2017年06月05日版

「ACMチューリング賞50周年にあたり」

東野 輝夫(副会長)

 学会誌5月号(Vol.58 No.5)の特集でも紹介されましたように、今年はACMチューリング賞50周年にあたります。1965年に「計算機の集積度は1年半ごとに倍々になっていく」というムーアの法則が提唱され、この半世紀で計算機は飛躍的に発展・普及し、当時の計算機と比べるとその性能は、億や兆のオーダで向上してきました。計算機の性能やコストが短期間で大きく変化するため、情報分野の技術課題や対象領域も数年経てば大きく変わり、その解決法の早急な創出が求められてきました。近年はAIやビッグデータ関連技術の大幅な進歩も加わり、情報処理技術は単に計算機の進展を支える技術から社会の高度化を支える重要な技術になってきました。次の時代が求めるモノを迅速に予測し、その実現に必要な基礎技術や応用技術をタイムリーに創出していくことが求められており、情報処理学会も未来社会の情報化を推進する研究者・技術者集団になっていくことが重要と考えます。

 リーマン・ショック直後に米国では情報分野の学生数が急減しましたが、最近は世界的に情報分野の学生数が増加し、情報学に対する若い人々の興味が大きくなってきています。本年3月に名古屋大学東山キャンパスで開催された第79回全国大会では、最終日に特別講演IPSJ-ONEが開催され、本会の3領域40研究会から推薦された17名の若手研究者が、高校生や学部生など多数の若い方々に最新の研究成果を分かりやすく説明し、好評を得ました。また、配信されたニコニコ動画は、多数の方々に視聴いただきました。このように若い人々への情報発信を積極的に進め、情報処理に興味を持っていただき、ジュニア会員数の増大に努めたいと思っています。

 社会の情報化がますます進んでいき、2020年以降小学校でプログラミング教育が必修化され、中学、高校、大学においても情報教育の拡充や改革が求められています。本会では、情報教育カリキュラム標準(J17)の策定や普及活動を積極的に行うとともに、大阪大学、東京大学、本会が共同で、文部科学省大学入学者選抜改革推進委託事業「情報学的アプローチによる「情報科」大学入学者選抜における評価手法の研究開発」を実施しています。この事業では、大学入学者選抜試験における「思考力・判断力・表現力」の評価手法の検討やCBTシステムの開発などを行い、次世代の情報処理教育や入試のあり方を議論しています。日本の情報処理に関連する最大の学会として、これからも情報教育の拡充や改革、カリキュラムの標準化に寄与していきたいと思っています。

 本会の副会長を拝命して約1年の年月が経過しました。本会は、現在IEEE、IEEE Computer Society、ACM、中国CCF(China Computer Federation)、韓国KIISE(The Korean Institute of Information Scientists and Engineers)、インドCSI(Computer Society of India)と協力協定を締結し、情報処理国際連合IFIP(International Federation for Information Processing)の日本代表団体になっており、これらの団体と全国大会の相互訪問や国際会議の共同開催を行っています。私は昨年10月に中国CCFの全国大会(太原市)への表敬訪問を行い、本年6月にIEEE Computer Societyの大会(アリゾナ州Phoenix)に参加する予定です。6月23日〜24日にサンフランシスコで開催されるACMチューリング賞50周年記念会議には、浅井光太郎 新副会長が出席される予定です。長期戦略担当理事らを中心に、これらの学会との連携を強化し、学会の国際化を推進して参ります。

 本会が、これまで以上に情報処理技術を発信し、研究者・技術者の交流を深める場になるよう、新年度の役員の皆さんや事務局の方々と共に尽力して参りたいと思います。

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