2025年度詳細

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2025年度(令和7年度)山下記念研究賞詳細

 山下記念研究賞は,研究賞として本会の研究会および研究会主催シンポジウムにおける研究発表のうちから特に優秀な論文を選び,その発表者に贈られていたものですが,故山下英男先生のご遺族から学会にご寄贈いただいた資金を活用するため,平成6年度から研究賞を充実させ,山下記念研究賞としたものです.受賞者は該当論文の登壇発表者である本会の会員で,年齢制限はありません.本賞の選考は,表彰規程,山下記念研究賞受賞候補者選定手続および 山下記念研究賞推薦内規に基づき,各領域委員会が選定委員会となって行います.本年度は39研究会の主査から推薦された計57編の優れた論文に対し,慎重な審議を行い決定の上,理事会(2025年8月)および調査研究運営委員会に報告されたものです.本年度の下記受賞者には,3月に開催される第88回全国大会で表彰されます.

<コンピュータサイエンス領域>
DBS SE ARC OS SLDM HPC PRO AL MPS EMB QS

<情報環境領域>
DPS HCI IS IFAT CN DC MBL CSEC ITS UBI IOT SPT CDS DCC

<メディア知能情報領域>
NL ICS CVIM CG CE CH MUS SLP EIP GI EC BIO CLE SI

コンピュータサイエンス領域

●マルチモーダル大規模言語モデルに基づく論理的および構造的異常の説明可能な検知
[データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2025)(2025/2/28)](データベースとデータサイエンス研究会)
 

藤井 野枝子 君 (正会員)

2023年3月 早稲田大学基幹理工学部情報通信学科 卒業.
2025年3月 早稲田大学大学院基幹理工学研究科情報理工・情報通信専攻修士課程 修了.

[推薦理由] 本論文は,産業製品の論理的異常(数量の制約違反など)と構造的異常(傷や汚れなど)を検知し,その理由を自然言語で説明するという,新規性と実用性を兼ね備えた課題に取り組んでいる.マルチモーダル大規模言語モデルの高度な知覚・言語処理能力を活用しつつ,その弱点である数量や位置の把握の不正確さを既存の画像認識モデルとの連携により補完するという提案は合理的であり,優れた着想といえる.評価実験により,両方の異常検知においては最先端モデルと同等程度の,論理的異常に限れば最高水準の性能が確認されている.製造業における品質管理の高度化に資する研究成果であり,学術的・産業的な意義の両面から山下記念研究賞に相応しいものとして推薦する.
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●プロパティグラフに対する新たなスキーマ評価指標の提案
[データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2025)(2025/3/1)](データベースとデータサイエンス研究会)
 

湯川 楓祐 君 (学生会員)

2025年3月 筑波大学情報学群情報科学類 卒業
2025年4月 筑波大学理工情報生命学術院システム情報工学研究群情報理工学位プログラム 博士前期課程入学

[推薦理由] 本論文では,スキーマレスなプロパティグラフ(PG)に対し,正解スキーマを必要とせず,実データとの比較によりスキーマの品質を定量評価できる新手法を提案している.評価指標として,網羅性を示す「カバレッジ」と簡潔さを示す「簡潔性」の二つを定義し,継承関係を含む抽象スキーマに対しても有効なアルゴリズムを設計している.また,複数のデータセットを用いた実験により,正解スキーマが高評価になることや,品質操作に応じた評価変動を確認し,指標の有効性を実証している.提案された評価指標を活用することで,スキーマ抽出手法の評価基盤としての展開も期待される.PGへのスキーマ導入の実用的課題を解決し,今後のデータ品質管理やスキーマ推論研究の発展にも寄与する成果として高く評価できることから,山下記念研究賞に相応しい論文として推薦する.
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●ReactアプリケーションにおけるUIテスト共進化の分析とロケータ記述の追従支援
[ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム(SES2024)(2024/9/18)](ソフトウェア工学研究会)
 

池田  むつき 君 (学生会員)

2024年3月 東京工業大学情報理工学院情報工学系 卒業.
2024年4月 東京工業大学(現:東京科学大学)情報理工学院情報工学系情報工学コース 修士課程 入学
現在に至る.

 
[推薦理由] 本論文は、Reactを用いるWebアプリケーションにおけるUIテストの共進化問題に着目し、ロケータ記述の自動修正を支援する新しいアプローチを提案しています。本研究では、開発言語とランタイム間の対応関係を正確に推定し、変更後のアプリケーション要素との関係性を追跡することで、ロケータ修正の探索範囲を効率的に絞り込む手法を提示しています。OSSプロジェクトを用いた実験により、提案手法の有効性が実証され、UIテストの保守負担を軽減する可能性が示されました。本研究は、Webアプリケーション開発におけるテスト自動化と保守性向上に大きく貢献するものであり、情報処理分野における価値ある成果として推薦いたします。
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●マイクロベンチマーク共有サービスを用いた実行高速化のための自動リファクタリングへの試み
[2024-SE-218(2024/11/5)](ソフトウェア工学研究会)
 

大森 楓己 君 (正会員)

2023年3月 和歌山大学システム工学部システム工学科 卒業
2025年3月 和歌山大学システム工学研究科 博士前期課程 修了
2025年4月 株式会社メディアドゥ 入社
現在に至る

 
[推薦理由] 本研究は、プログラムの実行速度改善を目的とした自動リファクタリングモデルにおいて、実装方法によって実行速度が異なる問題に対し、経験豊富な開発者でも最適解を導くことが難しい現状を踏まえ、既存の大規模言語モデルを活用したアプローチを提案しています。提案手法では、マイクロベンチマークの公開データセットを活用し、実行速度改善に特化したモデルを学習させ、性能を評価することでその有効性を示しました。この成果は、プログラムの最適化と開発効率向上に大きく寄与するものであり、ソフトウェア開発の生産性向上に貢献する可能性を秘めています。本研究は情報処理分野における価値ある成果として推薦いたします。
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●Entity Component System (ECS)ベースのプロセッサシミュレータにおけるキャッシュシミュレーション
[2024-ARC-259(2024/12/17)](システム・アーキテクチャ研究会)
 

前川 隼輝 君 (学生会員)

2024年3月 名古屋⼯業⼤学⼯学部情報⼯学科 卒業.
2024年4月 名古屋⼯業⼤学⼤学院⼯学研究科博士前期課程 入学.
現在に至る.

[推薦理由] 既存のプロセッサシミュレータの多くはオブジェクト指向を基本として記述されているが,本研究では,ゲーム開発などで有用とされている Entity Component System(ECS)と呼ばれるソフトウェアアーキテクチャの導入により,プロセッサシミュレータの記述が容易になることを示した上で,キャッシュシステムシミュレーションを具体例としてその記述方法について検討している.また,実際にECS アーキテクチャに基づいて設計したプロセッサシミュレータを実装し,その有用性を確認している.プロセッサシミュレータの開発および改変は,アーキテクチャ分野における研究サイクルにおいて不可欠なプロセスであり,これを簡易化・効率化する意義および波及効果は本分野にとって非常に大きい.よって山下記念研究賞にふさわしい候補としてここに推薦する.
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●unikernelを用いた隔離性・可搬性の高い軽量なWebAssemblyの実行環境
[2024-OS-164(2024/8/9)](システムソフトウェアとオペレーティング・システム研究会)
 

上田 蒼一朗 君 (学生会員)

2024年3月 京都大学工学部情報学科 卒業
2023年4月 京都大学大学院情報学研究科通信情報システムコース 入学

[推薦理由] 本研究では、仮想マシン上での実行に特化した軽量なオペレーティングシステムカーネルであるunikernelに対応したWebAssembly (Wasm) 実行環境を提案している。unikernelにより性能低下を低減しながら実行環境を安全に他から隔離する。またWasmによりオペレーティングシステムやCPUアーキテクチャに依存しないアプリケーション実行バイナリを構築する。Wasmの標準的なAPIを備えたunikernelと、Wasm形式の実行バイナリをネイティブコードに変換するAhead-of-Time (AoT)コンパイラを開発し、一定の有用性を評価実験により確認した。本研究は、従来の仮想マシンとコンテナの組み合わせに代わりうる新たな実行環境を提案し、そのアイディアの有用性を高度な実装を通じて検証している。山下記念研究賞に相応しい論文として推薦する。
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民間ロケット制御用セキュア通信向け合成体乗算回路の形式検証
[DAS2024(2024/8/28)](システムとLSIの設計技術研究会)
 

森岡 澄夫 君 (正会員)

1992年3月 大阪大学基礎工学部情報工学科 卒業.
1994年4月 日本学術振興会特別研究員(DC1).
1997年3月 大阪大学大学院基礎工学研究科物理専攻博士後期課程 修了.博士(工学).
1997年4月 日本電信電話(株)システムエレクトロニクス研究所.
1997年10月 日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所.
2003年7月 ソニー(株)ユビキタス技術研究所.
2006年1月 日本電気(株)システムデバイス研究所.
2013年1月 NEC Europe Ltd.出向, Imperial College London客員研究員.
2016年9月 インターステラテクノロジズ(株).現在,シニアフェロー 兼 衛星研究開発部長.

[推薦理由] 発表者らは民間向け宇宙機の無線通信システムのための独自の暗号プロトコルを提案している.本論文では,合成体上の乗算と単一拡大体上の 乗算が同型であることに着目し,AND-XOR 論理関数の等価性判定を利用して同型性を調べる形式検証手 法を提案している.提案法では検証の効率化のため,リファレンス回路を体の拡大が一度の単純な構造をもつ GF(2128) 演算器としている. そして, n = 128 に対して実装した回路の正当性を 2 日以内という実用時間 で自動検証できることを実証している.
本論文で提案されている検証技術は,今後の進展が期待される民間宇宙機のための無線通信システムのためのものである.さらに提案された技術は極めて独自性が強く,さらに観測小型ロケットを用いた実機検証をも行っている.研究の方向性,成果,今後の進展への期待を考慮し,山下賞記念研究賞に相応しい論文として推薦する.
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●スパースガウス過程回帰に基づく極低温トランジスタ電流モデリング
[2024-SLDM207(2024/11/13)](システムとLSIの設計技術研究会)
 

岩崎 哲朗 君 (正会員)

2023年3月 京都工芸繊維大学工芸科学部電子システム工学課程 卒業.
2025年3月 京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科電子システム工学専攻 博士前期課程 修了.
同年4月 TSMCデザインテクノロジージャパン株式会社 入社.
現在に至る.

[推薦理由] HPCコンピューティング,量子コンピューティング,宇宙医療用途の電子機器の進展において集積回路の極低温モデリングは重要な技術である.本研究では,スパースガウス過程回帰を用いて極低温環境下のCMOSトランジスタ特性をモデリングする手法を提案している. 本手法では,ガウス過程回帰の近似計算手法であるSGPRを用いて,室温から極低温まで動作する CMOS回路をシミュレーションするためのトランジスタ電流モデルを構築している.また,提案手法は低電流領域と高電流領域の学習を個別に行い,それらをスムージング関数で滑らかに接続することで,遮断領域から飽和領域までの広範なバイアス条件もシミュレーション可能となっている.65 nm および 22 nm プロセスで製造した nMOS,pMOS トランジスタを用いた評価において,3 K から 300 K までの電流特性正確にシミュレーションできることを示している. AIを応用した本手法は,新規性が高く,今後の電子機器分野の進展が期待される.価値の高い論文であり,山下記念研究賞に相応しい論文として推薦する.
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●ポスト富岳世代のMN-Coreベースアクセラレータ対応OpenACCのインターフェイスとコンパイラの検討及び開発
[2024-HPC-195(2024/8/8)](ハイパフォーマンスコンピューティング研究会)
 

綱島 隆太 君 (正会員)

2016年3月 東京都立産業技術高等専門学校ものづくり工学科医療福祉工学コース 卒業.
2018年3月 琉球大学工学部情報工学科 卒業.
2020年3月 筑波大学大学院システム情報工学研究科 博士前期課程 修了.
2021年4月〜2022年3月理化学研究所計算科学研究センター 大学院生リサーチ・アソシエイト.
2023年3月 筑波大学大学院理工情報生命学術院システム情報工学研究群 博士後期課程 単位取得満期退学.
2023年4月〜2024年3月 神戸大学大学院理学研究科惑星科学研究センター 教育研究補佐員.
2024年3月 筑波大学大学院理工情報生命学術院システム情報工学研究群 博士(工学).
2024年4月 神戸大学大学院理学研究科惑星科学研究センター 特命助教,現在に至る.

[推薦理由] MN-Coreは神戸大学とPreferred Networksが共同で開発してきたHPC・AI向けの国産アクセラレータであり、同世代のGPUよりも面積及び電力当たりの演算性能が高いと期待されている。本研究では、MN-Coreシリーズをベースとしたポスト富岳世代のアクセラレータを想定し、OpenACCインターフェイスとコンパイラの検討と開発を行った。ノード間並列処理用のディレクティブ形式APIを参考に、OpenACCに一部独自拡張を加えた、階層分散メモリ型アクセラレータに適応するOpenACC/MNを設計した。さらに、OpenCL相当のMN-Core用独自言語へ変換するコンパイラの初期実装を行った。以上から、本研究はHPC・AI向けアクセラレータのプログラミング言語処理系の有用な設計・実装方式の1つと認められ,山下記念研究賞に相応しい研究成果であると評価できる.
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実機のアナログIn-DRAM計算を用いたモチーフ解析におけるペアワイズアラインメント高速化
[2025-HPC-198(2025/3/19)](ハイパフォーマンスコンピューティング研究)
 

久保 龍哉 君 (学生会員)

2022年3月 東京大学理学部情報科学科 卒業.
2024年3月 東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻 博士前期課程 修了.
2024年4月 東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻 博士後期課程 進学.
現在に至る.

[推薦理由] 本研究は、商用DDR4 DRAMのアナログ特性を活用したインメモリ計算技術により、バイオインフォマティクス分野のモチーフ解析を高速化する手法を提案している。実験では、モチーフ解析で一般的な配列長において、GPUベースの実装と比較して約3倍の性能向上と約17倍の省電力化を達成しており、優れた計算効率を実証している。内部ギャップを許さないSmith-Watermanアルゴリズムの最適化により、必要なDRAM行数を大幅に削減し、実装の実用性を高めた点が特筆される。本研究は、ハードウェア技術とアルゴリズム最適化を組み合わせ、実用的なシステムとして具現化した点で高く評価できる。以上から、提案実装は高性能計算における有用な実装方式であると認められ、山下記念研究賞に相応しい研究成果であると評価できる。
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●Cyclic-proof systems for symbolic heaps require cut formulas outside initial signatures
[PRO-2024-4(2025/1/15)](プログラミング研究会)
 

早乙女 献自 君 (学生会員)

2019年3月 名古屋大学工学部電気電子・情報工学科 卒業.
2021年3月 名古屋大学情報学研究科情報システム学専攻 博士前期課程 修了.
2021年4月~ セコム株式会社IS研究所 在籍.
2023年4月~ 名古屋大学情報学研究科情報システム学専攻 博士後期課程 在学.

[推薦理由] Cyclic-proof systemはプログラムの性質を自動証明するための手法として近年注目されている。このsystemでは、「cut formula」と呼ばれる、プログラムの中間的な状態を表す式が証明の鍵になることが多い。先行研究により、これを「analytic cuts」という形に制限すると十分な証明能力が得られないことが分かっていた。本研究ではこれを拡張し、「initial signature cuts」という形まで許しても証明能力が十分ではないことを証明した。「initial signature cuts」は自然な制約であり、これはcyclic proof systemにおいてcut formulaの発見が本質的に難しいことを示唆する。ネガティブな結果ではあるものの、理論上興味深く、また「initial signature cuts」を超えた探索が求められるという事実は証明の自動化に際しても示唆に富む。
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●閉部分文字列数え上げのためのオンライン及びオフラインアルゴリズム
[2024-AL-200(2024/11/26)](アルゴリズム研究会)
 

三重野 琢也 君 (正会員)

2021年9月 九州大学 大学院システム情報科学府 情報学専攻 博士後期課程 修了
2021年10月 北海道大学 大学院情報科学研究院 博士研究員
2022年4月より 電気通信大学 大学院情報理工学研究科 助教
現在に至る.

[推薦理由] 当該論文では,閉部分文字列という特徴的な文字列構造に着目し,文字列中における閉部分文字列の種類数を数え上げる計算問題に取り組んだ.閉部分文字列の種類数に関しては,組合せ論的研究が進展していた一方で,効率的な数え上げアルゴリズムの開発は未開拓であった.当該論文では,閉部分文字列の種類数を数え上げる初の非自明なアルゴリズムを二つ提案した.閉部分文字列の数理的性質と文字列データ構造を巧みに組合せたアルゴリズム設計,および提案アルゴリズムの時間・領域効率性は高く評価できる.以上の理由により,山下記念研究賞候補として推薦する.
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●主成分分析のためのOQDS法の実装方法の提案
[2024-MPS-149(2024/7/22)](数理モデル化と問題解決研究会)
 

千代延 未帆 君 (正会員)

2025年3月 奈良女子大学大学院人間文化総合科学研究科博士後期課程生活環境科学専攻修了
同年4月 滋賀大学データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター 助教
現在に至る

[推薦理由] 推薦者は,一部の特異値と特異ベクトルのみを計算するための手法としてOQDS(Orthogonal QD with Shift)法を用いた手法を提案しており,スプリットの影響を受けずに小さい方から数個の特異値と右特異ベクトルを得るための OQDS 法の実装方法を示した.本研究内容の有用性の高さと発表者のプレゼンの完成度,質疑応答を通じての提案手法に関する理解度から研究会として推薦する.
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●Improving the Speech Pattern of an Emotion-aware Robot using EEG and HRV for Emotion Estimation
[Asia Pacific Conference on Robot IoT System Development and Platform (APRIS2024)(2024/11/6)](組込みシステム研究会)
 

Victor Gaspard 君 (学生会員)

2021年〜2025年 EPFエンジニアリングスクール(パリ) IT/コンピュータサイエンス専攻 修士課程在学中.
2023年9月〜12月 芝浦工業大学システムソフトウェア研究室 研究インターン.感情認識に基づくロボットの音声パターン改善に関する研究を実施.
2025年4月〜10月 ユカイ工学株式会社(東京) ソフトウェアエンジニアリングインターン.次世代生活支援ロボットの機能開発に従事.
研究分野は,ヒューマン・ロボット・インタラクション,感情認識,知能システム.

[推薦理由] 本研究論文は,少子高齢者を背景とし,感情認識ロボットの性能向上に生理信号を活用する革新的なアイデアに基づき,アルゴリズムを構築,実装,評価を行なった研究について述べられている.会話中の脳波と心拍をリアルタイムに取得し,それに基づく音声パターンを改善することで,「人の気持ち」を考慮したコミュニケーションロボットを実現しており,その革新性については会議のPC委員からも高く評価された.収集したデータに基づいてユーザーの感情状態を望ましい目標状態へ誘導するための音声パターン(文のシーケンス)を生成するアルゴリズムの提案・実装,結果の議論が十分に展開されている点などが興味深く挑戦的な内容であると高く評価された.以上より,本論文を山下賞にふさわしい論文として推薦する.
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●Scalable quantum circuits for Hamiltonian simulation of classical conservative systems
[2024-QS-12(2024/6/28)](量子ソフトウェア研究会)
 

佐藤 勇気 君 (正会員)

2014年3月 京都大学工学部物理工学科 卒業.
2016年3月 京都大学大学院工学研究科機械理工学専攻 修士課程 修了.
2017年4月~2019年3月 日本学術振興会特別研究員(DC2).
2019年3月 京都大学大学院工学研究科機械理工学専攻 博士課程 修了.
2019年4月 株式会社豊田中央研究所 入社.
量子コンピュータのCAE分野への応用に関する研究に従事.

[推薦理由] 本研究発表は古典系の数値シミュレーションのための量子アルゴリズムを提案したものである.数値シミュレーションのための従来の量子アルゴリズムは理論的な計算量の議論に留まっていた.それに対し,本研究発表は,古典系の方程式を量子系と対応させながら,古典系の特徴を反映させた量子系のハミルトニアンの定式化を提案することで,理論的な議論だけでなく具体的に実装可能な手法を提示した.これにより,量子コンピュータ実機を使ったアルゴリズムの検証,ならびに早期のユースケースに寄与することが期待できる.本研究発表は新しい科学計算に挑戦するものであり,学術界および産業界の発展に広く貢献すると考えられるため,山下記念研究賞に推薦する.
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情報環境領域

●多対一スイッチを含むBeneš ネットワークの高速な構築・ ルーティングとPrivate Join and Computeへの応用
[マルチメディア,分散,協調とモバイルシンポジウム DICOMO2024(2024/6/26)](マルチメディア通信と分散処理研究会)
 kii

紀伊 真昇 君 (正会員)

2018年 早稲田大学基幹理工学部 卒業
2020年 東京工業大学大学理学院 数学系数学コース 修了
同年 日本電信電話株式会社 入社
以降,二者間秘密計算と匿名化を中心とするプライバシー保護技術等の研究に従事
2024年 DICOMO最優秀論文賞,2025年 情報処理学会業績賞などを受賞

[推薦理由] 本研究では一般化されたBenešネットワークについて,高速な構築アルゴリズムとルーティングアルゴリズムを提案している.いずれも非再帰的アルゴリズムであること,RAM アクセス回数が減るように工夫されていることが特徴である.また,本研究結果を用いて効率的な秘匿シャッフルとPrivate Join and Compute を実現・実装し,その実験結果も示した.本論文は,より安全なネットワークの実現に向けた有用な研究であり,実用面においても重要な成果であると考えられるため,本論文を山下記念研究賞に推薦する.
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●小型低軌道衛星群を一つのアンテナとして動作させるための衛星間リアルタイム情報伝達機構
[2025-DPS-202(2025/3/17)](マルチメディア通信と分散処理研究会)
 sasaki

佐々木 航 君 (正会員)

2016年3月 慶應義塾大学 環境情報学部 卒業.
2018年3月 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 修士課程 修了, 修士(政策・メディア).
2022年3月 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 博士課程 修了, 博士(政策・メディア).
2022年4月 慶應義塾大学 プロジェクト助教.
2024年10月 奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 情報科学領域 助教(現職).

[推薦理由] 大規模衛星群におけるリアルタイムな制御情報伝送を効率化するため,階層クラスタTDMA方式とアンカー衛星多段ホップ方式の2つを提案し,基礎的な性能評価および比較検討を行っている.性能検証の結果,両方式とも数百Mbps?数Gbps級の帯域が必要となる可能性が示唆され,干渉管理や故障対策の設計次第で運用の実現性が高まることが示された.本論文は,今後の非地上系ネットワークの高度化に向けた課題と展望を提示する有用な研究であり,実用面において重要な成果であると考えられるため,本論文を山下記念研究賞に推薦する.
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●アクセシビリティのための論文内画像の代替テキストに関する定量的調査
[2024-HCI-210(2024/11/18)](ヒューマンコンピュータインタラクション研究会)
 miyazaki

宮崎  翔 君 (正会員)

2023年3月 東京大学工学部電子情報工学科 卒業.
2025年3月 東京大学大学院学際情報学府 修了.

[推薦理由] 本研究は,視覚に不自由のあるユーザのアクセシビリティ向上を目的として,HCI分野の論文における代替テキストの設定状況を大規模に調査した先駆的な研究である.CHI 2021-2024の全論文約3,000件から17,000件超の画像と代替テキストを収集し,ACMガイドラインに基づく定量的分析を実施している.約80%の代替テキストが推奨文字数を超過し,5.4%でキャプションと同一内容である問題など,従来明らかにされていなかった実態を数値で詳細に示している.代替テキストの長さや記述パターンの傾向分析により,コミュニティが直面する課題を明確化し,今後の代替テキスト記述支援システム開発に不可欠な知見を提供している.学術論文のアクセシビリティ向上という重要な社会課題に対する技術的新規性と実用性の高さから,山下記念研究賞に相応しい研究である.
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●ClothTalk: 騒音環境でも GPU なしでリアルタイムに綺麗な声を入力可能な導電布マイクロフォン
[インタラクション2025(2025/3/2)](ヒューマンコンピュータインタラクション研究会)
 hiraki

平城 裕隆 君 (学生会員)

2020年 東京大学工学部電子情報工学科 卒業
2022年 東京大学学際情報学府 修士課程 修了
同年 東京大学学際情報学府 博士課程 入学,現在に至る
音声を用いたユーザインタフェースの研究に従事.

 

[推薦理由] 本研究は,騒音環境下でもGPUなしでリアルタイムに高品質な音声入力を可能とする導電布マイクロフォン「ClothTalk」を提案している.フレキシブルな導電布ダイヤフラムを曲げることで指向性を高め,周囲の全方位からのノイズを効果的に低減する革新的なハードウェア設計を実現している.従来の深層学習ベースの音声強調手法がGPUを必要とする課題に対し,ハードウェアのみでノイズ除去を行う独創的なアプローチが高く評価される.実験において音源分離の指標Si-SNRで既存手法を上回る性能を実証し,囁き声も拾える高感度と80dB騒音環境での動作を確認している.ウェアラブルデバイスにおける音声入力の新たな可能性を切り開く技術的新規性と実用性から,山下記念研究賞に相応しい研究である.
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●ダークパターンとデフォルト効果に関する研究:クラウドソーシング実験による検討
[2024-IS-169(2024/8/22)](情報システムと社会環境研究会)
 goto

後藤 晶 君 (正会員)

2008年3月 中央大学総合政策学部 卒業.
2015年3月 明治大学大学院情報コミュニケーション研究科 博士後期課程 修了.
山梨英和大学人間文化学部助教,多摩大学経営情報学部専任講師,
明治大学情報コミュニケーション学部専任講師を経て,
2023年10月より明治大学情報コミュニケーション学部 専任准教授
現在,行動経済学・実験/計算社会科学の研究に従事.

[推薦理由] 本研究は,オンライン環境におけるダークパターンやデフォルト効果といった,ユーザーの意思決定に影響を与える可能性のあるUI設計の問題点に対し,クラウドソーシングを用いた実験的手法で詳細な検討を行ったものです.特に,実験教示システム(introjs)の導入効果や,ダークトライアドといった個人特性がこれらの効果や利用意図に与える影響を分析しています.先行研究を踏まえつつ,セレクションバイアスの可能性も考慮した上で再実験を行い,結果の頑健性を確認しようと試みており,今後のオンラインサービス設計における倫理的な課題や Satisfice 問題への対策を考える上で,示唆に富む重要な貢献をしています.以上より,山下記念研究賞の受賞候補者として強く推薦いたします.
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●批判的な情報探索促進に向けた対話的生成AIの回答戦略の検討
[2024-IFAT-157(2024/12/26)](情報基礎とアクセス技術研究会)
 yamamoto

山本 祐輔 君 (正会員)

2011年 京都大学大学院情報学研究科 博士課程修了.博士(情報学).
京都大学大学院情報学研究科 特定助教,京都大学学術研究支援室 特定専門業務職員,京都大学経営管理大学院 特定講師,
静岡大学情報学部 専任講師,准教授を経て,2023年4月より名古屋市立大学データサイエンス学部准教授.
情報検索,データ工学,HCIの研究に従事.

[推薦理由] LLMを用いた情報探索において,ユーザの能動的な批判的意思決定を促進することを目的として,「示唆的な結末」を提示する手法を提案している.情報探索の研究領域におけるヒューマンAIインタラクションの実践的知見として時流を捉えた研究課題の重要性に加えて,「クリフハンガー効果」技法から着想を得て手法を提案している独創性と,300人規模を対象に調査を行い提案手法の有用性を示している信憑性の高さを評価する.
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●インフルエンスオペレーションにおける情報の発信・拡散及び影響のモデル化
  [コラボレーションとネットワークサービスシンポジウム2024(2024/11/21)](コラボレーションとネットワークサービス研究会)
 sekiguchi

関口 和巳 君 (学生会員)

2012年3月 東京理科大学理工学部機械工学科 卒業.
2014年3月 東京理科大学大学院理工学研究科 機械工学専攻 修了.
2014年4月 防衛省技術研究本部 入省.
2015年10月 組織改編に伴い防衛装備庁 勤務.
2023年4月 日本大学大学院生産工学研究科 数理情報工学専攻 博士後期課程 入学.
防衛装備庁にて装備品の研究開発に従事,現在に至る.

[推薦理由] 本論文では,SNSで見られるインフルエンス・オペレーションにおける情報の発信・拡散及び影響のモデル化を目指している.具体的には,システム故障分析で用いる Fault Tree Analysis (FTA) の基づき,読み手が信念を更新する事象をシステムの故障と捉えてモデル化した後,サイバーセキュリティにおける攻撃のモデル化で利用される Attack Tree Analysis (ATA) を用いて,攻撃者側をモデル化した.そして,バイアス等と提案モデルの各要素を関連させ,インフルエンス・オペレーションの体系化とモデル化手法を提案した上で,過去の米国大統領選における事例へ適用し,その有効性を評価している.このようなインフルエンス・オペレーションのモデル化は,AI時代によるフェイクニュースの拡大といった社会問題に対し,モデルに基づく読み手側のリテラシ向上方針の策定をはじめとした,具体的な解決策立案に資する非常に重要な研究であるため,推薦する.
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●連邦型RDF問合せのための述語相関の要約に基づく情報源選択手法
[2024-DC-134(2024/11/29)](ドキュメントコミュニケーション研究会)
 ogura

小倉 勇大 君 (正会員)

2023年3月 筑波大学情報学群情報科学類 卒業
2025年3月 筑波大学大学院理工情報生命学術院システム情報工学研究群情報理工学位プログラム 修士課程 修了
2025年4月 株式会社ZOZO 入社
現在に至る.
 

[推薦理由] 複数の知識ベースを対象とする連邦型RDF問合せ処理では,適切な情報源の選択が重要であるが,その選択処理に要する時間が課題である.推薦する論文は,情報源に含まれる述語ペアに着目した新しい要約方式を提案している.事前計算で各情報源の述語ペアを行列として要約し,高い圧縮率を維持しつつ,問合せ時にそれを活用して精度の高い情報源選択と処理時間の短縮を実現している.さらに評価実験により,既存手法よりも優れた性能を示していると述べている.このように学術的・実用的貢献が大きい論文であるため,山下記念研究賞に推薦いたします.
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●離散潜在空間上でのMasked Image Modelingによる産業用画像の論理的な異常検知
マルチメディア,分散,協調とモバイルシンポジウム DICOMO2024(2024/6/28)](モバイルコンピューティングと新社会システム研究会)
 sakai

坂井 俊介 君 (学生会員)

2022年3月 石川工業高等専門学校 電子情報工学科 卒業
2024年4月 石川工業高等専門学校 専攻科 電子機械工学専攻 入学
2024年3月 石川工業高等専門学校 専攻科 電子機械工学専攻 修了(学士)
2024年4月 福井大学大学院 工学研究科 知識社会基礎工学専攻 入学
最近はエネルギー効率が良いNN構造に興味あり.
詳細な研究活動は,
https://shunsukesakai.blog
 

[推薦理由] 本研究は,産業製品における配線ミスや部品の欠損など物体間の長距離依存関係に生じる論理的な異常の検出手法を提案している.長距離依存関係を学習するために,正常画像上でのMasked Image Modelingを導入し,さらに予測不確実性に対処するために離散潜在空間での予測誤差を取る点が革新的である.評価実験では,SoTA手法に匹敵する性能を上げており,予測対象を変更した際の影響や離散潜在変数の可視化など実験結果も充実しており,信頼に足るものである.よって本論文を山下記念研究賞に推薦する.
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●DiverCityMeter: 大規模移動データによる生活パターン分析を通じた都市空間の多様性算出手法
[2024-MBL-112 (2024/9/27)](モバイルコンピューティングと新社会システム研究会)
 shoji

庄子 和之 君 (学生会員)

2019年3月 名古屋大学工学部電気電子情報工学科 卒業
2021年3月 名古屋大学大学院工学研究科 情報・通信工学専攻 修士課程 修了
2021年4月-2022年3月 三菱スペース・ソフトウエア株式会社
2022年4月-2022年9月 名古屋大学未来社会創造機構モビリティ社会研究所モビリティサービス研究部門
2022年10月 名古屋大学大学院工学研究科 情報・通信工学専攻 博士課程 入学
現在に至る

[推薦理由] 本論文は,匿名化GPS位置データのみを用いて,都市空間におけるエリアの「生活パターン多様性」を定量的に算出する新たなフレームワーク「DiverCityMeter」を提案している.属性情報に依存した多様性評価とは異なり,エリアモデリング・行動モデリング・人モデリングの三段階のモジュール設計により,移動行動由来の生活パターン特徴を抽出・クラスタリングし,エリアごとの多様性を導出している.本研究では,名古屋市内の数万単位のスマートフォンユーザから収集された実データを用い,COVID-19前と最中における多様性変化を分析し,実社会への適用可能性と社会的な意義を明確に示している.また,都市計画や地域活性化施策の評価指標としての応用が期待される点から,高い研究価値を有すると判断される.これらの理由により,本論文を山下記念研究賞に推薦する.
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●多分その方がみんな幸せになるっていう感じですね: 開発者インタビューに基づく 高機能暗号ライブラリ開発時の考慮事項の抽出
[コンピュータセキュリティシンポジウム(CSS2024)(2024/10/23)](コンピュータセキュリティ研究会)
 kodera

小寺 健太 君 (正会員)

2017年3月 大阪大学工学部電子情報工学科 卒業.
2018年3月 大阪大学大学院工学研究科電気電子情報通信工学専攻 修士課程 修了.
2021年4月 三菱電機株式会社 入社.
現在に至る.

[推薦理由] 本論文は,既存研究では未開拓であった高機能暗号ライブラリのユーザビリティという重要な研究領域に初めて光を当てた先駆的研究である.属性ベース暗号ライブラリ開発者という極めて限られた専門家集団に対する詳細なインタビュー調査により,従来の暗号ライブラリとは異なる高機能暗号特有の課題と配慮事項を明らかにした点は,方法論的にも独創的かつ実践的価値が高い.世界的に見ても少数である開発者からの直接的証言は代替困難な貴重なデータであり,今後の高機能暗号技術の社会実装促進に向けた重要な基盤知見を提供している.学術的新規性と実用的意義の両面において優れた貢献として強く推薦する.
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●クライアントの行動に基づくビザンチン耐性のある連合学習の監視メカニズム
[コンピュータセキュリティシンポジウム(CSS2024)(2024/10/24)](コンピュータセキュリティ研究会)
 hashimoto

橋本 俊甫 君 (正会員)

2023年3月 情報科学専門学校情報セキュリティ学科 卒業
2025年3月 兵庫県立大学大学院情報科学研究科 博士前期課程 修了
2025年4月 株式会社松尾研究所 入社

[推薦理由] 本論文は,連合学習における重要なセキュリティ脅威であるビザンチン攻撃に対する新たな防御手法を提案した優秀な研究である.従来手法の多くが理想的な前提条件を必要とする中,本研究はチーフクライアントや中央サーバでの評価データセットを不要とする,より現実的なアプローチを採用している.クライアントの時間的一貫性と空間的類似性を収束,重みの変動,空間的分布の3つの観点から監視する独創的な検出メカニズムは,偽装攻撃,シビル攻撃,データポイズニングの複合的攻撃に対する高い検出能力を実験で実証している.さらに正常環境と同等の学習精度を維持できる点も実用上極めて重要である.全般的に論文としての完成度が高く,強く推薦する.
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●OFDMの位相情報を用いた測距におけるDoppler shiftの影響に関する検討
[2024-ITS-98(2024/9/14)](高度交通システムとスマートコミュニティ)
 tang

湯  素華 君 (正会員)

1998年 中国科学技術大学 電子情報工学科 卒業.
2003年 中国科学技術大学 情報大学院 博士課程 修了.
2003年~2013年 (株) 国際電気通信基礎技術研究所 (ATR)研究員
2014年より,電気通信大学大学院情報理工学研究科.助教,准教授を経て,2024年同研究科教授.
アドホックネットワーク,ITS,省電力無線通信,マルチメディア通信の研究に従事.

[推薦理由] 都市部の高精度な歩行者測位を実現するため,OFDM信号の位相情報を用いた測距法に着目し,特にDoppler shiftの影響を理論とシミュレーションで詳細に解析した意欲的な研究である.LEO衛星応用も視野に入れた本研究は,次世代V2X測位技術の発展に大きく貢献する.
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●カメラ搭載型バイオロガーを活用した野生生物の希少行動の自動記録
[2024-UBI-82(2024/5/2)](ユビキタスコンピューティングシステム研究会)
 tanigaki

谷垣  慶 君 (学生会員)

2018年 大阪大学工学部電子情報工学科 卒業.
2022年 大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻 修士課程 修了.
2024年 同研究科博士後期課程 入学.現在在学中.

[推薦理由] 本論文は,カメラ搭載型バイオロガーと低コストセンサの組み合わせにより,これまで捉えることが困難だった野生生物の希少行動を効率よく自動記録する手法を提案している.特に,加速度センサや水圧センサによる常時観測で希少行動の兆候をリアルタイムに検出し,必要なタイミングにのみカメラを起動させることで,電力消費の問題を解決しつつ高品質な映像データを得ることに成功している.また,教師なし学習を活用することで,人手による事前の専門知識やアノテーションがなくとも新たな生物学的知見を引き出すことを実証し,生物学研究における分析効率と精度の向上に貢献している.本研究の成果は,生物学における新しい発見を促進するだけでなく,ユビキタスコンピューティング分野における資源制約下でのセンシング技術の活用方法にも新たな示唆を与えることが期待される.以上の理由により,本論文を山下記念研究賞に推薦する.
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●単一スピーカからの多重反射波のTime-of-Flight情報を用いた位置指紋に基づく屋内測位
[マルチメディア,分散,協調とモバイルシンポジウム DICOMO2024(2024/6/28)](ユビキタスコンピューティングシステム研究会)
 mita

三田有輝也 君 (学生会員)

2024年3月 東京大学工学部電子情報工学科 卒業
2024年4月 東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻 修士課程 入学
現在に至る.

[推薦理由] 本論文は,情報セキュリティポリシー策定下の組織において,組織特性と個人の情報セキュリティ行動の関係性を探索的に分析したものであり,500名を対象とする調査実験を通じて,ポジティブな組織特性が情報セキュリティ行動と関係があること,特に公正性が影響することを実証した.
組織が構成員のセキュリティ行動を促進するためには,ポリシーの策定だけでなく,組織の公正性に留意する必要があることを明らかにし,学術的にも実務的にも貢献の大きな研究として評価されるものである.よって本論文を山下記念研究賞に推薦する.
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●IPv6リナンバリングに対応するためのMACアドレスバインディングによるAccess Control List自動更新手法の提
[2025-IOT-68(2025/3/5)](インターネットと運用技術研究会)
 katsube

勝部峻太郎 君 (正会員)

2019年 京都大学工学部地球工学科 卒業.
同年 飛島建設株式会社 入社.
以降,土木・建築分野へのICT応用に関する研究開発業務に従事.

[推薦理由]本発表で著者らはIPv6アドレスを静的かつグローバルユニークなMACアドレスとバインディングすることによってオンデマンドに取得し,Access Control List内のIPv6アドレスリテラルの自動更新を行う手法を提案している.その実践が共有されており,研究の必然から導出された見事な知見であった.研究発表の場にいた聴衆からの驚きの声と拍手があがったことが記憶に新しい.IOT運営委員会の審査でも他を寄せ付けない圧倒的な得票を果たした発表であり,IOT研究会として自信と敬意をもって推薦する発表である.
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●ポリシー策定下における組織特性と情報セキュリティ行動の探索的分析
[コンピュータセキュリティシンポジウム(CSS2024)(2024/10/23)](セキュリティ心理学とトラスト研究会)
 komatsu

小松 文子 君 (正会員)

1981年3月 日本女子大学家政学部家政理学科 物理専攻 卒業
1981年4月 日本電気株式会社 入社
2009年7月 独立行政法人情報処理推進機構 情報セキュリティ分析ラボラトリー長
2011年9月 横浜国立大学大学院 環境情報学府情報メディア学専攻 博士課程 修了
2016年4月 長崎県立大学 教授,2019年 教授,副学長
2024年3月 ノートルダム清心女子大学 情報デザイン学部教授
人間中心の情報セキュリティに興味を持つ

[推薦理由] 本論文は,情報セキュリティポリシー策定下の組織において,組織特性と個人の情報セキュリティ行動の関係性を探索的に分析したものであり,500名を対象とする調査実験を通じて,ポジティブな組織特性が情報セキュリティ行動と関係があること,特に公正性が影響することを実証した.
組織が構成員のセキュリティ行動を促進するためには,ポリシーの策定だけでなく,組織の公正性に留意する必要があることを明らかにし,学術的にも実務的にも貢献の大きな研究として評価されるものである.よって本論文を山下記念研究賞に推薦する.
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●動画形式のプライバシーポリシー提示によるユーザの理解度向上等の効果検証
[2025-SPT-58(2025/3/6)](セキュリティ心理学とトラスト研究会)
 shinoda

篠田 詩織 君 (正会員)

2014年3月 東京大学工学部電子情報工学科 卒業.
2016年3月 東京大学大学院情報理工学系研究科 修士課程 修了.
2016年4月 日本電信電話株式会社(現NTT株式会社) 入社,現在に至る.
プライバシーや環境問題等の社会課題に対し,人の心理的側面からアプローチする研究に従事.

[推薦理由] 本論文は,多くのユーザが長文のプライバシーポリシーを読もうとしない現状に対して,動画形式で提示することの有効性を検証したものであり,インタビューと大規模なアンケート調査の結果,文章より動画の方が学習効果(完走率および正答率)が高いこと,望ましい表示方法(動画時間および文章・動画の組み合わせ)などを明らかにした.
プライバシーポリシーが読まれないことが,ユーザー・事業者双方のリスクを高めるという実務的な課題に対して,実践的な示唆を与えるとともに,今後の研究の方向性も明確にした点で学術的な貢献も大きい.よって本論文を山下記念研究賞に推薦する.
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●ワインブドウの収穫期6カ月前でも得られる早期収量予測の指標について
[2024-CDS-41(2024/9/27)](コンシューマ・デバイス&システム研究会)
 sanada

眞田  慎 君 (正会員)

2023年3月 立命館大学大学院情報理工学研究科 博士後期課程 満期退学
2023年4月 立命館大学立命館グローバル・イノベーション研究機構 研究員
2023年7月 立命館大学 論文博士(工学) 取得 
2024年3月 ヤマハ発動機株式会社 入社
現在に至る .

[推薦理由] 本論文は,RGBカメラのみを用いたワイン用ブドウの生育初期における高精度な早期収量予測手法を提案し,実圃場データでその有効性と実用性を実証したものである.葉によるオクルージョンの影響が少ない生育初期に深層学習モデルで芽や若枝をカウントし,収穫期の約6カ月前でも2%以内の誤差で収量予測を実現し,房の体積推定も低コスト・非破壊で可能としました.本研究は,農業DXやスマート農業の社会実装に直結する先進的な取り組みであり,技術的な工夫や完成度の高さ,実圃場での検証による有効性の証明,実用性の高さが高く評価され,社会的インパクトの大きい優れた研究成果であるため,当該論文を推薦する.
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●JumplessJump:仮想ジャンプ体験のためのEMSを用いたジャンプ感覚提示手法
[2025-DCC-39(2025/1/23)](デジタルコンテンツクリエーション研究会)
 shimakawa

島川 久範 君 (正会員)

2023年 九州大学共創学部共創学科 卒業
2025年 東京大学学際情報学府 修士課程 終了
2025年よりソニー・ホンダモビリティ株式会社にてSDVのソフトウェア開発に従事.

[推薦理由]本研究は,VR環境において自分の足でジャンプしたような感覚を,衝突や転倒の心配がなく,疲労を伴わずに楽しめるJumplessJumpを提案している.JumplessJumpは,ジャンプの跳躍と着地のタイミングで下肢の筋肉に電気的筋肉刺激を与えることで,ユーザは直立状態のまま,自分の足でジャンプしたかような感覚を得ることが可能となっている.本発表では,電気刺激の刺激時間や刺激強度がジャンプ感に与える影響に関する実験結果とその有効性が示され,身体動作を必要としない新たなVRコンテンツ制作を可能にする研究として高く評価された.
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●新生児育児体験システムCryingBabyの提案
[2025-DCC-39(2025/1/24)](デジタルコンテンツクリエーション研究会)
 kosaka

小坂 崇之 君 (正会員)

2007年 金沢工業大学工学研究科 博士後期課程(情報工学専攻) 単位取得満期退学.
同年,金沢工業高等専門学校国際コミュニケーション情報工学科講師.
2008年 博士(工学) .
2011年 神奈川工科大学情報学部情報メディア学科 准教授.
2022年 東海大学情報理工学部情報メディア学科 准教授.
VRおよびマルチモーダルインタフェースやゲームに関する研究に従事.芸術科学会,母性衛生学会,情報処理学会会員.

[推薦理由] 本研究は,新生児育児体験ロボットCryingBabyを提案している.本発表では,実際にミルクを飲ませたり,おむつを変えたり,夜泣きするCryingBabyをあやして落ち着かせたりと,実際のデモンストレーションも行われ,非常に活発な議論が行われた.CryingBabyによる育児体験を通して「新生児への接し方」や「育児に対する不安軽減」が期待できるだけでなく,「育児の大変さ」を実体験することによる男性(パートナー)の意識改革を促すことも目的としており,非常に社会的意義のある研究として高く評価された.
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メディア知能情報

●LLMに日本語テキストを学習させる意義
[2024-NL-261(2024/9/3)](自然言語処理研究会)
 

齋藤 幸史郎 君 (学生会員)

2025年3月 東京科学大学情報理工学院情報工学系 卒業.
2025年4月より 東京科学大学情報理工学院情報工学系 修士課程 在学中. 

[推薦理由] 本研究では,日本語・英語の二言語で対照的に設計した19個の評価タスクにおいて35種類の大規模言語モデル (LLM) の性能を詳細に分析することにより,LLM間の性能の違い,タスクごとの性能の違いを生み出す要因を詳細に分析している.これらの分析結果・知見は今後の日本語におけるLLMの訓練と評価データの設計に重要な示唆を与えるものであり,その有用性は高く評価できる.以上の理由から,本発表論文を山下記念研究賞に推薦する.
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●実在しないエンティティや出来事に関する合成文書を用いたRAGベンチマークの構築 
[2025-NL-263(2025/3/9)](自然言語処理研究会)
 

李  聖哲 君 (正会員)

2019年9月 京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻 修士課程 修了
2019年10月 LINE株式会社 入社,2024年7月 SB Intuitions株式会社に転籍
2024年9月 早稲田大学基幹理工学研究科 情報理工・情報通信専攻 博士後期課程 入学 

[推薦理由] 本研究は,大規模言語モデル(LLM)の事前学習に含まれない知識を問う検索拡張生成(RAG)の性能評価のため,実在しないものごとに関する合成文書を用いたベンチマークを構築し,このベンチマークを用いた実験において検索を用いないLLMの事前知識のみに頼る回答方法では高い性能を達成できないことを示したものである.LLMを用いたRAGは現在広く用いられる技術であり,本研究で提案されたRAGベンチマークおよびその構築方法は新規性・有用性が高いと評価できる.また,実験の定量的・定性的な分析も優れており研究発表としての価値も高い.以上の理由から,本発表論文を山下記念研究賞に推薦する.
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●属性の欠損に対応した連合学習アルゴリズム
[2024-ICS-215(2024/9/13)](知能システム研究会)
 

大石 慶一朗 君 (正会員)

2017年 電気通信大学 情報理工学部 総合情報学科 卒業.

2019年 電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻 博士前期課程 修了.
2019年~2020年 富士通株式会社.
2025年 電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻 博士後期課程 修了.
2025年 岡山大学 環境生命自然科学学域 助教.
現在に至る. 
[推薦理由] 本発表論文は,データが分散して存在する時にそれらを一箇所に集約することなく機械学習を適用する手法である連合学習について,実社会における応用システム化を前提とした時に考慮が必要となる分散データが持つ属性の相互の不一致(欠損)が生じる状況への考慮の重要性を示し,そのための提案手法が具体的にアプリケーションを想定したデータに対してどの程度性能を発揮するのかを論じている.既存の連合学習の枠組みに対して,実応用の観点からのシステム化に必要な拡張方法をアルゴリズムの詳細からそこで実現される性能の見通しも含めて具体的に示している点が本研究会の目指す知能システム研究の観点で特筆に値することから,山下記念研究賞の受賞に相応しい発表論文として強く推薦する.
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●Label-Efficient Microscopy Image Recognition with Cell Image Characteristics
[2024-CVIM-238(2024/5/15)](コンピュータビジョンとイメージメディア研究会)
 

西村 和也 君 (正会員)

2021年3月 九州大学大学院 システム情報科学府 情報知能工学専攻 博士前期課程 修了
2024年3月 九州大学大学院 システム情報科学府 情報理工学専攻 博士後期課程  修了
2024年4月 国立がん研究センター研究所 計算生命科学ユニット 特任研究員. 
現在に至る.

[推薦理由] 本研究は,細胞画像が本来持つ特性に基づいてアノテーションコストなしに取得可能なメタデータを有効活用し,label-efficientな画像認識を実現している.大量のラベル付きデータを必要とする画像認識タスクにおいて,応用分野ではラベル付与の負担は大きな課題であったが,本手法はこの課題を軽減しつつ高精度な認識を実現している.これは応用領域のラベル不足の解消に大きく貢献し,実践的意義と社会的インパクトも大きい.技術的独創性と実用性の両面を備えており,本研究会の理念に合致する優れた研究成果として山下記念研究賞にふさわしいと判断する.
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●Neural SDF for Shadow-aware Unsupervised Structured Light
[2025-CVIM-240(2025/1/22)](コンピュータビジョンとイメージメディア研究会)
 

市丸 和人 君 (学生会員)

2017年3月 九州大学工学部電気情報工学科 卒業.
2019年3月 九州大学大学院システム情報科学府情報理工学専攻 修士課程 修了.
2019年4月~2023年7月 株式会社富士通システム統合研究所.
2023年4月~ 九州大学大学院システム情報科学府情報理工学専攻 博士課程 入学.
2023年8月~ 富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティ株式会社.
現在に至る.

[推薦理由] 本研究は,ニューラルネットワークによる物体表現を用いた形状復元手法を,パターンプロジェクタにより構築されるアクティブ光線空間に拡張したものである.パターン光を投影した物体をカメラで撮影し,形状を復元する構造化光計測手法においては,一般にパターンは既知であるが,提案手法では未知であっても形状復元可能である.本研究では,微分可能なニューラルレンダリングを用いて逆問題を解くことで,物体形状と未知パターンを同時に推定する.また,パターン投影の影の影響を低減するため,影をレンダリングする機構も組み込まれている.本研究は,パターンは既知でなければならないという構造化光計測の前提を覆すものであり,高精度計測を必要とする分野に大きなインパクトを与えることから,山下記念研究賞に推薦する.
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●3DCGアニメーション向けの実用的なスタイル転写: 映像制作のためのR&D実践
[VC2024(2024/9/10)](コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学研究会)
 

藤堂 英樹 君 (正会員)

2011年 3月 東京大学 大学院情報理工学系研究科 博士後期課程 単位取得退学
2011年 4月~2013年 3月 株式会社オー・エル・エム・デジタル 研究開発部門 Researcher
2013年 4月~2013年11月 東京大学 大学院情報理工学系研究科 特任研究員
2013年11月 東京大学 大学院情報理工学系研究科 博士後期課程 修了 博士(情報理工学)
2013年12月~2016年 3月 東京大学 大学院総合文化研究科 特任研究員
2016年 4月~2017年 3月 東京工科大学 メディア学部 助教
2017年 4月~2020年 3月 中央学院大学 現代教養学部 助教
2020年 4月〜2022年3月 青山学院大学 理工学部 情報テクノロジー学科 助教
2022年4月〜現在に至る 拓殖大学 工学部 情報工学科 准教授 

[推薦理由] 藤堂英樹氏の3Dアニメーション向けスタイル転写技術は,学術研究と産業応用の理想的融合を実現した画期的成果である.SIGGRAPH Asia 2024 Technical Communicationsで42件中唯一のBest Paper Awardを受賞し,国際的評価を獲得している.本研究の最大の特徴は,機械学習ではなく古典的テクスチャ合成技術を採用することで,著作権問題を回避し,アーティストによる制御性を確保した点にある.これにより商業アニメーション制作現場での実用化を実現し,実験作品で全面活用されている.学術成果が直接制作現場に投入される例は稀であり,研究と実践の高いハードルを乗り越えた意義深い事例である.産業界からの注目も高く,技術的完成度と実用性を兼ね備えた優秀な研究として強く推薦する.
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●拡張現実を用いて測定値をもとにモデル化する物理教材の開発と授業実践 -電位の概念の理解を促すモデルを例として-
[SSS2024(2024/8/12)](コンピュータと教育研究会)
 

稲垣 惇史 君 (正会員)

2004年 3月 広島大学 教育学部 第二類(科学文化教育系)自然系コース 卒業
2006年 3月 広島大学大学院 教育学研究科 博士課程前期 教科教育学専攻 修了
2019年 4月 広島大学大学院 教育学研究科 博士課程後期 教育学習科学専攻 入学
2025年 3月 広島大学大学院 教育学研究科 博士課程後期 教育学習科学専攻 修了
2006年 4月 広島県立神辺旭高等学校 実習助手
2007年 4月 広島県立福山誠之館高等学校 教諭
2011年 4月 広島県立福山工業高等学校 教諭
2015年 4月 広島県立福山明王台高等学校 教諭
2021年 4月 広島県立府中高等学校 教諭   在籍 
現在に至る.
[推薦理由] 本研究は,物理教育において電位の概念を理解する教材として開発した,AR技術で測定電位をモデルとして可視化するツールの提案と授業実践を通したその効果についてまとめたものである.開発した教材は,電子回路の任意の点の電位を測定すると,AR画面内で電位を「高さ」として表現した立体点としてリアルタイムに重ね合わせ表示する.本教材を使用した授業設計と実践結果より,学習者は視覚的なモデル化によって電位の概念の理解が促進され,他の回路の予測にもつながる知識を得たことを確認している.本教材が実現する「実験における実測結果を,AR技術でモデルとして可視化する」手法は教育上の幅広い応用が期待でき,本研究はその有用な道筋を示したものと言える.当日の研究発表にて参加者からも非常に高い評価を得ており,推薦にふさわしい内容であると評価した.
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●大学におけるファクトチェックを取り入れた情報教育実践
[2025-CE-178(2025/2/16)](コンピュータと教育研究会)
 

天野 由貴 君 (正会員)

2011年4月 広島大学 入職
2016年3月 熊本大学社会文化研究科教授システム学専攻 修了
2022年2月 東京工業大学 教育革新センター 特任専門員
         広島大学 情報メディア教育研究センター 客員研究員(現在に至る)
2023年6月 帝京大学ラーニングテクノロジー開発室 講師.
現在に至る. 

[推薦理由] 本研究は,情報の信頼性を確かめる「ファクトチェック」について,実用性の高い情報教育の授業として設計・実践とその評価を行った報告である.ファクトチェックに関する講義動画と合わせて,学習者は5つのテーマから1つ選択しそのテーマのファクトチェックを実施し,レポートとしてまとめる.発表では当授業で使用した講義動画の構成,ファクトチェック演習に適したテーマの選定,レポートで課した構成など授業設計の詳細が紹介され,さらに動画視聴記録や提出レポートの分析を通して教育効果と課題を明らかとしており,参加者の議論を大いに喚起した.情報の真偽を見極めるファクトチェックは昨今の情報社会において重要なスキルと言え,その教育の有用なモデルを示した本発表は,本研究会からの推薦にふさわしい内容であると評価した.
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●コンテクスト指向翻訳による古典テキスト意味検索精度の向上
[人文科学とコンピュータシンポジウム(じんもんこん2024)(2024/12/8)](人文科学とコンピュータ研究会)
 

岩田 直也 君 (正会員)

2015年 ケンブリッジ大学 古典学部 PhD(西洋古代哲学)
2020年 福岡大学 人文学部 講師
2023年 名古屋大学 大学院人文学研究科 准教授(兼務として現在に至る)
2024年 名古屋大学 デジタル人文社会科学研究推進センター 准教授、現在に至る
2025年9月 国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系 特任研究員(クロスアポイントメント、現在に至る) 

[推薦理由] 本論文は西洋古典テキストの深い文脈を踏まえた「コンテクスト指向翻訳」をAI対話システムに導入し,従来の英訳に頼らずとも高度な意味検索を可能とする革新的手法を提案している.その要点は,原典の核心情報を抽出・再構成することで検索精度を飛躍的に向上させる点にあり,古典ギリシア語やラテン語にとどまらず多言語テキストへも汎用的に適用可能である.学際的研究を後押しし,人文学と情報処理の融合を促進する顕著な成果として本賞への推薦に値する.特に曖昧表現を積極的に文脈へ落とし込み明示化する工夫は,従来型の検索手法に比べ学術的知見の発見や再評価を大きく促す点でも高く評価できる.よって本研究は多方面にわたる研究者の共同利用を促し,学術コミュニティの発展に大きく寄与すると考えられる.
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●墨跡の濃淡情報にもとづく文書筆記過程の時間経過分析の試み
[2025-CH-137(2025/2/8)](人文科学とコンピュータ研究会)
 

中尾 泰士 君 (正会員)

1991年 京都大学理学部卒業.
1993年 同大学大学院修士課程修了.
1996年 同博士課程修了 博士(理学).
奈良産業大学経済学部専任講師,同経営学部助教授,同情報学部准教授を経て,
2009年より北九州市立大学基盤教育センター教授 

[推薦理由] 本研究は,墨と筆によって書かれた文書について,その文書画像における墨の濃淡情報を用いて,その文書が作成された筆記過程を分析する試みを行っている.画像処理によって得られた墨の濃淡情報を時系列データとして分析し,墨が徐々に薄くなって再び濃くなった箇所を墨が筆に含めなおされた点として検出し,元画像にその位置を同定する手法を開発している.このような墨の含めなおし行動の分析は,その文書の作成時における筆記者の思考や行動を推測するための情報として活用できる可能性がある.文書の記載内容を中心とした従来の研究蓄積と本研究の成果を組み合わせることで,新たな学際的研究を生むものとして高く評価できる.
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●変分オートエンコーダを用いた単旋律音楽信号の音高・音色・変動への分解
[2024-MUS-141(2024/8/27)](音楽情報科学研究会)
 

田中 啓太郎 君 (正会員)

2020年3月 早稲田大学 先進理工学部 物理学科 卒業.
2022年3月 早稲田大学 大学院先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻 修士課程 修了.
2022年4月~2025年3月 日本学術振興会特別研究員(DC1).
2023年3月〜2023年9月 英国 Queen Mary University of London Visiting Researcher.
2025年3月 早稲田大学 大学院先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻 博士後期課程 修了.博士(工学).
2025年4月〜現在 早稲田大学 理工学術院総合研究所 次席研究員. 

[推薦理由] 本研究は単旋律の音楽音響信号を時変音高成分(音高)と時不変音色成分(音色)に加え,時変音色成分(変動)の三要素に分解する手法を提案したものである.複雑な音高変化を伴う楽器演奏や歌声信号は時間変動の分解が困難であり,先駆的で挑戦的な試みである.実験では,楽器音や単旋律音楽信号,歌声信号を含む幅広い音楽信号に対して三要素の分解が効果的に行えることが示されている.提案技術は,音楽情報科学の諸研究分野において,生成と分析の両面の基盤となる研究であり,応用先も広く期待できる点や,音楽信号そのものの構造理解を扱っており当該研究分野においてインパクトが大きい点などが高く評価された特筆すべき成果であり,山下記念研究賞候補として推薦する.
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●レイヤー構造に基づく楽曲推薦手法の提案と音楽発掘サービスKiiteへの応用
[2025-MUS-142(2025/3/6)](音楽情報科学研究会)
 

佃 洸摂 君 (正会員)

2014年 京都大学大学院 情報学研究科 博士後期課程 修了,博士(情報学)
2015年 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 研究員
2019年 同 主任研究員,現在に至る 

[推薦理由] 本研究は楽曲の好みや音響的な類似性など複数の関係を考慮した楽曲推薦技術の提案とともに,推薦モードの切り替えに対応した新たな推薦システムを実装し,それらの成果を音楽発掘サービスKitteとして公開した精力的な取り組みである.実運用を通じて得られた2年以上にわたる利用ログから提案手法の有効性やシステムの操作性のほか,推薦システムに対する信頼性など多角的な評価が行われている点も評価できる.提案された透明性と操作性を備えた推薦システムは音楽以外のドメインにも展開が期待され,情報処理分野においても特筆すべき成果であり,山下記念研究賞候補として推薦する.
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●再帰的フィードバックを用いた階層的 End-to-End 音声認識
[2024-SLP-154(2024/12/12)](音声言語情報処理研究会)
 

楠 奈穂美 君 (学生会員)

2024年3月 早稲田大学 情報通信学科 卒業.
2025年3月 早稲田大学 情報理工・情報通信専攻 博士前期課程 修了.
2025年4月 早稲田大学 情報理工・情報通信専攻 博士後期課程 入学.
現在に至る. 

[推薦理由] 本論文では,音声から単語まで出力単位の粒度を徐々に変化させる階層型音声認識モデルに,再帰的なフィードバック機構を導入したHierarchical Recursive CTC (HR-CTC) を提案している.HR-CTCは認識結果を後続の入力に繰り返しフィードバックし,出力を段階的に洗練させることで音声認識精度の向上を実現する.さらに,再帰回数を調整することで,認識精度と処理速度のバランスを柔軟に制御できる.これにより,階層的音声認識モデルの新たな設計指針を提供でき,音声認識研究の発展に貢献できる.以上の理由から,SLP研究会より本論文を山下記念研究賞にふさわしいものとして推薦する.
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●音声因子句による条件付けを用いた発話スタイルキャプショニング
[2025-SLP-155(2025/3/4)](音声言語情報処理研究会)
 

安藤 厚志 君 (正会員)

2013年3月 名古屋大学大学院情報科学研究科 修士課程 修了.
2013年4月 日本電信電話株式会社 入社.現在に至る.
2021年9月 名古屋大学大学院情報学研究科 博士課程 修了,博士(情報学).

[推薦理由] 本論文では,音声から発話スタイルに関する情報を自由記述形式で出力する「発話スタイルキャプショニング」における新たな手法を提案している.提案手法は,Chain-of-Thoughtの考え方を参考に,発話スタイル情報のみを含む短い句(音声因子句)を経由してキャプションを生成する.提案手法により,発話スタイル情報の正解精度とキャプションの多様性が従来手法と比較して統計的に有意な改善を達成した.本論文はマルチモーダル大規模言語モデルの一種である音声言語モデル(SLM)を用いており,近年注目を集めている同分野における貢献が認められる.以上より,SLP研究会から本論文を山下記念研究賞にふさわしいものとして推薦する.
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●組織における一般ユーザが潜在的に抱える情報セキュリティ リスクに対する教育教材の開発
[2025-EIP-107(2025/2/14)](電子化知的財産・社会基盤研究会)
 

花田 経子 君 (正会員)

1999年3月 愛知大学大学院経営学研究科修士課程 修了
2002年3月 愛知大学大学院経営学研究科博士後期課程 満期退学
2002年4月 新島学園短期大学キャリアデザイン学科 専任講師
2015年4月 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科附属メディアデザイン研究所 所員,現在に至る
2015年10月 岡崎女子大学子ども教育学部 講師
2023年4月 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科博士後期課程,現在在学中 

[推薦理由] 本報告は,情報セキュリティに関するリスク教育教材の作成とその評価を行うプロジェクトの成果に関する一連の報告のひとつであり,すでに開発を行った未成年者や一般の大人向けの教材における蓄積を活かし,組織におけるユーザの教育向けへの転用する新たな開発を試み,その効果につい評価と分析を加えているものである.情報セキュリティに関する最新の課題に対応するための基礎的な検討を踏まえて,受容性の高い教育教材のあり方が検討されており,また,教育効果の検証も丁寧に行われている.情報システムに関わるさまざまな関係者への教育は非常に重要な課題であり,EIP研究会のテーマとして意義の大きいものと認めるため推薦する.
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●囲碁対局における推定勝率のキャリブレーション:KataGoの勝率8割は人間なら何割か
[2024-GI-53(2024/9/6)](ゲーム情報学研究会)
 

平岡 和幸  君 (正会員)

1992年3月 東京大学工学部計数工学科 卒業.
1998年3月 東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程 修了.博士(工学).
1999年4月 埼玉大学工学部情報システム工学科 助手.
2010年4月 和歌山工業高等専門学校 准教授.
2023年4月 亜細亜大学経営学部データサイエンス学科 教授.
現在に至る. 

[推薦理由] 本研究は,囲碁のAI(KataGo)が出力する推定勝率から,人間どうしの対局に見合った勝率を推定することを目指した研究である.具体的には,温度スケーリングの実施とOwnershipエントロピーの導入による補正により,先行研究よりも優れた勝率推定を実現している.この結果は,人間よりも強くなったAIの考えから人間の考えへうまくマッピングする方法のひとつを与えるという意味で理論的にも興味深い.また,本研究では実用を目指した貢献の一つとして,ニューラルネットワークなどのライブラリを必要としない簡略な補正公式を与えたことがある.以上より,理論・実用の両面から興味深い貢献を含む本研究を山下記念研究賞へ推薦する.
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●多視点からの見た目が変化する料理のための二次元可食レンチキュラレンズデザインシステム
[エンタテインメントコンピューティングシンポジウム(EC2024)(2024/9/3)](エンタテインメントコンピューティング研究会)
 

吉本 健義 君 (学生会員)

2024年3月 明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 卒業.
2024年4月 明治大学大学院 先端数理科学研究科 先端メディアサイエンス専攻 博士前期課程 入学.
現在に至る. 

[推薦理由] 本研究では,二次元方向に配置した凸レンズアレイによって,見る角度によって見た目が変化する可食レンチキュラレンズを提案している.視点自由度の高い表現が可能となり,視覚的なインタラクションの幅を広げ,料理そのものがユーザに対して能動的に情報を提示するメディアとなることを示した.システムは,レンズの設計,視覚シミュレーション,3Dプリント用モールド出力まで一貫してサポートしており,ユーザが任意の視覚効果を設計・再現できる.ゼリー製レンズは,レンズ仕様と対応画像パターンを調整することで,特定の視点から画像や文字が見えるなどの体験を可能にしている.特筆すべきは,フレンチレストラン「élan vital」との共同開発により,実際の料理にこの技術を応用した点である.視点により見た目やメッセージが変化する料理は,分子ガストロノミーの文脈に照らしても,既存の食体験に新たな価値を与えるものであり,研究成果の社会実装例として非常に高く評価できる.可食光学素子としての再現性,拡張性,そしてデジタルファブリケーションとの統合は,今後の食×情報技術研究における重要な礎となるものである.本論文は,学術的にも実用的にも優れた貢献を示しており,受賞にふさわしい成果であると推薦する.
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●早押しクイズの名数問題における不完全な問題文からの正解導出
[2025-EC-75(2025/3/18)](エンタテインメントコンピューティング研究会)
 

杉山 宏輝 君 (正会員)

2023年3月 公立はこだて未来大学システム情報科学部複雑系知能学科 卒業
2025年3月 公立はこだて未来大学システム情報科学研究科知能情報科学領域 博士前期課程 修了 

[推薦理由] 本発表は,早押しクイズの問題読み上げ中に,より早く回答を試みるシステムの構築に関するものである.対象として名数問題に注目し,読み上げ中に問題文全体を予測しつつ,解答選択肢の中で最後に選ばれることが妥当な選択肢を特定する手法を提案した.クイズ問題文が最後まで読み上げられた上で最も合理的な解を導くのであれば,もはや人間よりも人工知能の方が優れていると思われるが,問題文の読み上げ途中に先読みをして回答権獲得を試みるという問題設定は挑戦的である.提案手法では,解答導出に大規模言語モデルを利用するにあたって,思考の連鎖(Chain-of-Thought)の考え方を導入することでパフォーマンスが向上することを示した.確信度が閾値を超えたら回答を試みるシステムで実験したところ,人間のクイズ大会記録に勝る例もあることが観察できた.今後,人間プレイヤーとの対戦や,クイズ制作支援への展開が期待され,エンタテインメントコンピューティングへの貢献は大きいと考える.
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●CapR-G4: G4構造を考慮したRNA二次構造の構造プロファイル計算
[2024-BIO-80(2024/12/4)](バイオ情報学研究会)
 

福永 津嵩 君 (正会員)

2011年 東京大学理学部生物情報科学科 卒業
2013年 東京大学大学院新領域創成科学研究科 情報生命科学専攻 修士課程 修了
2016年 東京大学大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 博士後期課程 修了、博士(科学)
2016年 学術振興会特別研究員(PD)
2017年 東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻 助教
2021年 早稲田大学高等研究所 講師
2023年 早稲田大学高等研究所 准教授
2025年 慶應義塾大学理工学部生命情報学科 准教授 現在に至る 

[推薦理由] RNA二次構造はRNAの機能と密接に関係しているため,その情報学的予測はこれまで広く行われてきた.しかしながら,多くの研究は標準的な二次構造に限定されており,G4構造など特殊な構造の解析は十分に進んでいなかった.一方,近年ではG4構造が転写や発現制御に関与することが実験的に明らかとなっていることから,G4構造は創薬ターゲットとしても注目を集めつつある.本研究では,動的計画法を工夫することで,G4構造をトランスクリプトームレベルで解析可能な新ツール「CapR-G4」を提案し,その応用可能性について議論した.本研究は今後のRNA構造解析に大きな影響を与える可能性があることから,山下記念研究賞に相応しい成果としてバイオ情報学研究会より推薦する.
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●ブルームの分類法の低次カテゴリ別問題の自動生成
[2024-CLE-43 (2024/6/15)](教育学習支援情報システム研究会)
 

十時 蒼太 君 (学生会員)

2024年3月 九州大学工学部電気情報工学科 卒業.
2024年4月 九州大学大学院システム情報科学府情報理工学専攻 修士課程 入学.
現在に至る.

[推薦理由] レベル別の問題を生成するための手法が提案されており,それを主張するための研究手順や実験方法が明快である点が評価できる.講義資料からLLMを利用して問題を自動生成する過程での,ブルームの分類法を用いた問題のレベル分類や,RAGを用いて講義内容に従った出力を得る手続きなど,一連の手法が興味深く,LLMで教育コンテンツの自動生成を行ううえでの一つの指針になり得ると思われる.また,教育学の専門家による生成された問題の精度検証や学生による問題レベルの把握状況の検証が丁寧に行われている点も評価でき,LLMというAI分野と教育学の知見を融合したという意味でも面白い研究である.
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●テレビ中継映像を用いたマラソン選手のパフォーマンス解析システムの研究開発
[2024-SI-02(2024/11/1)](スポーツ情報学研究会)
 

岩本 達真 君 (学生会員)

2023年 3月  関西大学大学院 総合情報学研究科 博士課程前期課程 修了
2023年 9月- 関西大学大学院 総合情報学研究科 博士課程後期課程 入学

[推薦理由] マラソンの選手のデータを計測するにはRFIDが使われることが多いが,各選手のピッチ,ストライドなどのパフォーマンス情報を計測することは困難であるため,これらの情報は提供されていないのが現状である.そこで,テレビ中継映像から深層学習を用いて選手を検出・追跡し,ピッチ,ストライドを推定する技術の開発を目指すというのが本研究である.入手しやすい情報を用いてマラソン選手のパフォーマンス情報を得ることができる有望な手法で,実際のマラソン大会への適用も実際に進めている.発表もわかりやすく説得力のあるもので,山下記念研究賞にふさわしいと思われる.
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