情報処理学会ではITプロフェッショナル(実務家)のためのシンポジウムとして、2004年度から毎年度「ソフトウエアジャパン」を開催し、多数の企業・大学等からのご支援を頂いております。
IT関連業界において現場で活躍されている産業界の方々を中心に、学界・官公庁関係の方々、次世代を担う若手の技術者・研究者の方々等、多くの方々がともに問題意識を共有し議論、交流を深められる場として、またIT産業の今後を皆様と考える機会といたしまして、今年度も「ソフトウエアジャパン2011」を開催いたします。
非機能要求とシステム設計 -安全・安心なCPS構築に向けて- | |
【セッション概要】 サイバー・フィジカル・システム(CPS)に関する検討の進展に伴い、ソフトウェアの役割が一層高まっている。特に、非機能要求/要件については、これまで以上にその重要性が認識されてきた。まず、システムの性能、信頼性、セキュリティ、保守性・拡張性等の非機能要求について漏れなく網羅的に示し、関係者間で合意することが必要である。また、これら非機能要求に基づき、システム・アーキテクチャを適切に設計することが求められる。特に、セキュリティ要求を的確に反映したシステムを系統的に構築する技術は、CPSの発展には欠かせない。本セッションでは、安全・安心なCPS構築に向けた、非機能要求とシステム設計に関するIPAの取組みの一端を紹介する。 | |
プログラム | |
13:30-14:10 講演-1 柏木 雅之 (独立行政法人情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター エンタプライズ系プロジェクト研究員) 14:10-14:50 講演-2 大嶽 隆児 (日本アイ・ビー・エム株式会社 技術統括, AIS, GBS事業部 IBM Distinguished Engineer / IPA/SEC非機能要件と アーキテクチャ分析WG委員) 14:50-15:30 講演-3 小林 偉昭 (独立行政法人情報処理推進機構 セキュリティセンター 情報セキュリティ技術ラボラトリー長) |
司会:山下 博之 (独立行政法人情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター エンタプライズ系プロジェクトリーダー) | |
【略歴】1981年京都大学大学院修士課程(情報工学)修了。同年、日本電信電話公社(現NTT)入社。以後、研究所において、通信制御処理システム、高機能通信プロトコル、分散協調処理、著作権管理、コンテンツ流通等に関する研究開発・標準化活動に従事。2003年10月に(株)NTTデータに転籍。2004年~2008年、JSTに出向。2009年4月に(株)NTTデータアイ入社、同時にIPAに出向。2003年10月~2008年4月、科学技術振興調整費プログラムオフィサー。米国PMI認定PMP。本学会電子化知的財産・社会基盤研究会主査。情報規格調査会SC6専門委員会委員長。IEEE、情報処理学会、電子情報通信学会各会員。 |
13:30-14:10 講演-1 非機能要求を決めきる -システム基盤の非機能要求を漏れなく決める- |
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柏木 雅之 (独立行政法人情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター エンタプライズ系プロジェクト研究員) | |
【講演概要】情報システムを開発する際、受発注者の双方が要求を正確に認識するためには多大な苦労が伴います.中でも可用性、性能、セキュリティなどの非機能要求はその認識共有が難しく、また、手段が確立していません.本講演では、システム基盤における 非機能要求の段階的な選択肢を提示し、メニュー化した「非機能要求グレード」について説明します。 |
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【略歴】1983年茨城大学大学院修士課程(情報工学)修了。同年、富士通株式会社入社。画像管理やテキスト検索等のミドルウェアの開発等を担当後、SE部門の技術支援部門で社内標準の適用・推進活動等に従事。2010年4月より、IPAに出向。非機能要求グレードや非ウォーターフォール型開発などを担当。 | |
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14:10-14:50 講演-2 非機能要求からアーキテクチャへ -アーキテクチャの意思決定に影響するNFRの見極め- |
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大嶽 隆児 (日本アイ・ビー・エム株式会社 技術統括, AIS, GBS事業部 IBM Distinguished Engineer / IPA/SEC非機能要求とアーキテクチャ分析WG委員) | |
【講演概要】高品質ITシステムを短期間構築するニーズにより、成功事例や参照アーキテクチャ(RA)を活用するITアーキテクトが増えている。成功事例を一般化したRAには、機能要件だけでなく、様々な非機能要件(NFR)の対立関係を全体最適で解決するアーキテクチャの基本パターンが複合的に含くまれている。そのため、NFRの対立関係、NFRと基本パターンの因果関係、前提条件などRAの本質を理解せずに、安易に真似てITシステムを設計すると、前提条件が異なる場面や環境では全体最適のバランスが崩れ、期待したNFRを満足しないリスクがある。本講演では、IPA/SECのNFRとアーキテクチャWGで実施したRAの事例研究の紹介とアーキテクチャの意思決定に影響するNFRの見極めを考察してみる。 |
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【略歴】1980年新潟大学農学部(森林計測学)卒業。1981年日本IBM入社。1980年代に分散システム開発のSEを担当。1990年代にオリンピックプロジェクトのITアーキテクトを担当。2000年代にe-businessプロジェクトのリードアーキテクト、および、既存システムのアーキテクチャ分析・評価、グローバル企業のEA、BPM駆動SOA開発メソドロジー等を担当。IBM Academy of Technology会員。IBM Distinguished Engineer。The Open Group ITAC Distinguished Certified IT Architect。IPA/SEC非機能要件とアーキテクチャ分析WG委員。 | |
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14:50-15:30 講演-3 セキュリティを作り込む -セキュリティ機能を体系的に設計・実装する- |
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小林 偉昭 (独立行政法人情報処理推進機構 セキュリティセンター 情報セキュリティ技術ラボラトリー長) | |
【講演概要】IPAでは脆弱性関連情報の届出受付・分析・対策推進の運用をして、9月末で6400件の届出を受け付けている。この失敗事例を分析し、再発防止のため「安全なウエブサイトの作り方」等を始め啓発資料を公開している。また、TCP/IP等のプロトコルの既知の脆弱性検証ツール提供や開発者向け脆弱性学習ツールも整備している。今後、情報家電や自動車等の組込み機器がネットワーク経由で一般消費者に利用される事例が増加することから、組込み機器開発者向けに「組込みシステムの取り組みガイド」も公開している。本講演では、ライフサイクルの視点で体系的に設計・実装さらに運用・廃棄のフェーズも考慮したセキュリティの作りこみに関する、IPAの活動について紹介する。 |
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【略歴】1970年、早稲田大学理工学部応用物理科卒業、1972年、東京工業大学理学部物理学専攻修士課程修了。同年(株)日立製作所入社。2006年情報処理推進機構セキュリティセンター出向。2008年情報処理推進機構セキュリティセンター転籍。情報セキュリティ技術ラボラトリー長として、脆弱性関連情報取扱い運用業務及び組込みシステムセキュリティなどの調査・研究に従事。 | |
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