における知能システム
    近年の重要なテーマであるセマンティックWeb、知能ロボット、エージェント指向インタフェースなどの研究を見ると,人工知能の応用研究がますます広がっていることが理解できる.特に,昨年の大災害を契機に,これからの減災・災害予測等における知能システムへの期待が高まっており,防災情報システム・災害予測・安全安心などにおける知能システム研究に焦点を当て,これに関わる研究者同士の情報交換や議論を促進することをテーマとした研究会を開催した.
  • 第169回研究会
    開催日時 2012年10月24日
    開催場所 ヤマハリゾートつま恋
    テーマ マルチエージェントと知能システム
    エージェントは利用者や他のエージェントと知的に相互作用する自律的ソフトウェアであり,次世代の分散システムを構築する中核的技術として国内外において盛んに研究が進められている.JAWS(Joint Agent Workshops and Symposium)はこのような分野の研究交流の場として,日本ソフトウェア科学会「マルチエージェントと協調計算」研究会,電子情報通信学会「人工知能と知識処理」研究会,情報処理学会「知能システム」研究会,人工知能学会「データ指向構成マイニングとシミュレーション研究会」研究会,IEEEComputer Society Japan Chapterが協同で開催する学会横断的なイベントである.当研究会においては,研究会セッションも設けており,エージェントに関わる研究者同士の情報交換や議論を促進する場として研究会を開催した.
  • 第170回研究会
    開催日時 2013年3月10日ー13日
    開催場所 ルスツリゾート
    テーマ 社会システムと情報技術
    知能や社会・経済システムのモデル化・データマイニング・シミュレーション・ネットワーク分析,複雑系の解明と利用,環境・福祉・金融・デジタルコンテンツなどに関する社会システムの諸問題と情報技術など,人間生活や社会システムと情報技術に関連する基礎的研究から応用研究に関する分野横断的な発表を幅広く募集した.活発な議論を通して,現存の社会の仕組みに情報技術を適応させる方法ではなく,最新の情報技術をベースとした新しい社会のあり方について模索する場として研究会を開催した.
  • 第171回研究会
    開催日時 2013年3月18日
    開催場所 名古屋大学
    テーマ ロボットの知能と感性
    ロボットの情報処理能力の更なる高度化に向け,知能システム技術と感性処理技術の融合に関わる取り組みが近年活発になっている.このような機運を受けて,「ロボットの知能と感性」をテーマに研究会を開催した.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

   2012年10月24日ー26日に,ヤマハリゾートつま恋にて,JAWS2012を開催した.JAWSは,上記,第169回研究会においても述べたように,複数学会研究会が協同で開催する学会横断的なイベントである.エージェント研究に関する国内の主要研究会が集結した場でエージェントの研究・開発者が一同に集まり,討論や情報交換を行うことを目的として,毎年100件近い発表と,150名程度の参加者によるアクティブな活動が継続されており,当研究会もそのコア研究会として参画している.

3.総括

   近年の関連学会における類似する研究会の乱立により,単独開催において潤沢に論文発表件数を集めることが困難になりつつある反目,多様性の観点からはこの乱立の流れを止めるべきではない.
   そこで,参加者の観点,並びに,新しい研究テーマの芽を成長させるためにも,可能であれば他(同一学会や他学会)の類似・関連する複数の研究会と共催・連続開催することで,研究会への参加を容易なものとし,かつ成長を促す新しい研究会運営の流れを構築することが重要であると考える.

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◆コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)研究会

[主査:八木康史,幹事: 岩井儀雄,清水郁子,杉本晃宏,延原章平,横矢直和,斎藤英雄,槇原 靖]

1.定例の研究会活動報告

   第182-186回の通常の研究発表会を下記のように開催した.毎回100名前後の聴講者があり,熱心な討論が行われた.本年度は,以下のテーマ別オーガナイズドセッションを企画した.

  • 2012年5月:卒論・D論セッション
  • 2012年9月:コンピュータビジョンとパターン認識のための機械学習(PRMU/IBISMLと連催)
  • 2012年12月:実世界と仮想世界を繋ぐCV・CG(GCADと共催)
  • 2013年1月:実時間処理,実空間センシングと環境理解(PRMU/MVE/SIG-MRと連催)
  • 2013年3月:安心・安全のためのCV技術

   さらに,通常の研究発表に加えて,特定の手法・技術に関してチュートリアル講演を継続的に実施し,好評を博した.

  • ランダムフォレスト(2012年5月)
  • スパース表現の数理とその応用(2012年9月)
  • Local Binary Pattern とその周辺(2012年12月)
  • ディープラーニング(2013年1月)
  • 転移学習とその周辺(2013年3月)

   5月の182回研究会では,若手研究者の育成を目的に,前年度に学部を卒業した方を対象とした「卒論セッション」及び,前年度に博士の学位を取得した若手研究者を対象とした「D論セッション」を開催した.卒論セッションは30件,D論セッションは2件の発表があった.なお,卒論セッションにおいては,最優秀賞1件ならびに優秀賞4件の表彰を行った.
また,従来より実施してきたコメント制度をより明確に活用するために,今年度よりCVIMコメント制度セッションを新設した.これは,通常発表よりディスカッション時間を長く設け,萌芽的研究等について議論を行うためのセッションであり,運営委員をはじめ,関連研究を行っている研究者による活発な議論を促した.

2.シンポジウム・国際会議等の報告

   第15回画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2012)を,8月に福岡市にて,電子情報通信学会PRMU研究会と共同主催にて開催し,580名の参加者があった.オーラル発表48件,インタラクティブ発表238件,デモ論文23件の計309件の研究発表,および,特別講演2件を開催した.MIRU2011を踏襲し,インタラクティブ発表者に対して短い口頭発表(スポットライト)の機会を設けた.オーラル発表はパラレルセッションとし,発表件数を増やした.オーラル発表の中からMIRU長尾賞(最優秀論文賞)1件,優秀論文賞2件,学生優秀論文賞1件,MIRUフロンティア賞1件を表彰した.また,インタラクティブセッション賞3件,デモセッション賞1件を表彰した.

3.総 括

   研究会発表に対するコメント制度,卒論・D論セッション,研究会推薦論文制度など,研究者育成の活動を重視してきた.また,研究会論文誌は,2009年2月より英文オンライン出版による IPSJ Transactions on Computer Vision and Applications(CVA)を発行している.

今年度の研究会論文誌CVAの発行状況は以下のとおりであった.
Vol. 4(2012),Regular paper 12件
Vol. 5(2013),Regular paper 1件

4.その他

   25年度は,5回の研究会開催とMIRU2013の共同主催を予定している.従来実施しているPRMU研究会等との連催,GCAD研究会との共催は,25年度も継続する予定である.MIRU2013はコミュニティの国際化のための改革を行う予定である.その一環として,優秀な論文はCVAのExpress Paperとして掲載する方針である.また,海外からの招待講演者・チュートリアル講演者の招聘や国際的な催しへの積極的参画など,日本のコンピュータビジョン界の更なる活性化・国際化を推進したいと考えている.

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◆コンピュータと教育(CE)研究会

[主査:角田博保,幹事:伊藤一成,長 慎也 ,中山泰一,長瀧寛之,湯瀬裕昭]

1.定例の研究会活動報告

   第115回~119回の研究発表会を,順に獨協大学,福島学院大学,熊本大学,東京農工大学,大阪大学で開催し,発表総数は75件であった.前年よりも発表件数は増え,後述のシンポジウムも含め,安定した研究発表活動が行われていると言える.第116回研究発表会では電子情報通信学会の第3種研究会「未来世代から見たコミュニケーション科学の魅力と意欲向上」との連催で,新たなコラボレーションを得ることができた.第118回研究発表会では,昨年度同様に研究論文セッションを設け,論文作成のアドバイスを行い,5件の応募があった.研究としては,教育・学習に関する支援システムの提案・作成・評価,プログラミング教育・学習に関連するもの,教育現場の環境の高度化,教材などが盛んに発表された.また,情報教育に関する教育実践例と考察,各種調査の報告などもなされ,教師の実際の役に立つ発表が多くなっている.

2.シンポジウム・国際会議等の報告

   平成24年8月20日~22日に「情報教育シンポジウム SSS2012」を清水三保園ホテル(静岡県静岡市)で開催した.本シンポジウムは,情報教育,教育の情報化に関わる幅広い分野の教育者や研究者の参加を募り,初回のSSS99以来,熱気のこもった合宿型研究発表会となっている.89名の参加者があり,27件の質の高い研究発表が行われ,夜遅くまでの議論が続いた.今回は招待講演2件,ポスターセッション12件に加えて,特別セッション(講演3件)を導入して会を盛り上げた.どのセッションでも熱心な討論が行われた.なお,今回も教育学習支援情報システム研究会との共催となっている.

3.総括

   当研究会は,情報の本質を理解し,教育の実践をしっかりと視野に捉えながら情報教育の可能性を探ることにより,情報教育に関連する学界と教育界へ寄与することを目的としている.近年の活動により,初等中等教育から高等教育にわたる情報教育に関係する様々な立場の方々の間に,教育という側面から情報の本質に関わる議論ができる場としての認知度が高まっている.最近では,「初等中等教育における情報教育」の報告が,実際の教材や教授法研究とともに,「大学などにおける情報教育との接続」を視野に入れた研究発表の増加へと発展しており,今後の充実が期待される.研究会発表論文の質の向上のために,本学会論文誌の「教育とコンピュータ」特集号を平成25年1月に発行した.引き続き,平成26年1月発行予定の論文誌「教育とコンピュータ」特集号を企画し,現在,査読・編集作業が進行中である.

4.その他

   運営委員会委員として研究会運営に主体的に参加・協力する研究者を募った結果,運営委員会への出席,研究会発表の推進,シンポジウムや他の活動への積極的な寄与,などが活発となり,研究会としての主体性が確立されている.また,全国大会やFITなどの学会全体の活動への対応も定着している.今後も,運営委員会のさらなる質的・量的充実をはかってゆく予定である.

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◆人文科学とコンピュータ(CH)研究会

[主査:関野  樹,幹事:後藤  真,阪田真己子,高田智知,山田太造]

1.定例の研究会活動報告

   第94-97回の研究発表会を開催し,計41件の発表があった.

  • 第94回 5月26日・同志社大学 東京オフィス 発表件数:9件
    学生セッションを開催した.学生による5件の発表の中から,運営委員の選考による奨励賞を1名に授与した.
  • 第95回 8月4日・京都大学地域研究統合情報センター 発表件数:10件
    特集セッション「地域情報学」が実施され,3件の発表があった.
  • 第96回 10月12日・国文学研究資料館 発表件数:10件
    人間文化研究機構研究資源共有化事業委員会との共催で開催された.また,企画セッション「地域の歴史文化遺産情報の保全」および「新統合検索システムと研究情報資源共有化」が実施され,それぞれ2件ずつの発表と討論が行われた.
  • 第97回 1月25日・東京大学史料編纂所 発表件数:12件
    東京大学史料編纂所画像史料解析センター等との共催で開催された.また,企画セッション「文字情報のデータベース化と連携の可能性」が実施され,4件の発表があった.さらに,初の試みとして一般セッションの一部(5件)をポスター発表とした.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

人文科学とコンピュータシンポジウム(じんもんこん2012)を開催した.
日程:12月17~18日
場所:北海道大学 人文・社会科学総合教育研究棟(W棟)
協力:北海道大学 文学研究科 言語情報学講座,北海道大学グローバルCOEプログラム「境界研究の拠点形成 : スラブ・ユーラシアと世界」
実行委員長:小野芳彦(北海道大学大学院 文学研究科)
プログラム委員長:永崎研宣((財)人文情報学研究所)

「つながるデジタルアーカイブ - 分野・組織・地域を越えて」をテーマとし,81名の参加があった.一般講演は口頭発表が21件,ポスター発表・デモ発表が14件である.このほかに,テーマに沿った企画セッションが開催され,2名の講師によりデジタルアーカイブをつなぐ技術や学問と社会をつないだ具体的な応用事例についての紹介があった.
地方開催であったことや関連学会と日程が重なってしまったことで参加者および発表件数が例年に比べて少なかったものの,ポスター賞の企画,同じ日程で開催された日本図書館学会との連携(企画セッション等の相互のネット中継),研究会の意義や今後の方向性をテーマとした「アンカンファレンス・じんもんこん/CHの将来を考える」の開催など,シンポジウム全体としては内容の濃いものとなった.なお昨年同様に論文が電子化され,情報学広場で公開されている.

3.総括

   上述のとおりシンポジウムは発表数が少なかったが,定例の研究会は発表数が前年を大きく上回っている.これは,会場校との共催および企画セッションの開催を積極的に推し進めた結果であり,研究会の参加者にとっても特定の分野やテーマについてまとまった話が聞けたのは大きなメリットとなった.
   一方で,研究会の登録者数は依然減少し続けている.登録費の対価としてメリットを実感できる会員サービス,特に各会員の研究活動に具体的に資することのできる情報やサービスを提供することが登録者数減少に歯止めをかける課題であり,試行錯誤が続いている状況である.これは一研究会にとどまらず,学会全体の問題でもある.学会内関連組織のご理解と支援にも期待したい.

4.その他

   2013年度は第100回の定例研究会が開催される予定である.これまでの研究会の成果を総括するとともに,今後の研究会の役割を模索する機会としてゆきたい.

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◆音楽情報科学(MUS)研究会

[主査:平井重行,幹事: 北原鉄朗,浜中雅俊,平賀瑠美,帆足啓一郎,三輪眞弘]

1.定例の研究会活動報告
   第95~98回の計4回を予定通り開催した.このうち,第95回は音響学会音楽音響研究会との共催として,東大本郷キャンパスで開催した.東大嵯峨山教授による特別講演や共催特別企画の討論会なども行い,会場が満員で立ち見が出るなど盛況となった.第96回は金沢の近江町プラザで3日間開催し,通常発表以外に「音楽情報処理と機械学習」スペシャルセッションやデモセッション企画を行った.第97回は東京電機大千住キャンパスにてインターカレッジコンサート併催のほか,英国Alan Marsden博士や,韓国Kia Ng博士による招待講演を含めた発表会を行った.第98回は公立はこだて未来大にてエンタテインメントコンピューティング研究会との共催で行った.共催企画は特に設けなかったが,両研究分野にまたがる研究発表も多数あり,議論・交流ともに活発に行われた.
   なお,今年度から各回とも研究発表の動画中継(Ustream/ニコニコ生中継)を行うと共に,会場参加者以外への研究を知って貰う試みを始めた.また,ポジションペーパー名札を導入し,参加者にはハガキ大の名札を事前に自作してもらい,研究テーマや興味,アピールなどをすることで参加者間の交流促進をすることを試みた.ポジションペーパー名札については効果を客観的に評価できていないが,動画中継の結果については口述の総括にて述べる.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

   平成24年度は実施なし.

3.総括

   研究発表会毎の発表件数や参加者の減少を懸念して,今年度は開催回数を5回から4回に減らすことと他研究会との共催研究会を増やした(4回のうち3回が共催).また,大学関係者の授業実施厳格化の話を考慮して,土日に絡む日程で主に開催を行った.また,研究発表会に参加できない人のことを考慮して,すべての研究発表会をUstreamとニコニコ生中継で動画中継を行った.動画中継は,会場参加者を減少させる要員になることも考えられる.これら開催曜日・開催地,共催,動画中継をの要因による参加者増減の切り分けはできないが,結果的に参加者数は前年度よりも微増となった.発表件数は前年度とほぼ同数(+1件)であり,年度全体での研究会従来活動は前年度と同等だと言える.一方で,今年度から開始した動画中継活動に関しては,第95~98回の各回の一日あたり視聴者数(それぞれ214名,218名,159名,214名)は,参加者数(それぞれ117名,75名,85名,60名)の2~3倍ほどの結果となった.通常の研究会ではこれほどの人数が参加することはまずない.また,ビデオアーカイブとしても後々視聴可能なことも踏まえると,研究会の発表をインターネットを通じて広く知って・見て・聴いてもらえる状況になることは示せたと考えている.ただ,Ustreamの統計情報からは一人あたりの視聴時間がそれぞれ45分,49分,11分,57分であり,ばらつきはあるが一人あたりせいぜい発表2件程度しか視聴していないことも確認できた.仕事や用事をしながらの視聴と想定されるため,興味ある発表のみ視聴した結果がこの視聴時間として現れていると考察している.視聴者数は現状でも意義があると言えるものの,視聴時間をいかに増やすかが今後の課題で,各発表者にとって中継するメリットの向上につながると考えられる.一方で,中継活動自体は担当委員の負荷が高く,中継ノウハウ蓄積とスタッフ育成を含めた効率化が課題である.さらに,中継は会員および分野に興味を持つ人々へのサービス提供の面でプラスといえども,機材運用・費用負担の観点からの課題があると言える.これについては,課金視聴で費用を賄うことはサービス提供の点で逆効果になることが容易に想定できるため,視聴そのものとは違う観点での有償サービスを行うなど検討することが重要と考えている.

4.その他
   2013年度は,本研究会の20周年であり,各研究会とも様々なイベントを企画・準備している.そして2013年度のみ,研究会参加はすべて無償(登録・非登録関係なし)で広く多く参加者を募り,いろいろな企画などを通して今後の音楽情報科学研究の方向性や発展性について意見収集・議論を行う予定である.また,今後の学会の研究会活動のあり方についてもいろいろと検討と試行を重ねていく.

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◆音声言語情報処理(SLP)研究会

[主査:伊藤彰則,幹事:篠田浩一,駒谷和範,三木清一]

1.定例の研究会活動報告

   第91回~第95回の研究発表会を開催し,3件の招待講演を含めて合計107件の発表が行われた.

  • 第91回 (5月 東京工業大学): SIG-NLと共催.言語処理に関連した発表が多かった.学生セッションを企画し,「学生奨励賞」を選定・授与した.また,国立情報学研究所の宮尾祐介先生の招待講演も行った.
  • 第92回 (7月 天童温泉・滝の湯): 2泊3日の日程で,信学会SPと同時並列開催とした.「クラウド時代の新しい音声研究パラダイム」というパネル討論を行った.
  • 第93回 (10月 NHK放送技術研究所):音声技術の実用化に重点をおいた「音声言語情報処理技術デベロッパーズフォーラム」として,NTTドコモの吉村健氏による「しゃべってコンシェル」の紹介をはじめ,企業関係者による講演・報告を中心に実施した.
  • 第94回 (12月 東京工業大学):信学会SPと連立開催で,「音声言語シンポジウム」として開催した.早稲田大学の新田恒夫先生による招待講演を実施した.
  • 第95回 (2月 ニューウェルシティ湯河原): SIG-HCIとの共催,および人工知能学会SIG-SLUDとの併催で合宿形式により実施した.デモセッションでは11件のシステムについてのデモンストレーションがあった.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成24年度は実施なし.

3.総括

   5回の研究会のうち4回は他研究会および他学会との共催・併催となり,多くの方にご参加いただいた.また2回は合宿形式で地方開催となったが,どちらも盛況であった.合宿形式で議論を深める開催方式は今後も続けていきたい.また単独開催であった音声言語処理技術ディベロッパーズフォーラムでは,通常聞くことのできない開発寄りの講演が多く,有意義であった.

4.その他

   これまで活動してきた「音声ドキュメント処理WG」を終了し,新たに「音声・音響クラウドWG」を立ち上げた.また,12月に開催された「若手研究者フォーラム」に共催するなど,他の催しに積極的に協力した.

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◆電子化知的財産・社会基盤(EIP)研究会

[主査:山下博之,幹事: 金子 格,小向太郎,上椙英之,須川賢洋]

1.定例の研究会活動報告

   第56-59回の研究発表会を開催した.

  • 第56回:2012年5月16日(水): 国立情報学研究所(NII)(東京都千代田区)
    発表件数11件(内招待講演1件)
    電子情報通信学会 技術と社会・倫理研究会(SITE)と連催
  • 第57回:2012年9月13日(木)~14日(金): 尾道公会堂別館(広島県尾道市)
    発表件数36件(内招待講演2件,パネルディスカッション1件)
    DPS研究会,GN研究会と合同
  • 第58回:2012年11月16日(金):新潟大学駅南キャンパス(新潟市)
    発表件数7件(内招待講演1件)
  • 第59回:2013年2月15日(金): 神戸学院大学ポートアイランドキャンパス(神戸市)
    発表件数5件(内招待講演1件,パネルディスカッション1件,ポスターセッション1件)

   昨年度に引き続き,関連分野との連携を深めるため,4回の研究会のうち2回を連催(第56回)または合同(第57回)の開催とし,活発な議論を行った.

2.シンポジウム・国際会議等の報告

   特別セッションの報告

  • 「違法著作物ダウンロード刑罰化の影響と課題」についての議論
    2012年10月1日に施行された改正著作権法によって,インターネットのサイトに掲載された音楽や映画等の違法コピーを,それと知りながらダウンロードすることが,刑事罰の対象となった.この施行に先立ち,第57回研究発表会に特別セッションを設け,この法律改正の影響と課題についての議論として,壇俊光弁護士(北尻総合法律事務所)による講演「ダウンロード刑罰化をWinny弁護団事務局長が語る」とミニパネル討論を行った.

  •  「クラウドサービスの法的課題」に関するパネル討論
    クラウドサービスの普及が進む中,依然として未解決の問題が残っている法的課題について,第59回研究発表会に特別セッションを設け,パネル討論を実施した.同パネルには,当日の招待講演者の赤堀勝彦先生も参加し,4件の発表と討論を行った.

 

3.総括

   本年度も,共催の研究会も含めて,著作権やメディアの変容,社会基盤など,その時点でのホットな話題やテーマに関連するスピーカに依頼した招待講演や,それらを専門とする運営委員等によるパネル討論を行った.
   運営委員会については,本年度も各回の研究発表会の企画や次年度の計画等についてメールベースで意見交換を行って方針を立て,各研究発表会当日に開催した会合で確認した.
   特に,本年度は,情報発信に力を入れることとし,Facebook(http://www.facebook.com/eipjp)による情報発信を開始した.そして,上記特別セッションの報告等を,従来のホームページに加えて,Facebookでも発信した.

4.その他

   学会誌「情報処理」の2013年3月号において,EIP関連のテーマの特集「IT・ソフトウェア特許の新潮流~活用・防御から標準化まで~」が掲載された.
   なお,本年度は,運営委員は弁当持参で運営委員会に参加し,経費節減を図った.

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◆ゲーム情報学(GI)研究会

[主査:田中哲朗,幹事:ライエルグリムベルゲン,村松正和,鶴岡慶雅,篠田正人]

1.定例の研究会活動報告

   第28回研究会を2012年7月13日(金)に静岡県立大学にて開催した.発表件数は8件で,将棋,囲碁,大貧民などのゲーム,マイン・スイーパーなどのパズルを題材とし,発表内容は多岐にわたった.

   第29回の研究会は2013年3月4日(月)に東京工業大学にて開催した.発表件数は9 件で,囲碁,大貧民などよく扱われるゲーム以外に,GGP(General Game Playing),ファーストパーソン・シューティングゲーム,ビデオゲームなど様々なゲームを対象にした発表がおこなわれ,多数の参加者があり盛会となった.

2.シンポジウム・国際会議等の報告

   本研究会主催の第17回ゲームプログラミングワークショップ(GPW2012)を2012年11月9日(金)-11日(日)の3日間の日程で箱根セミナーハウスにて開催した.91名の参加者,39件の一般発表(口頭発表19件,ポスター発表20件)が集まり盛況であった.このワークショップは1994年からほぼ毎年開催されているゲームプログラミング全般に関する我が国最大の学術研究集会である.当該分野の研究者らが合宿形式で一同に会し,時間に拘束されずじっくり討論できる貴重な機会となっている.

   このワークショップでは一般発表以外に毎回招待講演を企画している.今回はCivilization IIというPCゲームをプレイするプログラムを作るのにマニュアルのドキュメントを用いるというユニークな研究に関するS.R.K. Branavan氏の講演と,アクションゲームにおける人工知能の活用と課題に関する三宅 陽一郎の講演がおこなわれ,どちらも新鮮で興味深い内容で議論が盛り上がった.

   最先端で活躍する研究者と身近に討論出来る機会もあり非常に有意義なワークショップとなった.

3.総括

   本研究会は発足後14年が経過し,関係者の発表の機会を与えるものとして十分に定着してきた.発表の内容を見ると,将棋や囲碁などの伝統的なゲームを題材にしたものだけでなく,GGP(Geenral Game Playing)など,新しいゲームやパズルなど新たな拡がりがある.これらの研究テーマは,これからの情報処理技術にとって重要な貢献を果たすと考えられ,さらなる発展が期待される.

4.その他

   平成25年度も6月と3月に研究会,11月にゲームプログラミングワークショップの開催を予定している.「人間 vs. コンピュータ将棋」の次のイベントへの期待も高まりつつあり,その関係でも平成25年度中の盛り上がりが期待される.

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◆エンタテインメントコンピューティング(EC)研究会

[主査:倉本 到,幹事:井村誠孝,坂本大介]

1.定例の研究会活動報告

   第24-27回の研究発表会を開催した.

  • 第24回: 2012年 5月14日~15日,於 東京工業大学 (発表 15件) 
    電子情報通信学会MVE研究会との連催,日本VR学会SIG-A+Eの協賛で実施した.並行して東京工業大学 佐藤誠研,長谷川晶一研の見学会を行った.本研究会では,携帯端末や,音楽演奏,ラジオにおけるエンタテインメントシステムに関する議論がなされた.
  • 第25回: 2012年 7月14日,於 東北大学(発表 10件)
    ユビキタスコンピューティング研究会との共催,日本VR学会SIG-A+Eの協賛で実施され,ユビキタス性を生かしたエンタテインメントシステムに関する発表と議論がなされた.また,東北大学北村研究室の見学会を行った.
  • 第26回: 2012年12月15日~16日,於 東京都八丈島 ホテル リード・アズーロ (発表 6件)
    研究分野を概観するワークショップ的な意味を持ち,本研究会ではメタ研究会と位置づけている第26回研究会は,15日の研究発表会開催に接続する八丈島行きの航空機が天候不良で欠航となったため,東京に別会場を設け,Skype により両会場を接続して会議を開催した.そのため,口頭発表はすべて16日に変更し,15日は短縮ワークショップのみの開催となった.
  • 第27回: 2013年3月15日~16日,於 公立はこだて未来大学(発表 27件)
    音楽情報科学研究会との共催で実施された.本研究会は全ての発表において動画生中継を行った.本研究会では,特に音楽に関係したエンタテインメントシステムの発表および議論が多くなされた.
2.シンポジウム・国際会議等の報告
2.1 エンタテインメントコンピューティング 2012(主催)
2012年 9月28日~30日,於 神戸大学 六甲台キャンパス(口頭発表 24件,デモ 47件(内ショート発表25件))
今年は「Enjoy & Entertain!」をテーマとして,幅広くエンタテインメントシステムに関係する発表を募集した.また明和電機 代表取締役社長 土佐信道氏に「ナンセンス発想と製品開発」という題目でご講演いただいた.しかし,9月30日の午後に関西地方へ台風が接近した関係で,プログラムの最後に予定していた藤田教授の講演はキャンセルとなってしまった.この振替は平成25年度の研究会で実施される予定である.他のプログラムは滞りなく行われ,例年通り活発な発表・議論が行われた.

2.2 インタラクション2013 (共催)
2013年 2月 28日~ 3月2日,於 日本科学未来館(発表18件,デモ165件)
インタラクション技術はECと密接な関係にある研究分野であり,本年度も共催形式で協力した.本シンポジウムにおいても,休日における一般公開の日程が確保されるなど,積極的な情報発信を目指したシンポジウム運営を行った.さらに,口頭発表をインターネット放送にて生中継することにより,積極的に社会へ発信する取り組みを行った.
3.総括

 ECは情報科学の多くの分野と関係が深い研究領域である.そこで,関連する諸研究会との連携を深めることで幅広くECとそれに関する研究発表の場 を提供することを目指す一方で,メタ研究会に代表されるEC研究そのものの深化を図ることを,初年度来継続して実践してきている.
   本年度は特に,活動の活性化に向けて(1)シンポジウムへの積極的貢献= EC2012の主催・インタラクション2013への共催,(2)情報発信の活性化(ニューズレターの発行,およびtwitterやYouTubeを用いた情報発信)が実施・検討されてきた.これらの活動による分野の活性化に伴い,定期研究会の発表件数が増加してきている.さらに,講演発表のリアルタイム中継など,社会に開かれた研究会としての取り組みについても実施している.

4.その他
4.1 今後の計画
来年度は研究会4回(うち1回はメタ研究会)の開催を計画している.加えて,エンタテインメントコンピューティング2013シンポジウムの主催団体として,本学会と協力して運営することを計画している.また,昨年度同様にインタラクション2014を共催する.
また,twitterやYouTubeなどのメディアを利用した積極的な情報配信についても推進していく予定である.

4.2 主査抱負
エンドユーザとの関係性の深い研究分野を扱うEC研究会は,学術性を保ちつつもエンドユーザとの接触機会を有する,開かれた研究会を目指すべきであると考えている.特に今年度は,シンポジウムでのデモ発表公開・ストリーミング中継・SNSサービスによるさらなる情報展開を推し進めたい..

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◆バイオ情報学(BIO)研究会

[主査:渋谷哲朗,幹事:関嶋政和,大羽成征,吉本潤一郎]

1.定例の研究会活動報告

   平成24年度は以下の通り,第29-33回の研究発表会を開催した.

  • 第29回研究会
    第25回研究会は琉球大学において電子情報通信学会ニューロコンピューティング(NC)研究会との共催として開催され,沖縄科学技術大学院大学の浅井義之博士による招待講演1件を含めて26件の発表があり,大変盛況であった.また,SIGBIO学生奨励賞の授与式が行われた.
  • 第30回研究会
    第30回研究会は九州工業大学バイオメディカルインフォマティクス研究開発センターとの共催で九州工業大学において行われ,理化学研究所の岡田眞里子博士による招待講演を含め12件の発表があり,大変盛況であった.
  • 第31回研究会
    第31回研究会は,初めての試みとして,日本のバイオインフォマティクス関連3学会の合同大会である生命医薬情報学連合大会と共催しその1セッションとして参加する形でタワーホール船堀において開催され,4件の発表があった.
  • 第32回研究会
    第32回研究会は,MPS研究会との共催で京都大学桂キャンパス船井交流センターにおいて開催され,奈良先端科学技術大学院大学の金谷重彦教授による招待講演を含めて41件の発表があり,大変盛況であった.
  • 第33回研究会
    第33回研究会は東北大学において開催され,京都大学の藤渕航教授および東北大学の木下賢吾教授による特別講演2件を含めて11件の発表があり,大変盛況であった.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

   日本バイオインフォマティクス学会の主催するバイオインフォマティクス技術者認定試験およびHPCS2013への協賛を行った.

3.総括

   平成24年度は,沖縄,福岡,東京,京都,仙台で研究会を開催し,毎回開催地に近い研究機関の担当運営委員によって良好な運営が行われている.発表件数も,17年度38件,18年度51件,19年度45件,20年度47件,21年度43件,22年度43件,23年度84件,本年度69件(情報処理学会の他研究会との共催分はその半分を本研究会発表分とする),と比較的安定しており,他研究会や他学会との共催も積極的に行っている.また,また,英文トランザクションIPSJ Transactions on Bioinformaticsも引き続き活動している.研究会独自に設けているSIGBIO論文賞とSIGBIO学生奨励賞も,今後も引き続き授与していく予定である.

4.その他

   平成25年度は,開催数を5回に増やしたものの,それほど発表件数に変化がなかったことから,4回の開催を計画している.
第34回は電子情報通信学会ニューロコンピューティング(NC)研究会と共催で沖縄科学技術大学院大学で6月27日・28日に開催する予定である.第35回は9月頃に北海道大学での開催を計画している.第36回,第37回に関しては,東京工業大学および神戸大学での開催を予定あるいは検討している.また,これらの研究会開催に加え,今後の登録者数増などを図るため,シンポジウム開催についても今後検討していく.

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◆教育学習支援情報システム(CLE)研究会

[主査:竹村治雄,幹事:上田真由美,伊達 進,梶田将司,安武公一]

1.定例の研究会活動報告

   2012年度は,第7~9回の研究発表会を開催した.

  • 第7回は5月26日に関西学院大学で開催し,「ICT技術を活用した学習形態の多様化および一般」のテーマで9件の一般発表があった.また,企画セッションとして,「オープンソースを核とした産学連携による教育学習支援環境整備」をテーマとしたパネル討論を実施した.
  • 第8回は11月2~3日に九州大学で開催し,「Learning Analytics,学習履歴情報の活用および一般」のテーマで12件の一般発表があった.
  • 第9回は2月1~2日に国立情報学研究所で開催し,「教育環境におけるクラウドコンピューティング活用および一般」のテーマで14件の一般発表があった.
    2012年度は,聴講参加がしやすいよう,東京での開催や,土曜日の開催など工夫をし,多くの参加者を得た.
2.シンポジウム・国際会議等の報告

   8月20~22日に三保園ホテル(静岡県静岡市)で,情報教育シンポジウム(Summer Symposium in Shizuoka 2012(SSS2012))をコンピュータと教育研究会と共同で開催した.本シンポジウムでは,初等中等教育から大学における情報教育,学習支援情報システムに関連する様々な研究や実践報告が行われた.宿泊形式のシンポジウムのため,夜遅くまで活発な議論が行われた.

3.総括

   本研究会では,教育学習活動を支援する情報システムに関する研究開発及び実践報告に関する発表が行われ,システム開発者,運用者,利用者といった様々な立場の参加者が議論する貴重な場を提供することに成功している.また,コンピュータと教育研究会と合同で,論文誌「教育とコンピュータ」特集の企画も行い,教育学習支援情報システムを中核としたコミュニティ形成に貢献していると考えている.

4.その他

   2013年度は,5月に大阪大学,12月に沖縄(CE研究会と共催),2月に東京地区での開催を予定している.また,8月に休暇村岩手網張温泉(岩手県岩手郡雫石町)で情報教育シンポジウム(SSS2013),9月にFIT2013で企画セッションを予定している.

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◇ネットワーク生態学(NE)研究グループ

[主査:林 幸雄,幹事:鳥海不二夫,田中 敦,友知政樹]

1.定例の研究会活動報告
  • 会合名:第9回ネットワーク生態学シンポジウム
    日時:2012年12月15-16日
    場所:沖縄国際大学
    http://www.jaist.ac.jp/~yhayashi/11th_webology/index.html

    参加者は,招待講演者3名,一般29名,学生21名の計53名(一般と学生を合わせた新規参加者は27名)で2,728円の赤字となり繰り越し金で補った.本会合の運営委員会で上記の新幹事が承認された.

    下記の特別セッションに加えて,一般講演11件とポスター発表24件が行われた.

    特別セッション
    * 招待講演1
       司会: 林 幸雄(北陸先端大)
       谷澤 俊弘 氏(高知工業高等専門学校)
       「ネットワークの微細構造(次数相関・モジュラー構造)はその頑強性にどのような影響を与えるか?」
    *招待講演2
       司会: 風間 一洋(和歌山大)
       松林 達史 氏(NTT サイバーソリューション研究所)
       「グラフ可視化の高速化」
    * パネル討論
       「つぶやき&絆から参加する社会へ」
       司会: 林 幸雄(北陸先端大)
       パネラ: 友知 政樹氏(沖縄国際大学),和崎 宏氏(ひょっこむ),風間 一洋氏(和歌山大学)
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 上記の報告通り.

3.総括

   開催約2か月前に那覇マラソンと日程が重なる事が判明し,開催日を急遽変更をせざるを得なかった為,また私学の講義期間で柔軟な対応が困難だった等で,参加者数が伸び悩んだ.ただ,発表件数的には一般講演とポスターともに安定しており,新規参加者獲得面での新陳代謝も良い.財政的にも特に問題はないが,運営委員会の協議にて合宿形式の会合を復活させることが決まり,より活性化を目指す.次回は,2013年9月上旬に第10回ネットワーク生態学シンポジウムを有馬で開催する予定である.

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◇会員の力を社会につなげる(SSR)研究グループ

[主査:筧 捷彦,幹事:寺田真敏,平田圭二]

1.定例の研究会活動報告
   2011年12月27日に公開された『情報処理学会教育ビジョン 2011』に記載されている,「教育に携わる諸部門とのさまざまな形での協働の推進に努めます」を実践する場として,2012年度より新規に研究会グループとして活動を開始した.

   2012年度は,次の2つの会合を開催した.

  • 会合名:東大での『一般情報教育』を体験しよう~情報科学入門 - Ruby を使って学ぶ
    日時:2012年07月30日(月)~07月31日(火)
    場所:東京大学駒場キャンパス情報教育棟
  • 会合名:情報科教員を目指す学生さんに向けてのガイダンス会
    日時:2013年03月10日(日)
    場所:横浜清陵総合高等学校
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 なし

3.総括

   2012年度は,高校の先生,大学の先生に声掛けをし,SSR研究グループの活動に関するヒアリング会を3回開催した.2012年05月22日のヒアリング会では,高校の先生から「大学でのしっかりした情報の授業を聴きたい」と言う声があり,これを実現したものが,"東大での『一般情報教育』を体験しよう" という会合である.また,2012年07月25日のヒアリング会では,"高校の先生と大学の先生のコミュニティを活用して,複数大学間にまたがって,情報科の先生になりたい学生さんを応援するプロジェクト"を検討しようということになり,これを実現したものが,"情報科教員を目指す学生さんに向けてのガイダンス会"である.
   今後も,課題をひとつずつ解決していくことで,「教育に携わる諸部門とのさまざまな形での協働の推進に努めます」を実践していく予定である.

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