2006年度研究会活動報告

2006年度研究会・研究グループ活動報告


<調査研究運営委員会>
CMSgr

<コンピュータサイエンス領域>
DBS SE ARC OS SLDM HPC PRO AL MPS EMB

<情報環境領域>
DPS HI CG IS FI AVM GN DSM DD MBL CSEC ITS QAI EVA UBI BCCgr

<フロンティア領域>
NL ICS CVIM CE CH MUS SLP EIP GI EC BIO NEgr



調査研究運営委員会

 

◇教育学習支援情報システム(CMS)研究グループ

[主査:間瀬健二、幹事: 角所 考、梶田将司、中野裕司]

1.研究グループ発足報告

 本教育学習支援情報システム研究グループ(CMS研究グルー プ)は、高等教育機関における教育・学習のための基盤ソフトウェアであるコース管理システム(Course Management System, CMS)に関する研究発表および教育実践発表を通じて、大学教育と情報技術を核とした学際的な教育・研究実践コミュニティを形成することを目指して、平成17年12月に調査研究運営委員会の下に新規に発足した。

2.定例の研究会活動報告

 第2回・第3回・第4回研究発表会を開催した。

 第2回は名古屋大学で開催され、13件の一般研究発表があった。第3回は京都大学で開催され、慶應大学福原教授の招待講演および12件の一般研究発表があった。第4回は熊本大学で開催され、国立情報学研究所高野教授の招待講演および15 件の一般講演があった。

 いずれも、ほぼ80名の参加者があるとともに、第4回目は発表件数が多く、2日間の開催となるなど、この分野への関心と期待の大きいことが伺い知れる。また、第3回からは企業の協賛による展示・招待講演も開始され、産学連携も進んでいる。

 テーマは、オープンソースシステムによるコース管理システムの開発報告、導入実践報告、商用システムを使った実践報告など、研究グループが目指す技術開発から導入まで幅広い内容が集まった。

 研究会の活動は、 ホームページ http://www.ulan.jp/sigcms/ で紹介しており、研究会の発表原稿は、ホームページ上の会員登録手続きにより会員になれば無料で閲覧できるようになっている。また、発表者には事前に了解を得て、発表資料を登録会員が閲覧できるようにした。さらに、講演音声と合わせて視聴できるよう準備を行っている。

3.総括

 第4回の運営委員会(委員登録33名)において、今後の活動方針を議論し、コンピュータと教育(CE)研究会との共催で FIT2007 や秋の研究会を開催することなど、平成19年度の活動計画が決定された。大学における教育の情報化が進むにつれてさらなる活動の拡大が見込まれる。

4.その他

 平成19年度の研究会は、4月に大阪、10月に高知(「コンピュータと教育」研究会と共催)、 12月に福井で開催するとともに、9月に FIT2007にてシンポジウムを行う予定である。

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コンピュータサイエンス領域


◆データベースシステム(DBS)研究会

[主査:石川 博、幹事: 有次正義、片山 薫、木俵 豊、中島伸介]

1.定例の研究会活動報告

 第139~141回の研究発表会を開催した。特集テーマとしては、情報爆発、ブログなどを取り上げた。特に7月に開催した第139回研究会は発表件数97件、招待講演1件、参加者数も190名に上る会議となり盛況を博した。また、1月に開催した第141回研究会ではデータベース分野と他分野の融合を目的として、昨年に引き続き情報処理学会グループウエアとネットワークサービス研究会、放送コンピューティング研究グループとの共催研究会を開催した。
主な研究発表は、マルチメディアDB、放送型DB、半構造DB・XML DB・検索、情報検索、Web検索・マイニング、ブログ検索・マイニング、ストレージ、時系列データ・ストリーム処理、DB高度応用、感性情報処理、地理情報処理などである。

2.シンポジウム・国際会議等の報告
・データベースとWeb情報システムに関するシンポジウム(DBWeb2006)
今回のシンポジウムは、文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「情報爆発時代に向けた新しいIT基盤技術の研究」、京都大学21世紀COEプログラム「知識社会基盤構築のための情報学拠点形成」および京都大学魅力ある大学院教育イニシアティブ「社会との協創による情報システムデザイン」との共催のもと、電子情報通信学会データ工学研究専門委員会、同学会Webインテリジェンスとインタラクション研究会、日本データベース学会、ACM SIGMOD日本支部にも協賛を頂いており、我が国におけるデータベース研究領域の最大規模のシンポジウムとして、11月30日、12月1日の2日間にわたり京都大学百周年時計台記念館で開催した。
情報検索、情報抽出、情報可視化、セマンティックWebサーチ、XML、マイニング、グラフおよびメタデータ、画像および三次元、データベース応用という一般セッションに加えて、本シンポジウムでは、データベース高度応用分野の専門家の時代のニーズにこたえるべく特別セッションを設けた。そのテーマとしては、情報爆発、情報信頼性、ブログの利用とマイニング、Webと地理情報、パーベイシブ環境におけるデータ管理とその活用を取り上げた。本シンポジウムでは、 これらの多種多様なトピックとデータベース技術との関わりについて、基調講演、招待講演と研究発表(一般論文、ポスター)、パネルセッションの形態で議論する場を提供した。
基調講演1件、海外の研究者を含む招待講演15件に加えて、一般研究発表論文としては36件が採択され、ポスター発表33件とあわせて発表された。ブログの利用とマイニングに関するパネルセッション1件も合わせて行った。同時期に開催された国際会議ICADL2006との連携もあって最終的な参加者数は205名と大盛況であった。
また、本シンポジウムでは情報処理学会論文誌「データベース(IPSJ -TOD)」(電子情報通信学会データ工学研究専門 委員会共同編集)第34号(来年度発行予定)との同時投稿による連係を行った。同時投稿件数は28件であり、うち8件が最終的にTODへ採録が決定された。
3.情報処理学会論文誌:データベースの報告

 平成10年度にFI研と合同で創刊した研究会論文誌「データベース(IPSJ-TOD)」(電子情報通信学会データ工学研究専門 委員会共同編集)の第30号、第31号、第32号、第33号の発行を終えた。また、第30号では 14 件、第31号では 5件、第32号では 9 件、第33号では3件が採録された。来年度発行予定の第34号は、データベースシステム研究会が主催しているシンポジウムとの同時投稿による連係を行い、同時投稿件数は28件あった。

4.総括

 インターネットの普及はわれわれを取り囲む情報化社会を一変させた。モバイル情報機器や無線LAN、ICタグなどのネットワーク関連機器やインフラストラクチャが普及するとともに、WWWに代表されるように多種多様なコンテンツが、刻々とわれわれに提供され、まわりに爆発的な勢いで蓄積されつつある。このような状況下では、異種・大量のコンテンツをどう共有し、いかに効率的に検索・利用するかを追及してきたデータベース技術が益々その重要性を増してきている。さらにデータベース技術はこれまでは、考えられなかったような新たな応用分野に適用されつつある。このような背景のもとデータベースシステムの重要性が一層大きくなるとともに、インターネットやセンサーネットが普及し、コンテンツが溢れる時代の新しい情報共有のための中枢機構としての新しいデータベースシステム像が求められている。
データベースシステムは、広い範囲でのメディアデータの共有・利用を実現するための中心的なシステムとして位置づけられ、それとともにさまざまな情報・コンテンツの融合に関する研究開発や、関連する情報技術・応用技術との融合に関する研究開発が、今後さらに重要な課題になっていくと考えられる。
データベースシステム研究会は、メディアデータおよびネットワークが形成する新しい情報環境を視野に入れながら、さらに、 DBWeb2006で電子情報通信学会Webインテリジェンスとインタラクション研究会、文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「情報爆発時代に向けた新しいIT基盤技術の研究」、1月研究会でグループウエアとネットワークサービス研究会および放送コンピューティング研究グループと連係したように、他分野や隣接分野との連携を積極的に行うことによって、データベースシステム分野の発展拡大に貢献することを目指していく。
また学会の活性化にとって若手研究者のコミュニティへの参加を促すことはきわめて重要であると考える。そこでDBS研究会では第137回研究会より、学生による発表を対象として学生発表奨励賞を設け、優秀な発表者を顕彰することにしている。今年度は総計42名の学生が受賞した。受賞者には副賞(図書券)授与ならびにその氏名・業績の研究会HPへの掲載が行われる。受賞した学生の皆さんが喜び、これをきっかけとしてますます研究に精進していただくことを強く願う。

5.その他

 データベースシステム研究会は、永続的な情報の共有・検索・利用のための諸技術に焦点をあてた研究会であり、広範なデータ処理技術と応用分野をカバーし、今後データベースや情報検索に対する需要の高まりと共に、益々その守備範囲が拡大していくものと予想される。
そこで、本研究会は、他学会の関連組織(電子情報通信学会データ工学研究専門委員会、ACM SIGMOD 日本支部、日本データベース学会)と一層の連携を強化し、国際学会や他の研究会や研究グループとも連携を促進し、さらに実務者にも興味のあるテーマを提供できるように関連団体とも連携を図り、データベース関連の研究者、技術者のコミュニティの更なる発展に貢献していきたい。

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◆ソフトウェア(SE)工学研究会

[主査:羽生田栄一、幹事:紫合 治、野中 誠、丸山勝久、山本理枝子、鷲崎弘宜]

1.定例の研究会活動報告

 第152~155回の研究発表会を開催した。

  • 第152回:5月17日 化学会館 発表件数8件 参加者数29名
  • 第153回:7月10-11日 信州大学 発表件数8件 参加者数19名
  • 第154回:11月27日 大阪大学 発表件数11件 参加者数21名
  • 第155回:3月22-23日 化学会館 発表件数26件 参加者数67名
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2006:10月19-21日 日本科学未来館 参加者数181名
  • 組込みシステムシンポジウム:10月19-21日 日本科学未来館 参加者数169名
  • ウィンターワークショップ:1月25-26日 ホテルオーシャン/那覇市ぶんかテンブス館 参加者数54名
3.ワ-キンググループ活動
  • アレグザンダー『時を超えた建設の道』読書会を月1回づつ12回実施
  • 日本環境構造センター中埜氏とパターンに関するディスカッション(2月23日)
4.総括
  • 全般に活発な活動を行なえたと考えるが、学と産のコラボレーションに関しては、もう少し積極的な施策を考え、企業会員の増大を検討していきたい。
  • ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム第1回SES2006をおかげさまで成功裏に開催することができた。
  • 第155回研究会は学生発表のセッションを多く用意したが、学生の参加を積極的に促す目的で学生賞が有効に機能している。
  • 今年はESS2006の共催が行なわれたが、今後も、他研究会、他学会との有機的な連携をはかっていきたい。
5.その他
  • 要求工学ワーキンググループが2007年度より再開されることになった。
  • SES2007,APSEC2007@名古屋に向けての準備をスタートしている。

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◆計算機アーキテクチャ(ARC)研究会

[主査:中村 宏、 幹事:井上弘士、吉瀬謙二、佐藤真琴、森 敦司]

1.定例の研究会活動報告

 平成18年度は以下の5回の研究会を開催した。今年度の活動の特徴は、初めての試みとして電子情報通信学会集積回路専門委員会との共催(第160回)、および組込みシステム研究会との共催(第163回)で研究会を開催した点である。

  • 第160回 2006年 6月8-6月9日 @NEC玉川ルネッサンスシティ (ICD と共催)
    テーマ:集積回路技術とアーキテクチャ技術の協調・融合へ向けた、プロセッサ、並列処理、システムLSIアーキテクチャおよび一般
  • 第161回 2006年 7月31-8月2日 @高知商工会館[SWoPP2006]
  • 第162回 2006年 11月28-11月30日 @北九州国際会議場(デザインガイア2006の一環)
  • 第163回 2007年 1月22-1月23日 @慶應義塾大学日吉キャンパス(EMBと共催)
    テーマ:組込みシステムアーキテクチャおよび一般
  • 第164回 2007年 3月1-3月2日 @北海道大学学術交流館第一会議室及び小講堂(HPCと共催)
    テーマ:「ハイパフォーマンスコンピューティングとアーキテクチャの評価」に関する北海道ワークショップ(HOKKE-2007)
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 先進的計算基盤システムシンポジウムSACSIS2006を、2006年5月22日(月) - 5月24日(水) の日程で大阪国際会議場(グランキューブ大阪)にて、HPC、OS、PRO、AL、CPSYと共催で開催した。

3.総括

 これまでは、応用面では高性能分野、設計階層では上位分野との連携が強く、具体的にはHPC研究会との共催や、シンポジウムでもOSやPROなどとの共催が行われていた。これは、性能重視の研究が多かったことと無縁ではないだろうし、これからもこの方向性は重要だと認識している。一方で、低消費電力も計算機アーキテクチャ上の重要な設計指標になるであろう。この課題に取り組むためには,設計階層では下位の回路技術、応用面でも設計制約が厳しい組込みシステム分野との連携が重要になってくると考え、今年度から、電子情報通信学会の集積回路研究専門委員会との共催や、当学会の組込みシステム研究会との共催の研究会をそれぞれ開始した。幸いどちらも盛況であったが、これも、それらの方面への学会員の期待が大きいからだと認識している。

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◆システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)研究会

[主査:加藤和彦、幹事:大山恵弘、新城 靖、高汐一紀、廣津登志夫]

1.定例の研究会活動報告

 第102~104回計3回の研究発表会を開催した。

  1. 第102回 2006年5月12日~13日 沖縄 ホテルムーンビーチ
    システムソフトウェア一般をテーマとして、セキュリティ、カーネルとライブラリ、最適化と評価、言語、コンテンツ配信について全12件の発表が行われた。
  2. 第103回 2006年7月31日~8月1日 高知商工会館
    「並列/分散/協調処理に関するサマー・ワークショップ」として複数の研究会と共催により開催された。ネットワーク、資源管理、ストレージ、資源保護、適応システム、分散システムについて全17件の発表が行われた。
  3. 第104回 2007年1月30日~31日 立命館大学 びわこ・くさつキャンパス
    招待講演として立命館大学の西尾より「実世界と情報空間を融合するユビキタス技術」の特別セッションを設けたほか、システムソフトウェア一般として、システムソフトウェア構成法、カーネル、セキュリティとプライバシー、ネットワークシステム、ストレージについて全14件の発表が行われた。
2.シンポジウム・国際会議等の報告

○第18回コンピュータシステムシンポジウム 2006年11月29日(水)~11月30日(木)
場所 名古屋国際会議場
OS研究会としては、次のコンピュータシステムシンポジウムを研究会活動として重要視している。本シンポジウム投稿をACS論文誌と同時投稿可能とすることで、質と量の充実をはかり、招待講演により本分野の先端的な話題を提供している。基調講演として、米国Microsoft社のPeter Fitzsimon氏をお招きし、"Virtually: Anything is Possible!" と題して仮想化技術について講演して頂いた。また招待講演として、(株)コーエーの松原健二氏による「オンラインゲームの発展と多様化」とトヨタ自動車(株)の保科健氏による「車載情報系組み込みOSの最新動向」の二名の講演者をお招きし御講演頂いた。さらに特別講演として、北陸先端大学院大学の篠田陽一氏に「ネットワーク分散システムの大規模検証実験施設StarBED2」と題した御講演をお願いした。いずれの講演も会場からも活発な意見交換が行われ、非常に好評を博した。
一般論文として4件、ショート論文3件の発表があったほか、萌芽的な研究やデモンストレーションを交えた研究発表の場としてポスターセッションを用意し、15件の発表が行われた。ポスターセッションにおける発表の中から、参加者の投票により、最優秀ポスター賞と研究奨励賞を選定した。
2日間のシンポジウム全般にわたって活発な質疑応答が行われ、当初の目的を十分に果たすことができた。

 OS研究会として主催したコンピュータシステムシンポジウム以外にも、SACSIS(先進的計算基盤システムシンポジウム)を計算機アーキテクチャ研究会などと主催したほか、組込みシステム研究会主催の「組込みシステムシンポジウム2006」、インターネットカンファレンスを協賛し、OSに関連する分野との連携を行った。

3.総括

 例年行っているシステムソフトウェアとオペレーティングシステム分野の研究発表活動では、社会的要請からVMなどの仮想化技術、セキュリティなどが増えたほか、ストレージ、ネットワーク関連の発表も多い。また、引き続き産業界の視点からの話題を増やし、一般研究会での企業から研究発表、シンポジウムにおける企業からの招待講演などを依頼した。さらに、本分野の新しい展開を目指し、Web、ゲーム、車載、ユビキタスコンピューティング関連から招待講演をお願いした。昨年度より開始した学生表彰を継続することで若手育成に力を注いだ。これらの活動により、さらに重要性を増しているOS分野の活性化を行うことができた。
来年度平成19年度は主査が変わるが、今年度までの経験を元に、さらに一層活発な研究会活動を推進することを期待したい。

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◆システムLSI設計技術(SLDM)研究会

[主査:小野寺秀俊、幹事:内海功朗、大西充久、浜口清治]
1.定例の研究会活動報告

 以下に示す第125~129回の研究発表会を開催した。

  • 第125回:発表件数:13件、5月11・12日、テーマ:システム設計および一般、愛媛大学 総合情報メディアセンター 、電子情報通信学会(VLSI設計技術研究会(VLD))と共催
  • 第126回:発表件数:35件、10月26・27日、テーマ:システム LSI の応用とその要素技術,専用プロセッサ,プロセッサ,DSP,画像処理技術,および一般 、仙台 作並温泉(一の坊) 、電子情報通信学会(信号処理研究会(SIP)、集積回路研究会(ICD)、画像工学研究会(IE))と共催
  • 第127回(デザインガイア2006):発表件数:34件、11月28~30日、テーマ:VLSI の設計/検証/テストおよび一般、北九州国際会議場、電子情報通信学会(VLSI設計技術研究会(VLD)、ディペンダブルコンピューティング研究会(DC))と共催
  • 第128回:発表件数:21件、1月17・18日、テーマ:FPGAとその応用および一般、慶応大学日吉キャンパス、電子情報通信学会(VLSI設計技術研究会(VLD)、リコンフィギャラブルシステム研究会(RECONF)、コンピュータシステム研究会(CPSY))と共催
  • 第129回:発表件数:20件、3月15・16日、テーマ:組込技術とネットワークおよび一般、広島市立大学講堂小ホール、組込みシステム研究会(SIGENB)、電子情報通信学会(コンピュータシステム研究会(CPSY)、ディペンダブルコンピューティング研究会(DC))と共催
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 以下に示すシンポジウムを開催した。

  • DAシンポジウム2006:発表件数:38件、7月12・13日、浜名湖遠鉄ホテルエンパイア、SWEST8(組込みシステム技術に関するサマーワークショップ)と同時開催
3.総括

 本研究会は、システムLSIを中心とする電子装置の設計技術、設計自動化技術の研究分野をスコープとして活動している。
平成11年度に実施された「設計自動化研究会」からの改称と、それに伴うスコープの拡大により、活動の活性化が進んでいる。特に、研究会単独主催の「DAシンポジウム」では、組み込みシステム技術に関するサマーワークショップと同時開催することにより、相互に技術交流を図っている。今年度の参加者は、145名である。
また、平成18年度より、トランザクションを発行するためのトランザクションSWGおよび学生会員育成のための表彰SWGを新たに設けて、研究活動の更なる発展に向けて、活動している。

4.その他

 本研究会は、今後共、常に時代の要請に的確に応えながら、将来の電子機器の設計およびEDA技術の先端研究開発の交流の場として、皆様のお役に立てるよう一同頑張って参りたいと存じます。今後共ご支援の程お願い申し上げます。活動予定については、下記をご参照ください。
http://www.sig-sldm.org/

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◆ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)研究会

[主査:朴 泰祐、幹事:合田憲人、加納 健、佐藤周行、本多弘樹]

1.定例の研究会活動報告
  • 第106回 6月12日 電気通信大学大学院情報システム学研究科棟
  • 第107回 7月31日~8月2日 高知商工会館 [SWoPP2006]
  • 第108回 10月5日~6日 京都大学学術情報メディアセンター
  • 第109回 平成19年3月1日~2日 北海道大学学術交流会館 [HOKKE2007]
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • 「先進的計算基盤システムシンポジウム」SACSIS2006 5月22日~24日 大阪国際会議場(大阪府大阪市)(ARC、OS、PRO、AL各研究会及び他学会と共催)
  • インターネットコンファレンス2006 10月23日~24日 東京工業大学大岡山キャンパス(東京都目黒区)(他学会と共催)
  • 「ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム」HPCS2007 平成19年1月17日~18日 エポカルつくば (茨城県つくば市)

3.総括

 クラスタ、グリッド等の研究分野で、特に学生の発表が多くHPC分野における多くの人材が育成される土壌が固まりつつある。今後、高性能計算をキーワードに、アーキテクチャ、システムソフトウェア、アプリケーション等の各研究分野との連携を深め、基礎研究と実応用の両面での一層の展開が期待される。

4.その他

 研究会としての活動は益々充実し、年間発表件数も増加しつつあります。HPC研究は1つの確立した研究分野ではなく、今後も様々な研究会・学会と連携して活動していくつもりです。なお、平成19年度は海外での研究会開催も企画しております。

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◆プログラミング(PRO)研究会

[主査:岩崎英哉、幹事:小川瑞史、西崎真也、前田敦司]

1.定例の研究会活動報告

 第59~63回の研究発表会を開催し、合計46件の発表があった。このうち、第60回(8月、SWoPP2006)が他研究会との連続開催であり、残りの4回が単独開催である。SWoPPの回には特集テーマを定めたが、特集テーマと直接は関係しない発表も常に受け付けるようにした。

 平成18年度も、トランザクション:プログラミング(PRO)と密着した体制で研究発表会を開催した。トランザクション(PRO)に投稿された論文は、まず研究会で発表され、発表会の直後に開催されるトランザクション(PRO)編集委員会において議論し、査読者を定めて本査読を行なった。例年通り、投稿の有無に関わらず、1件あたり発表25分、質疑・討論20分の時間を確保し、参加者が研究の内容を十分に理解するとともに、発表者にとっても有益な示唆が得られるように務めた。発表総数46件中、投稿論文からの総採録件数は27件程度になると予想される。採択率は、例年は50%をやや下回っていたが、平成18年度は約75%と高めであった。

また、若手を対象としたコンピュータサイエンス領域奨励賞の受賞者を2名選び、第63回の研究発表会の場で表彰式を行った。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 情報処理学会5研究会(ARC、OS、HPC、PRO、AL)および電子情報通信学会1研究会(CPSY)およびIEEE CS Japan Chapter の共同主催ならびに情報処理学会2研究会(MPS、EMB)および電子情報通信学会2研究会(DC、RECONF)の協賛により、先進的計算基盤システムシンポジウム(SACSIS 2006)を、5月22~24日に大阪国際会議場(グランキューブ大阪)で開催した。

 また、第14回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2006) 12月6~7日、日本ソフトウェア科学会「インタラクティブシステムとソフトウェア」研究会に協賛した。

 さらに、全国高等専門学校プログラミングコンテスト (10月7日~8日) の各部門の最優秀チーム、優勝チームに対するコンピュータサイエンス領域奨励賞授与に関して、企画推薦を行った。

3.総括

 プログラミング研究会の発表件数は、最近3年間で 58件、49件、46件と続けて減少となった。幸い、平成18年度はトランザクション論文としての採択件数が多く、発表件数は少ないながらもその質は高かったということができるが、発表件数減少の傾向に対しては、対策が必要である。

4.その他

 プログラミング研究会では積立金の有効活用等を通じて、研究会登録費、ならびにトランザクションの1ページあたりの別刷代金を年々値下げしてきている。このことと、学生会員に対する研究会無料登録制度が、研究会への若手の登録者数、ひいては発表申し込み数、トランザクションへの投稿、掲載件数を増やす方向に働くことを期待している。

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◆アルゴリズム(AL)研究会

[主査:永持 仁、幹事:梅谷俊治、野々部宏司、柳浦睦憲]

1.定例の研究会活動報告

 第106-111回の合計6回の研究発表会を開催した。総発表数は70件であった。発表の内容は、グラフ・ネットワークに関するアルゴリズム、計算幾何、列挙アルゴリズム、近似アルゴリズム、計算複雑度、並列・分散アルゴリズム、機械学習、マトロイド、ゲーム、情報セキュリティと多岐に渡っている。本年度は4件の招待講演を企画し、幅広い分野から第一線で活躍されている方々にご講演いただいた。この企画は、参加者が視野を広げ、研究に新たな刺激を受けるよい機会となっている。他研究会との交流としては、電子情報通信学会のコンピュテーション研究会と9月に連続開催、同学会の回路とシステム研究会・コンカレント工学研究会と11月に連続開催を行い、これらの研究会との研究交流も行った。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 小規模国際会議として、韓国の研究会と連携してJapan-Korea Joint Workshop on Algorithms and Computation(アルゴリズムと計算理論に関する日韓国合同ワークショップ)を定期的に開催している。本年度は第9回のワークショップを7月に北海道大学にて開催した。今回の発表件数は23件であり、若手研究者をはじめとして多数の参加者を得、盛会であった。

3.総括

 年6回の定例の研究会に加え、小規模国際会議を開催し、例年通り活発な活動が出来たと考えている。とくに、過去2年減少傾向にあった発表件数が今年度大幅に増加したことは大変喜ばしいことであった。

4.その他

 研究会への参加者数を維持あるいは増加し、研究会活動を盛り上げていくことは、アルゴリズム関連分野の発展のために大変重要であると考えている。今年度はCS領域奨励賞が導入され、1名を表彰したが、このような企画は若手研究者に発表を奨励するよい誘因剤となっており、今後の研究会の発展に大変有益であると思われる。また、CS領域のご協力をいただき、スーパーコンピューティングコンテスト(SuperCon2006)への協力を行った。このような協力は、優秀な高校生に情報分野に興味を持たせるために非常に重要であり、今後も同様の協力を継続したいと考えている。

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◆数理モデル化と問題解決(MPS)研究会

[主査:北 英輔、幹事:小林 聡、廣安知之 、藤本典幸、古瀬慶博]

1.定例の研究会活動報告

 第59-63回の研究発表会を開催した。

  • 第59回:5月25、26日、於名古屋大学、発表23件、参加者数30名程度。
  • 第60回:6月26、28日、於Monte Carlo Resort (Las Vegas)、発表17件、参加者数約20名。
  • 第61回:9月14、15日、於大阪大学、発表18件、参加者数約30名。
  • 第62回:12月21、22日、於電気通信大学、発表39件、参加者数約50名。
  • 第63回:3月3、4日、於松島ホテル大観荘、発表28件、参加者数約40名。
平成18年度の発表の内訳は、学習理論、ゲノム、数理生物、並列分散処理、パターン認識、進化的計算、認知科学、金融工学、経済物理学、行動ファイナンス等の分野から合計125件であった。昨年度が73件であったのと比べると、約70%増となった。これまでにも多数の講演があった進化的計算、ゲノム、金融・経済分野などの分野に加えて、本年度はデータマイニング、ネットワーク等の新たな分野からの講演申込が増えつつある。また、金融経済野と関連づけたマルチエージェント等のシミュレーション、データマイニングとの関連で従来から多数の研究発表があるアルゴリズムなどの分野が一層活性化されている。本年度は情報処理学会内外のいくつかの研究会と共催して開催した。第59回研究会は形の科学会、第60回研究会は国際会議PDPTA06、第62回研究会はバイオ情報学研究会、さらに第63回は国際会議EMO2007と共催を行ない、それぞれ大盛況に終った。
第60回を除く各研究会でプレゼンテーション賞を選出するとともに、第63回研究会では、功績賞3名の表彰式を行った。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • MPSシンポジウム2006
    10月24~25日に、名古屋大学において「MPSシンポジウム2006」を、21世紀COE「計算科学フロンティア」、「情報処理学会ナチュラル・コンピューティング研究グループ」と共催で開催した。3件の招待講演、40件程度の一般講演があり、盛況に開催された。

  国際会議、シンポジウムなどへの共催
本年度は以下の国際会議、シンポジウムへの協賛を行った。
1) 形の科学シンポジウム2006
2) ネットワークが創発知能研究会ワークショップ2006
3) 8th International Colloquium on Grammatical Inference (ICGI 2006)

3.総括

  本研究会では、これまでと同様に、新規分野の開拓に積極的につとめてきた。その結果、昨年の金融経済分野に加えて、本年度はデータマイニング、ネットワーク等の分野の研究発表が増加した。そこで、今後も他の研究会や他学会などとの共同開催をすすめるなど、積極的な活動を行うことで、新規分野の一層の開拓に努めたいと考えている。

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◆組込みシステム(EMB)研究会

[主査:高田広章、幹事:青木利晃、追川修一、冨山宏之、平山雅之]

1.定例の研究会活動報告

 下記の通り、第1~4回の研究発表会を開催した。

  • 第1回研究発表会
    日程:平成18年6月27日(火)10:00-15:30
    会場:お台場 日本科学未来館 会議室2
    議題:一般
    発表件数:一般講演7件
  • 第2回研究発表会
    日程:平成18年9月27日(水)13:00~16:45
    会場:産業技術総合研究所 関西センター
    議題:一般
    共催:システム制御情報学会・組込みシステム研究分科会、産業技術総合研究所と共催
    発表件数:一般講演4件、パネル1件
  • 第3回研究発表会
    日程:2007年1月22日(月)~2007年1月23日(火)
    会場:慶應義塾大学 日吉キャンパス 日吉来往舎1階会議室
    議題:組込みシステムアーキテクチャおよび一般
    共催:計算機アーキテクチャ研究会
    発表件数:一般講演18件、招待講演3件
  • 第4回研究発表会
    日程:平成19年3月15日(木),16日(金)
    会場:広島市立大学 講堂小ホール
    議題:組込技術とネットワークに関するワークショップ ETNET2007
    共催:システムLSI設計技術研究会、電子情報通信学会 コンピュータシステム研究会、同 ディペンダブルコンピューティング研究会
    発表件数:一般講演19件、招待講演1件

 

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 下記の通り、組込みシステムシンポジウム2006を共催した。

    日程:平成18年10月19日(木)~21日(土)
    会場:日本科学未来館(東京)
    共催:ソフトウェア工学研究会
    参加人数:169名
    発表件数:一般講演21件、基調講演3件、チュートリアル2件、パネル1件、ポスター13件

 また、下記のイベントを共催または協賛した。

    協賛:ソフトウェアテストシンポジウム2006大阪(平成18年5月11~12日)
    協賛:先進的計算基盤システムシンポジウム(平成18年5月22~24日)
    協賛:DAシンポジウム2006(平成18年7月12~13日)
    共催:組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(平成18年7月13~14日)
    協賛:ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2006(平成18年10月19~21日)
    協賛:第18回コンピュータシステムシンポジウム(平成18年11月29~30日)

 

3.総括

 組込みシステム研究会は、平成17年度に組込みシステム研究グループとして活動した後、平成18年4月に発足した。平成18年度は発足初年度であり、1年を通じて積極的に活動を行った。定例の研究発表会を4回し、10月に組込みシステムシンポジウム2006を開催した。同シンポジウムには30件の質の高い投稿があり、うち21件を採択した。参加者も169名に上り、組込みシステム技術に関する議論が積極的に行われた。また、同シンポジウム開催を受け、情報処理学会論文誌に「組込みシステム工学特集」を企画した。12月末に投稿を締切り、18件の投稿を受け付けた。現在、第1回目の判定が終わり、著者に照会中である。関連するシンポジウムやワークショップにも積極的に協賛し、他研究会や他学会との交流を行った。

4.その他

 平成18年度と同様、平成19年度も4回の研究発表会と組込みシステムシンポジウムを開催する予定である。組込みシステムシンポジウムは、平成18年度はソフトウェア工学研究会との共催であったが、平成18年度は組込みシステム研究会の単独主催となる。組込みシステム研究会の独自性を打ち出しつつ、関連する多くの他研究会や他学会との連携も強化したい。

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情報環境領域


◆マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会

[主査:櫻井紀彦、幹事:明石 修、重野 寛、寺西裕一、西山 智]

1.定例の研究会活動報告

 定例の研究報告会は、以下の通り4回実施した。研究発表件数は、招待講演も含めて125件であった。

  1. 第127回研究報告会(2006年6月5~6日:岡山大学大学院) 12件
    アドホックネットワークに関する話題やネットワークの価値モデルに関する発表が行われ、さらに、国産オブジェクト指向スクリプト言語 Ruby の作者である(株)ネットワーク応用通信研究所まつもとゆきひろ氏より「動的言語の古くて新しい世界」という題目でご講演いただいた。
  2. 第128回研究報告会(2006年9月14~15日:はこだて未来大学) 20件
    GN、EIPと合同開催。協調システム,マルチメディア通信,及びそれら技術の社会的側面というテーマのもと、P2Pオーバレイ技術に関する活発な議論が繰り広げられた。また、はこだて未来大学の鈴木恵二教授に「観光情報学の展開」という題目でご講演いただいた。
  3. 第129回研究報告会(2006年11月16~17日:NTT武蔵野研究開発センタ) 13件
    大規模分散システムや標準化に関する話題に注目が集まった。また、NICTの平原正樹氏より「新世代ネットワークアーキテクチャの研究開発」という題目でご講演いただいた。
  4. 第130回研究報告会(2007年3月1~2日:九州産業大学) 75件
    CSECとの合同開催であり、合計で75件・3パラレルセッションの盛況な研究会となった。2件の招待講演を企画、九州大学の雨宮真人教授より「ユビキタスネットワーク社会を支えるマルチエージェント技術」、電気通信大学の鈴木健二教授より「ライトタイム・コミュニケーションに向けて」という題目でご講演いただいた。
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  1. マルチメディア、分散、協調とモバイルシンポジウム(DICOMO2006)

    2006年7月5~7日、香川県琴平温泉にてDPS、GN、DSM、MBL、CSEC、ITS、QAI、UBIの8つの研究会の主催、及び放送コンピューティング研究グループ、電子化知的財産・社会基盤研究会の協賛により開催され、発表件数247件(講演:235、デモ:12)、参加人数389名(招待講演、パネリスト4名を含む)と非常に大規模かつ年々活性化している。
    今年度は10周年を記念して、10年間のすべての論文を電子化しDVDにまとめたものを参加者全員に配布した他、特別企画として、新日鉄ソリューションズ株式会社大力修氏による招待講演や、歴代実行委員長によるパネルディスカッションが行なわれた。本シンポジウムにおけるDPS研究会関連の発表は5分の1程度を占めており、多くのDPSメンバがこのシンポジウムに参加し、交流を深めた。
  2. 第14回 マルチメディア通信と分散処理ワークショップ(DPSWS)

    2006年11月29日(水)~12月1日(金)鹿児島県霧島市、霧島ハイツで開催された。今回で14回目となった本WSは、若手・熟練がひざを突き合わせて議論を深め、特に若手研究者の研究活動の発展を後押しする場を提供するという目的のもと、全ての発表はシングルセッションで行われ、57名の参加者・34件の論文発表・議論が行われた。発表は、既存の分散システム、マルチメディア通信、ネットワーク技術の研究分野にとらわれず、分野を融合した先駆的試みを持つ論文も多く見られた。投稿原稿は、プログラム委員によって査読され、各投稿者にコメントが返されると同時に、5件がロングプレゼンテーション(40分)として選ばれ、特に深い議論が行われるなど、意見交換の場として有意義であったと考えられる。また最優秀論文賞1件、優秀論文賞4件に加え、特に若手研究者のインセンティブ高揚を目的に、優秀学生賞4件を用意、また参加者の投票により、ベストプレゼンテーション賞・ベストカンバサント賞もおくられた。「くるまTheセッション」では今後のWSの方向性を参加者皆で議論し、今後も特に若手を中心とした密度の高いディスカッシ ョンの場としての位置づけを一層明確にしていく重要性を確認、新しい研究の発展の原動力を培うワークショップとなった点でも有意義であったと考えられる。
  3. 論文誌「シームレスコンピューティングとその応用技術」特集

    本特集は、近年多様に発展を遂げた通信メディアを利用して複数の通信メディアを意識することなくシームレスに利用し、あるいは複数の端末間で応用をシームレスに利用し続けるために必要となるシームレスコンピューティング技術について、最新の研究や開発事例に関する論文を一括して掲載することを目的として企画された。ゲストエディタとしてこの分野に造詣の深い岩手県立大学の柴田義孝先生を迎えて編集委員会を組織した。通常の新規独創的な研究論文に加えて、サービスを実現するためにシステムの実装やその評価から得られた有効性や問題点を明らかにし、その有用性を示した論文を積極的に評価する方針とした。49件の論文投稿(内取り下げ1件)に対し、編集委員による査読評価の結果、24件を採録とした。最終49%という採択率は、当初の目標としていた60%には至らなかったが、採録された論文は、理論、プロトコル、システム構築の方法論、システム評価論文を含め、シームレスコンピューティングを初めとする分散処理技術に関する十分な品質の論文を掲載することができたと考えられる。
3.総括

 本研究会では、4回の定例研究会、シンポジウム、ワークショップを通して、研究者相互の交流と研究に対する活発な意見交換の場を提供することができた。論文誌特集号については、非常に多くの方にご協力いただき、遅延のない査読プロセスを進めるとともに、幅広いテーマに関する優秀な論文を数多く掲載することができた。ここに改めて、ご協力頂いた皆様に感謝する。またDPSWSでは若手研究者間の一体感と研究会活動への理解を一層強めることができ、次の世代を担う原動力を高めていくための基盤構築に少しでも貢献することができたと考えている。今後も、DPS関連研究者の更なる研究の活性化、また国際化への支援を進めていく予定である。引き続き皆様の積極的参加とご協力をお願いしたい。

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◆ヒューマンインタフェース(HI)研究会

[主査:中小路久美代、幹事:青木 恒、加藤直樹、河野恭之、田村弘昭、水口 充]

1.定例の研究会活動報告

 第118-122回の研究発表会を開催した。なお、各研究会のテーマ名および招待講演は下記の通りである。外部からの講演者を招聘することで、研究会参加者の増加が見られた。

  • 第118回 2006/05/19 「受け容れるインタフェース、および一般」
    招待講演:「インタラクティブ・アートからの発想【人と機械をつなぐ勘所とは?】」森脇裕之助教授(多摩美術大学)
  • 第119回 2006/7/6,7 「表現のためのインタフェース、および一般」
    招待講演:"Max and Pd: Software for real-time interactive music and arts" Miller Puckette教授(UCSD音楽学部)
  • 第120回 2006/9/29,30 「取り巻くインタフェース,及び一般」
    招待講演:「有人宇宙活動と無人宇宙活動」柳川孝二氏(独立行政法人宇宙航空研究開発機構
  • 第121回 2006/11/21,22 「かえりみるインタフェース,および一般」
    招待講演:「リフレクションに基づく学習支援システム」三輪和久教授(名古屋大学大学院情報科学研究科)
  • 第122回 2007/2/9,10 「理解る(わかる)インタフェース,および一般」 ※SLPと共催
    招待講演:「脳の中の時間」 北澤茂教授(順天堂大学医学部)
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 第11回ヒューマンインタフェースプロフェッショナルワーク ショップ(HIP11) を、 2006/7/6,7の両日開催した。テーマは、「表現するインタフェース」で あった。
また、インタラクション2007 を、GN、UBI と共催で 2007/3/15,16の両日開催した。過去最高の参加者を記録した。

3.総括

 昨年度に引き続き、積極的な参加の呼びかけや多様な関連分野からの招待講演企画を通じて、各研究発表会は多くの参加者を集め、活発な議論が行われる有意義な場となっている。数年来の傾向ではあるが、人間と情報技術とのインタラクション(相互作用)に対する研究発表が多くなってきており、情報科学、認知科学、社会科学、デザインやアートなどを含めた関連研究分野との関わりが広がっている。これを踏まえて、平成19年度より研究会の名称を「ヒューマンコンピュータインタラクション研究会」と改称し、研究領域の明確化と活発化を図ることとした。

4.その他

 ヒューマンコンピュータインタラクションという研究分野についての認知を高めてもらう活動を積極的に行いたいと考えている。端緒として研究会名称変更イベントとして第123回研究発表会にてYahoo! ResearchのElizabeth F Churchill氏と主査の中小路による特別講演を行う。

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◆グラフィクスとCAD(CG)研究会

[主査:西田友是、幹事:柿本正憲、金田和文、齋藤 豪、乃万 司]

1.定例の研究会活動報告

 以下の通り、4回の研究発表会を開催した。

  • 第123回 テーマ: 形状モデリングおよびCG一般
    平成18年 7月 11日(火) 日本SGI(東京都渋谷区)
    発表件数12件
  • 第124回(夏の集中研究集会)  テーマ: 10年後に役立つCGおよびCG一般
    平成18年 8月 17日(木)~18日(金) 別府温泉花菱ホテル(大分県別府市)
    発表件数13件
    特別シンポジウム「グラフィクスの新地平」開催
  • 第125回 テーマ: CGと文化・芸術及びCG一般
    平成18年 11月 16日(木)~17日(金) 京都大学(京都市)
    発表件数20件
  • 第126回 テーマ: CGと記録及びCG一般
    平成19年 2月 19日(月)~20日(火) NTT-AT(東京都新宿区)
    発表件数20件
    招待講演1件

 総発表件数は65件で、最近4年間では53件・56件・62件・65件と増加傾向が続いている。

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • Visual Computing/グラフィクスとCAD 合同シンポジウム2006
    平成18年6月22日(木)~23日(金) 東邦大学(千葉県船橋市)
    発表件数45件(うちポスター発表26件) 投稿件数61件
    EUROGRAPHICS採録論文の特別講演3件
    今回で23回目を迎えたシンポジウムで、画像電子学会ビジュアルコンピューティング委員会との共催となってからはちょうど10回目の開催となる。毎年投稿数が増加しており、今年度も3名ずつの査読により3割を登壇発表、4割をポスタ発表として採録した。共催を始めた10年前の構想どおり、国内でのCG研究発表の場として質量ともに最高のシンポジウムとなっている。
  • ビジュアル情報処理研究会 学生研究合宿 2006
    平成18年9月23日(土) ~ 25日(月) 国立女性教育会館(埼玉県嵐山町)
    画像電子学会学生会との共催で、学生が運営を主体的に行う研究合宿である。第6回目の今年度は、13大学・16研究室から、学生93人・教員14人が参加し、活発な発表・討論を行った。

 

3.総括

 発表件数はここ数年増加傾向にあり、発表時間の確保に手間どる傾向が見られる。CG研究会では、特に合同シンポジウムと夏の集中研究集会を中心に、討論重視の研究発表を行うようにしている。発表件数が増加しても十分な討論の時間・質を確保することが今後の課題である。ここ数年、世界的にCG研究は競争が厳しくなっており、これに伍していけるよう、若手の育成も含め研究レベルの向上に努めたい。

 

4.その他

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◆情報システムと社会環境(IS)研究会

[主査:市川照久、幹事:鈴木律郎、冨澤眞樹、松永賢次]

1.定例の研究会活動報告

 第96回(5月15日,機械振興会館,電子情報通信学会知能ソフトウェア工学研究会と共催,発表9件),第97回(8月25日,情報サービス産業協会,発表7件),第98回(11月6日,新潟国際情報大学,発表9件),第99回(3月14・15日,専修大学,若手の会,Project-based Leaning特集,発表19件)と4回の研究発表会を開催し,計44件の発表があった。内容的にも現実の社会環境における情報システムの分析・設計・開発・運用・利用から,情報システムと人間・組織・社会との相互関連に関する学際的研究まで多彩なテーマが集った。PBL特集では,産官学連携による試みが多く報告され,意見交換が行われた。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 「攻めのIT、守りのIT~企業戦略に占めるIS戦略の位置付けの変化を探る~」チュートリアルを平成19年1月12日に日本IBMにて開催した。ユーザ系企業,ベンダー系企業双方からCIO、CTO経験者4名に、企業戦略における情報システムの位置付けを示していただき,コーポレートガバナンスに活きるIS戦略の在り方や、関与する人材の重要性、今後の求められる役割等について見解を述べていただいた。実際のCIO、CTO経験者の生の声を聞ける良い機会ということもあり,40名と多くの参加があった。

3.総括

 平成18年度もこれまでと同様に情報システムの方法論の提案や、具体事例の分析・考察を中心として、上記の通り定例の研究会活動とチュートリアルを実施した。論文誌の情報システム特集号も3年目となり,情報システム論文の拡大に寄与している。

4.その他

 平成16年度より,情報システムに関連する学会論文特集号を年に1回発行することを目指している。平成18年度は3回目となる,「情報社会の基礎を築く情報システム」特集号を,平成19年3月に発行した。平成19年度は,20年2月に「社会的課題に挑む情報システム」特集号を企画中である。

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◆情報学基礎(FI)研究会

[主査:吉岡真治、幹事:岸田和明、酒井哲也、田村直良、仲尾由雄]

1.定例の研究会活動報告

 第83-86回の研究発表会を開催し、52件の発表があった。

 第83回は「ブログ解析、Webコミュニティ、情報検索」をテーマにデータベースシステム研究会と合同で開催し、14件の発表(うち2件は招待講演)があった。第84回は自然言語処理研究会と合同で開催し、22件の発表があった。この発表件数は、平成18年度のFI研では最多であり、近年のWebに存在する多数のテキストを扱うために自然言語処理技術を応用するテーマに対する注目の高さが伺える。第85回は「セマンティックWebとディジタル図書館」を テーマに、デジタル図書館ワークショップと共同で開催し、9件の発表があった。第86回は「学生チャレンジ特集」をテーマに、デジタルドキュメント研究会と合同で開催し、12件の発表があった。この学生チャレンジ特集では、研究会に関係する学生を対象に、研究会を積極的に活用してもらうことを考えて企画をした。実際に参加した人たちからの意見をフィードバックして、今後の企画に役立てたいと考えている。いずれの回のテーマも、近年注目されているトピックスを含み、多くの発表・参加者を集めることができた。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 本年度は、昨年度まで行ってきた情報学シンポジウムに協力することを想定していたが、本シンポジウムの取りまとめである日本学術会議の改組が一段落し、学術会議における情報学シンポジウムの位置づけが大きく変わったことから、本年度からは、本研究会が直接関与しない形となった。

 ただ、学術会議の体制も改組の影響ではっきりしていなかったため、今回のように、直接関与しないということが決定したのが、9月頃であった。この影響により、新たなシンポジウムを企画するのに十分な準備期間を確保できず、本年度は、シンポジウム・小規模国際会議等は開催しないこととした。

3.研究会論文誌の活動報告

 DBS研および電子情報通信学会データ工学研究専門委員会と共同で刊行している研究会論文誌「データベース(TOD)」については、第30-33号を予定通り刊行した。各号ともコンスタントに20件前後(14~24件)の一般論文投稿(シンポジウム連係以外の投稿)があり、この分野の主要な論文投稿先の一つとして認知されてきたと判断できる。

4.総 括

 本研究会の基調テーマは、情報とその利用に関する基礎理論(情報の特性解析・情報/ユーザのモデリング・情報組織化等)であるが、近年は、Web情報処理やコンテンツ・知識管理など、適用分野が大きく拡大してきている。そのため、研究対象が関連し、異なる技術的あるいはシステム的指向を持つ他の研究会と、研究発表会や研究会論文誌などを通じて連携を深めていく事を考えている。

 また、これまで開催してきた「情報学シンポジウム」は、情報学の利用側の分野の研究者・開発者との交流の場としての役割を果たしてきたと考えている。このシンポジウムが、学術会議の主導という、より幅広い枠組みの中で開催される事となったことを喜ばしく思うと共にますますの発展を期待している。

 また、本研究会としては、近年、Webの爆発的な発展にともない、ますますその研究に対する要請が高まっているNTCIR(テキストを中心とした情報アクセス技術について研究を行っているワークショップ型共同研究)と連携をして、新たな研究テーマに関する検討を行っていく場を設けたいと考えている。

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◆オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)研究会

[主査:小池 淳、幹事:高木 真一、橋本 真幸、坂東幸浩]

1.定例の研究会活動報告
  • 第53回は7月13日、14日に関西大学千里山キャンパスにて開催し、電子情報通信学会モバイルマルチメディア研究会(MoMuC)との共催で行われた。一般セッションとしてR-D最適化手法やMP3-AAC変換手法、画像変動を考慮した適応型フィルタ、パッシブRFIDを用いた方向検出システム、無線を用いた個人対個人情報交換について研究報告があり活発な議論が行われた。学生ポスターセッションとして、P2Pのためのクロスレイヤ制御、モバイルサービスにおける効用とコストの定量化手法、ハンドオーバー時のレート制御、低消費電力地上デジタル受信装置、テレビ電話におけるアイコンタクト効果について発表があり、意見交換が行われた。招待講演として、モバイルコミュニケーションメディア:現在と未来、と題してNTTドコモ栄藤氏より講演があり、多くの質疑応答があった。
  • 第54回は9月28日、29日に九州工業大学にて開催し、12件の発表があった。H.264/AVC符号化処理における符号化モード選択の効率化、ドライビングシミュレータ作業中の目の赤外線画像の変化、視点位置情報の利用による内容画像検索の効率化、車載カメラ画像のインデキシング、携帯端末における超高解像度画像閲覧方式に関する検討などの研究報告があった。チュートリアルとして、多端子情報理論とセンサネットワーク、Distributed Video Codingの動向と今後、TRECVIDにおける映像検索技術の評価方式と技術トレンドの発表が行われ、多くの質疑応答があった。
  • 第55回は12月14日、15日に、北海道大学と名古屋大学にて開催し、22件の発表があった。電子情報通信学会画像工学研究会、通信方式研究会、映像情報メディア学会放送技術研究会との共催で、北陸先端大などの各大学を衛星回線で接続して行われた。通信方式、画像符号化方式、画像解析/認識技術などの分野から幅広い発表があり、デジタル放送のベースバンド一括再送信システムや方向性フィルタバンクによる多重記述符号化方式などの研究報告が興味を引いた。
  • 第56回は3月5日、6日に沖縄セルラー電話株式会社にて開催し、12件の発表があった。映像要約手法、自然人工混在画像の圧縮手法、H.264/AVC符号化の改善手法、人の姿勢高速認識手法、 ベクター表現向け境界線検出手法、似顔絵生成技術を用いた携帯電話向けメーラの試作などの研究報告があり、活発な議論が行われた。チュートリアルとして、IPTV関連技術とサービスの最新動向について発表があり多くの質疑応答があった。
2.シンポジウム・国際会議等の報告

  ・画像符号化シンポジウム(PCSJ)、映像メディア処理シンポジウム(IMPS)
当研究会の取り扱う分野に関連が深い「画像符号化シンポジウム(PictureCoding Symposium)および映像処理シンポジウム(Intelligent Media Processing Symposium)」へ共催した。2006年の11月8日~10日の3日間、ラフォーレ修善寺にて開催され、約200名の参加があった。画像符号化や次世代映像処理について、約120件弱の発表が行われ、特別講演や「立体3D技術の現状と課題」「画像符号化の現状を知り、将来の方向性を探る」と題するナイトセッションも行われた。

3.総括

 当研究会はマルチメディア情報の符号化方式、検索技術、流通に関する要素技術やシステム技術を取り扱っている。前年度に引き続いてH.264/AVCやJPEG2000などをベースとした符号化方式、検索技術、流通システムの発表は継続的に議論されたが、今年度は多視点符号化方式や超高精細画像の符号化方式および伝送技術等の数年先の意識した発表がなされ、現在主流となっている技術の実用化から数年先の産業基盤となりうるコア技術開発まで幅広い分野からの研究発表がなされた。

4.その他

 従来から取り組んでいる国際標準化関連技術に関連した研究発表と共に、今後もより専門性を高めた質の高い研究活動を行う予定である。
また、MoMuC研究会との合同研究会は平成19年度も継続して開催予定(新潟大学にて7月開催の予定)であり、これを機に両研究会の連携も深めていきたい。

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◆グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会

[主査:宗森 純、幹事:井上智雄、鵜飼孝典、葛岡英明、爰川知宏]

1.定例の研究会活動報告

 平成18年度は以下の通り、第60-63回の研究発表会を開催しました。

  • 第60回(平成18年5月31日 化学会館):発表8件、参加者24人
    遠隔コミュニケーション、情報共有、一般の3セッション
  • 第61回(平成18年9月14-15日 公立はこだて未来大学):発表21件、参加者43人
    DPS, EIPと共催し、無線ネットワーク、社会サービスにおけるセキュリティ・ID管理、オーバーレイネットワーク、コミュニティおよびコミュニケーション 技術、ネットワークの構築と活用、知的財産とプライバシの6セッション、および鈴木恵二教授(はこだて未来大)の招待講演
  • 第62回(平成19年1月25-26日 兵庫県有馬温泉):発表31件、参加者62人
    DBS, BCCと共催し、グループウェア、放送とネットワーク技術、データベースシステム、Web応用、ネットワーク社会、アドホックネットワーク・センサネットワーク、位置情報・ナビゲーションの7セッション、および平川幸男氏(漫才師)の招待講演
  • 第63回(平成19年3月22日 神奈川工科大学):発表24件、参加者51人
    知識と発想、新たなコミュニケーション形態、地域と安全、人と人とのつながり、共感のメディア、インフォメーションワークの生産性の6セッション
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成18年度は以下の通り、2シンポジウム、1ワークショップ、1国際会議を開催しました。

  • DICOMO2006シンポジウム(平成18年7月5-7日 香川県琴平温泉):
    発表245件、参加389人
    平成9年度より共催しているDICOMOは、DPS、GN、DSM、MBL、CSEC、ITS、QAI、UBI の8研究会の共催で、BCC研究グループおよびEIPが協賛
  • インタラクション2007(平成19年3月15日-3月16日 学術情報センター):
    一般講演13件,インタラクティブ/ポスター発表約70件,参加者667人
    平成9年より共催している「インタラクションシンポジウム」は、HI、UBIと共催
  • グループウェアとネットワークサービスワークショップ2006
    (平成18年11月10-11日 静岡県伊東温泉):
    発表29件(査読付10件、一般11件、ポジション8件)、参加者46人 
    平成16,17年度に続き、質の高い査読付き論文発表、通常研究会に準ずる一般発表に加えて、通常の研究会には収まりにくい萌芽期の研究や研究提案などに対しても発表・議論の場を提供する第3回目のワークショップを開催した。ワークショップにふさわしい多様な研究発表・討論・意見交換が行われた。
  • 第2回コラボレーション技術に関する国際会議 (CollabTech2006)
    (平成18年7月13-14日 筑波大学) 発表22件、デモ4件、参加者68人
    シングルトラック構成で22件の論文発表がおこなわれた。日本を含めて米国、カナダ、韓国、ニュージーランド、ポルトガル、フィンランド、フランス、メキシコから41件の投稿があり、前回の投稿数を大きく上回った。第1回と同様に、海外のプログラム委員が最優秀論文を1件選定し、授賞式を実施した。今回は新たな試みとして、invited demo sessionsを設けた。NICTつくばリサーチセンターのご協力を得ることによって、高速ネットワークを活用した4件の興味深い研究をデモンストレーションしていただくことができた。平成19年度は韓国(ソウル)での開催を予定している。
3.総括

 当研究会は、平成5年度の発足以来、グループウェア技術に関して、理論から応用、情報科学から社会科学、と幅広い学際的研究活動を活発に推進してきました。この間、Webなどのグループウェアの実用化が急速に進み世の中に定着しました。当初は企業内の既成組織など目的の明確なグループの協調作業を対象にした研究や応用システムが大部分でしたが、インターネット技術の発展とともに、企業対企業、企業対個人、また個人対個人での作業、あるいは業務にとらわれない人と人とのコミュニケーションや興味を主体とするコミュニティ形成にまで対象が広がってきております。
これらの動向を踏まえて、平成13年度より、研究会名称をグループウェアとネットワークサービス研究会へと変更し、ネットワークサービスも対象として、これらの分野での研究の推進役としての活動を行っております。発表内容もマルチユーザインタフェースからWeb2.0関連サービスまで広がっています。具体的な活動として、4回の研究会、1回のワークショップ、2回の共催シンポジウムの開催に加え、今年度は、国際会議CollabTech2006の開催を実施しました。また、今年度から優秀発表賞を設け、主催研究会にて優秀な発表を行った論文(発表者)を対象に表彰を実施しています。

4.その他
  • 平成19年度は国際的な活動への貢献として、国際会議CollabTech2007の協賛を予定しています。
  • 研究会関連メンバへのサービスとしては、平成13年4月から毎月メーリングリストによるニュースレターの発行を継続しており、現在約350名がメーリングリストに登録されています。

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◆分散システム/インターネット運用技術(DSM)研究会

[主査:藤村直美、幹事:坂下 秀、樋地正浩、渡辺健次]

1.定例の研究会活動報告

 第41~44回の研究発表会を開催した。

  • 第41回 5月11日(木)~12日(金) 北海道情報大学
  • 第42回 7月20日(木) 神奈川大学
  • 第43回 9月15日(金) 鳥取環境大学
  • 第44回 3月9日(金) 筑波大学

 発表件数は、第41回が20編、第42回が9編、第43回が7編、第44回が13編、合計で49編となっている。特に第41回の研究会は時期と場所が良かったのか、論文投稿が昨年度(17編)よりも多かった。それ以降の発表件数は昨年度よりもやや少なくなっている。参加者は第44回が62名と多かったが、第41回~43回は概ね30名程度になっており、昨年度よりも若干減少している。
第41回は電子情報通信学会のテレコミュニケーションマネジメント(TM)研究会との共催であり、電子メール、基盤ネットワーク、管理システム、セキュリティなど、幅広いテーマで議論が行われた。第42回研究会では「生体認証システムのニセモノ拒否能力をどうはかるか」というテーマの招待講演が好評であった。通常の研究発表としては、性能評価、基盤ネットワーク、セキュリティなどに関連して発表と活発な議論が行われた。第43回研究会では教育用コンピュータシステム、性能評価、認証など、第44回研究会では分散処理システム、可視化、性能評価、ネットワーク管理などについて、それぞれ研究発表と活発な討議が行われた。いずれの会場でもネットワークリーチャビリティが確保され、快適な環境での開催であった。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

  分散システム/インターネット運用技術シンポジウム2006
日程: 11月23日(木)~24日(金)
会場: ハウステンボス・ユトレヒト第1会議室
参加人数: 42名
プログラム委員長:吉田 和幸(大分大学)
実行委員会委員長:藤村 直美 (九州大学)

 今回のシンポジウムは「ユーザからみたネットワークセキュリティ」を全体テーマとし、ユーザの視点からセキュリティをどう捉えていくかに注目し、一般講演12件、環境設備見学1件で構成した。一般講演では、教育用計算機システムの構築法、VLANやIPv6でのセキュリティに関する話題、分散コンピューティング環境の構築、ネットワークやサーバ群の運用管理などに関して、2日間を通じて活発な議論が行われた。
シンポジウムの参加者数は、当初の計画人数である80名には及ばす、参加費を支払った参加者は最終的には42名となった。ただし企業展示の関係者が約20名あり、全体としては60名を超えていたために、研究会そのものは賑やかであった。今回、参加者数が少なかった理由については、後から日程が決まった情報教育研究集会(広島大学で開催)と一部重なったことがあると考えている。

3.総括

 上記の研究会、シンポジウムに加えて、7月5日(水)~7日(金)に香川県 琴平温泉 琴平グランドホテルにおいてマルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO)シンポジウムを共催した。このシンポジウムでも本研究会に関連したテーマで13件(セッション5G、6G、7G)の発表が行われた。
また、前年度に引き続いて、本研究会が中心となり、『ユーザ指向の分散システム/インターネットの運用・管理』をテーマとする論文誌特集号を企画し、論文募集を行った。これまででもっとも多い41編の投稿があり、24名からなる特集号編集委員会で審査した結果、最終的に15編を採録とした。採択率は37%となり当初の予想よりも低い結果となっている。

4.その他

 研究会の会員数は安定して増加しているが、参加者数が今年度は昨年度に比較してやや減少している。今後、参加者数を増やすためにさらに工夫していきたいと考えている。情報処理学会の学生会員を増やすために何ができるかも検討していきたい。

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◆デジタル・ドキュメント(DD)研究会

[主査:大場みち子、幹事:鬼塚 真、斎藤伸雄、菅沼 明、中挾知延子]

1.定例の研究会活動報告

 第55-60回の研究発表会を開催した。投稿数の総和は 66 件であり、前年度の 32 件に対して倍増した。
主な発表内容の内訳は以下のとおりである。
・XML 関連技術 8件・サービス統合技術 8件
・web 文書技術 7件・情報管理セキュリティ関連 7件
・メタデータ応用 6件・web2.0関連 2件
前年度に引続き XML 関連の発表が 8件と最も多かったが、前年度は検索処理や変換処理に関する技術発表が多かったのに対し、今年度はデータ管理やセキュリティへの応用に関するものなど、依然としてプロダクトレベルに近い技術レベルではあるが、内容に変化が見られた。web2.0に関する話題が高まる中、webサービスをはじめ、web文書に関する研究も多く報告され、デジタルドキュメントの姿として、webへの適用が進んでいることが窺い知れる。
今年度は、第58回の研究会において、初めてEIP(電子化知的財産・社会基盤研究会)と合同の研究会を開催し、研究対象の分野に多く共通する部分が含まれることを認識した。次年度以降も合同研究会の開催を検討してゆく。
また、第58回研究会では、初めてポスターセッションを開催した。発表者と聴講者が密接に議論出来る点において好評であった。
さらに、第60回研究会では主に学生や初めての学会発表者を対象とした若手チャレンジ特集を実施し、若手研究者の育成を図る目的で積極的な発表者へのコメントフィードバックを実施した。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成18年度は実施なし。

3.総括

 web2.0という言葉に示されるように webの世界では既存の枠を打ち破り新たなイノベーションが展開されている。その中でwebドキュメントの果たす役割は重要な上に多様な変化が見られる。前年の報告でも言及したSNSやブログは予測以上の発展を遂げインターネット上のメジャーコンテンツとなりつつあり、ネット上のコンテンツの多くは一般大衆が形成しつつある。一方、内部統制や情報管理の局面においても、デジタルドキュメントの果たす役割は、ますます重要となっており、従来以上に重要な研究分野になると考えられる。
本研究会における、参加者による積極的な質疑が行われる文化は従来どおり継続していきたい。今後も各発表会ごとにテーマを掲げ、更に実りのある深い議論ができるよう配慮しつつ運営を進めてゆく。

4.その他

 前年度に継続して、今後も研究会推薦論文を継続して実施していく予定である。毎回の研究会において、発表者へ研究会討議内容のフィードバックを図ることにより、研究会発表の質の向上と、発表内容の論文化を積極的にバックアップしてゆく。
また、デジタルドキュメントの原点を探る意味を含め、「ドキュメントのライフサイクル」をテーマに掲げて、デジタルドキュメントシンポジウムを開催予定である。

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◆モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)研究会

[主査:渡辺 尚、幹事:石原 進、竹下 敦、藤野信次、山本 幹、横田英俊]

1.定例の研究会活動報告

 第37-40回の研究発表会を開催した。

  • 第37回研究会 5月18、19日 沖縄県青年会館 共催:電子情報通信学会モバイルマルチメディア通信研究会(MoMuC)
  • 第38回研究会 9月15日 文部科学省研究交流センター国際会議場
  • 第39回研究会 11月16日、17日 広島市立大学 共催:ITS研究会、BCC研究グループ
  • 第40回研究会 2月22、23日 はこだて未来大学秋葉原サテライトオフィスおよび東京電機大学秋葉原ブランチ 共催:UBI研究会

 本年度の定例研究会の発表件数は59件であり、モバイルコンピューティングの研究が堅調かつ活発に行われていることを示している。発表の内容としては、引き続きアドホックネットワークに関する研究への関心が高く、様々な環境、デバイスを想定した経路制御および安定化、効率化を図る方式など、より応用的なテーマへ移行している。一方、位置情報推定ならびにその利用に関する発表の他、コグニティブ無線技術に関連した発表も行われ、さらなる研究テーマの広がりを見せている。

2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2006)シンポジウム
    2006年 7月5~7日 琴平グランドホテル(香川県琴平温泉)
    共催:DPS, GN,DSM,CSEC,ITS, QAI,UBIの各研究会
    協賛:BCC研究グループ、電子化知的財産・社会基盤研究会
    本シンポジウムは今回で10周年を迎え、昨年同様8つの研究会の主催の他、1研究グループ、1研究会の協賛による大規模な開催となった。今年は389名の参加者が集まり、1名の招待講演と247件(うちデモ発表12件)の研究発表が8パラレルセッションにて行なわれ、それぞれの分野の研究者の間で活発な議論が行なわれた。MBL研究会からは71件の発表があり、16セッションが構成されるなどさらなる盛況振りを見せた。またこのうち推薦論文が8件選出されるなど、発表の質も高いものとなった。
  • 国際会議 3rd International Conference on Mobile Computing and Ubiquitous Networking (ICMU2006)
    2006年10月11~13日 BCS (British Computer Society) London Office, (London, U.K.)
    主催:MBL研究会
    共催:BCS, IET (The Institution of Engineering and Technology), IEEE Intelligent Transportation Systems Society (ITSS) Technical Committee on Mobile Communications & Applications
    協賛:ICF (International Communications Foundation), SCAT (Support Center for Advanced Telecommunications Technology Research, Foundation)
    当研究会主催の第3回の国際会議として本会議を開催した。今回はロンドンで開催し、初の海外開催となった。14カ国から69件の論文投稿(うち国外からは49件)があり、26件の質の高い論文を採択した(採択率37%)。会議はシングルトラックで行われたテクニカルセッションに加えて、業界を代表する3名のスピーカによる基調講演ならびに国内外からパネリストをそろえたパネルディスカッションが行われ、国際色豊かな討論および意見交換が行われた。また本会議発表論文から選抜した論文による論文誌特集号の企画も行った。
3.総括

 平成18年度は、MBL運営委員会の活動の元、4回の定例研究会、シンポジウムの他、2回の国際会議を開催し(IMC2006主催、MDM2006共催)、モバイルコンピューティング技術の発展に寄与するとともに、研究者相互の交流ならびに大学と産業界の連携のための意見交換の場を積極的に提供することができた。また国際会議の海外初開催を実現し、国内のみならず外国の研究者との交流についても大きく寄与した。今後とも、これらの交流で得た研究者間の関係をベースに本研究会をさらに発展・充実させたい。

4.その他

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◆コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会

[主査:寺田真敏、幹事:岩村恵一、菊池浩明、鳥居 悟、松浦幹太]                      

1.定例の研究会活動報告

 平成18年度は第33回~第36回の研究発表会を開催し、発表件数も計164件にのぼった。発表内容は、電子社会、電子透かし、ネットワークセキュリティ、暗号、セキュリティ評価など多岐に渡っているが、世相を反映してか、ボット、ファイル交換ソフトウェア対策に関する研究テーマも取り上げられはじめた。
第33回 平成18年05月12日/筑波大学(つくば市)12件
第34回 平成18年07月20日~21日/岡山大学(岡山市)65件
第35回 平成18年12月08日/東京工科大学(八王子市)14件
第36回 平成19年03月01日~02日/九州産業大学(福岡市)73件

 このうち、第34回の研究発表会では、セキュリティ分野での学会間の交流を目的とした合同研究発表会を、電子情報通信学会情報セキュリティ研究会(ISEC)、技術と社会・倫理研究会(SITE)、情報通信システムセキュリティ時限研究会(ICSS)と共に、また、第36回の研究発表会では、研究会間の交流を目的とした合同研究発表会を「マルチメディア通信と分散処理研究会」と共に開催した。いずれの合同研究発表会も、セキュリティの研究視野ならびに交流を深める上でも有意義であった。なお、平成18年度に実施した招待講演は次の通りである。

第33回の研究発表会
株式会社ラック 村上純一氏「ROOTKITの脅威とその現状」
第35回の研究発表会
東京工科大大学 星 徹教授「Linuxオープンソースソフトウェア」
第36回の研究発表会
九州大学 雨宮真人教授「ユビキタスネットワーク社会を支えるマルチエージェント技術」
東京電気通信大学 鈴木健二教授「ライトタイム・コミュニケーションに向けて」

2.シンポジウム・国際会議等の報告

○International Workshop on Security(IWSEC2006)
10月23日~24日の2日間、京都市の京都テルサで情報処理学会コンピュータセキュリティ研究会(CSEC)と電子情報通信学会情報セキュリティ研究会(ISEC)との共同主催でInternational Workshop on Security(略称IWSEC2006)を開催した。この国際ワークショップは、日本における情報セキュリティ研究の一層の発展と国際化および、国際貢献を目的としている。発表論文数はレギュラーペーパー30編、ショートペーパー13編で、暗号理論とその応用、認証、セキュリティ検証、ディジタル署名、著作権およびコンテンツの保護、モバイルセキュリティ、侵入検知など多岐に渡っている。

○コンピュータセキュリティシンポジウム2006(CSS2006)
ぱるるプラザ京都において10月25日~27日にかけ開催した。発表論文数110件、参加者266名となり、3パラレル、27セッションの盛況なシンポジウムとなった。CSS2006の発表傾向としては、ますます増大するインターネットセキュリティへの脅威を背景に、ネットワークセキュリティやシステムセキュリティの実応用に関する発表が増加し、より実際的技術に関する発表が目立った。招待講演としては関西圏での情報セキュリティに関する活動の紹介という趣旨で、宇治の住民基本台帳漏洩事件の総括、およびWinnyによる情報漏えい対策に関する活動を取上げた。

 元宇治市情報管理課長 木村修二氏「プライバシーの権利を護るためのセキュリティ~事件を経験して見えたこと」
カーネギーメロン大日本校 武田圭史教授「匿名P2Pファイル共有ネットワークにおける漏洩情報の拡散とその抑止」

○マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2006)シンポジウム
7月5日~7日にかけ、香川県琴平温泉において開催した。DICOMOは、情報処理学会のCSEC研究会を含む多数の研究会が協賛しているシンポジウムであり、ネットワークからセキュリティまで幅広い研究分野をカバーしている。このため、セキュリティについての発表テーマも、セキュリティ管理、セキュアシステムとその実現手段、認証ならびにプライバシ保護と多岐に渡っている。

○論文誌「ユビキタス社会を支えるコンピュータセキュリティ技術」特集
本特集では、いつでもどこでも、望む形態の情報を双方向でやり取りできるユビキタス社会を安全な社会とするための理論、方法論ならびに、実際の応用システムに関する研究論文を一括掲載することを目的として企画した。査読の結果、暗号の基礎理論から実践的な侵入検出まで、幅広いテーマの論文の中から24件を採録とした。

○論文誌「情報システムを支えるコンピュータセキュリティ技術の再考」特集
本特集号は2007年9月の発行を予定しており、現在、特集号編集委員会により編集作業を進めている。本特集号においても方法論だけではなく、実システムの評価論文も数多く採録することにより、コンピュータセキュリティ技術の新たな側面を読者に伝えていきたいと考えている。

3.総括

 研究発表会4回のうち2回を合同研究会形式とし、また、IWSEC2006国際会議を開催するなど、研究会発足9年目も、学会ならびに研究会間の交流に力を入れ、セキュリティ技術の研究の広がりと深みを増すための場の提供に注力した。今後共、時代のニーズに答えるべく、各方面の研究者の意見交流の場の提供、研究の活性化の支援に努めていく。

4.その他

 平成19年度は、研究発表会4回(うち地方開催2回)、平成19年10月31日~11月2日CSS2007(奈良市)を開催する予定である。なお、第38回研究発表会では情報セキュリティ研究会(ISEC)、技術と社会・倫理研究会(SITE)、情報通信システムセキュリティ時限研究会 (ICSS)との合同開催、第40回ではマルチメディア通信と分散処理研究会(DPS)との合同開催を企画している。
また、2008年9月発行をめざした特集号編集委員会の立ち上げ、マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2007)シンポジウム、情報セキュリティ研究会(ISEC)との共催による国際会議IWSEC2007(2nd International Workshop on Security)(平成19年10月29日~31日、奈良市)開催向け準備を進めている。
今後共、会員の方々には積極的な発表、論文投稿と参加をお願いしたい。

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◆高度交通システム(ITS)研究会

[主査:小花貞夫、幹事:梅津高朗、久保田浩司、児島史秀、屋代智之]

1.定例の研究会活動報告

 平成18年度は、次の通り第25-28回の研究発表会を開催した。昨年度を上回る95件の発表があり、内容もITSに関する国内動向から、交通流解析・制御、路車間・車車間通信方式、車載通信端末、画像解析、ナビゲーション、ヒューマンインタフェース、歩行者ITS、交通心理学など基礎から応用までの技術について幅広い発表、議論が行われた。9月研究会は電子情報通信学会ITS研究会、電気学会ITS研究会と、11月研究会はMBL研究会、BCC研究グループとの共催で開催した。

  • 第25回 6/22(木)-23(金) 熊本大学 発表12件(内招待講演1件)
  • 第26回 9/28(木)-29(金) はこだて未来大 発表20件 電子情報通信学会ITS研究会・電気学会ITS研究会共催
  • 第27回 11/16(木)-17(金) 広島市立大 発表33件 MBL研究会・BCC研究グループ共催
  • 第28回 3/6(月)-7(火) 千葉工大 発表10件
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • ITS産業フォーラム
    平成18年度は、従来学会として取り組んでいた産業フォーラム/ITSに代わりITS研究会主催で、情報処理学会非会員を含む多くの一般の研究者に対してITS分野の研究に興味をもってもらうための啓蒙活動の一環で昨年度より始めたITS産業フォーラムを次の通り開催し、107名の参加があり、有効であった。
    ・第2回 5/22(月) 化学会館 テーマ「車-歩行者の安全」 招待講演3件とパネル討論 参加67名(招待講演者、パネリスト含む)
    ・第3回 2/28(水) 化学会館 テーマ「ロボットとITS」 招待講演3件とパネル討論 参加40名(招待講演者、パネリスト含む)
  • マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2006)シンポジウム
    7/5(水)-7(金)、香川県・琴平温泉・琴平グランドホテルにて、DPS研究会・GN研究会・DSM研究会・MBL研究会・CSEC研究会・ITS研究会・QAI研究会・UBI研究会の共催、BCC研究グループ、電子化知的財産・社会基盤研究会の協賛で開催した。発表233件、デモンストレーション・展示11件があった。複数の研究会に関連する発表テーマが一同に会した合宿形式で有意義なシンポジウムであった。
  • 高度交通システム(ITS)2007シンポジウム
    1/19(金)、日本科学未来館(臨海副都心)にて、「安全・安心ITSの実現に向けて」のテーマで開催した。ITSに関する国の取り組み、自動車会社の取り組み、車々間通信の標準化動向などについて7件の講演が行われ、76名の参加があった。また、ITS研究会優秀論文(5件)の表彰も行われた。
3.総括

 研究発表会4回の内2回を共催とし、また、DICOMO2006シンポジウムにも共催参加するなど、今年度も学会ならびに研究会間の交流に力を入れて取り組んだ。また、ITS産業フォーラム(2回)、ITSシンポジウム2007を開催し、ITS関連の研究活動の拡大や潜在的な研究者の発掘などにも取り組んだ。ITSは他の分野・技術との関連性が大きいことから、今後もより広範な意見交換が行える場の提供を行っていきたいと考える。

4.その他

 今年度も引き続き、ITS分野の研究・開発の裾野の拡大や潜在的な研究者の発掘・啓蒙を図るともに、産学官交流の場として、ITS産業フォーラムを位置づけ、ITS分野における行政施策や産業の早期展開に学会として少しでも貢献できるよう今後とも継続して開催していきたいと考えている。

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◆高品質インターネット(QAI)研究会

[主査:相原玲二、幹事:地引昌弘、藤川和利、松原大典]

1.定例の研究会活動報告

 平成18年度は第19-22回の研究発表会を、電子情報通信学会インターネットアーキテクチャ研究会(IA研究会)、分散システム/インターネット運用技術研究会(DSM研究会)等との共催により開催し、招待講演2件、一般講演43件であった。

  • 第19回(5月24日、一般講演10件)キャンパスプラザ京都、IA研究会共催
  • 第20回(7月20日、招待講演1件、一般講演9件)神奈川大学 みなとみらいエクステンションセンター、DSM研究会およびIA研究会共催
  • 第21回(10月23,24日、招待講演1件、一般講演9件)東京工業大学 大岡山キャンパス、IA研究会共催、インターネットコンファレンス2006同時開催
  • 第22回(1月18,19日、一般講演15件)広島国際会議場、IA研究会共催、SAINT2007およびJGNⅡシンポジウム同時開催
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • DICOMO2006共催
    マルチメディア、分散、協調とモバイル (DICOMO2006)シンポジウム(2006年7月5~7日)をマルチメディア通信と分散処理研究会、グループウェアとネットワークサービス研究会、分散システム/インターネット運用技術研究会、モバイルコンピューティングとユビキタス通信研究会、コンピュータセキュリティ研究会、高度交通システム研究会、ユビキタスコンピューティングシステム研究会と共催し、多数の参加者を得て合宿形式で非常に活発な議論が展開された。
  • インターネットコンファレンス共催
    インターネットコンファレンス2006(2006年10月23~24日)を財団法人インターネット協会、日本学術振興会産学協力研究委員会インターネット技術第163委員会、日本ソフトウェア科学会インターネットテクノロジー研究会、情報処理学会ハイパフォーマンスコンピューテング研究会、日本UNIXユーザ会、WIDEプロジェクトと共催した。
  • JGNⅡシンポジウム共催
    独立行政法人情報通信研究機構が主催するJGNⅡシンポジウム2007in広島(2007年1月17~19日)を電子情報通信学会インターネットアーキテクチャ研究会とともに共催した。約400名の参加者を得て、様々な研究発表、活発な議論が展開された。
  • SAINT2007開催運営担当
    情報処理学会とIEEE Computer Society共催の国際会議 International Symposium on Applications and the Internet(SAINT2007)(2007年1月15~19日)が広島国際会議場(広島市)で開催された。当研究会が日本側の実質的な運営を担当した。当初計画を上回る参加者228名を得て、情報通信基盤技術やネットワークアプリケーションに関する多数の発表と活発な議論が行われた。
3.総括

 インターネットの高速化・広帯域化およびトラフィックの多様化に伴い、新たな性能評価手法、ネットワーク管理技術、データ転送技術に関する発表が多く見られた。また、高速インターネットを前提としたアプリケーションの開発・運用事例に関する発表も見受けらた。関連分野の研究会との共催、インターネットコンファレンスやJGNⅡシンポジウム等との同時開催など様々な工夫により、平成17年度よりも講演件数が増加した。

4.その他

 SAINT2007は、多くの関係者の協力により予想を上回る参加者を得て、盛会のうちに幕を閉じることができた。学生の参加者増加を狙ってこれまでより参加費を抑えるなど勧誘に努めた。次回以降のSAINTでも、学生および若手の研究者の参加を促す工夫が望まれる。

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◆システム評価(EVA)研究会

[主査:木下俊之 、幹事:清水尚彦、並木美太郎、堀川 隆]

1.定例の研究会活動報告

第17回の研究発表会(平成18年6月20日、東京工科大学、発表件数:8件)を開催し、大規模ネットワーク、仮想計算機環境、グリッドコンピューティング、災害対策システムのなどのシステム評価に関する発表があった。第18回の研究発表会(平成18年8月1日、高知商工会館、発表件数:4件)をSWoPP2006の一貫として開催し、ベンチマーキング、分散ハッシュテーブルなどの評価に関する発表があった。第19回の研究発表会(平成18年11月13日、はこだて未来大学、発表件数:6件)を開催し、キャパシティ管理、省電力、Javaプログラムのなどのシステム評価に関する発表があった。第20回の研究発表会(平成19年3月16日、高松、発表件数:5件)を開催した。メインフレームシステムやグリッドアプリケーションの性能評価に関する発表があった。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

平成18年度は実施なし。

3.総括

システム評価研究会は性能評価にとどまらず、幅広い多様な観点からのシステム評価を目的としている。H18年度は、性能評価関連ではグリッドコンピューティングやキャパシティ管理、大規模システム(メインフレーム、大規模ネットワーク)、仮想計算機環境などに関する発表が多く見られた。また性能評価以外では、災害対策システムといった発表があった。今後、これらを増やしていきたい。

4.その他

今後とも登録会員増に努め、活性化を図りたい。

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◆ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)研究会

[主査:中島秀之、幹事:大内一成、高汐一紀、戸田真志、戸辺義人]

1.定例の研究会活動報告

 平成18年度は、以下の通り第11-13回の研究発表会を開催した。

  • 第11回 平成18年5月23日 秋葉原ダイビル はこだて未来大学サテライト 発表10件、招待講演1件
  • 第12回 平成18年11月9日~10日 九州大学システムLSI研究センター 発表17件、招待講演2件
  • 第13回 平成19年2月22日~23日 秋葉原ダイビル はこだて未来大学サテライト&東京電機大学秋葉原ブランチ(MBL研究会と共催) 発表31件(うちUBI分は19件)、招待講演1件

 招待講演を毎回1~2件ほど企画し、竹内郁雄教授(東大)、安浦寛人教授(九大)、池田大輔助教授(九大)、柴崎亮介教授(東大)と、関連分野でご活躍の各先生にご講演いただき、好評を博した。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成18年度は、以下のシンポジウム・小規模国際会議をそれぞれ共催の形で開催した。

  • マルチメディア、分散、協調とモバイル (DICOMO2006) シンポジウム
    平成18年7月5日~7日 香川県 琴平温泉 琴平グランドホテル
  • 2006 International Symposium on Ubiquitous Computing Systems (UCS2006)
    平成18年10月11日~13日 COEX, Seoul, Korea
  • インタラクション2007
    平成19年3月15日~16日 学術総合センター/一橋記念講堂

 DICOMO2006は、情報処理学会8研究会の共催で開催され、幅広い分野の参加者が合宿形式で深く議論することが特徴のシンポジウムである。今回は招待講演、パネルディスカッション各1件、243件の発表、そして400名近くの参加者と国内有数の大規模なものとなってきており、研究会の枠を超え、広範な視野に立った充実した議論と意見交換の場を提供することにより、各研究会における今後の研究の進捗に大きく寄与している。

 UCS2006は、応募論文約380件の中から一般発表41件、ポスター発表24件が採択され、日韓を中心に欧米からの参加者も含め計200名程度の参加者のもと、韓国・ソウルで3日間に渡り開催された。UCSは、UBI研究会が中心となって平成15年に立ち上げた国際シンポジウムで、アジア地域のユビキタスコンピューティングシステムに関する研究発表・議論の場として、深く浸透してきた。

 インタラクション2007は、HI研究会、GN研究会との共催で、厳しい査読を通過した論文発表と、デモを交えて発表するインタラクティブ発表、ポスター発表が特徴のシンポジウムで、文字通り活発な対話が行われる会議として定着しており、今回は過去最高の667名の参加者のもと、大盛況であった。DICOMO同様、研究会の枠を超えた交流の場として、各研究分野の発展に大きく貢献している。

3.総括

 平成18年度の研究発表会では、年間で計46件の発表があり、内容も、ネットワーク、セキュリティ、位置・状況認識、データ解析・検索など基盤技術に関するものから、防災支援、海洋センシング、情報家電システムなど、実フィールドでの実証・評価実験や各種フィールドワークの実例紹介に関する発表まで、幅広いテーマに関する発表と、活発な議論が行われた。ユビキタスコンピューティングに関連する各技術が着実に成熟しつつあることを端的に示しているものと思われる。

4.その他

 UCS2007は平成19年11月に日本で開催の予定である。アジア地域のユビキタスコンピューティング分野の更なる発展への契機としたい。また、ユビキタスな情報処理環境は、人間が生活する(都市)環境と切り離して考えることはできないため、守備範囲を情報処理分野そのものに限ることなく、それに関連する都市の設計など、広く社会学との連携も視野に入れて活動を進めていきたい。

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◇放送コンピューティング(BCC)研究グループ

[主査:岡田謙一、幹事:阿倍博信、塚本昌彦、寺田 努、長谷川亨、水野忠則]

1.定例の研究会活動報告

 平成18年度は、以下の通り第14-16回の研究発表会を開催した。

  • 第14回研究会 平成18年6月16日 金沢工業大学虎ノ門キャンパス 発表4件、招待講演1件
  • 第15回研究会 平成18年11月16日~17日 広島市立大学(ITS、MBL研究会と共催)発表33件
  • 第16回研究会 平成19年1月25日~26日 メープル有馬(DBS、GN研究会と共催)発表30件、招待講演1件

 発表内容は、放送型情報配信、通信放送融合方式をはじめとした放送コンピューティングに関する要素技術やインターネット放送等の放送コンピューティングを応用した各種アプリケーションなど多岐にわたっている。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成18年度は、以下シンポジウムを開催した。

  • マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2006)シンポジウム
    平成18年7月5日~7日 琴平グランドホテル
  • 放送コンピューティングシンポジウム2006
    平成18年9月22日 金沢工業大学虎ノ門キャンパス

 DICOMO2006シンポジウムは、DPS研究会、GN研究会、DSM研究会、MBL研究会、CSEC研究会、ITS研究会、QAI研究会、UBI研究会の共催、BCC研究グループ、EIP研究会の協賛で開催した。発表243件、招待講演1件、参加者ほぼ400名と非常に大規模なものとなった。

 放送コンピューティングシンポジウム2006は、BCC研究グループ単独で開催し、放送コンピューティングに関連する有識者による4件の招待講演形式にて実施した。46名の参加者があった。

3.総括

 本研究グループの関連するインターネットやモバイル端末に対応した放送サービスは急速に普及していることもあり、今後も本研究グループの関連テーマは大きく広がっていくことが予想されている。平成19年度は、平成18年度に継続して研究会を開催するとともに、関連研究会との連携によるシンポジウムへの協賛や小規模国際会議の共催を予定している。

4.その他

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フロンティア領域


◆自然言語処理(NL)研究会

[主査:中川裕志、幹事:乾健太郎、二宮 崇、森 辰則]

1.定例の研究会活動報告

 第173~178回の研究発表会を開催した。173回研究会は東京農工大学において5月開催し、計13件の一般発表があった。174回研究会は電子情報通信学会の言語理解とコミュニケーション(NLC)研究専門委員会と合同ではこだて未来大学において7月開催し、13件の一般発表があった。175回研究会は情報学基礎(FI)研究会と合同で工学院大学において9月12日、13日に開催し21件の一般発表があった。176回研究会は鹿児島大学において11月22日、23日に開催し21件の一般発表があった。177回研究会は1月26日に筑波大学で開催し、12件の一般発表があった。178回研究会は、3月28日、29日に名古屋大学で開催し15件の一般発表があった。
次にこれらの発表を分野別に眺めてみる。情報抽出19件、機械翻訳13件、言語学的分析10件、テキスト変換(要約、言い換えなど)9件、入力、表示などのインタフェース9件、検索7件、構文解析5件、文書分類4件、質問応答4件、対話3件、特許文書処理3件、コーパス、オントロジー3件、アルゴリズム3件、機械学習2件、教育応用2件であった。ただし、以上で2つの分野に跨る発表は重複して数えている。最近のACLなどの自然言語処理分野の国際会議などでも盛んな機械翻訳、情報抽出の研究発表はNL研でも多い。機械学習の全盛でありながえら言語学に基づく分析も相当数に上る。逆に機械学習を中心にする研究は2件と少ない。ある意味では取り付き易い機械学習は一応各所で試されてしまい、これ以上難しい機械学習には自然言語処理の側からはなかなか手がだせなくなっている状況かもしれない。ちなみに、機械学習の発表では、機械学習そのものとしても非常にレベルの高い発表が1件あった。インタフェースの研究も根強いが、内容的には画像との関係を用いるものが目立った。NL研においても、内外の傾向を反映した研究分野ごとの研究発表数になっている点では落ち着いた動きであるが、それに満足せず、むしろNL研から自然言語処理分野をリードするような流れを生み出してほしいところである。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成18年度はなし。

3.総括

 平成18年度も6回の研究会を開催した。発表申込、参加申込とも順調で、95 件の発表があった。開催の一部を他学会(電子情報通信学会NLC研究会)および他研究会(FI)と協賛し、隔月で関東方面とその他の地域を交代で開催地とすることにより、自然言語処理に関する多様な研究発表と討論が活発に行った。当研究会は自然言語処理に関する代表的な研究発表の場として機能している。

4.その他

 来年度も、年6回の関東およびその他地域での開催、他研究会との合同開催を進める予定である。また、この分野での学生の研究活動を側面から支援するために5月の研究会では学生発表セッションを設けた。

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◆知能と複雑系(ICS)研究会

[主査:小野哲雄、幹事:伊藤孝行、今井倫太、川村秀憲、福田健介]

1.定例の研究会活動報告

 第144~147回の研究発表会を開催した。人工知能学会「知識ベースシステム」研究会、電子情報通信学会「人工知能と知識処理」研究会、JAWS2006(合同エージェントワークショップ&シンポジウム)、HAI2006(ヒューマンエージェントインタラクションシンポジウム)との共催により、先端的な研究領域をテーマとした研究会をオーガナイズした。

  • 第144回は、人工知能学会KBS研究会と連続開催の形式で、平成18年7月27-28日に東京工業大学大岡山キャンパスにて開催された。テーマは「Web Intelligenceおよび一般」であり、合計12件の発表が行われた。
  • 第145回は、JAWS2006の特別セッションとして、平成18年10月25日~26日に三重県の鈴鹿サーキットのホテルにて開催された。特集テーマは、 「WEBサービス1:次世代WEBサービス」および「WEBサービス2:次世代WEBアプリケーション」であり、10件の発表が行われた。各発表は、WEBサービスとエージェント、WEBアプリケーションやWebコンテンツに関する質の高いものであった。
  • 第146回は、HAI2006の特別セッションとして平成18年12月12日13日に横浜市の慶應義塾日吉キャンパス来往舎にて開催された。特集テーマは、「ヒューマンロボットインタラクション」であり、10件の発表が行われた。各発表は、ロボットのコミュニケーションの認知モデルに深く関わる質の高いものであった。
  • 第147回は、電子情報通信学会「人工知能と知識処理」研究会との共催研究会として、平成19年3月14日~16日に北海道虻田町のルスツリゾートで行われた。特集テーマは「社会システムと知能」であり。社会システムにおけるマルチエージェント技術や市場取引、ネットワークなどに関する30件の研究発表があった。3日間で延べ91人、通して50人を超える参加者があり、活発で有意義な議論が行われた。 
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成18年度は実施なし。

3.総括

 すべての回で特集を組んだ結果、質の高い研究発表に加え、非常に活発な討論がなされ、研究の活性化を図ることができた。特集のテーマはWeb関連、ロボット関連、社会システム関連とやや分散する傾向にあるが、これは人工知能に関する先端的な研究の広がりを示すものと考えられる。

4.その他

 次年度も4回の研究会開催を予定している。今後は複雑系の研究者にも発表を促し、既存の研究分野にとらわれない幅広いコミュニティの形成を目指し、より先進的な分野を開拓していきたいと考える。

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◆コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)研究会

[主査:谷口倫一郎、幹事:斎藤英雄、杉本晃宏、橋本 学、向川康博]

1.定例の研究会活動報告

 第154-158回の研究発表会を開催した。本年度は、以下のテーマ別オーガナイズドセッションを企画し、毎回100名前後の聴講者があり、熱心な討論が行われた。

  • 2006年9月:事例ベースメディア処理
  • 2006年11月:アクティブライティングとMR/HCI
  • 2007年1月:動画像解析
  • 2007年3月:人を観る

 本年度は、通常の研究発表に加えて、特定の手法・技術に関してチュートリアル講演を継続的に実施し、好評を博した。また、若手研究者の育成を目的に、前年度に学部を卒業し修士課程に進学した学生を対象とした「卒論セッション」及び、前年度に博士の学位を取得した若手研究者を対象とした「D論セッション」を2006年5月に開催した。卒論セッションの発表数は26件、D論セッションの発表数は8件であった。なお、卒論セッションにおいては、優秀な発表に対して最優秀賞ならびに優秀賞を授与した。

  • 最優秀賞
    ・大西 哲朗
    固有残差画像のテクスチャ解析による顔の個人特徴の表現
  • 優秀賞
    ・西野 正彬
    陰影変化がある画像間での局所位相を用いた特徴点の対応付け
    ・川中 昇平
    固有空間法による学習に基づくカラー画像からの距離画像の推定
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 第9回画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2006)を電子情報通信学会パタン認識とメディア理解(PRMU)研究会と共催で開催した。MIRU2006は、特別講演6件、査読付き論文172件、一般論文52件、デモ論文12件の投稿があり、461名が参加した。なお優秀論文の表彰は以下の通りである。

  • MIRU長尾賞(最優秀論文賞)
    ・1次元パターンの解析的DPマッチング
    内田誠一、迫江博昭 (九大)
  • 優秀論文賞
    ・ヒト視覚系から示唆される高階ステレオ事前分布
    石川博 (名市大)
    ・人間の視覚特性を考慮した投影画像の光学的補正
    マーク アシュダウン (東大)、佐藤いまり (NII)、岡部孝弘、佐藤洋一 (東大)
    ・マルチプロジェクタディスプレイの簡単校正法
    岡谷貴之、和田幹夫、出口光一郎 (東北大)
  • インタラクティブセッション優秀賞
    ・Estimation-by-Completion: 3次元物体の線形姿勢推定手法
    天野敏之 (名工大)、玉木徹 (広島大)
    ・両面ハーフミラー板透過画像を用いた1台のカメラによる距離計測
    清水雅夫、奥富正敏 (東工大)
    ・観測値の特性を考慮した複数仮説による車載向け障害物追跡手法
    仲野剛、窪田進、岡本恭一 (東芝)
  • デモセッション賞
    ・Webカメラを用いたリアルタイム文書画像検索とその拡張現実への応用
    中居友弘、黄瀬浩一、岩村雅一 (阪府大)
3.総 括

 研究会発表に対するコメント制度、卒論セッション/D論セッション、研究会推薦論文制度など、研究者育成の活動を重視してきた。また、研究会論文誌は、本研究会が注力している活動の1つであり、本年度は以下の号を刊行した。

  • 第14号「特集:人をみる」
  • 第15号「特集:画像の認識・理解」
  • 第16号「特集:CVとHCI」
  • 第17号「特集:安全・安心のためのCV」
    「特集:ユビキタスメディアによるセンサーネットワーク-インフラとしてのCV-」

 なお、今年度は、アジア地区最高峰の国際会議であるAsian Conference on Computer Visionが東京で開催される(CVIM研究会は協賛として協力)。また、同会議のサテライトワークショッも企画している。これらの活動を通して、アジア地域での関連分野の発展に尽力していく必要がある。

4.その他

 次年度は、4回の研究会開催を予定している。2007年5月の第159回研究会では、好評である卒論セッションとD論セッションを企画している。また、次年度のオーガナイズドセッションで予定しているテーマは以下の通りである。

  • 2007年9月「顔」
  • 2008年1月「CV、PR技術のVR応用」
  • 2008年3月「3次元画像・多視点画像」

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◆コンピュータと教育(CE)研究会

[主査:中森眞理雄、幹事:角田保博、立田ルミ、西田知博、兼宗 進、辰己丈夫]

1.定例の研究会活動報告

 第84~88回の研究発表会を、順に千里金蘭大学、東京大学、香川大学、静岡県立大学、一橋大学で開催し発表総数は58であった。とくに10月と12月の発表件数が増加しており、後述のシンポジウムも含めて、研究発表活動が年を追って活発化して来ていると言える。研究としては、実際的なeラーニングを目指す研究、教育・学習支援システムや教材コンテンツの研究、教育現場の環境を高度化する研究、教材やシステムに意味論的な視点を持ち込む研究、などが盛んに発表された。また、新学習指導要領の中の高等学校「情報」に関しては、関心の重点が実際の教育実践内容と教科書などの実際的な分析に移ってきており、さらにこれらを意識しながら大学教育を考える傾向も強まっている。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成18年8月26日~28日に「情報教育シンポジウム SSS2006」を神奈川県足柄下郡箱根町仙石原にある駿河台学園箱根セミナーハウス紅雲荘で開催した。これは、当研究会が主催するシンポジウムとしては8回目となるが、"情報教育"に関わる三つの立場である教育、研究、教具教材開発にそれぞれ携わる人々が、立場の境界を越えて語りあうという趣旨で開いたものであり、SSS99以来、熱気のこもった合宿型研究発表会となっている。今回も54件の質の高い発表論文を354ページの予稿集として初日に配布し、二泊三日にわたって夜遅くまでの議論が続いた。デモンストレーションの時間を一般発表とは別に確保し、2つのパネル討論では熱心な討論が行われた。131名の参加者があり、内容的にも収支的にも成功を収めた。

3.総括

 4年前から始まった「初等中等教育における情報教育」への対応がより発展し、実際の教材や教授法研究とともに、より高度な「大学などにおける情報教育」へも目を配る動向を継続・発展した。発表された論文は、実用性や先見性の点で従来とは異なった特徴と充実が見られるようになり、これからの発展が期待される。

かねてからの懸案であった研究会発表論文の質の向上のために、本学会論文誌の「教育」特集号を平成19年8月に発行することを提案した。締切の平成18年11月末までに予想を大幅に上回る49編の応募があった。現在、査読・編集作業が進行中である。

4.その他

 運営委員会委員として研究会運営に主体的に参加・協力する研究者を募った結果、運営委員会への出席、研究会発表の推進、シンポジウム他の活動への積極的な寄与、などが活発となり、研究会としての主体性を確立しつつある。また、全国大会やFITなどの学会全体の活動への対応も定着しており、運営委員会のさらなる質的・量的充実をはかってゆく予定である。

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◆人文科学とコンピュータ(CH)研究会

[主査:相田 満、幹事:鈴木卓治、曽我麻佐子、師 茂樹]

1.定例の研究会活動報告

 第70-73回の研究発表会を開催した。

  • 第70回 2006年5月26日(金) 大阪市立大学 杉本キャンパス 
  • 第71回 2006年7月28日(金) ホテル・ベルセルバ(栃木県・喜連川温泉)
  • 第72回 2006年10月27日(金) 八戸工業高等専門学校
  • 第73回 2007年1月27日(土) 総合研究大学院大学(神奈川県葉山市)
上記例会において33本の研究が行われた。情報資源共有のためのダブリン・コアによるデータベースの緩やかな連結とデータベース高次化の取り組み、漢字データベースプロジェクトの現況報告や、漢字の規格変更に対する認識調査、GIS応用研究、モーションキャプチャによる舞踏の解析研究、オントロジ、多言語OCRなど、それぞれの専門分野に関わる知識発見に重みを置いた研究が多くなされた。
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 2006年12月14日(木)、15日(金) 同志社大学今出川キャンパス(京都市)にて「じんもんこん2006」を開催した。発表エントリー数は60件弱と過去最高を記録し、次年度以降の運営体制の強化が課題となった。本シンポジウムの認知度は年を追うごとに高まっており、CH会員にとどまらず、他の研究会からも多く参加・エントリーが見られ、定例研究会の総括的発表や、大規模プロジェクトの成果発表、関連企業のプレゼンテーションの場としての定番的存在となりつつある。
また、第73回例会の前日には同じ会場にて、特別シンポジウムを開催した。これは、例会が本年度を以て日本全都道府県開催を達成したことを記念するもので、本シンポジウムの開催に際しては、歴代主査が一同に参加、これまでの総括と展望を話し合い、さらに新たな特定領域研究の発足の呼びかけを行った。

3.総括

 今年度は、日本一周を達成するという目的を実現するために、地理的にはやや不便な場所での開催が続き、研究会参加者・発表者は数の上では前年度を下回る結果となった。その一方で、新たな常連メンバーも加わるようになってきており、研究会運営に携わってきたメンバーも世代交代を迎えてきたようである。
その一方で、本研究会の成果を今後どのようにアピールしていくか、人文情報学という学融合的領域のカバーする分野は、とてつもなく幅広いが、それぞれの専門分野から必ずしも新たな学生会員が増えてきている状況ではない。息の長い研究が必要な分野ではあるが、後継をいかに育て、発掘していくかが、今後の課題である。

4.その他

 日本一周を達成したことによって、CHの研究会活動は平成19年度(2007)より第2段階を迎えることになる。日本二週目を行うにとどまらず、新たな展開のテーマを設けるかについての案は未確定だが、その第1歩として2007年9月に海外にての展開が進められることになった。具体的には、台湾にて例会と大学シンポジウムの共催形態をとることとなった。
参加者・発表希望者にどれだけの人数が期待できるのかは不明だが、今後の展開を占う重要な布石になるだろう。

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◆音楽情報科学(MUS)研究会

[主査:堀内靖雄、幹事:菅野由弘、後藤真孝、澤田秀之、平井重行]

1.定例の研究会活動報告

 第65~69回の研究発表会を開催した。今年は通常の研究発表に加え、研究会に関連のあるテーマでその分野の最先端の研究をされている方による招待講演を行なうとともに、研究発表よりも実際に見て聴いてさわれることが重要であるような研究テーマについてはデモンストレーション・セッションを設け、その場で研究発表とデモンストレーションを行なってもらった。

  • 第65回研究発表会:2006年5月13日,東京藝術大学上野キャンパス (発表6件,出席者47名)
    招待講演:岡ノ谷一夫(理化学研究所) 「系列分節化から規則へ:言語と音楽の共通基盤」
  • 第66回研究発表会:2006年8月7日~8日,香川県ビラ塩江 (発表22件,出席者58名)
    招待講演:帆足啓一郎(KDDI研)「マルチメディアコンテンツ検索技術の最新動向とその実用性」
    デモンストレーションセッション(10件)
    ※恒例の夏のシンポジウムと呼ばれる研究会であり、宿泊形式で行ない、深夜まで活発なディスカッションが行なわれた
  • 第67回研究発表会:2006年10月27日,関西学院大学梅田キャンパス (発表7件,出席者55名)
    招待講演:Elias Pampalk (産総研/CrestMuseプロジェクト) "Computational Models of Music Similarity"
    若手によるデモンストレーションセッション(8件)
    ※なお、連携イベントとして、前日(10/26)に同上でCrestMuseシンポジウム(CREST「時系列メディアのデザイン転写技術の開発」)が開催された
  • 第68回研究発表会:2006年12月15日~16日,彩都IMI大学院スクール(15日)、京都精華大学(16日) (発表17件,出席者82名)
    特別講演:松平頼暁(作曲家)「日本の電子音楽の歩み-Expo'70から現在のコンピュータ音楽まで-」
    インターカレッジ・コンピュータ音楽コンサートと共催,コンサート付き
  • 第69回研究発表会 2007年2月23日,津田塾大学(発表14件,56名)
上記のように例年にも増して、各種企画を伴う活発な研究会運営となった。また、本学会論文誌 Vol.48, No.1(2007年1月号)にて「便利で身近な音楽情
報処理」と題した特集号を発刊した(投稿数25件、採択数9件)。掲載にあたり、音楽情報処理の研究では音や映像などのメディアを提示しないと分からな
いことが多いが、今回は採択された論文について、付録として有用なコンテンツファイルを学会WWWページ上で公開するという初の試みを行なった。
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 これまでチュートリアルなどの企画を実施したこともあったが、今年度はとくに実施することができなかった。それに代わるものとして、研究会WWWページ上でSIGMUS コラムシリーズと題し、関連情報の掲載を開始した。初回は芸術としてのコンピュータ音楽(シリアス・ミュージック)に関する解説として、
幹事の菅野が執筆(「シリアス・ミュージックとしてのコンピュータ音楽」) した。

3.総括

 会員数も安定して400名を越え、研究会参加者も毎回ほぼ50名を越えており、また、博士課程在学中の学生も数多く参加しているため、研究会としてはかなり活発な状況となっている。また、特集論文も2~3年に一回の頻度で刊行している。今後も現状を維持しつつ、新たな試みも増やし、より研究会活動を活発にしていければと考えている。

4.その他

 研究会の入会促進のため、主査自ら、各研究会において、スライド資料を用いてアナウンスをし、一般会員、学生会員ともに登録を呼び掛けた。とくに未入会の人に関しては、その回の参加費を返却することを伝え、その場での登録希望をつのった。これにより新規登録会員の増加につなげることができた。

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◆音声言語情報処理(SLP)研究会

[主査:武田一哉、幹事:大淵康成、北岡教英、松原茂樹]

1.定例の研究会活動報告

 第61~65回の研究会を開催し、14件の企画講演を含む合計 102件の講演発表が行われた。

  • 第61回:統計数理研究所において開催した。音声認識・対話処理を中心に幅広い内容の8件の一般講演が行われ、活発な意見交換・議論が行われた。
  • 第62回:鳴門温泉で合宿形式の研究会を開催した。言語情報処理の最前線と題した特別セッションを企画し、任福継氏(徳島大)、北 研二氏(徳島大)による2件の招待講演を開催した。また、14件の一般講演が行われ、活発な議論が行われた。
  • 第63回:昨年の第58回研究会の企画「音声認識技術の実用化」を発展させて、「第2回音声言語情報処理技術デベロッパーズフォーラム」として開催した。庄境誠氏(旭化成)にフォーラムのコーディネイトを依頼し、平沢純一氏(ニュアンス)、鹿野清宏教授(奈良先端大)による招待講演と1件の一般講演のあと、石川泰氏(三菱電機)、神沼充伸氏(日産)、中川聖一教授(豊橋技科大)、磯健一氏(アドバンスト・メディア)、新田恒雄教授(豊橋技科大)をパネリストに迎えて、パネルディスカッションを開催した。当日は急病により欠席の新田教授に代わり大淵幹事が代理発表を行ったが、昨年から続くディスカッサント制も含めて活発な議論が為され、好評のうちに終わった。その他に4件の一般講演があった。
  • 第64回:音声研究会(電子情報通信学会・日本音響学会)、及び、言語理解とコミュニケーション研究会(電子情報通信学会)との共催で、2日間にわたって第8回音声言語シンポジウムを開催した。本研究会の提案企画として、河原達也氏(京大)に招待講演していただいた。また、音声言語処理国際会議(ICSLP-2006)における研究動向に関して、サーベイ講演2件(音響モデル・音声分析、言語モデル・対話システム)を実施した。この他、共催研究会からの招待講演2件、また、一般講演18件、ポスター発表22件が行われた。両日で、のべ262名もの参加者があり、研究会は成功裏に終了した。
  • 第65回:ヒューマンインタフェース研究会と合同で、伊豆長岡温泉にて合宿形式の研究会を開催した。ヒューマンインタフェースに関連して順天堂大学の北澤茂教授に、脳内の時間知覚特性に関する多くの心理物理学実験に基づく知見について、分かりやすく講演していただいた。また21件の一般講演が行われた 。
2.シンポジウム・国際会議等の報告

 平成18年度は実施なし。

3.総括

 5回の研究会では、大学院生や若手研究者を中心に、レベルの高い内容が発表・議論された。
音声対話を中心とする従来の研究領域に加え、音声文書検索に関する新しい研究領域の研究を振興すべく、(1)音声文書検索に関するWGの立ち上げ、(2)シンポジウム(音声ドキュメント処理ワークショップ)の協賛、(3)招待講演(第64回研究会)の企画、を行った。第62回研究会を、「第2回音声言語情報処理技術デベロッパーズフォーラム」として開催した。実用化の問題点、サービスシステムの紹介等のテーマを「ポジションペーパー+ディスカッサント」の形式で討論し、市場と研究室とを結びつける試みを拡大、継続した。傘下の雑音下音声認識WG、音声対話技術コンソーシアム(ISTC)は、研究分野の基盤となるコーパスや基本ツールの整備・配布・講習を継続的に続けており、わが国の関連研究領域の基盤強化に、大きく貢献した。

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◆電子化知的財産・社会基盤(EIP)研究会

[主査:亀山 渉、幹事:井出 明、塩野入理、山下博之]

1.定例の研究会活動報告

 第32-35回の研究発表会を開催した。
2006年度より、主査・幹事が交代し、新体制となった。研究分野としては、これまで通り、情報化社会における知的財産と社会基盤を2本柱とし、隣接分
野を含めて幅広く研究発表を行った。
研究会の特徴としては、今年度から共催が増え、4回の研究会のうち単独開催は1回であった。残りの部分は、第32回が知財学会、第33回が本学会GNとDPS、第34回が情報社会のデザインシンポジウムとの共催であった。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 DICOMO (マルチメディア, 分散, 協調とモバイル) 2006に参加。社会科学と技術の融合分野を担当した。FIT2006においては、イベント企画 "ICTがもたらす観光産業の変貌" を企画し、好評を得た。

3.総括

 本研究会では、招待講演に力を入れ、その時代の旬のスピーカーに講演を依頼している。今年度も、弁護士、経済学、観光学の一線級の研究者から招待講演をいただき、聴衆からは好評を博した。
なお、学生会員の発表比率がやや低いが、これに対しては運営委員会でも議論が交わされ、学生を励ますような研究会運営にしていくことが確認された。
また主査と幹事はメーリングリストを用いて密接な連絡を取り合っており、研究会の運営はかなり機能的になされていると考える。今後も、主査幹事の一体性を生かして斬新な企画を打ち出していけると確信している。

4.その他

 2007年度の活動予定としては、FIT2007で大型のイベントを一件予定しているほか、単独の研究会開催に加え、他研究会との合同の研究会を3回行う予定である。具体的には、昨年度も共同研究会を共催したGN・DPSに加え、DD研との共催を計画しているほか、信学会のSITEとも合同研究会を予定している。会員の積極的な参加を期待している。
本研究会は、文系と理系の垣根を取り払った学際的な性格を持ち、運営委員もバラエティに富んでいる。今後も、本研究会の特性を生かし、様々な分野からの研究発表を積極的に受け入れていく予定である。

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◆ゲーム情報学(GI)研究会

[主査:飯田弘之、幹事:伊藤毅志、金子知適、中村貞吾]

1.定例の研究会活動報告

 第16回の研究会は6月30日(金)に山形大学工学部にて開催された。発表件数は11件、内訳は、将棋が6件、Amazonsが2件、その他が3件で将棋の発表を中心とした研究会であった。第17回の研究会は3月5日(月)にデジタルハリウッド大学にて開催された。発表件数は9件であった。発表内容は、パズル、カードゲーム、ロボカップサッカー、アクションゲーム、オセロ、将棋などバリエーションに富んだ発表で、多数の参加者があり盛会となった。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 第11回ゲームプログラミングワークショップ(GPW2006)は、コンピュータ将棋協会が主催しゲーム情報学研究会が共催するという形で平成18年11月10日(金)~12日(日)に、2泊3日の泊り込みで箱根仙石原の箱根セミナーハウスで行なわれた。66名の参加者を集め、30件の一般発表(口頭発表18件、ポスタ発表12件)があり、盛況であった。このワークショップは、1994年にコンピュータ将棋協会の主催で始まり、1999年にゲーム情報学研究会が発足した後は本研究会が主催となって、ほぼ毎年開催されてきているゲームプログラミング全般に関する我が国最大の学術研究集会である。本ワークショップは、この分野の第一線の研究者が一同に会し、時間に拘束されずゆっくりと情報交換ができる年に1度の貴重な機会として定着している。一般発表以外にも、海外から2名、国内から1名の講演者をお招きして、3件の招待講演も企画した。特に、2006年度の世界コンピュータ将棋選手権の優勝プログラム「Bonanza」の作者、保木邦彦氏による講演では、プログラム内で用いている評価関数の学習手法に関する貴重な話を直接聴くことが出来、当該分野の研究者にとって有意義なワークショップとなった。

3.総括

 本研究会は発足後8年が経過し、関係者の発表の機会を与えるものとして十分に定着してきた。発表の内容を見ると、将棋や囲碁などの伝統的なゲームを題材にしたものだけでなく、ロボカップサッカーや新しいゲーム、パズルなど広がりを見せている。これらの研究テーマは、これからの情報処理技術にとって重要な貢献を果たすと考えられ、さらなる展開が期待される。

4.その他

 9月に行なわれたFIT2006において、「ゲーム情報学の新しい形」というタイトルのイベントを企画した。本研究会主査による基調講演の後、「ゲーム情報学の次のターゲットは?」と題したパネル討論が行なわれた。現在のコンピュータ将棋ソフトの強さはプロ棋士に迫る勢いであるが、名人プレイヤーに勝利した後のゲーム情報学研究はどのような方向に進むかということに関して、将棋、囲碁、麻雀、ロボカップの研究者を招いて討論を行ない、この分野の研究の新しい方向性について様々なビジョンを与えることができた。

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◆エンタテインメントコンピューティング(EC)研究会

[主査:星野准一、幹事:稲見昌彦、杉本正則、関口大陸]

1.定例の研究会活動報告

  第4-6回の研究発表会を開催した。

  • 第4回 2006年5月3・4日 JST科学未来館
  • 第5回 2006年12月16日 京都工芸繊維大学
  • 第6回 2007年3月2日 慶応義塾大学
2.シンポジウム・国際会議等の報告
  • エンタテインメントコンピューティング2006シンポジウム
    2006年9月15日~17日 JST科学未来館
3.総括

 今年は2年目にあたり会員数がほぼ200名と順調に増加している。またシンポジウムでは今年は東京近郊での開催ということもあり、発表件数が約100件、参加者が約200名と前年度より2倍近くの参加者があった。定期的に参加して頂ける人も増えてきており、エンタテインメントコンピューティングの研究分野が定着しつつあるといえる。

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◆バイオ情報学(BIO)研究会

[主査:植村俊亮、幹事:阿久津達也、石井 信、山村雅幸]

1.定例の研究会活動報告

 第5-8回の研究発表会を、順に、沖縄先端科学技術大学院大学ゲストハウス、奈良先端科学技術大学院大学、電気通信大学、大阪大学基礎工学部国際棟で開催し、発表総数は51であった。第5回研究会は、電子情報通信学会ニューロコンピューティング研究会との共催、第7回研究会は、数理モデルと問題解決研究会、ナチュラルコンピューティング研究会との共催である。また、第5回研究会では、沖縄先端科学技術大学院大学の遠藤昌吾先生に、「記憶の生物学~分子から行動へ~」の招待講演をお願いした。遺伝子発現解析法、タンパク質機能予測法、パスウェイ解析法、分子コンピューティング、生物文献マイニングなど、生物情報の取り扱い、そのためのアルゴリズムから、実際の生物学実験を伴うものまで、幅広い融合領域研究の発表と活発な議論が行われた。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

平成18年度は実施なし。

3.総括

 17年4月発足とまだ2年しか経過していない研究会ではあるが、バイオインフォマティクスの広い分野での情報処理学的アプローチの研究発表が行われ、研究会の今後の発展が期待できる。
17年度は北海道、18年度は沖縄で開催し、19年度は沖縄および北海道での開催を予定するなど、研究会開催地のバラエティに心掛けている。研究会の開催は、主に担当運営委員により行われ、現地との連携の下で良好な運営がなされている。18年度の発表件数は、17年度の38件に比べ3割強の増加であり、研究会活動の今後の一層の活発化が期待される。
18年度より、英文トランザクション IPSJ Transactions on Bioinformatics を発刊し、18年度中の2号(TBIO 1, TBIO 2)において16報の論文を掲載した。今後も、研究会での優秀発表をトランザクションに招待する、あるいはトランザクションと連携したシンポジウムを開催するなどにより、研究会とトランザクションとの同時活性化を図る。

4.その他

 19年度は、6月に沖縄先端大、9月にはこだて未来大、12月に産総研CBRC、3月に九州大学にて、研究会を開催する予定である。

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◇ネットワーク生態学(NE)研究グループ

[主査:上林憲行、幹事:林 幸雄、藤原義久、小島一浩]

1.定例の研究会活動報告

 年1回、テクニカル論文・ポスター・パネルを中心としたシンポジウムを毎年3月に開催。2006年度は、第3回のネットワーク生態学シンポジウムを東京後
楽園の中央大学理工学部で開催。約90名以上の参加者があった。招待講演2件、パネル1件、テクニカル論文10件、ポスター8件。
また、共通のテーマや掲げ研究デスカッションや学生向けレクチャーを織り込んだサマースクールを定例的に9月に開催している。2006年度は、山形県天童市において第2回サマースクールを開催し約80名の参加者があった。ポスター22件、レクチャー3件、招待講演2件。

2.シンポジウム・国際会議等の報告

 上記の報告通り。

3.総括

 2007年度は、論文誌へ研究Gとして特集号を提案してゆく予定。

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