2014年12月01日版

「全国大会とFIT

安本 慶一(事業担当理事)

 早いもので、私が事業担当理事を拝命してから1年半になろうとしています。事業担当理事の主な仕事は、研究会等が企画するシンポジウムやワークショップ、国際会議などのイベント企画の承認、全国大会およびFIT(情報科学技術フォーラム)の組織・運営に関することです。今回は、後者に関して思うところを書きたいと思います。

 ご存じのように、全国大会およびFITは本学会会員が集い交流することを目的とした重要なイベントです。全国大会は2001年度まで春と秋の年2回開催されていましたが、2002年度からは、秋の全国大会は電子情報通信学会の情報・システムソサイエティおよびヒューマンコミュニケーショングループとの共催でFITとして開催されることになり現在に至っています。

 本年3月の全国大会は東京電機大学東京千住キャンパスで開催され、私も担当理事として参加させていただきました。私自身全国大会への参加は久しぶりでしたが、会場へのアクセスの良さに加え、IEEE Computer SocietyのMilojičić会長および韓国KIISEのKim会長によるそれぞれの学会をめぐる状況を紹介する講演やJAXA川口淳一郎先生による「はやぶさ」に関する講演、本会喜連川会長による「ビッグデータ」に関する基調講演など、超一流研究者による日頃聞けない貴重な講演が目白押しであり、非常に充実した内容であったと思います。イベントの合間には、自分が日頃参加していない分野のセッションにもいくつか参加し、それぞれの分野で流行りの研究トピックを知ることができたのも良かったと思います。全国大会では、前年度の大会で発表された優秀な論文に対して与えられる大会優秀賞・大会奨励賞と、各研究会の前年度の全発表論文から選ばれた1~2件に与えられる山下記念研究賞の表彰が行われます。私は表彰式の司会進行を務めさせていただきましたが、立派な会場で数百名のオーディエンスを前に、会長自ら手渡しにより表彰された受賞者の方々は非常に名誉高い経験をされたことと思います。学生や若手研究者の方にはぜひ将来の受賞に向けてチャレンジしていただきたいと考えています。

 FIT2014は本年9月に筑波大学で開催され、私はプログラム委員長を拝命しておりました。FITは本学会と電子情報通信学会との共催のため、日頃それぞれの学会にしか出席しない研究者同士が交流できる貴重な場になっています。ご存じのように、FITでは、査読無しの一般論文に加え、査読付き論文が募集されています。採録された論文は次年度のFITで表彰されるFIT船井ベストペーパー賞(船井情報科学振興財団が贈呈)およびFIT論文賞の候補になります。全国大会での表彰式と同様、FITの表彰式も、多数のオーディエンスがいる重厚な会場でのプレステージ感の高い場となっています。残念なことに、FIT査読付き論文への投稿件数が年々減っており、FIT運営委員会では、会員の皆様にとってより魅力ある制度に改善していけるよう検討を進めています。皆様におかれましても、ぜひFIT査読付き論文への投稿を積極的に行って、名誉あるFIT船井ベストペーパー賞、FIT論文賞にチャレンジしていただきたいと思います。表彰式の直後には、FITの目玉イベントであるFIT船井業績賞受賞者による記念講演があります。本賞は、世界的に顕著な業績があり第一線で活躍されている研究者1名に船井情報科学振興財団から贈呈される賞であり、2014年度は、マイクロソフトリサーチアジアの辻井潤一先生に贈呈され、受賞記念講演「日本を離れて研究をするために」が行われました。講演では、論文執筆における論理展開の仕方が民族ごとに異なるという考察(直線的な論理展開を行うアングロサクソン型と散発的に色々なことを配置し間に何かがあると感じさせる日本型など)に基づき、バックグラウンドが異なる研究者が良い論文を書くポイントが紹介され、非常に興味深く素晴らしい内容でありました(紙面で詳しい説明ができないのが残念です)。FIT2014では、企画イベントも例年より多く開催され、10月号の加藤理事の記事でも紹介があった「会誌編集委員会女子部」の企画や、東大情報理工学系研究科発ベンチャーの方々によるパネル討論、2020東京オリンピック・パラリンピックに向けたサイバーセキュリティ戦略に関するパネル討論など、日常ではなかなか聞けない内容の、素晴らしい講演者によるイベントが複数開催されました(手前味噌ですが、筆者も遅延耐性ネットワークおよび「情報流」に関するパネル討論イベントをそれぞれ企画・開催しました)。

 このように、全国大会およびFITは研究発表の場としてだけでなく、さまざまなイベントを通じて有用な情報に触れ、会員間で交流を行う最大の機会を提供する場であり、会員の皆様には、ぜひ足を運んでいただきたいと思っています。近年は、研究分野が多様化されさまざまな研究会ができ、それぞれ専門の研究会での発表を優先し、全国大会やFITでの発表はご無沙汰という方も多々いらっしゃるのではないでしょうか(私自身もそうでした)。来年3月に京都大学で開催される第77回全国大会では、これまでにも増して魅力的なイベントが色々と企画されています。たとえば、情報処理学会の全38研究会から厳選された20名程度が弾丸トークを行い、学会全体での最先端トピックを俯瞰・共有するIPSJ-ONEというイベントが新世代企画委員会により企画・開催される予定です。また、私も委員を務めるプログラムコンテスト委員会では、2012年度より、SamurAI Codingと呼ばれるAIプログラム同士を戦わせるコンテストを毎年開催しており(http://samuraicoding.info/index-jp.html)、決勝を第77回全国大会内で開催します(2014年12月21日がオンライン予選応募締切(予定)となっているので、ぜひ参加をご検討ください)。全国大会およびFITで会員の皆様にお目にかかれることを楽しみにしています。

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