2011年度喜安記念業績賞

2011年度喜安記念業績賞の表彰

◆議会の会議録作成のための音声認識システムの実用化

     [推薦理由] 
音声認識技術はこの十年余の間に大きな進歩を遂げてきたが,議会の委員会審議のような自然な話し言葉を高い精度で認識できるものはなかった.河原ら京都大学のグループは,膨大な会議録テキストと音声のアーカイブから効果的に話し言葉の音響・言語モデルを学習する枠組みを構築し,NTT研究所のグループでは,大規模なモデルを効率的に統合し,最適な認識結果を探索する技術を開発した.これらの技術に基づいた音声認識システムは約90%の文字正解率を実現し,衆議院の新しい会議録作成システムに導入された.世界的にも,国会の審議音声を直接自動認識するシステムは初めての事例である. 
  
河原

河原 達也 (正会員)

1989年京都大学大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了.現在,京都大学学術情報メディアセンター教授.音声言語処理,特に音声認識及び対話システムに関する研究に従事.京大博士(工学).1997年度日本音響学会粟屋潔学術奨励賞,2000年度本会坂井記念特別賞受賞.2008~2011年度本会音声言語情報処理研究会主査.情報処理学会,日本音響学会 各代議員.電子情報通信学会,人工知能学会,言語処理学会,IEEE 各会員.

秋田

秋田 祐哉 君(正会員)

2005年京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻博士後期課程修了.同年より京都大学学術情報メディアセンター助手,助教.音声言語処理に関する研究に従事.京大博士(情報学).2006年度日本音響学会粟屋潔学術奨励賞,2009年度本会山下記念研究賞受賞.情報処理学会,電子情報通信学会,日本音響学会,IEEE 各会員

三村

三村 正人 君

2000年京都大学大学院情報学研究科博士前期課程修了.現在,京都大学学術情報メディアセンター研究員(産官学連携).音声認識に関する研究に従事.日本音響学会会員.

堀 堀 貴明 君

1999年山形大学大学院工学研究科博士後期課程修了.同年,日本電信電話(株)入社.音声認識,音声言語処理の研究に従事.現在,NTTコミュニケーション科学基礎研究所主任研究員.博士(工学).2006~2007年米国マサチューセッツ工科大学客員研究員.2004年度日本音響学会粟屋潔学術奨励賞,2009年電気通信普及財団賞(テレコムシステム技術賞)受賞.電子情報通信学会,日本音響学会,IEEE 各会員.
小橋川 小橋川 哲 君 

2002年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修士課程修了.同年,日本電信電話(株)入社.以来,音声認識に関する研究開発に従事.現在,NTTサイバースペース研究所研究主任.電子情報通信学会,日本音響学会 各会員.

 

◆「自動車向け狭域無線通信システムの通信基盤確立と標準化および実用化」

   [推薦理由]

狭域の無線通信エリアを高速移動する車への情報提供サービスのような低遅延・高効率通信が必要なサービスと, 駐車場などにおける決済サービスのような高信頼・大容量通信が必要なサービスの両方に対応可能となるような通信プロトコルを開発した. これらの通信プロトコルは, 国内外の各種標準規格・ガイドライン化を実現し, DSRC応用サービスの通信基盤確立に大きく寄与するとともに, 2009年度から実運用を開始しているITSスポットサービスに採用されるなど, ITS 業界の発展に貢献するものである.
  
伊川

伊川 雅彦 (正会員)

1997年京都大学大学院工学研究科修士課程修了.2010年大阪大学大学院工学研究科博士後期課程修了. 1997年三菱電機(株)入社.産業システム研究所,先端技術総合研究所にて,高度道路交通システム, 路車間通信,車載情報システムに関する研究開発に従事.情報処理学会会員. 博士(工学).

後藤

後藤 幸夫 君

1991年京都大学大学院工学研究科修士課程修了.同年三菱電機(株)入社.産業システム研究所,先端技術総合研究所にて,システム・制御工学の交通システムへの応用,路車間通信,車載情報システムに関する研究開発に従事.2001~02年MIT,ITS研究センター客員研究員.電気学会,計測自動制御学会会員.博士(工学).

熊澤

熊澤 宏之 君

1983年大阪大学大学院工学研究科博士前期課程修了,1998年同博士後期課程修了.1983年三菱電機(株)入社.同社先端技術総合研究所,自動車機器開発センターにて,高度道路交通システム,路車間通信に関する研究に従事.2012年4月より大阪産業大学電子情報通信工学科勤務,教授.1998年~99年,マサチューセッツ工科大学,ITS研究センター客員研究員.電子情報通信学会,計測自動制御学会,IEEE各会員.博士(工学).

 

森田 森田 茂樹 君

1986年東海大学工学部制御工学科卒業.同年三菱電機(株)入社.姫路製作所にて自動車用燃料噴射コントロールユニットなどの開発・設計に従事.現在は自動車機器開発センターでDSRC車載器関連の開発に従事.自動車技術会会員.

 

◆C言語プログラムからLSIを高位合成する統合設計システムの実用化

[推薦理由]

システムLSI設計の研究分野における長年の夢であったソウェアプログラム(CやSystemC記述)から,LSIを合成する統合設計システム(動作合成ツールと検証ツール群)を独自に研究開発し,実用化に成功した.現在では,衛星,汎用計算機,LSIテスター,携帯基地局,伝送装置等のインフラ系から,携帯端末,デジタルカメラ,プリンタ,セットトップボックス等のディジタル家電に 至る等様々な商品の設計に適用されている.独自の分岐の並列化手法や,制御系回路の合成手法,高速検証モデル生成やソースコードデバッグ手法等を提案し,これら研究成果を統合し,様々な実用化への工夫を行い,実用システムとしたものである.
 

 

若林

若林一敏君(正会員)

1984年東京大・工,1986年同大学院修士課程了,2006年同大学院博士課程了,博士(工学)93年スタンフォード客員研究員.1986年日本電気(株)入社.以来,LSIの設計方法自動化の研究に従事し,開発したEDAシステムの事業化も遂行.現在,共通ソリューション開発本部シニアエキスパート,グリーンプラットフォーム研究所主幹研究員.北陸先端科学技術大学院大学客員教授.情報処理学会,電子情報通信学会,IEEE会員.

竹中

竹中 崇 君(正会員)

2000年大阪大学大学院基礎工学研究科情報数理系専攻博士課程修了.同年,NEC入社.以来,高位合成に関する研究開発に従事.現在,グリーンプラットフォーム研究所に勤務.情報処理学会,電子情報通信学会,IEEE各会員.

高橋 渡 君

1998年東京工業大学大学院集積システム専攻修士課程修了.同年,NEC入社.以来,高位合成に関する研究開発に従事.2009年より(株)NEC情報システムズに勤務.電子情報通信学会会員.

野田 真一 君

2002年早稲田大学大学院電子・情報通信学専攻修士課程修了.同年,NEC入社.以来,高位合成に関する研究開発に従事.現在,グリーンプラットフォーム研究所に勤務.電子情報通信学会会員.
中村

中村 寿彦 君(正会員) 

1995年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科情報システム学専攻修士課程修了.同年NEC入社.以来,組込みソフトウェア,高位合成に関する研究開発に従事.現在,共通ソリューション開発本部に所属.情報処理学会員.

 


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