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4.1.1基本的な認識事項
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- 情報処理学会は日本の情報処理の顔である。
- 論文誌・研究会は情報処理学会の活動の中核である。
- 論文誌・研究会は国際的な学術レベルを高く保ち、欧米諸国に劣らぬ学術進歩への貢献を行う使命がある。欧米の作り出す時流に乗ることではなく、時流を作り出す発信型の研究が必要である。また、アジア圏でのリーダであるべきである。
- コンピュータが社会に広く普及してきたこと、学会での産業界からの会員が7割以上に達している状況に鑑み、論文誌・研究会は社会的ニーズを汲み取り、社会的貢献をなすとともに、産業界との好ましい協調関係を構築する必要がある。
- 通信学会Dグループ、人工知能学会、ソフトウェア科学会との会員の重なりは大きい。
複数学会に加盟している会員の負担を軽減のためにも、これらの学会との連携を深める必要がある。
- 論文誌、研究会でのアクティブメンバにも重なりが非常に多い。オーバヘッドを減らし、若手研究者の負担の軽減を図る必要がある。
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*本委員会における論文誌関連の主な意見
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- 論文誌は従来の枠組みを取り払う必要がある。第2論文誌のような、新しいアカデミックなものが必要。研究会と論文誌はもっと密になるべきである。
- 何をやっているかが重要であり、アカデミックだけではなくアイデアや実用性も重視すべきではないか。いまの論文以外の研究を取り上げるべき。広く応用を取り込む。
- 物を作ったら、それを載せるような論文誌を新たに発行したらどうか。
- 情処の論文誌は1冊のため読みたい論文が少ない。分野別の分冊化を検討すべきではないか。
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4.1.2現状と問題点
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(1)論文誌:質の高い査読となっているが、以下の問題点がある。
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- 論文誌数:1冊(論文数:253件) *数値は7年度値
通信学会 |
和文7冊(論文数718件。内Dグループ:2冊、232件)
英文4冊(論文数784件。内Dグループ:1冊、177件) |
ACM |
ジャーナル2冊、トランザクション11冊、サーベイ1冊 |
IEEE
(Computer Society) |
トランザクション7冊 |
2.論文数が圧倒的に少ない *数値は7年度値
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情報処理学会 |
通信学会D |
人工知能 |
ソフトウェア |
会員数 |
3万 |
1万2千 |
3300 |
1600 |
投稿数 |
486 |
636 |
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採録数 |
253 |
232 |
56 |
22 |
3.論文数が少ない理由
- 査読期間が長い→★新査読制度(平成9年8月1日以降の受理論文より適用)による改善。
- アイディア主体の論文、システム作成(作品)報告論文、実務論文、教育など境界領域論文が採録されにくい査読体制となっている。
- 細かな評価まで要求する完璧主義になっていないか。
- 疑わしきは罰する査読となっていないか。加点方式を取るべきではないか。
- シンポジウム特集号の提案が難しい。また、採択率が低い。
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MIRU94 |
仕様記述 |
グループウェア |
マルチメディア |
JSPP95 |
投稿数 |
20 |
34 |
31 |
50 |
32 |
採録数 |
9 |
17 |
14 |
28 |
23 |
*通信学会の特集号は90%の採択率
*通信学会、ソフトウェア科学会、人工知能学会への流出
国際化への対応
- 英文論文が少ない(平成8年第37巻:総論文数244件中英文論文31件)
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(2)研究会 |
- 研究会の乱立(27研究会)
- 1500件の研究発表論文
- 欧米から全く見えない日本語論文 → 国際化意識の必要性
- 情報処理学会内、他学会間での多数の同様な研究会の開催
- 大量の紙論文 → 電子化への対応の必要性
- フレキシブルな運営が必要
- 査読付きシンポジウムの積極的開催などによる権威付け
- 産業界や社会のニーズを汲み取った取り組みをしているかどうか
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4.1.3改革案
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- 基本方針1
改革の発効日を明確にして積極的に取り組む。
- 基本方針2
研究会と論文誌委員会の協調の下で下記の2つのステップを経て改革する。
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論文誌・研究会の協調による改革は、将来的にはアカデミズムの一本化を目指す第2ステップによる改革が望ましいものであると考えられるが、一足飛びに第2ステップを実施するには、財政面、運営面等の検討にかなりの時間が要され、検討が中断される危険性が生じる。
そのためここでは段階的な改革を検討し、第1ステップとして、拡大する情報処理分野の状況を鑑み、その活動の広がりが反映されるような論文の発表の場の確保のため、(1)基幹論文誌の一層の充実を図る一方、(2)
並行して研究会による分野別論文誌(仮称)の実施案を提案する。
研究会による分野別論文誌の実施は過去の議論から研究会側の合意形成が既にあり、早期実施の可能性も高いものと考えらえる。また、これは論文の発表の場の確保という目的の達成とともに、研究会自身を活性化させ、研究会のグループ分けの再編成を自ずから促す効果をも期待でき、第2ステップの新体制への移行のためにも有効なものであると考えられる。
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[第1ステップ]
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基幹論文誌の充実改善、および研究会連合による分野別論文誌(仮称)の発行。
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■基幹論文誌の改善 ★論文誌編集委員会実施事項(理事会決定)
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論文投稿を一層促し、質の高い論文を集め、論文誌を情報処理分野における基幹論文誌として一層の充実を図る。
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- メタレビューア制による査読期間の短縮等の改善 *平成9年8月1日以降の受理論文から実施
- ゲストエディタ制度、推薦論文制度導入の検討
- 採択基準見直しの検討(オリジナリティ、萌芽的アイデアに対する判断の加点的見直し等)
- その他のサービス
- 査読の進捗状況のWWW公開(評価等を除く)。
- 学位審査の手続きに間に合うように編集委員会を12月1日に開催。
- 学会がWWWに公開している掲載論文抄録から著者へのリンク設定。*実施済み
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■研究会連合による分野別論文誌(仮称)の発行 ★研究会側の実施要望
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*発行日は平成10年4月を予定。実施に向けての調整は推進委員会で検討。
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1.目的・期待される効果
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- 論文の発表の場の確保。
分野の拡大(教育、倫理、実務・応用、人文等)、および論文数の増加。
- 研究会の統合・分野の再編成の促進。
- 他学会(人工知能学会、ソフトウェア科学会、言語処理学会等)との連携の強化と促進。
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2.分野別論文誌発行の条件
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- 体制の整った関連研究会による下記の例のような順次発行(永続的発行)
*分野別論文誌の順次発行の一例
- ハイパーフォマンスコンピュータ(ARC、OS、HPC、DA)
- データベースとマルチメディア(DBS、DD、 HI、CG、IM、AVM)
- 人工知能(AI、NL、CVIM、SLP)
- 分散処理とネットワーキング(DPS、GW、DSM)
- ソフトウェア(SE、PRO、IS)
- 基礎理論(AL、MPS、FI)
- コンピュータと社会(CE、CH、MUS)
- 財務基盤
- オフセット印刷による廉価版で対処。
- 通常の研究発表会は紙資料の廃止(電子化)により研究会登録費の負担を軽減。
*1[分野別論文誌単純経費試算] *名寄せ数の購読が確保できた場合の単純経費試算
名寄せ数: |
A誌 |
B誌 |
C誌 |
D誌 |
E誌 |
F誌 |
G誌 |
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800 |
1200 |
1000 |
700 |
800 |
500 |
700 |
- 発行形態:オフセット印刷、第4種郵便物料金、年4〜6回発行、年論文数60〜90件
- 支出:約3400万円〜3800万円/年
直接経費(印刷、送料等):1600〜2000万円&事務人件費:約1800万円
- 収入は別刷代(3〜5万円/件)を見込み(上記支出の5〜7割程度相殺)
*2[研究発表会会資料電子化による財務的軽減単純経費試算]*平成9年度予算値
- 約4000万円/年の経費削減 *全研究会が電子化し、自主運営した場合の数値
直接経費(印刷、送料等):約3200万円減&事務人件費:約 800万円減(約1600時間)
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3.採択論文の評価基準(権威および査読レベル)
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基本的には基幹論文誌と同格とするが、その初期の段階では弾力的な運用が望まれる。
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4.基幹論文誌との棲みわけ
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- 論文種別毎の査読基準の明確化
*基本的には当該分野の裁量に委ねるが、仲間意識でない責任ある基準作りに配慮する。
- 速報性の重視
- 掲載範囲(現段階での参考例)
- 査読付シンポジウム論文の掲載(研究会による時流を得た特集号の発行)。
- 研究会での主査・座長・連絡委員推薦による論文投稿。
- 理論論文、アイデア論文、新方式などの提案・評価論文、および実システム紹介論文、実務に関する論文などで評価基準を明確にし、広い範囲の論文を募集する。
- 専門的な当該分野でのサーベイ論文、解説論文。
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5.査読体制(現段階案)★仲間意識でない責任ある基準作りのため、更に検討が必要。
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- 連絡委員を中心に査読委員を増やし、迅速な体制を取る。
- 連絡委員の推薦に関して業績などで一定の基準を設ける。
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6.参考 *補足提案:第4回研究会将来ビジョン調査委員会議事録(第4項)抜粋
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- 提言を弾力運用し、シンポジウム予稿集をトランザクションのspecial issueとして発行。
[効果]
- シンポジウムの権威付けと予稿集の広域配布の要件を満たす。
- 他分野に対しきちんと査読した論文数が増える。査読の二度手間にならない。
- シンポジウムのレベルアップにもつながる(投稿者にも魅力が増す)
*但しトランザクションとの相互自浄的なものなので最初は多少の容認が必要。
- 基幹論文誌との同格をあまり意識せずに、論文数を増やすことをまず考える。
- 当該分野の自由裁量に大きく委ね、国際化の推進も分野が主導権を持って対応する。
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7.国際化についての検討(※以下、関連意見)
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- 分野別論文誌の英文化:日本語で投稿し、採録分については著者が英訳する。
英訳については学会の支援(外国人の紹介など)が望まれる。
- 基幹論文誌(ベストペーパー)を英文化し、強力な国際体制を確立する。
- 他学会との連携で英文誌を発行する。
全分野をカバーする英文誌は魅力がないので、分野別英文誌となろう。
- シンポジウム予稿集をサーキュレーションのよい出版社より定期的に出版する。
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*第4回研究会将来ビジョン調査委員会議事録より
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- 半数を英語とするような中途半端な国際化は有効ではない。大多数の購読者は日本人であり、その購読者が現実として、半分英語の論文誌を購読するとは考えられない。書き手にしても購読者が日本人では英語の論文は書かないだろう。
- 日本語の論文が英語になっているというのではなく、英語化するのであれば全く違う雑誌で、全て英語のものを作る方が良い。関連学会が連合しても良いが、欧米の出版社から出させて、購読は、学会員ではなく一般(海外)を対象にできるような全く違ったdistribusionにする必要がある。(例:New
Generation Computing)
- 分野を特定しないと一般では投稿してこない。分野が狭められると情報処理学会ではなく、専門分野に特化された学会主導となるであろう。
- 研究会や全国大会のシンポジウム等の内容の国際化を、単発で図っても良いだろう。(例:ソフトウェア工学研究会のAPSEC)。但し、その場合も学会単独ではなく、IEEE等との提携がサーキュレーション等の面からも必要だろう。
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8.実施に当たっての課題
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- 分野別論文誌の評価基準(基幹論文誌と同格)の周知徹底。
- 査読の二重負担の回避への配慮。
- 分野別論文誌発行の具体化については、研究会による充分な検討が必要。
- 研究会の新方式(分野別論文誌発行)、または現行方式(研究会資料発行)の選択が必要。
- 発表会資料の電子化に当たっての研究会側のボランティア協力が必須。
- 発表会資料の電子化に対応できない研究会へのケアが必要。
- 購読員制度導入(収益事業対策)の検討、研究会登録制度の見直し。
- 査読等に関わる事務作業の見直し。
※実施方法確定段階で収支の徹底的な見直しが必要。
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[第2ステップ]
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現行の論文誌編集委員会、調査研究運営委員会(含領域委員会)を発展的に解消し、学術技術研究委員会を発足し、新体制の下で再編された研究領域(仮称)毎に論文誌を発行し、分冊化する。
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1.学術技術研究委員会の役割
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2.研究領域の役割
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- 研究会の開催
- 研究会の新設(実務的研究会等)
- 統廃合の促進
- 資料のWeb化
- シンポジウム開催
- 論文誌の発行
- 研究会、シンポ、論文誌の企画の一体化
- 統一査読レベルに達したシンポジウム論文を即、論文とするなど、速報性も重視。
- 研究会による時流を得た特集号の発行
- 研究会での委員長・座長・連絡委員推薦による論文投稿を可能とする理論論文、アイデア論文、新方式などの提案・評価論文、実システム紹介論文、実務に関する論文などで評価基準を明確にする。
- 国際化を意識して、全論文(少なくとも半分)を英語とする。
英文論文に対応する和文論文は各著者のWebに置く。
- 学会誌で専門過ぎる当該分野でのサーベイ論文や解説論文も入れる。
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3.研究領域構成案:下記の3案が考えられる。
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- 現行の領域
コンピュータサイエンス(CS)、情報環境(IE)、フロンティ(FR)領域あるいは軽微な入れ替え
- 全国大会での分野分け
アーキテクチャサイエンス、ソフトウェア科学・工学、人工知能と認知科学、データベースとメディア、ネットワーク、インタフェース、コンピュータと人間社会
- その他
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