イベント企画の概要

招待講演:The Computer Society Outreach Initiative

9月6日(水)13:00-14:00[第1イベント会場(A棟1F AB01)]
 
 [講演概要]
The IEEE Computer Society vision is to be the leading provider of technical information, community services, and personalized services for the world's computing professionals. We are the world's largest association of computer professionals, the largest IEEE society, the largest publisher in IEEE, and we produce more than half of all IEEE conferences. The Society has always taken pride in being an innovator.

・First Digital Library in IEEE
・First Certification Program
・First Society with Local "Centers" in China, Hungary and Russia, and offices in Japan and Brussels
・Expanded IEEE Outreach through Affiliate Program
・First Online - Only Peer Reviewed Periodical − DS Online
・First to offer Online Books and Distance Learning to Members
・Highly Successful International Design Competition
・First to Offer Free Email Service to Members

This year the Computer Society celebrates its 60th anniversary, and we have much to celebrate. At the same time, turning 60 years of age is an ideal opportunity to take measure and re-assess how far we have come and where we would like to be. A true leader leads by example.

More than 40 percent of our membership currently resides outside the US and most of our members are practitioners, according to a recent survey. The Society continues to expand its activities worldwide, and to become more inclusive of different aspects of information technology (IT). We must also become more inclusive of difference and diversity. In order to achieve its vision, the Society must be proactive in adapting to the evolving needs and interests of our diverse community worldwide.

One of our key initiatives this year of our 60th anniversary is to reach out to underrepresented and underserved demographic sectors worldwide, including women, minorities and IT practitioners. While women now earn half of all bachelor's degrees in science and engineering, participation in IT-related fields has been declining. In the United States, participation by ethnic minorities is grossly underrepresented by comparison with their percentage of the American population. At the same time, the Internet is becoming the leading source of information for many across the globe. What is wrong with this picture?

The Society's success is due to the commitment and contributions of its volunteer members and dedicated staff. Several of our volunteer leaders are participating in a program funded by the National Science Foundation called "Broadening Participation in Computing" and I will describe some of these activities in my presentation, as well as our other outreach activities worldwide. As the National Science Foundation notes:

The under participation of these groups causes a loss of opportunity for individuals, a loss of talent to the workforce, and a loss of diverse perspectives and creativity in shaping the future of technology.

Being an innovator means being different. As the Society embraces 60 years of age and beyond, we will endeavor to improve our futures and those of our communities worldwide.
 
 Deborah Cooper(IEEE-CS会長)
2006 President Deborah Cooper has actively served the Society for nearly two decades. Her previous service includes the IEEE Computer Society Board of Governors, Executive Committee, Conferences and Tutorial Board, Technical Activities Board, Press Activities Board, Publications Board, Audit Committee, chair of the Technical Committee on Security and Privacy, and numerous other committees. She currently serves on the IEEE Security & Privacy magazine task force, Information Technology and Services committee, editor-in-chief search committee, and Conferences and Tutorial Board. She was a guest editor for IEEE Transactions on Software Engineering and IEEE Software. She is a member of the IEEE, the Computer Society (Golden Core member), the ACM, the Armed Forces Communications and Electronics Association, and the American Association of University Women.
Cooper is president and founder of an independent consulting firm in Virginia specializing in computer security and information assurance. Earlier, at Unisys and System Development Corporation, she was Infosec business development director, director of advanced technology, and director of formal methods. Cooper received a BA and an MA, with honors, from the University of California, Los Angeles, where she also completed all but dissertation requirements for a PhD. In 1989, she received the Unisys President's Award for Technical Excellence.
 

 
船井業績賞受賞記念講演:マイクロプロセッサの誕生と創造的開発力

9月6日(水)14:00-15:00[第1イベント会場(A棟1F AB01)]
 
 [講演概要]
世界初のマイクロプロセッサ4004は電卓やオフィス機器向け汎用LSIを開発する過程で1971年に誕生した.マイクロプロセッサは,「新時代を切り拓く技術」となり,誕生と同時に,2つの顔を持つようになった.知的能力とコンピューティング・パワー(計算力)である.マイクロプロセッサは,新たなる文化を創造するための『知への道具』を人類にもたらし,いかに品質を高くかつ安く物を作るかといった生産という文明を重要視した時代を,何を作るかといった創造という文化を重要視する時代に変革させた.マイクロプロセッサは,応用からの特異な要求を満たしつつ,コンピュータ技術を導入して,驚異的な速度で発展した.マイクロプロセッサの誕生時と成長期におけるマイクロプロセッサの開発,創造的開発力,マイクロプロセッサがもたらした産業や教育や社会の変化などについてお話する.
 
 嶋  正利(ビジュアルテクノロジー)
1943年静岡出まれ.ビジュアルテクノロジー株式会社・技術本部長.工学博士.
1967年ビジコン社に入社,10進と2進を併せ持つコンピュータ・アーキテクチャとROMを使ったプログラム論理方式を電卓に初めて導入し,1969年にインテル社と共同して世界初のマイクロプロセッサ4004を開発.1974年に8080,その後Z80やZ8000などを開発.1997年に京都賞(先端技術部門),1998年に半導体生誕50周年記念大会で"Inventor of MPU"を受賞.『マイクロコンピュータの誕生:わが青春の4004』などの著書あり.
 

 
船井業績賞記念パネル討論:マイクロプロセッサのアーキテクチャはどのようにして決定されたか?

9月6日(水)15:30-17:30[第1イベント会場(A棟1F AB01)]
 [企画概要]
世界初のマイクロプロセッサ4004が開発されて35年経った.低速で小容量メモリ向けに最適化されたCISC型命令セット・アーキテクチャは,新たな応用分野からの特異な要求を満たしつつ,8,16,32ビットへと進化した.次に,高速で大容量メモリ向けに最適化されたRISC型命令セット・アーキテクチャが開発された.さらに,コンピュータから多種多様な性能向上技術を導入しつつ,64ビットへと進化した.
議論では,命令セットを含むマイクロプロセッサのアーキテクチャがどのように決定されたかなどを議論したい.
パネルの途中には随所で嶋先生からのコメントもお願いしたいと考えている.
 
 特別ゲスト:嶋  正利(ビジュアルテクノロジー)
1943年静岡出まれ.ビジュアルテクノロジー株式会社・技術本部長.工学博士.
1967年ビジコン社に入社,10進と2進を併せ持つコンピュータ・アーキテクチャとROMを使ったプログラム論理方式を電卓に初めて導入し,1969年にインテル社と共同して世界初のマイクロプロセッサ4004を開発.1974年に8080,その後Z80やZ8000などを開発.1997年に京都賞(先端技術部門),1998年に半導体生誕50周年記念大会で"Inventor of MPU"を受賞.『マイクロコンピュータの誕生:わが青春の4004』などの著書あり.
  司   会:横田 英史(日経BP)
1956年大阪生まれ.1980年京都大学工学部電気工学科卒.1982年京都大学工学研究科修了.川崎重工業技術開発本部でのエンジニア経験を経て,1986年日経マグロウヒル(現日経BP社)に入社.日経エレクトロニクス記者,同副編集長,BizIT(現IT Pro)編集長を経て,2001年11月日経コンピュータ編集長に就任.2003年3月発行人を兼務.2004年11月,日経バイト発行人兼編集長.2006年1月,制作部長に就任.2006年7月,コンピュータ・ネットワーク局編集委員を兼務,現在に至る.
記者時代の専門分野は,コンピュータ・アーキテクチャ,コンピュータ・ハードウエア,OS,ハードディスク装置,組み込み制御,知的財産権,環境問題など.2006年4月から(独立行政法人)情報処理推進機構ソフトウェア・エンジニアリング・センター 研究員を兼務.
  パネリスト:金子 博昭(NECエレクトロニクス)
  パネリスト:長谷川 淳(ルネサステクノロジ)
  パネリスト:増渕 美生(東芝セミコンダクター社)
 

 
ICTがもたらす観光産業の変貌

9月5日(火)9:00-12:00[第1イベント会場(A棟1F AB01)]
 [企画概要]
高度情報化社会の出現は,従来の産業のあり方を根本から変えている.この傾向は様々な産業で見られるが,特に観光業における変化は著しい.これまで,ホテルやチケットの予約代行で収益をあげてきた旅行代理店の中には,転換を余儀なくされる業者も出始めており,ホテルやエアラインも経営戦略を練り直す時期に来ている.他方,消費者の側からは,個人手配の旅行が簡単に出来るという理由から,ICTの利用拡大を肯定的に捉える声も大きい.
そこで,観光情報学会の会長でもある北海道大学の大内東教授を招待講演者としてお迎えし,ICTと観光産業の相互関連性を多面的に語っていただく.同時に,官界,航空会社や旅行会社などから実務家を招聘するとともに,観光学の専門研究者との間での高次のコラボーションを試みる.
 
 司   会:井出  明(近畿大)
京都大学経済学部卒.同大学院修士課程法学研究科修了.京都大学博士(情報学).九州東海大学専任講師,国際大学グローバルコミュニケーションセンター・フェロー,大阪経済法科大学助教授などを経て,現在は近畿大学経済学部助教授.専門は社会情報学.近年の関心は,コンテンツ政策と観光振興.情報処理学会の他,日本観光学会や韓国産業観光学会等でも観光関連の発表,講演を行う.
●[9:00-10:00]講演:観光情報学 ‐マルチエージェントシステムアプローチ‐
 
 [講演概要]
観光は,日本では観光政策審議会答申,世界的にはWTOにおいて,定義されている.これらの定義をまとめると,「非日常生活圏において,おおよそ1年以内,目的はさまざま」な行動である.基本となる観光情報は,地域を単位とする時空間情報である.観光情報を分類する軸は,多種多様である.
例えば,産業別に見ると,
・日常生活件から非日常生活圏へ移動するための情報
・観光地における滞在に関する情報,衣食住,観光資源,エンタテイメントに関する情報
が必須である.
また,情報に関与する主体別に見ると,
・サービスを提供する側(観光産業者)
・サービスを受けうる側(観光者)
・中立的公的な機関
等に分けられる.
すなわち,観光情報は多属性の情報が混在し,渾然一体となった情報である.この情報を目的とする切り口の軸に射影する作業が必要である.これらの情報を利用する主体として,マルチエージェントシステムによるアプローチを試みる.
 
 大内  東(北大)
北海道大学大学院情報科学研究科 複合情報学専攻複雑系工学講座調和系工学分野教授.複雑調和系工学,複雑系コア技術,ビジネス情報複雑系,生命情報複雑系,医療システムの研究に従事.情報処理学会,オペレーションズリサーチ学会,医療情報学会,IEEE-SMCなど.札幌市各種委員会委員,厚生労働省委員会委員等を歴任,現在,観光情報学会会長,北海道医師会委員,札幌市医師会顧問など.
●[10:10-12:00]パネル討論:ICTが観光に及ぼした衝撃
 
 [討論概要]
"ICTがもたらす観光産業の変貌"という本イベント企画のタイトルをふまえ,パネル討論では実務家と研究者の高次のコラボレーションを試みる.情報通信技術の発達は単に旅行業界の安売りを加速させているだけではない.コミュニケーションの進化によって,観光という営み自体がおおきなパラダイム転換を成し遂げつつあると言えよう.このような問題意識に基づき,様々なバックグラウンドをもつパネリストにお集まりいただくこととなった.実務の視点からは,エージェント・エアライン・宿泊そして行政から一線級の人材を招き,高度情報化がそれぞれの領域にもたらした影響について語っていただく予定である.研究者サイドからは,情報分野と観光分野の専門家が理論的な枠組みの提示を行う.観光に関する議論は消費者の視点を無視しては語ることが出来ないため,フロアからも広く質問や提言を受け付ける予定である.
 
 司   会:井出  明(近畿大)
京都大学経済学部卒.同大学院修士課程法学研究科修了.京都大学博士(情報学).九州東海大学専任講師,国際大学グローバルコミュニケーションセンター・フェロー,大阪経済法科大学助教授などを経て,現在は近畿大学経済学部助教授.専門は社会情報学.近年の関心は,コンテンツ政策と観光振興.情報処理学会の他,日本観光学会や韓国産業観光学会等でも観光関連の発表,講演を行う.
 パネリスト:麻生 憲一(奈良県大)
大阪市立大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学.宮崎産業経営大学経済学部専任講師,奈良県立大学地域創造学部助教授を経て,現在,同大学地域創造学部教授.専門分野は,観光経済学・観光政策論・応用経済学.[著書](共編著)『21世紀の経済政策』日本評論社(1999),『現代社会とツーリズム』東海大学出版会(2001),『地域創造への招待』晃洋書房(2005)など.
 パネリスト:内田 晶夫(ANA総研)
東京大学経済学部卒業後,全日本空輸株式会社入社. 営業推進本部顧客マーケティング部などを経て,現在,(株)ANA総研取締役.
 パネリスト:大内  東(北大)
北海道大学大学院情報科学研究科 複合情報学専攻複雑系工学講座調和系工学分野教授.複雑調和系工学,複雑系コア技術,ビジネス情報複雑系,生命情報複雑系,医療システムの研究に従事.情報処理学会,オペレーションズリサーチ学会,医療情報学会,IEEE-SMCなど.札幌市各種委員会委員,厚生労働省委員会委員等を歴任,現在,観光情報学会会長,北海道医師会委員,札幌市医師会顧問など.
 パネリスト:加藤 裕三(博多エクセルホテル東急)
同志社大学経済学部卒業後,京都東急インへ入社.佐賀東急イン開業の為佐賀へ転勤.1993年4月,博多エクセルホテル東急開業の為,博多へ転勤.以後15年間客室部門を担当し,現在に至る.
 パネリスト:関口 伸一(トップツアー)
立教大学社会学部社会学科卒業後,東急観光株式会社入社.札幌支店配属,その後まちだ東急百貨店内支店・新宿支店を経て,2005年1月より事業開発室勤務.営業・カウンター・国内外の予約手配・新規事業の立ち上げ等,幅広い業務を担当.また新宿支店在籍時に立教大学大学院観光学研究科修士課程修了.(2006年1月,東急観光はトップツアー株式会社に社名変更)
 パネリスト:山口 一朗(国土交通省九州運輸局)
1986年,東京大学経済学部を卒業後、運輸省に入省.
交通行政や観光行政等の職務を経験.
2006年7月,国土交通省九州運輸局企画観光部長に着任.
 

 
ゲーム情報学の新しい形

9月5日(火)13:00-16:30[第1イベント会場(A棟1F AB01)]
 [企画概要]
1997年にコンピュータチェスが当時の世界チャンピオンを破り,大きな話題となった.コンピュータチェスの研究は,多くの人工知能や認知科学の研究論文を排出し,研究の題材としてリーダー的役割を果たしてきたが,この事件以降,研究者の多くはチェスの研究を離れ,チェスの研究はゲーム研究の桧舞台から姿を消しつつある.変わって注目を集めるようになっているのは,チェスより場合の数が多く開発が難しいとされてきたゲーム(将棋,囲碁など)の研究である.
将棋や囲碁を題材とした研究もまた探索や最適化,学習などの数多くの論文を生み出している.特にコンピュータ将棋では,様々な課題を克服し,その実力はプロ棋士に肉薄するレベルに至っている.また,ロボカップサッカー,レスキューのように人間の行動をゲームとして捉え,新しい技術の進歩を図る研究も盛んに行われるようになってきた.さらには,囲碁,将棋のような完全情報ゲームだけなく,麻雀のような不完全情報ゲームに関しても統計的手法によって科学的に検証しようとする研究も現れてきている.
この企画では,これらのゲームを対象としてご研究されている研究者(将棋,囲碁,ロボカップ,麻雀)をお招きし,それぞれの分野の現状と課題についてお話いただく.それを基に,各分野の展望と新しい研究ターゲットについてパネル討論という形式で議論する.
また,ゲーム情報学研究会主査の飯田弘之氏によって,ゲームの辿ってきた歴史を概観し,ゲームを芸術として捉える新しい考え方についてもご講演いただく.
 
●[13:00-14:00]招待講演:ゲームと芸術
 
 [講演概要]
ゲーム特性に関する先行研究でシーソーゲームと遊戯性の関係に着目し,ゲーム洗練度の概念とその指標をゲーム洗練度の理論として提案した.
この理論によって,長い歴史を経て洗練淘汰されたゲームの進化の流れを客観的に説明できるようになった.端的に言えば,ゲームにおけるスキルとチャンスがほどよく調和されたゲームが生き残ってきた.そのようなゲームでは適度なスリル感が得られるからである.
人々に親しまれてきた魅力的なゲームはスリル感が高まる自由度の低いストカスティックなゲームを核として構成される.一方,自由度の高いストカスティックなゲームはスリル感とは異なる解放感のような効果をもたらす.
ゆらぎやあいまいさの価値を評価する世界,すなわち,芸術的創造性に通じる世界である.
本講演では,ゲームの三つの側面,すなわち,競技性,遊戯性,芸術性に焦点を当て,ゲーム情報学の新しいかたちを模索する.
 
 飯田 弘之(北陸先端大)
日本将棋連盟プロ棋士六段.
1994年東京農工大学大学院博士後期課程修了.博士(工学).
リンブルグ大学コンピュータサイエンス学科客員研究員,科学技術振興事業団・博士研究員(電子技術総合研究所勤務),静岡大学情報学部助教授,マーストリヒト大学客員教授など.
現在,北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授.
●[14:30-16:30]パネル討論:ゲーム情報学の次のターゲットは?
 
 [討論概要]
1997年にコンピュータチェスが当時の世界チャンピオンを破り,大きな話題となった.コンピュータチェスの研究は,多くの人工知能や認知科学の研究論文を排出し,研究の題材としてリーダー的役割を果たしてきたが,この事件以降,研究者の多くはチェスの研究を離れ,チェスの研究はゲーム研究の桧舞台から姿を消しつつある.代わりに注目を集めた将棋を題材にした研究も多くの成果をもたらした.その結果,コンピュータ将棋の実力はプロ棋士に迫る勢いである.将棋がトッププレーヤーに勝利することになれば,ゲーム情報学の次のターゲットは何になるだろうか?
このパネル討論では,将棋,囲碁,ロボカップ,麻雀の各先端研究者を招き,各分野の現状とこれからの課題をお話いただいて,これからのゲーム情報学の新しいターゲットについて,議論していく.
 
 司   会:伊藤 毅志(電通大)
1988年 北海道大学文学部行動科学科卒業,1989年 名古屋大学大学院工学研究科情報工学専攻博士課程入学,1994年 名古屋大学大学院工学研究科情報工学専攻博士課程修了(工学博士),1994年 電気通信大学電気通信学部情報工学科助手.
情報処理学会,日本認知科学会,電子情報通信学会,人工知能学会,各会員.ゲーム情報学研究会幹事,コンピュータ将棋協会理事.将棋,囲碁を題材にした認知科学的研究に従事.
 パネリスト:大橋  健(九工大)
1967年生まれ.1991年長岡技術科学大学大学院工学研究科修士課程修了,同年九州工業大学情報工学部知能情報工学科助手,現在同大学生命情報工学科助教授.
博士(情報工学).日本ソフトウェア科学会,日本ロボット学会,人工知能学会,情報処理学会,電子情報通信学会,教育システム情報学会,日本教育工学会,IEEE各会員.自律型ロボット・ヒューマンインタフェース・教育システムの研究に従事.NPO法人ロボカップ日本委員会会員.
 パネリスト:とつげき東北(インターネット麻雀研究家)
1976年兵庫県生まれ.2001年東北大学工学部通信工学科卒業.2002年北陸先端科学技術大学院大学中退.大学在学中より,インターネット麻雀で研究を開始するとともに,トッププレイヤーとしても有名になる.統計学・情報科学の視点から麻雀を明確に研究対象と位置づけ,2004年に講談社現代新書から『科学する麻雀』を出版した.現在は官職にあたる傍ら,ライフワークとして麻雀研究を継続している.
 パネリスト:中村 貞吾(九工大)
1984年九州大学大学院工学研究科電子工学専攻修士課程修了.
1987年九州大学大学院工学研究科電子工学専攻博士後期課程満期退学.
同年九州大学工学部助手.自然言語処理研究に従事.
1993年より九州工業大学情報工学部講師.
自然言語処理,および,ゲームプログラミングに関する研究に従事.
最近は,組合せゲーム理論を用いた囲碁局面解析を行なう.
工学博士.情報処理学会,人工知能学会,電子情報通信学会,ICGA, Computer Go Forum 各会員.
 パネリスト:松原  仁(はこだて未来大)
1981年東大理学部情報科学科卒業1986年同大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程修了.同年通産省工技院電子技術総合研究所(現産業技術総合研究所)入所.2000年公立はこだて未来大学システム情報科学部教授.NPOロボカップ日本委員会会長,コンピュータ将棋協会理事,コンピュータ囲碁フォーラム副会長など.
 

 
情報関連学会の国際連携:IFIPやIEEE-CSといかに協調すべきか?

9月6日(水)9:30-12:00[第1イベント会場(A棟1F AB01)]
 [企画概要]
Computing分野における学会間の国際連携(出版,会議開催,技術認定制度,アクレディテーション等)に関するSummit Meetingが7月末にカナダで行われることになっている.このmeetingに参加する情報処理学会の代表者を迎えて,報告および今後の活動に関する議論を行う.
 
●[9:30-9:40]趣旨説明
  総合司会・趣旨説明 :青山 幹雄(南山大)
●[9:40-10:05]講演1:IFIPおよび海外の情報関連学会の動向
 齊藤 忠夫(トヨタIT開発センター)
東京大学名誉教授,工学博士.東京大学助教授,教授,情報基盤センター長等を歴任.前電子情報通信学会会長,IFIP-GA日本代表.2001年からトヨタIT開発センターチーフサイエンティスト.中央大学教授.デジタル交換からインターネットにいたる変革期のネットワーク研究で,現在ネットワークの基礎となる多様な貢献がある.また電気通信審議会会長代理,同電気通信事業部会長を歴任,光ブロードバンド化,ADSLの推進,固定電話・携帯電話の番号ポータビリティの実現を通してネットワークの改革を進めた.ユビキタスネットワーキングフォーラム会長.
●[10:05-10:30]講演2:情報処理学会における情報教育活動の現状と国際連携
 筧  捷彦(早大)
早稲田大学理工学部コンピュータ・ネットワーク工学科教授.
1968年東京大学卒.1970年東京大学工学系大学院計数工学専攻修士課程修了,同年東京大学工学部助手,1974年立教大学理学部講師・助教授,1986年より現職.
日本ソフトウェア科学会,日本数学会,日本応用数理学会,ACM各会員.
本会フェロー,情報処理教育委員会委員長,アクレディテーション委員会委員,情報規格調査会SC22専門委員会委員.JABEE認定・審査調整委員会委員.
プログラミングの言語,方法,環境,教育に興味を持つ.
●[10:30-10:55]講演3:情報処理学会の現状と国際連携
 中島 秀之(はこだて未来大)
1977年3月 東京大学工学部計数工学科 卒業
1983年3月 東京大学大学院情報工学専門課程博士課程 修了
1983年4月 通商産業省工業技術院電子技術総合研究所 入所
2001年4月(上記機構改革して)
   産業技術総合研究所サイバーアシスト研究センター長 就任
2004年4月 公立はこだて未来大学学長 就任 現在に至る
●[10:55-12:00]パネル討論:日本の情報関連学会はいかに国際連携すべきか?
  司   会:青山 幹雄(南山大)
 パネリスト:筧  捷彦(早大)
早稲田大学理工学部コンピュータ・ネットワーク工学科教授.
1968年東京大学卒.1970年東京大学工学系大学院計数工学専攻修士課程修了,同年東京大学工学部助手,1974年立教大学理学部講師・助教授,1986年より現職.
日本ソフトウェア科学会,日本数学会,日本応用数理学会,ACM各会員.
本会フェロー,情報処理教育委員会委員長,アクレディテーション委員会委員,情報規格調査会SC22専門委員会委員.JABEE認定・審査調整委員会委員.
プログラミングの言語,方法,環境,教育に興味を持つ.
 パネリスト:齊藤 忠夫(トヨタIT開発センター)
東京大学名誉教授,工学博士.東京大学助教授,教授,情報基盤センター長等を歴任.前電子情報通信学会会長,IFIP-GA日本代表.2001年からトヨタIT開発センターチーフサイエンティスト.中央大学教授.デジタル交換からインターネットにいたる変革期のネットワーク研究で,現在ネットワークの基礎となる多様な貢献がある.また電気通信審議会会長代理,同電気通信事業部会長を歴任,光ブロードバンド化,ADSLの推進,固定電話・携帯電話の番号ポータビリティの実現を通してネットワークの改革を進めた.ユビキタスネットワーキングフォーラム会長.
 パネリスト:中島 秀之(はこだて未来大)
1977年3月 東京大学工学部計数工学科 卒業
1983年3月 東京大学大学院情報工学専門課程博士課程 修了
1983年4月 通商産業省工業技術院電子技術総合研究所 入所
2001年4月 (上記機構改革して)
   産業技術総合研究所サイバーアシスト研究センター長 就任
2004年4月 公立はこだて未来大学学長 就任 現在に至る
 

 
コンピュータ外科手術における情報処理-安全・確実な未来型精密治療のために-

9月7日(木)9:00-12:00[第1イベント会場(A棟1F AB01)]
 
●[9:00-9:30]講演1:外科医が情報処理技術に求めるもの
 橋爪  誠(九大)
学歴:1979年3月 九州大学医学部卒業.1984年3月 九州大学大学院医学研究科修了(第一病理)
職歴:1998年6月 九州大学医学部外科学第二講座・助教授.1999年2月 九州大学大学院医学研究院災害救急医学・教授.2003年3月 九州大学病院先端医工学診療部・部長兼任.2005年4月 九州大学病院救急部・部長兼任.2006年4月 九州大学デジタルメディシン・イニシアティブ教授兼任.
加入学会:日本外科学会,日本消化器外科学会(評議員),日本腹部救急医学会(理事),日本コンピュータ外科学会(副理事長),日本門脈圧亢進症学会(理事)ほか.
専門:消化器外科学,コンピュータ外科学,災害救急医学,門脈圧亢進症
賞罰:日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業助成金「外科領域におけるロボティックシステムの開発」外科系プロジェクトリーダー(1999〜2003年).第41回日本消化器外科学会会長賞受賞(1993年2月).文部科学大臣表彰科学技術賞(科学技術振興部門)(2006年4月18日).
●[9:30-10:00]講演2:術中画像重畳の最新技術
 倉爪  亮(九大)
1991年東京工業大学機械物理工学専攻修士課程修了.同年(株)富士通研究所入社,1995年東京工業大学機械宇宙学科助手,2000年スタンフォード大学客員研究員,同年東京大学生産技術研究所博士研究員,2002年より九州大学システム情報科学研究院助教授,現在に至る.群ロボット,歩行機械,レーザ計測,医療画像解析,手術ナビゲーションの研究に従事.博士(工学).
●[10:00-10:30]講演3:外科解剖のための気管・消化管仮想内視鏡画像
 森  健策(名大)
1992年名大・工・電子卒.1996年同大大学院博士課程後期課程修了.1994〜1997年まで日本学術振興会特別研究員.1997年より名大大学院工学研究科助手,2000年同大講師.2001年同大難処理人工物研究センター助教授.2001年より2002年まで米国スタンフォード大学客員助教授.2003年より名古屋大学大学院情報科学研究科助教授.現在に至る.主に3次元画像処理とコンピュータグラフィックスの医用画像への応用に関する研究に従事.文部科学大臣表彰若手科学者賞,日本医用画像工学会奨励賞,日本エム・イー学会論文賞・坂本賞,丹羽記念賞,電子情報通信学会情報システムソサイエティソサイエティ論文賞,日本気管支学会優秀演題賞各賞受賞.工博.日本エム・イー学会,電子情報通信学会,日本気管支学会各会員.IEEE Member.
●[10:30-11:00]講演4:手術誘導のためのナビゲーション画像
 佐藤 嘉伸(阪大)
1982年阪大・基礎工・情報卒.1988年同大学院博士課程了.工博.
1988年〜1992年NTTヒューマンインタフェース研究所勤務.1992年阪大・医・機能画像診断学(現在,画像解析学)教室助手.現在,同助教授.この間,1996年〜1997年米国ハーバード大・医・Brigham and Women's病院・Surgical Planning Laboratory 客員研究員.
医用画像解析,手術支援システムの研究に従事.
●[11:00-11:30]講演5:コンピュータ外科手術における情報処理-安全・確実な未来型精密治療のために-
 伊関  洋(東京女子医大)
1979年東京大学医学部卒業.1996年東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科講師.2001年東京女子医科大学先端生命医科学研究所(大学院医学研究科先端生命医科学系専攻先端工学外科学分野)助教授、脳神経外科助教授(兼任).医学博士、脳神経外科専門医.脳神経外科学会評議員,コンピュータ外科学会理事,日本バーチャルリアリティー学会評議員,日本生体医工学会(旧エム・イー学会)理事.コンピュータ外科・精密誘導手術・医療安全工学研究を主体に活動.
●[11:30-12:00]総合討論
 

 
パネル討論:どこまでシンクロ可能か? IT・経営、2つの「ビジネスモデル」

9月7日(木)13:00-15:50[第1イベント会場(A棟1F AB01)]
 
●[13:00-13:05]開演のご挨拶
 司会・開演挨拶:岩田 祐一(NTT東日本)
1971年生まれ.東京大学経済学部卒業,筑波大学経営・政策科学研究科修了.1995年日本電信電話(株)入社,山梨支店,国際本部,NTTコミュニケーションズ(株),(株)情報通信総合研究所を経て現在,東日本電信電話(株)経営企画部グループビジネス戦略部門勤務.NTT東日本ならびにその関連会社における出資・アライアンス等の戦略実行に携わる.「米国ITビジネス企業の収益性サーベイ」で,第18回テレコム社会科学学生賞を受賞.
●[13:10-13:30]講演1:経営とビジネスモデル
 [講演概要]
以下の3点をポイントとしたお話をさせていただきたい.
○経営者とは,ビジネスモデルを作り続ける人
○「経営者のビジネスモデル」とは,事業プランの心臓部分
○ビジネスモデルの構成要素は
  (1)顧客,(2)製品/サービス,(3)顧客の(受益)価値,(4)提供の仕組み
 吉田 憲正(NTTデータ九州)
1957年熊本県生まれ.1979年一橋大学商学部卒業,同年日本電信電話公社(現 NTT)入社.データ通信本部(現 (株)NTTデータ)で郵便貯金システムやITS,汎用電子乗車券,CATV地域イントラネットなどの大型システムプロジェクトに従事してきたほか,企画・営業・人事など幅広い業務に携わる.法人ビジネス事業本部 アウトソージングビジネスユニット長,製造・流通ビジネス事業本部 VMAIプロジェクト推進室長を経て,2006年株式会社NTTデータ九州代表取締役社長.資格等:PMP,特殊情報処理技術者,PM学会正会員.
●[13:35-13:55]講演2:どこまでシンクロ可能か? IT・経営、2つの「ビジネスモデル」(仮題)
 [講演概要]
"ビジネスモデル"という言葉は,IT,経営それぞれの領域で使われているが,前者は「ソフトウェア・システム構築のための業務プロセス」の意味で,後者は「利益を創出するための事業の仕組みの意味で,それぞれ用いられることが多い.これらは今後,どこまでシンクロナイズさせていくことが可能か.そしてこのことは,日本のIT競争力・ビジネス競争力にいかなる影響をもたらしうるか.IT・経営の両面に日ごろから関係しつつ,ソフトウェア開発を続けてきた立場から,展望していきたい
 竹村  司(日本IBM)
1986年京都大学大学院工学研究科修士課程修了(情報工学専攻).同年日本アイ・ビー・エム(株)入社.以来,種々のインダストリー向けアプリケーションソフトウェアやツールの開発に従事.現在ソフトウェア開発研究所所属,主管開発技術担当部員.情報処理学会「オブジェクト指向シンポジウム2003優秀賞」受賞.訳書に,『MDAモデル駆動アーキテクチャ』(共訳,エスアイビー・アクセス,2003),『UML/MDAのためのオブジェクト制約言語OCL』(エスアイビー・アクセス,2004),『Eclipseモデリングフレームワーク』(監訳,翔泳社,2005)などがある.
●[14:00-14:20]講演3:どこまでシンクロ可能か? IT・経営、2つの「ビジネスモデル」(仮題)
 [講演概要]
"ビジネスモデル"という言葉は,IT,経営それぞれの領域で使われているが,前者は「ソフトウェア・システム構築のための業務プロセス」の意味で,後者は「利益を創出するための事業の仕組みの意味で,それぞれ用いられることが多い.これらは今後,どこまでシンクロナイズさせていくことが可能か.そしてこのことは,日本のIT競争力・ビジネス競争力にいかなる影響をもたらしうるか.産学双方の経験,そしてIT・経営の両面に日ごろから関係する立場から,展望していきたい.
 松本 正雄(九州産業大)
九州産業大学情報科学部教授.近年の研究テーマはIT革新と経営改革の共進化についてである.具体的には企業連携や行政組織などを結んだ『組織横断価値連鎖Interpriseのモデル化』や『ソフトウェア技術の国際競争力の向上』である.従前,IEEE-CS,情報処理学会,日本科学技術連盟,国際連合ニューヨーク本部においてソフトウェア工学や品質管理の研究を遂行した.関連論文150件以上発表.'95年デ賞品質管理文献賞,'03年e-Society国際学会優秀論文賞をそれぞれ受賞.NEC,ドルトムント大学,筑波大学大学院社会工学系教授を経て現職.工学博士.
●[14:30-15:50]パネル討論:どこまでシンクロ可能か? IT・経営、2つの「ビジネスモデル」
 [討論概要]
「ここまでの各パネリストの講演を踏まえて,有意義なパネル討論を展開していく.
具体的な焦点としては,IT,経営それぞれの"ビジネスモデル"を
−シンクロナイズさせることの是非・意義
−シンクロナイズされることによって得られる果実
−シンクロナイズさせることにおけるハードルとその解決策
といったものが考えられる.
またこれらの焦点と,日本のIT競争力・ビジネス競争力強化との関係性についても,触れていくことになろう.
 司   会:岩田 祐一(NTT東日本)
1971年生まれ.東京大学経済学部卒業,筑波大学経営・政策科学研究科修了.1995年日本電信電話(株)入社,山梨支店,国際本部,NTTコミュニケーションズ(株),(株)情報通信総合研究所を経て現在,東日本電信電話(株)経営企画部グループビジネス戦略部門勤務.NTT東日本ならびにその関連会社における出資・アライアンス等の戦略実行に携わる.「米国ITビジネス企業の収益性サーベイ」で,第18回テレコム社会科学学生賞を受賞.
 パネリスト:竹村  司(日本IBM)
1986年京都大学大学院工学研究科修士課程修了(情報工学専攻).同年日本アイ・ビー・エム(株)入社.以来,種々のインダストリー向けアプリケーションソフトウェアやツールの開発に従事.現在ソフトウェア開発研究所所属,主管開発技術担当部員.情報処理学会「オブジェクト指向シンポジウム2003優秀賞」受賞. 訳書に,『MDAモデル駆動アーキテクチャ』(共訳,エスアイビー・アクセス,2003),『UML/MDAのためのオブジェクト制約言語OCL』(エスアイビー・アクセス,2004),『Eclipseモデリングフレームワーク』(監訳,翔泳社,2005)などがある
 パネリスト:松本 正雄(九州産業大)
九州産業大学情報科学部教授.近年の研究テーマはIT革新と経営改革の共進化についてである.具体的には企業連携や行政組織などを結んだ『組織横断価値連鎖Interpriseのモデル化』や『ソフトウェア技術の国際競争力の向上』である.従前,IEEE-CS,情報処理学会,日本科学技術連盟,国際連合ニューヨーク本部においてソフトウェア工学や品質管理の研究を遂行した.関連論文150件以上発表.'95年デ賞品質管理文献賞,'03年e-Society国際学会優秀論文賞をそれぞれ受賞.NEC,ドルトムント大学,筑波大学大学院社会工学系教授を経て現職.工学博士.
 パネリスト:吉田 憲正(NTTデータ九州)
1957年熊本県生まれ.1979年一橋大学商学部卒業,同年日本電信電話公社(現 NTT)入社.データ通信本部(現 (株)NTTデータ)で郵便貯金システムやITS,汎用電子乗車券,CATV地域イントラネットなどの大型システムプロジェクトに従事してきたほか,企画・営業・人事など幅広い業務に携わる.法人ビジネス事業本部 アウトソージングビジネスユニット長,製造・流通ビジネス事業本部 VMAIプロジェクト推進室長を経て,2006年株式会社NTTデータ九州代表取締役社長.資格等:PMP,特殊情報処理技術者,PM学会正会員.
 

 
社会情報基盤の構築と課題

9月5日(火)10:00-17:20[第2イベント会場(A棟1F AB02)]
 [企画概要]
社会基盤を構成する各種の社会システムの神経系としての情報通信システムの重要性が高まっており,安全で安心な社会を支える基盤技術としての情報技術に向けて,多くの研究や教育の取組みが行なわれている.本セッションでは,社会情報基盤の構築に向けた取組みを紹介し,新しい技術や問題点を議論する.基調講演には,NTTの先端技術総合研究所の市川晴久所長をお招きし,通信基盤を中心とした新しい取組みを紹介していただく.講演では大学を中心とした研究や実験的な取組みの紹介を若手研究者から講演していただく.
パネルディスカッションではJST研究開発戦略センターの丹羽邦彦氏も交えて,社会情報基盤の構築に関する課題を議論する.
 
●[10:00-12:00]第1部:社会情報基盤の構築に向けた大学の取組み
 司   会:安浦 寛人(九大)
1978年京都大学工学研究科修士課程修了.京都大学工学部助手,同電子工学科助教授を経て,1991年より九州大学教授.現在,九州大学大学院システム情報科学研究院情報工学部門教授およびシステムLSI研究センター長.VLSIシステムの設計手法と社会基盤システムの研究に従事.
福岡知的クラスター事業研究統括および21世紀COEプログラム拠点リーダー.九州大学全学共通ICカード推進プロジェクトの推進にも従事.
●[10:00-10:30]講演1:九州大学全学共通ICカードにおける新しい個人識別のしくみ
 [講演概要]
近年,コンピュータとそれを用いたネットワークが社会基盤として急速に普及し,個人の電子的な識別や認証が我々の生活のあらゆる場面で用いられるようになった.ICカードや携帯電話端末といった携帯デバイスによる様々なサービスの利用が可能になり,それを支えるシステムの高速化やシームレス化等の利便性の向上が進む一方,個人情報保護等の意味での安全性の重要性が注目されてきている.
九州大学では,2005年度からの新キャンパスへの移転に伴い,職員証・学生証として全学共通のICカードを導入し,大学およびその周辺地域における様々なサービス提供の仕組みの実現を目指している.ここで導入する個人識別の仕組みは以下の特徴を持っている.
 (1)携帯デバイスの種類や通信の規格といったメディアへの依存性がない.
 (2)利用者間の委譲等の柔軟な権利・権限の管理が可能である.
 (3)相互認証および履歴情報保護の観点での安全性を考慮している.
 馬場 謙介(九大)
2002年九州大学大学院システム情報科学研究科情報理学専攻博士課程修了.
博士(理学).同年科学技術振興事業団(科学技術振興機構)ポスドク研究員.
2003年より,九州大学大学院システム情報科学研究院情報理学部門助手.
文字列処理アルゴリズム,セキュリティ・プロトコル等の研究に従事.
情報処理学会会員.
●[10:30-11:00]講演2:新しい地域情報経済プラットフォームと新キャンパス周辺地域における社会実験
 [講演概要]
ブロードバンドの普及とTVのデジタル地上波移行に伴いすべての家電,情報機器がネットワークに繋がる情報家電ネットワーク時代の到来が予想されている.
情報家電ネットワーク時代においては,ユビキタスな情報アクセス環境実現が想定されており,既存ビジネスの変革や新ビジネスの出現が期待されているが,その一方でユビキタス化が招く不正アクセスによる情報改ざんや詐取,なりすましによる被害が心配されている.
九州大学では,学内で開発した権利権限管理のための技術を利用して,これら被害を防止し,ユビキタスな情報アクセス環境に適した,現金取引に換わる効果的で安心安全な価値流通を実現し地域経済に寄与する共通ビジネスプラットフォームを提案し,経済産業省の支援を得て実証実験を実施する.
実験では以下の検証を目的としている.
 (1)次世代共通ビジネスプラットフォームのあるべき姿
 (2)次世代共通プラットフォームに必要な新しい情報技術の抽出
 (3)地域経済活性化のための新しいビジネスモデル創出
 石田 浩二(九大)
1978年武蔵大学経済学部経済学科卒業.
社団法人日本産業用ロボット工業会(現 社団法人日本ロボット工業会),株式会社ミマキエンジニアリング,株式会社コンピュータアプリケーションズ(現 株式会社シーエーシー),三井造船システム技研株式会社等を経て1990年株式会社ノイラント代表取締役1998年より株式会社情報生活研究所代表取締役,代表取締役在任中,松下電器産業株式会社パナソニックコンピュータカンパニー,株式会社パーク24,九州松下電器株式会社,オムロンソフトウェア株式会社,三洋電機株式会社等の商品開発,情報システム構築等に関するアドバイザー顧問等を併任し2003年4月より九州大学先端科学技術共同研究センター客員教授,2004年10月九州大学新キャンパス計画推進室助教授,財団法人九州大学学術研究都市推進機構シニアリサーチャー.
情報システム構築と商品開発,マーケティングに関連する研究に従事,全学共通ICカード導入推進プロジェクト,経済産業省「e-World」プロジェクトのほかユーザサイエンス機構で感性商品開発プロジェクトを担当.
●[11:00-11:30]講演3:大学図書館における新しい取組み〜プライバシー保護と利便性向上の両立を目指して〜
 
 [講演概要]
九大附属図書館は全国でも数少ない専任教員を持つ大学図書館であり,先進的な電子図書館の研究を行ってきた.本発表では,これらの取り組みとその過程で明らかになったプライバシーに関する問題を紹介する.さらに,これを解決する手法として九州大学が取り組むID管理機構を紹介し,プライバシー保護の観点から議論する.これにより,以前より利用者に安心感を与えるような仕組みでプライバシー保護することが可能になり,さらに利用者の利便性向上や図書館運営の効率化にも寄与することを示す.
 
 池田 大輔(九大)
1996年九州大学大学院総合理工学研究科情報システム学専攻修士課程終了.1997年九州大学大学院システム情報科学研究科情報理学専攻博士後期課程退学.同年4月より九州大学大型計算機センター助手.九州大学情報基盤センター講師を経て2004年5月より九州大学附属図書館助教授.2006年8月より九州大学大学院システム情報科学研究院助教授.ウェブ・テキストマイニング,電子図書館の研究に従事.情報処理学会,統計科学研究会,ACM,EATCS各会員.博士(理学)
●[11:30-12:00]講演4:福岡大学の情報環境整備
 
 [講演概要]
福岡大学では,2003年度に学内の情報環境のあるべき姿を情報化基本構想としてまとめ,その構想に基づいて2004年度から学内の高度情報化プロジェクトを進めている.講演では,プロジェクト全体の概要について紹介し,学内ネットワークや統合認証システムなどの情報基盤整備,職員用グループウェアや大学ポータル等の情報システム,学生サービスの中核となる学生教育・生活支援システムなどについて概略を説明する.
 
 吉村 賢治(福岡大)
1978年九州大学工学部電子工学科卒業.1983年同大学大学院工学研究科博士課程電子工学専攻修了.工学博士.同年より九州大学工学部電子工学科助手.1984年福岡大学工学部講師.1986年同大学工学部助教授.1995年同大学工学部教授.2003年12月より福岡大学総合情報処理センター長.自然言語処理の研究に従事.情報処理学会,言語処理学会,認知科学会各会員.
●[13:00-15:30]第2部:社会情報基盤構築と新しい技術動向
 
 司   会:荒木啓二郎(九大)
九州大学工学部卒業,同大学院修士課程修了.九州大学工学部助手,同助教授,奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授などを経て,現在,九州大学大学院システム情報科学研究院教授.九州大学付属図書館 副館長.財団法人九州システム情報技術研究所研究室長兼務.ACM,情報処理学会,日本ソフトウェア科学会,FME(欧州形式手法学会),博多町人文化連盟などの会員.ソフトウェア技術者協会常任幹事,プロジェクトマネジメント学会九州支部副支部長,博多祇園山笠西流元赤手拭など.システムの数理モデル化,ソフトウェア開発法,インターネットによる国際学術文化交流などの研究に従事.
 
●[13:00-13:30]講演5:社会基盤としてのRFID
 [講演概要]
本稿では,RFID(Radio Frequency Identification)を用いた情報システムに焦点を当て,社会基盤の観点から検証する.現時点でのRFID の応用は,特定の組織や場所内でのみ利用されるというクローズなシステムであり,RFIDを不特定多数の人間が利用するというオープンなシステムとしては普及の機を得ていない.社会基盤システムに必要な要件を議論し,それを満たすRFID情報システムを確立することが必要である.
 井上 創造(九大)
九州大学大学院システム情報科学研究院および,九州大学システムLSI研究センター 助手. データベース管理システムおよび,RFID情報システムのセキュリティ・個人情報保護・信頼性に興味を持つ. 博士(工学). IEEE, ACM, 日本データベース学会(DBSJ),情報処理学会(IPSJ)会員.
●[13:30-14:00]講演6:生体(バイオメトリック)認証を活用した情報基盤技術
 
 [講演概要]
最近,様々な詐称事件を受けて,入出国管理や金融関係サービスを中心に正規の利用者であることを認証するための技術,すなわち本人認証技術への関心が高まっている.現在,パスワードやカードによる認証に加えて,生体認証の導入が進められている.
本講演では,生体認証技術の背景,応用分野などを紹介する.また,生体認証のインターネットサービスへの適用を目指した研究事例やISO等での国際標準化動向も合わせて紹介する.
 
 上繁 義史(九州システム情報技研)
1997年3月 九州工業大学大学院博士後期課程退学
1998年3月 博士(工学)取得(九州工業大学)
1998年4月〜2001年3月 鹿児島工業高等専門学校 電気工学科
(1997年4月助手,1999年4月講師,2000年4月助教授)
2002年4月〜2003年3月 (財)北九州産業学術推進機構 知的クラスタ招聘研究員
2003年4月〜現在 (財)九州システム情報技術研究所
第2研究室研究員
●[14:00-14:30]講演7:フォーマルな社会的行為のための情報基盤の構築とプライバシ
 山崎重一郎(近畿大)
1957年生まれ.東京理科大学理工学部数学科卒業,九州大学システム情報科学府・システム情報科学院博士課程修了,博士(情報科学).富士通株式会社,株式会社富士通研究所,財団法人九州システム情報技術研究所(富士通研究所より出向)を経て2003年より現職.
NPO法人電子認証局市民ネットワーク福岡理事長,日本電子認証署名技術推進パートナーシップ連携調整部会長,次世代型電子認証基盤有識者委員,ハイパーネットワーク社会研究所共同研究員.
●[14:30-15:30]基調講演:ディペンダビリティとポストインターネット
 市川 晴久(NTT)
1976年東京大学工学研究科修士課程終了.同年,日本電信電話公社に入社.通信ソフトウェアの基礎研究に従事.93年以降,マイクロソフト社とのマルチメディアビジネス提携,ギガビットインターネット実用化などに従事.2002年情報流通プラットフォーム研究所所長.2003年未来ねっと研究所所長.2005年7月より先端技術総合研究所所長.工学博士.
●[15:50-17:20]第3部:パネルディスカッション 社会情報基盤構築の課題
 [討論概要]
50年後,100年後から現在を振り返ると,20世紀後半に急激な発達を遂げた情報通信技術をベースとして,19世紀後半以降に確立された各種の近代的社会システムを根本的に再構築した時代であったと総括される可能性がある.各種の社会システムの神経系としての社会情報基盤のあり方や今後の研究開発の方向および課題について,大学,研究機関およびファンディング母体の代表による多角的な議論を行う.
 司   会:安浦 寛人(九大)
1978年京都大学工学研究科修士課程修了.京都大学工学部助手,同電子工学科助教授を経て,1991年より九州大学教授.現在,九州大学大学院システム情報科学研究院情報工学部門教授およびシステムLSI研究センター長.VLSIシステムの設計手法と社会基盤システムの研究に従事.
福岡知的クラスター事業研究統括および21世紀COEプログラム拠点リーダー.九州大学全学共通ICカード推進プロジェクトの推進にも従事.
 パネリスト:荒木啓二郎(九大)
九州大学工学部卒業,同大学院修士課程修了.九州大学工学部助手,同助教授,奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授などを経て,現在,九州大学大学院システム情報科学研究院教授.九州大学付属図書館 副館長.財団法人九州システム情報技術研究所研究室長兼務.ACM,情報処理学会,日本ソフトウェア科学会,FME(欧州形式手法学会),博多町人文化連盟などの会員.ソフトウェア技術者協会常任幹事,プロジェクトマネジメント学会九州支部副支部長,博多祇園山笠西流元赤手拭など.システムの数理モデル化,ソフトウェア開発法,インターネットによる国際学術文化交流などの研究に従事.
 パネリスト:市川 晴久(NTT)
1976年東京大学工学研究科修士課程終了.同年,日本電信電話公社に入社.通信ソフトウェアの基礎研究に従事.93年以降,マイクロソフト社とのマルチメディアビジネス提携,ギガビットインターネット実用化などに従事.2002年情報流通プラットフォーム研究所所長.2003年未来ねっと研究所所長.2005年7月より先端技術総合研究所所長.工学博士.
 パネリスト:丹羽 邦彦(JST)
1969年,東京大学大学院工学系研究科修士課程修了.
日本電気株式会社に入社.デジタル通信・デジタル信号処理システムの研究開発,映像機器・システム技術開発及び事業,技術企画などに従事.その間,INTELSAT (International Telecommunications Satellite Organization),NEC Americaに勤務.2001年日本テキサスインスツルメンツ株式会社勤務.2003年から独立行政法人科学技術振興機構研究開発戦略センターに勤務.シニアフェロー.工学博士.
 パネリスト:山崎重一郎(近畿大)
1957年生まれ.東京理科大学理工学部数学科卒業,九州大学システム情報科学府・システム情報科学院博士課程修了,博士(情報科学).富士通株式会社,株式会社富士通研究所,財団法人九州システム情報技術研究所(富士通研究所より出向)を経て2003年より現職.
NPO法人電子認証局市民ネットワーク福岡理事長,日本電子認証署名技術推進パートナーシップ連携調整部会長,次世代型電子認証基盤有識者委員,ハイパーネットワーク社会研究所共同研究員.
 

 
システムソフトウェア最前線

9月6日(水)9:00-12:00[第2イベント会場(A棟1F AB02)]
 [企画概要]
システムソフトウェアの最新動向を,産業界・学界,および,国内・国外の面から,気鋭の研究者・開発者が初心者にも分かりやすく解説する.山本氏には,産業界におけるWebアプリケーションの開発現場の様子と今後の方向性を説明して頂く.門林氏には,オーバーレイネットワークやP2P技術の最新研究動向を解説して頂く.中尾氏には,次世代のインターネット・アプリケーションやサービスの実験を行うための世界規模広域分散テストベッド・プロジェクトPlanetLabの概要と最新動向を解説して行く.
 
 司   会:高汐 一紀(慶大)
博士(工学)(1995年慶應義塾大学).電気通信大学情報工学科助手を経て,2002年より慶應義塾大学環境情報学部助教授.現在,情報処理学会システムソフトウェアとオペレーティングシステム研究会幹事,ユビキタスコンピューティングシステム研究会幹事.モバイルコンピューティングとユビキタス通信,組込みシステム,各研究会運営委員.その他,ACM,IEEE,日本ソフトウェア科学会各会員.
●[9:00-9:10]開会挨拶
 開会挨拶:加藤 和彦(筑波大)
1962年生まれ.1985年筑波大学第三学群情報学類卒業.1992年博士(理学)(東京大学大学院理学系研究科).
1989年東京大学理学部情報科学科助手,1993年筑波大学電子・情報工学系講師,1996年同助教授,2004年筑波大学大学院システム情報工学研究科教授,現在に至る.
2003年より情報処理学会システムソフトウェアとオペレーティングシステム研究会主査.オペレーティングシステム,セキュアコンピューティング,自律連合型分散システムに興味を持つ.
●[9:10-10:00]講演1:Webアプリケーション開発最前線
 山本 泰宇(サイボウズ)
1974年神奈川生まれ.東京大学にて情報科学を専攻後,2001年12月にサイボウズ株式会社入社.大規模向けグループウエア「ガルーン」を開発.2003年からガルーン2の基盤システムを設計し,2004年にガルーン開発責任者.2005年2月に開発部長.2005年8月からは研究開発子会社「サイボウズ・ラボ」取締役を兼務.2006年2月にサイボウズ本社の執行役員開発本部長.現在は70名ほどの開発陣のマネジメントにあたる傍ら,実践的な開発技術の研究も続けている.
http://cydn.cybozu.co.jp/ymmt/
●[10:10-11:00]講演2:オーバーレイネットワーク研究開発の最前線
 門林 雄基(奈良先端大)
1996年大阪大学大型計算機センター助手.2000年7月より現職.博士(工学).
2004年7月より情報通信研究機構セキュリティ高度化グループ短期専攻研究員兼任.
2006年4月より情報通信研究機構セキュリティセンタートレーサブルネットワークグループプロジェクトリーダー兼任.WIDEプロジェクトボードメンバー.
●[11:10-12:00]講演3:PlanetLabとPrivate PlanetLab
 中尾 彰宏(東大)
東京大学理学部物理学科卒業.
東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修士修了.
IBM Texas Austin研究所,IBM東京基礎研究所などを経て,米国Princeton大学大学院情報科学科にて修士及び博士取得,2005年4月より東京大学大学院情報学環助教授.
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/faculty/profile/nakao.html
http://nakao.iii.u-tokyo.ac.jp/index.html
 

 
情報・システム研究開発の今昔(いまむかし)
−若者の夢をどこまで膨らませるか−


9月6日(水)15:30-17:30[第2イベント会場(A棟1F AB02)]
 [企画概要]
最近の研究開発成果例を若手2名が発表し,フェロー団を中心として,テーマ設定・アプローチ・成果出し・評価・応用展開などについて,意見交換を活発に行う.
若手研究者・技術者の学位取得や事業化・社会貢献への道を,経験豊かな(?)フェロー団が夢を膨らませながら導いていく.
 
 司   会:木戸出正継(奈良先端大)
1970年 京大大学院工学研究科修士課程修了.同年 東京芝浦電気(現,東芝)総合研究所入社.同社総合企画部,関西研究所,東芝アメリカ社を経て,2000年 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授.
京都大学工学博士.
パターン認識,ロボットビジョン,ヒューマンインタフェース,ウェアラブルコンピュータに関する研究に従事.
電子情報通信学会フェロー,情報処理学会フェロー,IEEEフェロー,IAPR(国際パターン認識協会)フェロー,電子情報通信学会業績賞,高柳記念奨励賞,などを受賞.
情報処理学会関西支部長,電子情報通信学会理事,MVA国際ワークショップ組織委員長,IEEEウェアラブルコンピュータ国際シンポジウム実行委員長などを歴任.
現在,電子情報通信学会情報システムソサイエティ会長.
●[15:30-15:50]題材発表1:グローバル動きを用いた高速動画像モザイキング手法
 清水 智行(KDDI研)
2000年3月京都大学工学部情報工学科卒業.2002年3月京都大学大学院情報学研究科修士課程修了.同年4月KDDI入社.KDDI研究所にて動画像圧縮符号化,伝送アプリケーション,コンテンツ加工技術の研究開発に従事.
 
●[15:50-16:20]意見交換1:差別化技術のポイントは,具体化はどこまで,応用展開の可能性は,どこで儲けるか・・・
 
●[16:20-16:40]題材発表2:デジタルカメラによる文書画像検索
 
 [講演概要]
本発表で述べる文書画像検索法は,特徴点の局所的配置を幾何学的不変量によって記述する特徴量を利用することにより,大規模データベースにおいても高速かつ高精度な検索を実現するものである.
 
 中居 友弘(大阪府大)
2004年大阪府立大学工学部情報工学科卒業.2006年同大大学院修士課程修了.
現在,同大学院博士課程に在籍.文書画像処理に関する研究に従事.
FIT2005ヤングリサーチャー賞,MIRU2006デモセッション賞受賞.
電子情報通信学会学生会員.
 
●[16:40-17:10]意見交換2:新規性のポイントは,難しさはどこに,解決の糸口は,オモロイ展開は・・・
 

 
生命ネットワークをコンピュータで見るために

9月7日(木)9:00-12:00[第2イベント会場(A棟1F AB02)]
 [企画概要]
生命および生命機能を構成する分子のネットワークは複雑である.これまで,これを要素還元的に扱うことが生物学の主流であり続けたが,近年,複雑なネットワークをシステムとして理解することの重要性が認識され始めてきた.システム生物学である.ネットワークをシステムとして理解することは,コンピュータの援用なくしては不可能である.
本チュートリアルセッションでは,生命のネットワーク(パスウェイ)を可視化,同定,またそれを用いてシステムの挙動を予測する研究に携わっている若手の第一線の研究者をお呼びして,情報科学的アプローチによる生物学のチュートリアルをして頂く.バイオインフォマティクスだけでなく,生体機能計測,可視化,統計学,画像処理などに興味を持つ研究者,学生の皆様のご参加を期待している.
 
 司   会:石井  信(奈良先端大)
1986年 東京大学工学部卒業.
1988年 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了.
1988年 (株)リコー中央研究所研究員.
1994年 ATR人間情報通信研究所研究員.
1997年 工学博士(東京大学工学系研究科計数工学専攻).
1997年 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科助教授.
現在,同 教授.
●[9:00-10:00]講演1:ロバストな生命システム解明のためのコンピュータ表現法
 
 [講演概要]
生命システムは膨大な数の化学反応が織り成す「原因−結果の連鎖」であり,その背後に存在するロジックを解明するためには,個々の分子の定性的理解を求める分子生物学的手法では限界がある.Biological Simulationは,システムの挙動を理解するためのパワフルなツールとして期待されており,それを可能とするプラットホームの開発・標準化は,システム・バイオロジーを推し進めて上で不可欠といえる.しかしながら,分子生物学の分野で伝統的に用いられている分子ネットワークの表記方法は,その理解を見る者の知識に依存するため統一性がなく,コンピュータにとっては曖昧で解読不能である.逆に,コンピュータが得意とする回路図は,多くの生物学者にとっては難解である.本日は,システム・バイオロジー研究機構(会長:北野宏明氏)により開発されたhuman-readableであり,かつ, machine-readableなGraphical Notationをもとに,それを用いた分子ネットワークマップ及びその作成により明らかとなったロバストなシステム挙動を可能とするネットワーク構造について紹介する.
 
 小田夏奈江(東京医歯大)
1994年 大阪大学医学部医学科卒業
1994年 大阪大学医学部付属病院〜聖路加国際病院はじめ市中病院勤務
2003年 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 難治疾患研究所 分子疫学教室 (社会人入学)
2004年 システム・バイオロジー研究機構 Visiting Researcher
2004年 慶應義塾大学 大学院理工学研究科 「システム生物学者育成プログラム」特別研究員
2005年 同上 助手
●[10:00-11:00]講演2:パスウェイデータベースにおける可視化と相互作用予測
 
 [講演概要]
パスウェイとは,細胞内における遺伝子やタンパク質の相互作用ネットワークを抽象化した概念である.パスウェイを計算機で表現する場合には,遺伝子やタンパク質などの分子をノード,分子間の相互作用をエッジとしたグラフを用いることが多い.ゲノムプロジェクトが進展し,ある生物種が持つ全遺伝子の集合が分かってくると,それらが細胞内でどのように相互作用し,ネットワークを形成するのか,また,その結果どのような機能ができるのかを明らかにするのが次の仕事である.バクテリアでも数千個の遺伝子を持つのでその相互作用ネットワークを単純に考えるとノード数が数千のグラフを見ることになる.これらを可視化して意味のあるものを抽出できるようにする必要がある.また,ゲノムが分かっても全ての遺伝子の機能が分かった訳ではない.本来ネットワーク中でつながって機能を発現するべきところに抜けがある場合もある.このような場合に,機能がよく分かっていない遺伝子の中から対応する遺伝子を探し出す必要もある.本講演では,ネットワークの可視化と遺伝子機能予測による相互作用予測という2つのテーマについて生命ネットワークの解析方法を概説する.
 
 五斗 進(京大)
1994年九州大学工学研究科情報工学専攻博士後期課程修了.博士(工学).同年京都大学化学研究所助手.1999年より同助教授.ゲノムと代謝系のデータベース開発およびデータベースからの遺伝子機能予測に従事.
●[11:00-12:00]講演3:細胞内シグナル伝達系の解明に向けての情報科学的アプローチ
 
 [講演概要]
代謝,細胞分化や神経細胞のシナプス可塑性など生命現象を司る分子機構の解明は生命科学における重要な課題の一つである.分子生物学の技術発展にともない,遺伝子やタンパク質など生命の基本構成要素やそれらの間の局所的な活性・抑制関係は少しずつ理解されつつあるが,究極的には,全ての構成要素が互いにどのように相互作用しあい,その結果として生命活動がなぜ維持されているかという問いに対する答えが求められるであろう.近年,その一つの足がかりとして,生理実験的知見から構成要素間の相互作用を包括的にモデル立て,計算機シミュレーションを通して動的な生命現象を再現・予測・解析しようとする構成論的研究が進められてきている.本講演では,まず,細胞内生化学反応の相互作用に焦点をあて,それを計算機上で擬似的に再現するためにはどのようにモデル化すればよいかについて概説する.次に,このようなモデル化を生理実験データから自動構築するという逆問題に対する我々の試みについて紹介する.この逆問題は,『モデル構造推定』と『パラメータ推定』という2種類の問題に帰着されるが,我々のベイズ推定に基づく解法によればこれらを同時に考慮することができる上,モデルやパラメータの信頼性の定量化や類似したシミュレーション挙動を示すパラメータ空間の可視化まで統一した枠組みで扱うことができる.最後に,いくつかのベンチマークへの適用例を通して,我々の提案手法の有用性を示す.
 
 吉本潤一郎(沖縄科学技術研究基盤整備機構)
1975年生.
2002年9月奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士後期課程修了,博士(工学)を取得.同年10月より(独)科学技術振興機構CREST『脳を創る』研究領域・博士研究員.2004年4月より(独)沖縄科学技術研究基盤整備機構・大学院大学先行研究事業・研究員となり現在に至る.また,2006年4月より奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科・客員助教授を兼任.
 

 
パターン認識・メディア理解アルゴリズムコンテスト

9月7日(木)13:00-15:50[第2イベント会場(A棟1F AB02)]
 [企画概要]
本イベントでは,パターン認識・メディア理解(PRMU)研究専門委員会が行っているアルゴリズムコンテストの本年度入賞者の発表・表彰と,入賞者による自身のアルゴリズムの紹介,ならびにコンテストに関連した研究分野に関する特別講演を実施する.
本コンテストは,PRMU研究専門委員会が,当該研究分野における若手研究者の育成と研究会活動の活性化を目的に,1997年度より秋の大会併催事業として毎年実施しているもので,パターン認識・メディア理解分野における代表的な研究テーマを対象に,これに関する具体的な課題を複数の難易度に分けて設定し,各難易度の課題を解決するためのアルゴリズムを募集している.
募集にあたってはWeb上でサンプル画像データを公開してアルゴリズムを実装したプログラムの提出を求め,このプログラムの処理結果や計算時間等を参考に,審査委員会でアルゴリズムの新規性や性能を審査し,優秀なプログラムを選定している.
ただし応募対象者が若手研究者や学生であることから,アルゴリズムの完璧さや複雑さよりも,若手研究者や学生ならではの素朴なアイデアを積極的に評価する方針を採っている.
 
 司   会:日浦 慎作(阪大)
1993年大阪大学基礎工学部制御工学科飛び級中退,1997年同大大学院博士課程短期修了.同年京都大学リサーチアソシエイト,1999年大阪大学大学院基礎工学研究科助手,2003年同助教授.三次元動画像計測・処理とそのVR・コミュニケーション応用の研究に従事.1993年電気関係学会関西支部連合大会奨励賞,2000年画像センシングシンポジウム優秀論文賞受賞.電子情報通信学会,情報処理学会,日本バーチャルリアリティ学会各会員.博士(工学).
●[13:00-13:05]開会挨拶
 開会挨拶:村瀬  洋(名大)
1980年3月名古屋大学大学院工学研究科修士課程修了.同年 日本電信電話公社(現在NTT)電気通信研究所に入所.1992年6月から1年間米国コロンビア大学客員研究員.その後 NTT基礎研究所特別研究員,同研究所メディア情報研究部長を経て,2003年4月から名古屋大学大学院情報科学研究科メディア科学専攻教授.
工学博士.画像認識,マルチメディア情報処理の研究に従事.
●[13:05-13:15]課題概要説明,審査結果発表
 
●[13:15-13:20]入賞者表彰
 
●[13:20-14:50]入賞者によるアルゴリズム紹介
 
●[14:50-15:50]特別講演:ビデオの切れ目をどう入れる?どう使う?-映像インデクシング技術の動向と応用事例-
 [講演概要]
近年におけるブロードバンドの進展やデジタルビデオなど撮影機器の小型化,PCやHDRの低価格化や携帯プレーヤーの普及に伴い,さまざまな種類の映像を個人が簡単に取得・蓄積・利用することができるようになっている.しかし,映像は時間軸を持った連続メディアであり,言語化しにくい情報を多重に含んでいるため,大量映像からの検索や詳細な内容把握には困難が伴う.
本講演では,映像の構造を解析して索引づけを行う映像インデクシング技術について,その研究動向に関して述べるとともに,物理的特徴解析や意味的解釈,ユーザ教示によるメタデータ生成など最近の研究例を挙げる.また,検索や一覧化をはじめとするさまざまな応用事例に関してデモを交えて紹介し,本技術の可能性について論ずる.
 
 森本 正志(NTT)
1988年京都大学大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了.
同年,日本電信電話(株)ヒューマンインタフェース研究所入所.
1996年米国スタンフォード大学客員研究員.
1997年より3年間,NTT福岡法人部門ソリューションおよびSE育成業務に従事.
2000年NTTサイバーソリューション研究所主任研究員.
2002年より3年間,京都大学情報学研究科知能情報学専攻博士後期課程在籍.
2003年NTTサイバースペース研究所主幹研究員・グループリーダー,その後現職に至る.博士(情報学).画像・楽音・映像などのメディア認識・ハンドリング技術研究開発に従事.
 

 
生体機能センシングシステムの現状とその展開

9月5日(火)9:00-12:00[第3イベント会場(A棟1F A101)]
 [企画概要]
最近の脳神経機能に関する生理学的知見は爆発的進展を見せており,これに伴ってセンシングシステムの開発も新たな展開を見せている.現在のセンシングシステムについての研究の流れは,生体の感覚機能を学び,これをモデル化して工学的に実現する方向と生体自身の細胞を感覚器官に培養するTissue Engineeringの方向がある.本シンポジウムでは,味覚,視覚および聴覚について人工的センサの開発を行なっている立場とこれを使用している立場の先生に講演を願う.まず,お二人の工学系の先生には味覚センサおよび視覚センサについて,その開発から現在の進展までをお話しいただき今後の方向性を示唆していただく予定である.次に,医学系の先生には人工内耳について基本的な機能および最近の手術の動向をお話いただき,併せて実際に装着されている患者さんの経過についてPETでの解析結果をご講演を願う予定である.
 
  司   会:村山 伸樹(熊本大)
 
●[9:00-10:00]講演1:感性バイオセンサの開発
 [講演概要]
本講演では,化学物質を受容して生じる感性であるところの味覚と嗅覚を再現するセンサの開発現状を紹介する.味覚センサは,複数の脂質膜を受容部に持ち,化学物質と膜との相互作用を電圧で取り出し,これらから構成される応答パターンから味(と香り)を識別,数値化する.この世界初のバイオミメティックセンサは,味覚と嗅覚という化学感性に客観的ものさしを提供し,音楽の楽譜に相当する「食譜」の創造を可能ならしめるものである.デジタル化した食情報は,おいしさの定量的議論を可能にし,私たちは味覚と嗅覚を含む五感情報通信技術を手に入れた.時空を超えた食の伝送と再生がおこなえる,新しい食文化の到来である.
また匂いセンサについても,最近,修飾した金属界面と化学物質との相互作用を検出するセンサや,イヌの鼻を超える超高感度センサが開発されつつある.前者は化学物質の部分構造や特徴を認識するマルチチャネル型のセンサであり,感度はppbレベル.後者は,爆薬や麻薬といった単一の化学物質を超高感度でとらえるセンサで,抗原抗体反応とSPR(表面プラズモン共鳴)法を組み合わせることで,感度pptを実現している.本講演では,これらのセンサの創造する世界を概観する.
 
 都甲  潔(九大)
1953年福岡生まれ,以来福岡から一歩も出ず.福岡高校卒,九州大学工学部電子工学科卒,現在,九州大学大学院システム情報科学研究院教授.システム生命科学府,感性融合創造センター兼任.著書に「感性の起源」(中央公論新社),「旨いメシには理由がある」(角川書店),「感性バイオセンサ」(朝倉書店),「Biomimetic Sensor Technology」(Cambridge University Press)など多数.
●[10:00-11:00]講演2:人工視覚:ブレインマシーンインターフェイスのための並列ロボットビジョン
 
 [講演概要]
低消費電力かつコンパクトなハードウエアを用いて実時間画像処理を行うことは,情報化社会の様々な局面で必要とされる重要技術である.従来の視覚システムは,CCD(Charge-Coupled Device)カメラやCMOSイメジャーで撮像された画像を,逐次的にA/D変換しながらホストコンピュータに送り,デジタル直列処理を行う.このアーキテクチャは,視覚情報を力づくで計算するもので,消費電力の増加,ハードウエア規模の拡大という本質的な問題を抱えている.一方生体の視覚系では,個々の素子である神経細胞の応答速度は,トランジスタなどの固体素子に比べ桁違いに遅いにも関わらず,実時間処理が極めて効率よく実行されている.私たちは,この生体視覚系の機能と構造に学んだユビキタス視覚システムを開発し,ロボットビジョンをはじめ,盲人の視覚再建のための移植デバイスなどに応用しようとしている.
 
 八木 哲也(阪大)
1979年3月 名古屋大学理学部物理学科卒業
1981年3月 名古屋大学大学院工学研究科博士課程前期課程情報工学専攻修了
1985年3月 名古屋大学大学院医学研究科博士課程生理系専攻単位取得退学
1985年12月 医学博士(名古屋大学)
1985年4月 岡崎国立共同研究機構生理学研究所研究員
1986年4月 日本学術振興会特別研究員(生理学研究所)
1988年1月 名古屋工業大学工学部機械工学科助手
1990年4月 九州工業大学情報工学部制御システム工学科助教授
2000年4月 九州工業大学大学院生命体工学研究科脳情報専攻助教授
2001年4月 大阪大学大学院工学研究科電子工学専攻教授
2004年11月 大阪大学臨床医工学融合研究教育センター部門長
現在に至る
1988年9月-1990年2月 米国ロックフェラー大学博士研究員
1995年3月-1995年6月 米国ソーク研究所訪問研究員
研究内容:
脳視覚系における計算メカニズムを,電気的および光学的な計測によって調べ,その計算原理を数理モデルによって明らかにする.またそのモデルに基づき,脳のアーキテクチャに学んだ新しい視覚デバイスを設計し,医学的および工学的に応用する.
●[11:00-12:00]講演3:人工内耳による音声言語情報入力とその中枢処理〜ポジトロン断層法による機能解析〜
 
 [講演概要]
ヒトの内耳有毛細胞は再生不能とされているが,人工内耳は蝸牛内に電極を挿入し,直接ラセン神経節細胞(聴神経)を電気刺激することにより,高度感音難聴者に聴覚の再獲得を可能とした画期的医療である.音感は電気刺激により比較的容易に得られるが,言語音の理解を得るためには,母音のフォルマント情報や子音認知のための情報入力が必要である.人工内耳の音声コード化法は,初期の簡素な刺激方式から,同時刺激電極数や刺激頻度を増やすことにより改良され,語音聴取能は改善してきた.しかし,蝸牛コルチ器内に存在する内有毛細胞が約3400個であることと比較すると,人工内耳の最大22個の電極により蝸牛神経に入力される情報は少ないと考えざるを得ない.その少ない情報から言語が認知されることは驚くべきことであり,これには中枢(脳)の働きに負うところが大きいと考えられる.人工内耳装用者の脳活動のポジトロン断層法による解析結果につき述べる.
 
 藤木 暢也(田附興風会医学研究所北野病院)
1987年,京都大学医学部卒業.1994年10月,京都大学医学部耳鼻咽喉科助手.1999年8月より2001年8月まで,ヘルシンキ工科大学低温研究所脳研究部門上級研究員.2002年7月,大津赤十字病院耳鼻咽喉科・気管食道科副部長.2005年4月より,田附興風会医学研究所北野病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科副部長.1999年7月〜9月,京都教育大学発達障害学科非常勤講師.京都大学博士(医学).耳鼻咽喉科専門医.日本気管食道科学会認定医.
 

 
異文化コラボレーションシンポジウム

9月5日(火)13:00-17:30[第3イベント会場(A棟1F A101)]
 [企画概要]
異分野間のコラボレーションは革新的なアイデアや技術を生む可能性を秘めている一方で,成功する確率が極めて低い.
これは,異分野間のコラボレーションでは専門用語の定義が異なったり,問題に対する考え方や取り組み方が異なる場合が多く,結果として議論が噛み合わないことが多いためである.
異分野間(異部門間)の連携が重要な企業では,具体的にどのような問題が起こり,これらをどのように対処しているのであろうか?また,これらの問題をコンピュータ技術を用いて支援,解決することは可能であろうか?
本シンポジウムでは,異分野間のコラボレーションのあり方とその支援技術の発展を考えるために,自動車会社における異部門間のコラボレーションに焦点を当てる.
自動車会社では,マーケティングにより新車のコンセプトを提案する部門やここで提案されたコンセプトを目に見える形にして設計する部門などがあり,これらの部門の連携がうまくいって始めて素晴らしい製品が生まれると考えられる.
そこで本パネル討論会では,自動車会社の現場に詳しい方々をお招きし,これまでの現場において発生した異部門間のコラボレーションの問題点を議論し,解決方法を模索する.
 
 司   会:大平 雅雄(奈良先端大)
1998年京都工芸繊維大学工芸学部電子情報工学科卒業.2000年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科修士課程修了.2003年同大学情報科学研究科博士課程修了.博士(工学).同年同大学産学官連携研究員.2004年より同大学情報科学研究科助手.HCI,CSCW,CSCL等の研究に従事.特に異文化間協調作業支援に興味を持つ.電子情報通信学会,情報処理学会,ACM,IEEE-CS 各会員.
●[13:00-13:40]講演1:言語グリッドプロジェクトの課題
 [講演概要]
独立行政法人 情報通信研究機構では今年度より「言語グリッドプロジェクト」を遂行している.本プロジェクトは,世界中に点在する種々の言語資源や言語処理機能(以下,言語サービス)をWebサービス化し、そのアクセシビリティとユーザビリティをセマンティックWebサービス技術により連携させることを行う。具体的には,国の標準言語に関わる言語資源や言語処理機能(水平型言語グリッド)と異文化コミュニケーションの現場で使われるコミュニティ固有の言語資源や言語処理機能(垂直型言語グリッド)を組み合わせることにより,グローカルな言語インフラを構築できる「言語グリッド」の研究開発を産官学民及び国際連携にて行っている.また本プロジェクトは「言語グリッド」の3年後の実用化を目指す.本講演ではこの言語グリッドの概要と技術的特徴及びその課題を述べる.
 
 灘本 明代(NICT)
民間の研究所をいくつか経験後2002年独立行政法人通信総合研究所(現在NICT)に入所.主に放送と通信のコンテンツ融合及びWeb技術に関する研究に従事後、現在言語グリッドプロジェクトに従事.博士(工学).
 
●[13:40-14:10]講演2:カーデザイナーの用いる言語の理解に向けて
 [講演概要]
本講演では,自動車デザインをケーススタディとし,デザイナーの使う「視覚言語」とその元となるsemanticsとの関係について言及する.現在まで,自動車デザインにおける「視覚言語」の多くはデザイナーの頭の中にnonverbalな情報として存在し,エンジニアなどに対するコミュニケーションの場において,それを無理にverbalな表現を用いて意思疎通を図ろうとするため,その本来のsemanticsが伝わらず,様々な支障を来してきた.そこで,講演では,自動車デザインプロセスの中でもデザイナーの使う「視覚言語」がnonverbalで理解されにくかったコンセプト立案段階,コンフィギュレーション決定段階,造形段階における「視覚言語」抽出研究例を俯瞰し,デザイナの用いる"言語"について概説する.これにより,デザイナー以外の職種の人々に対し,デザイナーの想起するsemanticsとそれを表す視覚言語,統語法との関係の理解を促し,ひいてはデザイナーとの潤滑なコミュニケーションの可能性を示唆する.
 原田 利宣(和歌山大)
1987年九州芸術工科大学(現九州大学)卒業.同年,マツダ株式会社車両設計部入社.1990年千葉大学大学院工学研究科修了.同年,日産自動車株式会社デザイン本部入社,自動車デザイン開発,研究業務に従事.1993〜96年千葉大学大学院自然科学研究科に国内留学.1997 年度和歌山大学システム工学部助教授.2004年度より,同教授.現在に至る.1996 年日本デザイン学会研究奨励賞,グッドデザイン賞,感性工学会出版賞,日本ファジィ知能学会著述賞などを受賞.人工知能学会,日本デザイン学会,情報処理学会会員,感性工学会各会員.
 
●[14:10-14:40]講演3:トヨタデザインにおけるお客様満足度No.1の商品つくり
 [講演概要]
欲しいコンセプトの車が市場になくとも,こんな車が欲しいと言えば次の日に届けられたらこれほど嬉しい事はない.
通常,自動車の開発は全く新しいコンセプトで3から10年,単なるモデルチェンジでも最低1年はかかる.もし1日でこれが出来たら,ユーザーにとってもメーカーにとってもこれ以上素晴らしい事はない.メーカーにすれば,何年も前からどうなるかわからない市場を調査,予測し,売れるかどうかわからない商品のために,高い金型に資金をつぎ込むなど耐えられない.大変なギャンブルだ.数日先の事なら確実に売れる商品を市場の要望を100%織り込んで創る事が出来る.
こんな理想状態に一歩でも近づくために何をどうすべきか.部間での密度の高いコラボレーションが必要である.自動車産業は様々な業種の複合体で普段から意思の疎通が重要である事は言うまでもない.又,良いものを短期間で創ろうという高い意識がそれぞれの部署の最優先事項になっていることが前提で,自部署独自の目標は全体目標より前に出てはならない.
 
 木村  徹(名工大)
1951年生まれ,55才,武蔵野美術大学 造形学部 産業デザイン学科 工芸工業デザイン科卒業後トヨタ自動車に入社,スターレット,ビッツからセンチュリー,レクサスと全てのデザインを担当.特に受賞作品としてはカローラハードトップ,サイノス,カリーナED,AXV III,ソラーカー「TES-K3」は自らオリジナルアイデアを出し,チームではハリアー,アルテッタ,モーターショーモデルPM,FINE-N,i-unit等,多数Gマーク,ゴールデンマーカーショー,その他数々の賞を受賞.公職も日本インダストリアルデザイナー協会理事,Gマーク審査員,等,数多く多岐に渡り活躍.2005年4月から名古屋工業大学大学院 建築・デザイン工学科 教授 現在に至る.
 
●[14:40-15:10]講演4:自動車開発における部門間の壁とブレークスルーについて
 [講演概要]
自動車開発は膨大な費用と時間を必要とし,多数の専門家が参加するビッグプロジェクトである.その為,時には部門間の壁や対立も発生し,それらを乗り越える必要が生じる.講演では専門である「空気力学をベースとしたデザイン開発」を例にとり,「部門間の壁とブレークスルー」について考察する.
概略的には,「デザイン部は求められる要件を満たしつつ魅力的な造形を与える部門」であり,「空力実験部は,空力特性を最適化させることにより,燃費,風騒音,最高速,走行安定性等を向上させる部門」である.この様に両部門は「形に対する責任」と「空力に対する責任」を持っており,かつ「ボディ形状により空力特性は影響される」ので開発中に両部門が対立する場面も何度か出現する.その解決策として,「空力デザインプロジェクト」を立上げ,空気力学を理解したデザイナーの誕生や,風洞実験の回数を減少させる空力数値解析等を導入した.それまでは,空力に興味のないデザイナーが自由に形を決め,その後,風洞テストを多数回行い,細部最適化の手法を用いつつ徐々に空力特性を向上させ,風洞テストに多大の時間と費用を費やしていたので,この新しい試みは部門間の壁をブレークスルーする1つの解決策となった.これらの経験から部門間あるいは「芸術と工学」は相対するものではなく,両立できるものであるという考えに至った.
 
 石井  明(九大)
和歌山県出身.子供の頃,父からプレゼントされたスロットルレーシングカーの美に心より感動し,カーデザイナーになる決心をする.1977年九州芸術工科大学卒業後,マツダ株式会社で外装及び内装デザインを経験後「空力デザインプロジェクト」に参加し,「芸術と工学」の接点に興味を持つ.その後,子供の頃からの夢を実現する為,今回の冬季オリンピック開催地となった北イタリアのトリノに位置する,ジュージアーロ氏率いるイタルデザイン社で10余年をデザイナーとして働き,特にスーパーカー等の超高速車では風洞実験にも参加し,空力をベースとした提案を行う.これらの経験から「芸術と工学は両立する」と確信するに至る.2000年秋に母校の教官として帰国し,2004年から九州大学芸術工学研究院の教員となる.
 
●[15:10-17:30]パネル討論:自動車業界における異部門間のコラボレーション
 司   会:平田 圭二(NTT)
1987年東京大学大学院工学系研究科情報工学専門課程博士課程修了.工学博士.1990〜93年(財)新世代コンピュータ技術開発機構(ICOT).2001年度論文賞,2003年度山下記念研究賞.本会理事.音楽情報処理に興味を持ち,音楽関連分野における異文化コラボレーションを体験する.遠隔コラボレーションt-Roomプロジェクトに取り組み,さらに別分野との異文化コラボレーションも体験中.
 パネリスト:石井  明(九大)
和歌山県出身.子供の頃,父からプレゼントされたスロットルレーシングカーの美に心より感動し,カーデザイナーになる決心をする.1977年九州芸術工科大学卒業後,マツダ株式会社で外装及び内装デザインを経験後「空力デザインプロジェクト」に参加し,「芸術と工学」の接点に興味を持つ.その後,子供の頃からの夢を実現する為,今回の冬季オリンピック開催地となった北イタリアのトリノに位置する,ジュージアーロ氏率いるイタルデザイン社で10余年をデザイナーとして働き,特にスーパーカー等の超高速車では風洞実験にも参加し,空力をベースとした提案を行う.これらの経験から「芸術と工学は両立する」と確信するに至る.2000年秋に母校の教官として帰国し,2004年から九州大学芸術工学研究院の教員となる.
 パネリスト:木村  徹(名工大)
1951年生まれ,55才,武蔵野美術大学 造形学部 産業デザイン学科 工芸工業デザイン科卒業後トヨタ自動車に入社,スターレット,ビッツからセンチュリー,レクサスと全てのデザインを担当.特に受賞作品としてはカローラハードトップ,サイノス,カリーナED,AXV III,ソラーカー「TES-K3」は自らオリジナルアイデアを出し,チームではハリアー,アルテッタ,モーターショーモデルPM,FINE-N,i-unit等,多数Gマーク,ゴールデンマーカーショー,その他数々の賞を受賞.公職も日本インダストリアルデザイナー協会理事,Gマーク審査員,等,数多く多岐に渡り活躍.2005年4月から名古屋工業大学大学院 建築・デザイン工学科 教授 現在に至る.
 
 パネリスト:原田 利宣(和歌山大)
1987年九州芸術工科大学(現九州大学)卒業.同年,マツダ株式会社車両設計部入社.1990年千葉大学大学院工学研究科修了.同年,日産自動車株式会社デザイン本部入社,自動車デザイン開発,研究業務に従事.1993〜96年千葉大学大学院自然科学研究科に国内留学.1997年度和歌山大学システム工学部助教授.2004年度より,同教授.現在に至る.1996年日本デザイン学会研究奨励賞,グッドデザイン賞,感性工学会出版賞,日本ファジィ知能学会著述賞などを受賞.人工知能学会,日本デザイン学会,情報処理学会会員,感性工学会各会員.
 コメンテータ:中西 英之(阪大)
1996年京都大学工学部情報工学科卒業.1998年同大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了.2001年同大学院情報学研究科社会情報学専攻博士課程修了.博士(情報学).同年同専攻助手.2006年より大阪大学大学院工学研究科知能・機能創成工学専攻助教授.HCI, CSCWに興味を持つ.2002年度情報処理学会坂井記念特別賞.2004年度テレコムシステム技術賞.2006年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞.
 

 
音声・マルチモーダル対話記述とその標準化

9月6日(水)9:00-12:00[第3イベント会場(A棟1F A101)]
 [企画概要]
音声・マルチモーダル対話は,近未来のヒューマンインタフェース中核技術として,携帯端末,カーナビ,情報家電からロボット応用まで実現への期待が大きい.一方,音声対話技術は,ディクテーションなどの音声応用システム開発と比較して,統計言語モデル設計などの作業コストに見合うサービスが少ないことが大きな課題となっている.このため,アプリケーション開発者は,語彙と文法を含む対話シナリオ(マルチモーダル対話になることが多い)をタスクごとに記述する必要がある.
対話記述の標準化は,音声対話についてVoiceXMLがWorld Wide Web Consortium (W3C)の場で標準化され,欧米では対話型音声応答(IVR)のサービスを中心に利用されているものの,我国ではあまり普及していない現状がある.また,マルチモーダル対話 (Multi-Modal Interaction;MMI)の記述については,W3CのMMI-WGにおいて標準化へ向けた作業が進行中である.
今回のシンポジウムでは,音声・マルチモーダル対話の記述に焦点をあて,
 (1)産業界の現状
 (2)W3Cを中心とする国際標準化の動向
 (3)国内の対話記述研究と情報処理学会を中心とする標準化への取り組み
を紹介するとともに,標準化の方向を上記三者の統合を見据えてパネル討議する.
 
 司   会:新田 恒雄(豊橋技科大)
1969年東北大学工学部電気工学科卒業.(株)東芝総合研究所,マルチメディア技術研究所を経て,1998年豊橋技術科学大学大学院工学研究科教授.工学博士.音声認識・合成・文字認識,マルチモーダル対話システム,および概念獲得の研究に従事.IEEE,電子情報通信学会,人工知能学会,日本音響学会各会員.
●[9:00-9:30]講演1:音声・マルチモーダル対話記述とその標準化 - 背景と期待
 
 [講演概要]
本講演では,音声応用システムのこれまでの歴史を概説した後,音声対話記述の必要性,我国において標準化が進まない要因,および記述言語に関する今後の展望を述べる.続いて,マルチモーダル対話の特性について概説した後,近未来の応用システムに対する展望,対話記述で考慮しなければならない課題と記述言語標準化への展望を述べる.
 
 新田 恒雄(豊橋技科大)
1969年東北大学工学部電気工学科卒業.(株)東芝総合研究所,マルチメディア技術研究所を経て,1998年豊橋技術科学大学大学院工学研究科教授.工学博士.音声認識・合成・文字認識,マルチモーダル対話システム,および概念獲得の研究に従事.IEEE,電子情報通信学会,人工知能学会,日本音響学会各会員.
●[9:30-10:00]講演2:自動音声応答システム等における音声対話関連技術
 
 [講演概要]
本講演では自動音声応答装置などの音声通信系における,音声認識・合成をはじめとした音声対話関連技術について述べる.初めに音声通信系における音声技術の状況について説明する.次に電話自動応答システムでのコンテンツ開発について述べる.最後にコンテンツ開発における問題点と音声対話関連の標準化に対する期待などを述べる.
 
 甘粕 哲郎(NTT)
1999年東北大学情報科学研究科博士課程前期修了.同年日本電信電話株式会社入社.以来,NTTサイバースペース研究所にて音声認識及び音声合成の応用技術に関する研究に従事.日本音響学会,人工知能学会各会員.
●[10:00-10:30]講演3:W3Cにおける音声・マルチモーダルインタフェースへの取り組み
 
 [講演概要]
World Wide Web Consortium(W3C)では,Web の可能性を最大限に導き出すべく,Webの発展と相互運用性を確保するために必要な各種プロトコルの開発を行なっている.
本講演では,まず,W3Cの組織構成について概説した上で,W3C音声ブラウザワーキンググループおよびマルチモーダルインタフェースワーキンググループで取り組んでいる,音声・マルチモーダル技術を利用した Webアクセスに関する各種仕様策定の動向について説明する.音声・マルチモーダルインタフェース技術は,様々な環境や条件における人々を対象にWebアクセスの利便性を向上させることが可能な,次世代のヒューマンインタフェース技術として期待されている.しかし,携帯端末,カーナビゲーションシステム,情報家電など各種機器を利用した情報アクセス手法は,各開発ベンダごとに異なる部分が大きいのが現状であり,開発やメンテナンスのためのコスト削減という観点からも,各種プロトコルの国際標準化が急務である.
 
 芦村 和幸(W3C/慶大)
1992年京都大学理学部数学科卒業.NTTソフトウェア株式会社,ATR音声翻訳通信研究所,株式会社アルカディア,JST/CREST「表現豊かな発話音声のコンピュータ処理」研究員を経て,2005年より World Wide Web Consortium(W3C)音声ブラウザ担当,2006年よりマルチモーダルインタフェース担当兼務.音声およびマルチモーダルインタフェースによる Web へのアクセスに関する各種仕様策定に従事.電子情報通信学会,日本音響学会各会員.
●[10:30-11:20]講演4:対話記述の研究動向と音声対話技術コンソーシアムにおけるMMI記述言語策定活動の紹介
 [講演概要]
近年,様々な組織や機関でマルチモーダル対話(MMI)記述言語の検討が進められている.音声対話技術コンソーシアム(ISTC)においても2004年にMMI記述言語検討ワーキンググループ(SIG-MMI-WG)を立ち上げ,MMI記述言語の策定作業を進めてきた.SIG-MMI-WGでは,W3Cを中心とする外部機関におけるMMI記述言語の検討状況を踏まえつつ,独自にユースケースの抽出,要求仕様の取りまとめ,6階層モデルに基づくMMIシステムアーキテクチャの提案等を行なってきた.本講演では,最近のMMI記述言語の策定動向を解説するとともに,SIG-MMI-WGでこれまで討議してきた諸事項について3人の講演者が紹介する.
 
 荒木 雅弘(京都工繊大)
1988年京都大学工学部卒業.1993年京都大学大学院工学研究科博士課程研究指導認定退学.京都大学工学部助手.同総合情報メディアセンター講師を経て,現在京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科助教授.音声対話システムおよびマルチモーダル対話記述言語の研究に従事.ACL,ISCA,情報処理学会等各会員.博士(工学).
 
 西本 卓也(東大)
1993年早稲田大学理工学部卒業.1995年同大大学院理工学研究科修士課程修了.1996年京都工芸繊維大学工芸学部助手.2002年東京大学大学院情報理工学系研究科助手.音声対話システム,福祉情報工学,音楽情報処理の研究に従事.電子情報通信学会,日本音響学会,情報処理学会,人工知能学会,ヒューマンインタフェース学会各会員.
 
 桂田 浩一(豊橋技科大)
1995年大阪大学基礎工学部情報工学科卒業.2000年同大学院基礎工学研究科博士後期課程修了.同年豊橋技術科学大学工学研究科助手.博士(工学).マルチモーダル対話,知識処理に関する研究に従事.情報処理学会,AAAI,人工知能学会,日本音響学会,言語処理学会,ヒューマンインタフェース学会各会員.
 
●[11:25-12:00]パネル討論:音声・マルチモーダル対話記述および標準化における課題
 
 [討論概要]
パネルではこれまでの講演を受け,前半は我国の音声対話記述の現状,標準言語VoiceXML2.0が普及しない要因,今後我国が目指すべき方向などについて討議する.また後半は,近い将来増大するマルチモーダル対話応用システムを視野に,対話記述の現状と課題,対話記述言語の標準化への展望と,我国の国際標準化活動貢献などについて討議する.
 
 司   会:新田 恒雄(豊橋技科大)
1969年東北大学工学部電気工学科卒業.(株)東芝総合研究所,マルチメディア技術研究所を経て,1998年豊橋技術科学大学大学院工学研究科教授.工学博士.音声認識・合成・文字認識,マルチモーダル対話システム,および概念獲得の研究に従事.IEEE,電子情報通信学会,人工知能学会,日本音響学会各会員.
 パネリスト:芦村 和幸(W3C/慶大)
1992年京都大学理学部数学科卒業.NTTソフトウェア株式会社,ATR音声翻訳通信研究所,株式会社アルカディア,JST/CREST「表現豊かな発話音声のコンピュータ処理」研究員を経て,2005年より World Wide Web Consortium(W3C)音声ブラウザ担当,2006年よりマルチモーダルインタフェース担当兼務.音声およびマルチモーダルインタフェースによる Web へのアクセスに関する各種仕様策定に従事.電子情報通信学会,日本音響学会各会員.
 パネリスト:甘粕 哲郎(NTT)
1999年東北大学情報科学研究科博士課程前期修了.同年日本電信電話株式会社入社.以来,NTTサイバースペース研究所にて音声認識及び音声合成の応用技術に関する研究に従事.日本音響学会,人工知能学会各会員.
 パネリスト:荒木 雅弘(京都工繊大)
1988年京都大学工学部卒業.1993年京都大学大学院工学研究科博士課程研究指導認定退学.京都大学工学部助手.同総合情報メディアセンター講師を経て,現在京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科助教授.音声対話システムおよびマルチモーダル対話記述言語の研究に従事.ACL,ISCA,情報処理学会等各会員.博士(工学).
 パネリスト:桂田 浩一(豊橋技科大)
1995年大阪大学基礎工学部情報工学科卒業.2000年同大学院基礎工学研究科博士後期課程修了.同年豊橋技術科学大学工学研究科助手.博士(工学).マルチモーダル対話,知識処理に関する研究に従事.情報処理学会,AAAI,人工知能学会,日本音響学会,言語処理学会,ヒューマンインタフェース学会各会員.
 パネリスト:西本 卓也(東大)
1993年早稲田大学理工学部卒業.1995年同大大学院理工学研究科修士課程修了.1996年京都工芸繊維大学工芸学部助手.2002年東京大学大学院情報理工学系研究科助手.音声対話システム,福祉情報工学,音楽情報処理の研究に従事.電子情報通信学会,日本音響学会,情報処理学会,人工知能学会,ヒューマンインタフェース学会各会員.
 

 
マルチメディア,VRの先にあるものは?3Dの次にくるものは?〜3E(=Expected Enhancement of Experiences)が拓く近未来生活〜

9月6日(水)15:30-17:30[第3イベント会場(A棟1F A101)]
 [企画概要]
マルチメディア,ヴァーチャルリアリティ(VR)の領域では,三次元(3D)の情報処理技術など,数々の革新的技術が研究,開発されてきたが,その一方で,世の中の期待ほど実用に至る成果が多くないことも指摘されている.本イベント企画では,次世代のマルチメディア,VRの技術トレンドを探すべく,3Dの次にくるキーワードとして「3E (=Expected Enhancement of Experiences)」の概念を提案する.「3E」は,「ユーザの体験,経験,活動を強化するために期待される技術」を表現する概念である.本オーガナイズドセッションでは,海外の大学におけるプロトタイプ開発事例,「愛・地球博」での大規模展示事例,そして,ユーザの達成感や美意識などのリサーチに関する物語性研究の紹介を通じて,これらの研究成果がいかにしてユーザの体験,経験,活動を強化できたのかを理解する.さらに,3Eの概念を実現する次世代マルチメディア,VRに求められる技術要件を議論し,体験強化型の近未来生活を展望する.
 
 司   会:井原 雅行(NTT)
1994年東工大・修士了.同年,NTTヒューマンインタフェース研究所入所.人間の好みのモデル化,仮想空間共有コミュニケーション,価値観共有の研究等に従事.2002-2003加国New Media Innovation Centerおよびブリティッシュコロンビア大学にて客員研究員.現在NTTサイバーソリューション研究所主任研究員.
ACM,電子情報通信学会,情報処理学会,映像情報メディア学会,画像電子学会各会員.
●[15:30-15:35]開会挨拶
  開会挨拶:全  炳東(千葉大)
●[15:35-16:10]招待講演(1)"Catma", Foolishness and Intuition: Experience Designed?
 
 [講演概要]
In this paper I discuss how interaction aesthetics are important when designing experiences with virtual reality (VR) and multimedia. The interaction aesthetic appeal should include the response, control, reflection and belonging. These are important when creating physical, intellectual, emotional and/or spiritual experiences using interactive multimedia and VR technologies. Swimming Across the Pacific and the Iamascope illustrate how these elements contribute design techniques for creating these experiences.
 
 Sidney Fels(Univ. of British Columbia)
Sidney Fels (Ph.D., 1994, M.Sc. 1990, University of Toronto, BASc, 1988, University of Waterloo) is an Associate Professor at the University of British Columbia where he is recognized as a Distinguished University Scholar. He was a visiting research at ATR Media Integration & Communications Research Laboratories in Kyoto, Japan from 1996 to 1997.
He also worked at Virtual Technologies Inc. in Palo Alto, CA developing the GesturePlus(TM) system and the CyberServer(TM) in 1995.
He is internationally known for his work in human-computer interaction, neural networks, intelligent agents, new interfaces for musical expression and interactive arts with over 100 scholarly publications and exhibitions.
He has been the Director of the Media and Graphics Interdisciplinary Centre (MAGIC) since 2001 and heads the Human Communications Technology laboratory at UBC.
●[16:10-16:45]招待講演(2)ユーザ・エクスペリエンスのための物語性研究
 桐山 孝司(東京芸大)
1991年東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻博士課程修了,工学博士.東京大学人工物工学研究センター,スタンフォード大学設計研究センター,独立行政法人科学技術振興機構,東京大学大学院情報学環を経て現職.創造的な思考の支援を動機として,知識情報処理,インタラクションデザイン,デジタルメディアと物語性などの研究を行っている.
●[16:45-17:20]招待講演(3)来場者参加型ムービーシアター -Future Cast System-
 前島 謙宣(早大)
2002年成蹊大・工卒.2004年同大大学院修士課程修了,
2004年早大大学院博士課程入学,現在に至る.
バーチャルヒューマンの構築に関する研究に従事.
●[17:20-17:30]閉会挨拶
  閉会挨拶:全  炳東(千葉大)
 

 
統計翻訳はどこまで可能か

9月7日(木)9:00-11:20[第3イベント会場(A棟1F A101)]
 [企画概要]
近年,米国を中心に統計翻訳の研究が活発化している.これは,中国語やアラビア語から英語への翻訳需要が高まりと,大規模な対訳コーパスの構築や計算機パワーの進歩により比較的簡単に統計翻訳を試してみることができるようになったことによる.
一方,日本では,90年代に様々な商用翻訳ソフトが開発されたが,規則ベースの機械翻訳(規則翻訳)が主流である.規則翻訳では,翻訳知識を人手で構築する必要があるという問題がある.
このような問題を,機械学習により解決しようとしている統計翻訳であるが,はたして現在の実力は?統計翻訳は規則翻訳を超えることができる(できた)のであろうか?
本企画では,統計翻訳の一線で活躍されている研究者の方に,自身の統計翻訳のシステムについて講演していただき,統計翻訳の現状と将来について会場を含めてパネル討論をする.
 
 司   会:加藤 直人(NHK技研)
1986年早稲田大学理工学部電気工学科卒業.1988年同大学院修士課程修了.同年日本放送協会に入局,同放送技術研究所に勤務.この間,ATR音声翻訳通信研究所,ATR音声言語コミュニケーション研究所に出向.博士(情報科学).機械翻訳,対話処理,音声言語処理,自動要約等の研究に従事.
●[9:00-9:30]講演1:ATRにおける統計翻訳
 隅田英一郎(ATR)
1982 年電気通信大学大学院修士課程修了.
1999 年京都大学工学博士.
現在,ATR音声言語コミュニケーション研究所室長.
NiCT知識創成コミュニケーション研究センター研究マネージャ,神戸大学大学院自然科学研究科連携教授,ATR-Lang取締役副社長兼務.
機械翻訳,eラーニングの研究に従事.
IPSJ,NLP,ASJ,ACL,IEEE の会員,ACM/TSLPのAssociate Editor.
●[9:30-10:00]講演2:NTTにおける統計翻訳
 永田 昌明(NTT)
1987年京都大学大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了.同年日本電信電話株式会社へ入社.1989-1993年ATR自動翻訳電話研究所へ出向.
1999-2000年AT&T研究所客員研究員.現在,NTTコミュニケーション科学基礎研究所に勤務.工学博士.日本語形態素解析,文字認識誤り訂正,自然文検索,統計的機械翻訳などの研究に従事.「音声言語処理-コーパスに基づくアプローチ-」「単語と辞書」「自然言語処理-基礎と応用-」「言語と心理の統計」などを共著.
●[10:00-10:30]講演3:黒橋研における統計翻訳
 黒橋 禎夫(京大)
1994年京都大学大学院工学研究科電気工学第二専攻博士課程修了.博士(工学).2006年4月より京都大学大学院情報学研究科教授.自然言語処理,知識情報処理の研究に従事.情報処理学会1993年度研究賞,同2002年度山下記念研究賞,言語処理学会10周年記念論文賞,同2005年論文賞等を受賞.
●[10:30-11:20]パネル討論"統計翻訳"はどこまで可能か
 司   会:加藤 直人(NHK技研)
1986年早稲田大学理工学部電気工学科卒業.1988年同大学院修士課程修了.同年日本放送協会に入局,同放送技術研究所に勤務.この間,ATR音声翻訳通信研究所,ATR音声言語コミュニケーション研究所に出向.博士(情報科学).機械翻訳,対話処理,音声言語処理,自動要約等の研究に従事.
 パネリスト:黒橋 禎夫(京大)
1994年京都大学大学院工学研究科電気工学第二専攻博士課程修了.博士(工学).2006年4月より京都大学大学院情報学研究科教授.自然言語処理,知識情報処理の研究に従事.情報処理学会1993年度研究賞,同2002年度山下記念研究賞,言語処理学会10周年記念論文賞,同2005年論文賞等を受賞.
 パネリスト:隅田英一郎(ATR)
1982 年電気通信大学大学院修士課程修了.
1999 年京都大学工学博士.
現在,ATR音声言語コミュニケーション研究所室長.
NiCT知識創成コミュニケーション研究センター研究マネージャ,神戸大学大学院自然科学研究科連携教授,ATR-Lang取締役副社長兼務.
機械翻訳,eラーニングの研究に従事.
IPSJ,NLP,ASJ,ACL,IEEE の会員,ACM/TSLPのAssociate Editor.
 パネリスト:永田 昌明(NTT)
1987年京都大学大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了.同年日本電信電話株式会社へ入社.1989-1993年ATR自動翻訳電話研究所へ出向.
1999-2000年AT&T研究所客員研究員.現在,NTTコミュニケーション科学基礎研究所に勤務.工学博士.日本語形態素解析,文字認識誤り訂正,自然文検索,統計的機械翻訳などの研究に従事.「音声言語処理-コーパスに基づくアプローチ-」「単語と辞書」「自然言語処理-基礎と応用-」「言語と心理の統計」などを共著.
 

 
これからが面白いプロセッサアーキテクチャ

9月7日(木)13:00-16:00[第3イベント会場(A棟1F A101)]
 [企画概要]
市販の高性能汎用マイクロプロセッサの多くが,チップに複数のコアを搭載するチップマルチプロセッサの構成を採用するようになっています.
近い将来には,搭載されるコアの数は64,128へと増加することが期待されており,これを実現するための挑戦は多岐にわたります.
また,一方で,クラスタアーキテクチャ,タイルアーキテクチャ,再構成可能な特徴を利用するアーキテクチャなどが活発に議論されており,斬新なアーキテクチャが市場を席巻する可能性も否定できません.
このパネル討論では,主に若手の計算機アーキテクチャ研究者を招待し,研究の魅力を交えながら,プロセッサマイクロアーキテクチャの現在と,未来の姿を大胆に議論します.
※イベント企画の最新情報は下記URLをご覧ください.
http://www.arch.cs.titech.ac.jp/event/fit2006.html
 
 司   会:中村  宏(東大)
1990年東京大学院工学系研究科電気工学専攻博士課程修了.工学博士.1996年より東京大学先端科学技術研究センター助教授.高性能・低消費電力プロセッサのアーキテクチャ,ハイパフォーマンスコンピューティング,ディペンダブルコンピューティング,ディジタルシステムの設計支援などに興味を持つ.
2006年より情報処理学会計算機アーキテクチャ研究会主査.計算機アーキテクチャ分野の研究が今後さらに重要になると信じている.IEICE, IEEE, ACM 各会員.
●[13:00-13:20]講演1:これからが面白いプロセッサアーキテクチャ
 
 [講演概要]
1971年に発表された4004の誕生以来,半導体製造技術とアーキテクチャの進歩によりマイクロプロセッサの性能は劇的に向上した.
しかしながら,消費電力や発熱,配線遅延の問題の緩和や,信頼性や安定性の確保といった新しい要求が生じている.これらの制約を満たしながら,効率的な性能向上を達成することは従来のスーパースカラでは極めて難しい.半導体製造技術の動向を見ると,Mooreの法則として知られるように,チップに集積するトランジスタ数は18から24ヶ月で2倍というペースで増加を続けており,今後も同様のペースで増加すると予測されている.
このため,多数のコアを搭載するチップマルチプロセッサやタイルアーキテクチャなどが次世代のプロセッサアーキテクチャの候補として提案され,実現に向けた研究開発が進められている.これらのアーキテクチャでは,従来の命令レベルの並列性に加えて,プログラムの広範囲に及ぶスレッドレベル並列性の利用を目指す.すなわち,プロセッサアーキテクチャは,大規模な並列処理という挑戦的な時代を迎えようとしている.
本講演では,これから面白くなるプロセッサアーキテクチャの現状と展望を大胆に議論する.
 
 吉瀬 謙二(東工大)
1995年名古屋大学工学部電子工学科卒業.
2000年東京大学大学院情報工学専攻博士課程修了.
同年電気通信大学大学院情報システム学研究科助手.
2006年東京工業大学大学院情報理工学研究科講師.
並列処理,計算機アーキテクチャに関する研究に従事.
情報処理学会,電子情報通信学会,IEEE-CS, ACM各会員.
●[13:20-13:40]講演2:余ってるんなら無駄遣いしましょう
 
 [講演概要]
マルチコアプロセッサに対する注目度と期待が高まっており,数年中に100コアを搭載するチップが登場するとアナウンスされている.しかし,複数のコアを利用するプログラムをどのようにして作成するのか,という疑問には未だ模範解答が無い.そもそも,100コアを必要とする利用状況がどのようなものであるのかすら提示されていない.本講演では性能向上のほかの観点から,マルチコアプロセッサの可能性を考えてみたい.
 
 佐藤 寿倫(九大)
1989年,京都大学工学部卒.1991年,同大学大学院工学研究科修士課程了.同年,株式会社東芝入社.ULSI研究所においてマルチプロセッサアーキテクチャ,および消費電力見積り手法の研究に従事.1996年よりマイクロエレクトロニクス技術研究所に所属し,組み込み用マイクロプロセッサの開発に従事.九州工業大学情報工学部知能情報工学科助教授を経て,現在,九州大学システムLSI研究センター教授.
●[13:40-14:00]講演3:マルチスレッドで次を占うと
 
 [講演概要]
チップ上に複数の汎用プロセッサコアを集積したマルチコアプロセッサが既に市販されるようになり,今後もそのコア数が増えていくものと期待される.コアの数が増えれば1つのチップの処理能力が増大するが,その増大した処理能力をプログラムの実行性能向上につなげる方法は一つではない.一般的にはマルチコアプロセッサ上でプログラムの実行性能を向上させるためにはプログラムをマルチスレッド化することが必要と考えられるが,これとは別の見方としてマルチコア化により増大した処理能力の一部を実行の効率化に使うことで性能向上を達成するという方法も考えられる.
本講演では,プログラムのマルチスレッド実行による高速化についていくつかの姿を描きマルチコアプロセッサの可能性について予想する.
 
 大津 金光(宇都宮大)
東京大学理学部情報工学科,同大学院理学系研究科を経て宇都宮大学工学部情報工学科助手となり現在に至る.
学生の頃,旧電総研にてSIGMA-1なるデータフロー計算機の実物を見て感激したのが始まりでこの分野に入ったが,それが良かったのか悪かったのかよく分からない.
共有バス共有メモリ型並列計算機お茶の水1号の開発やマルチスレッドプロセッサアーキテクチャの研究を行なうなど計算機システムの高性能化に大きな関心を寄せる.
最近はバイナリ変換処理や実行時最適化方面の研究に寄り道中.
●[14:00-14:20]講演4:128コア,面白いけど作れるの?使えるの?売れるの?
 
 [講演概要]
「マルチコア」が大流行している.どこへ行っても「マルチコア」というキーワードを耳にする.実際,組込みシステムでは,複数のエンジンを搭載したヘテロジニアスなマルチコア構成が古くから採用されていた.また,近年では汎用プロセッサ・チップにおいてもCMP構成が主流となっている.さらには,用途を特化してはいるものの,百程度のコアを搭載したLSIも製品化されている.はたして,今後も大量のトランジスタを「コアの数を増やす」ために使うのが得策なのであろうか?
本講演では,様々な観点から,「数百のコアを搭載したメニーコア」の利点/欠点を議論する.
(でも,最後に「アーキテクチャ研究は面白い」事を主張する!)
 
 井上 弘士(九大)
1971年福岡にて生まれる.1996年九州工業大学大学院情報工学研究科修士課程修了.同年,横河電機(株) に入社するも9ヶ月たらずで退社.1997年より九州大学大学院システム情報科学研究科に入学し,高性能/低消費電力メモリ・システムに関する研究に従事.在学中,1年間ほど米国Halo LSI Design & Device Technology, Inc. へ武者修行に行く.2001年に運よく博士号を取得し,同年,福岡大学工学部電子工学科助手に.2004年9月より九州大学助教授,現在に至る.ずっとアーキテクチャ研究一筋.
●[14:20-14:40]講演5:ソフトウェアもおもしろいこれからのプロセッサアーキテクチャ
 
 [講演概要]
近年,Intelをはじめとする多くのCPUベンダがマルチコアプロセッサを市場に投入している.現在のところ,多くのCPUが持つコアは二つであるが,近い将来,一つのCPUに数十から100を越えるコアが搭載されるmany coreの時代が来ると言われている.しかしながら,これらの多数のコアを一般のプログラマあるいはユーザが意識しながら使いこなすのは現実的ではなく,ソフトウェアによる自動的かつ効率的なmany coreの利用が望まれる.そのためには,ソフトウェアとハードウェアの協調動作によるシステム構築がこれまで以上に重要となる.本講演では,特にコンパイラに着目してマルチコアを利用するソフトウェア技術に関するこれまでの取り組みを紹介し,今後のmany core時代に対する課題を述べる.
 
 木村 啓二(早大)
2001年早稲田大学大学院理工学研究科電気工学専攻博士課程修了.博士(工学).2005年同大コンピュータ・ネットワーク工学科助教授.今に至る.マイクロプロセッサ,特にマルチコアプロセッサのアーキテクチャとソフトウェアの研究に従事.特に,コンパイラとアーキテクチャの協調によるマルチコア方式の研究に興味を持つ.
●[14:40-15:00]講演6:メディア処理で128コアを使い倒そう
 
 [講演概要]
画像の圧縮伸長や認識などのメディア情報処理は,演算性能に対する要求が急昇する一方で,機器の携帯性維持のためには低消費電力であること,また開発期間短縮や保守性向上のためには高いプログラマビリティが必要であり,こうした高演算性能,低消費電力,そして高プログラマビリティといった相反する3つの要求をバランスよく満足できる現実的なアーキテクチャ解が,実はメニーコア・マルチプロセッサである.本講演では,既に百を超えるプログラマブル・コアを集積したメディア処理向けの商用例を幾つか紹介しつつ,他分野への展開をも含めた今後の技術展望を紹介する.
 
 京  昭倫(NEC)
1987年東京大学・工・精密機械工学卒.1989年同大学院修士課程修了,同年NEC入社.2004年同大学院博士課程修了,博士(工学).
現在NECメディア情報研究所主任研究員.1994〜1995年オランダ・デルフト工科大学訪問研究員.並列プロセッサアーキテクチャ,並列アルゴリズム,コンパイラ技術,そして画像認識処理技術等に関する研究開発に従事.高並列アレイプロセッサによるスケーラブル・メディア処理の可能性追求が現在の主要研究テーマ.1997年画像センシングシンポジウム論文賞受賞.情報処理学会,IEEE各会員.
●[15:00-15:20]講演7:コアの数なんてどうでもいい
 
 [講演概要]
最近,1チップに複数のコアを搭載するマルチコアが市販されており,将来には,64〜128コアを集積したメニーコアを期待する向きもある.しかし,1チップに10を超えるコアが集積されることはないと予想する.その理由は2つ:
まず第一に,コア間の通信にかかるサイクル数が,マルチチップからなるマルチプロセッサの時代よりむしろ増加する傾向にあり,マルチコアならではの利点を見出しにくい;
第二に,メニーコアでは,製造ばらつきからくる歩留まりの低下と主記憶のバンド幅の不足の問題を解決できない.
したがって,微細化に伴っては,チップ・サイズを小さくすることが正解であり,チップに集積可能なコアの数などを強く意識しない,従来どおりの研究が重要であると考える.
 
 五島 正裕(東大)
1968年生.1992年京都大学工学部情報工学科卒業.1994年同大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了.同年より日本学術振興会特別研究員.1996年京都大学大学院工学研究科情報工学専攻博士後期課程退学,同年より同大学工学部助手.1998年同大学大学院情報学研究科助手.2005年東京大学情報理工学系研究科助教授,現在に至る.高性能計算機システムの研究に従事.博士(情報学).2001年情報処理学会山下記念研究賞.2002年同学会論文賞受賞.IEEE会員.
●[15:20-16:00]パネル討論:これからが面白いプロセッサアーキテクチャ
 
 [討論概要]
新進気鋭の計算機アーキテクトの講演を受け,各人の見解に共通する研究の方向性と本質的な課題を整理し,見解の相違を超えて我々が解決すべきプロセッサアーキテクチャにおけるGrand Challengeをまとめる.
 
 司   会:中村  宏(東大)
1990年東京大学院工学系研究科電気工学専攻博士課程修了.工学博士.1996年より東京大学先端科学技術研究センター助教授.高性能・低消費電力プロセッサのアーキテクチャ,ハイパフォーマンスコンピューティング,ディペンダブルコンピューティング,ディジタルシステムの設計支援などに興味を持つ.
2006年より情報処理学会計算機アーキテクチャ研究会主査.計算機アーキテクチャ分野の研究が今後さらに重要になると信じている.IEICE, IEEE, ACM 各会員.
 パネリスト:井上 弘士(九大)
1971年福岡にて生まれる.1996年九州工業大学大学院情報工学研究科修士課程修了.同年,横河電機(株) に入社するも9ヶ月たらずで退社.1997年より九州大学大学院システム情報科学研究科に入学し,高性能/低消費電力メモリ・システムに関する研究に従事.在学中,1年間ほど米国Halo LSI Design & Device Technology, Inc. へ武者修行に行く.2001年に運よく博士号を取得し,同年,福岡大学工学部電子工学科助手に.2004年9月より九州大学助教授,現在に至る.ずっとアーキテクチャ研究一筋.
 パネリスト:大津 金光(宇都宮大)
東京大学理学部情報工学科,同大学院理学系研究科を経て宇都宮大学工学部情報工学科助手となり現在に至る.
学生の頃,旧電総研にてSIGMA-1なるデータフロー計算機の実物を見て感激したのが始まりでこの分野に入ったが,それが良かったのか悪かったのかよく分からない.
共有バス共有メモリ型並列計算機お茶の水1号の開発やマルチスレッドプロセッサアーキテクチャの研究を行なうなど計算機システムの高性能化に大きな関心を寄せる.
最近はバイナリ変換処理や実行時最適化方面の研究に寄り道中.
 パネリスト:吉瀬 謙二(東工大)
1995年名古屋大学工学部電子工学科卒業.
2000年東京大学大学院情報工学専攻博士課程修了.
同年電気通信大学大学院情報システム学研究科助手.
2006年東京工業大学大学院情報理工学研究科講師.
並列処理,計算機アーキテクチャに関する研究に従事.
情報処理学会,電子情報通信学会,IEEE-CS, ACM各会員.
 パネリスト:木村 啓二(早大)
2001年早稲田大学大学院理工学研究科電気工学専攻博士課程修了.博士(工学).2005年同大コンピュータ・ネットワーク工学科助教授.今に至る.マイクロプロセッサ,特にマルチコアプロセッサのアーキテクチャとソフトウェアの研究に従事.特に,コンパイラとアーキテクチャの協調によるマルチコア方式の研究に興味を持つ.
 パネリスト:京  昭倫(NEC)
1987年東京大学・工・精密機械工学卒.1989年同大学院修士課程修了,同年NEC入社.2004年同大学院博士課程修了,博士(工学).
現在NECメディア情報研究所主任研究員.1994〜1995年オランダ・デルフト工科大学訪問研究員.並列プロセッサアーキテクチャ,並列アルゴリズム,コンパイラ技術,そして画像認識処理技術等に関する研究開発に従事.高並列アレイプロセッサによるスケーラブル・メディア処理の可能性追求が現在の主要研究テーマ.1997年画像センシングシンポジウム論文賞受賞.情報処理学会,IEEE各会員.
 パネリスト:五島 正裕(東大)
1968年生.1992年京都大学工学部情報工学科卒業.1994年同大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了.同年より日本学術振興会特別研究員.1996年京都大学大学院工学研究科情報工学専攻博士後期課程退学,同年より同大学工学部助手.1998年同大学大学院情報学研究科助手.2005年東京大学情報理工学系研究科助教授,現在に至る.高性能計算機システムの研究に従事.博士(情報学).2001年情報処理学会山下記念研究賞.2002年同学会論文賞受賞.IEEE会員.
 パネリスト:佐藤 寿倫(九大)
1989年,京都大学工学部卒.1991年,同大学大学院工学研究科修士課程了.同年,株式会社東芝入社.ULSI研究所においてマルチプロセッサアーキテクチャ,および消費電力見積り手法の研究に従事.1996年よりマイクロエレクトロニクス技術研究所に所属し,組み込み用マイクロプロセッサの開発に従事.九州工業大学情報工学部知能情報工学科助教授を経て,現在,九州大学システムLSI研究センター教授.
 

 
オープンソースソフトウェアの教育活用

9月5日(火)9:00-12:00[第4イベント会場(A棟2F A202 )]
 
●[9:00-9:10]開会のご挨拶
  総合司会・開会挨拶:佐々木 整(拓殖大)
●[9:10-9:30]講演1:OSS普及推進政策について
 田代 秀一(情報処理推進機構)
1987年筑波大学大学院博士課程工学研究科終了.工学博士.
同年 通商産業省工業技術院電子技術総合研究所(現 産業技術総合研究所)入所.2001年,独立行政法人産業技術総合研究所へ組織変更.
2002年4月〜2005年3月,経済産業省商務情報政策局情報処理振興課課長補佐を兼務.2006年1月より独立行政法人情報処理推進機構オープンソースソフトウェア・センターセンター長.
●[9:30-9:50]講演2:初等中等教育における教育利用の現状
 飯尾  淳(三菱総研)
1970年生.1994年東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程修了.同年(株)三菱総合研究所入社.画像処理ライブラリの開発とその応用システムに関する研究を遂行する一方で,オープンソースソフトウェアの技術開発,普及啓発,振興施策に関する調査研究活動に従事.電子情報通信学会,情報処理学会,ヒューマンインタフェース学会,各会員.
●[9:50-10:10]講演3:高等教育におけるOSS教育利用とコミュニティ活動
 志子田有光(東北学院大)
1985年東北学院大学工学部卒業
1989年東北学院大学大学院工学研究科修士修了
1989年岩手医科大学物理学教室助手
2002年東北学院大学工学部物理情報工学科助教授
東北学院大学産学連携推進センタ副センター長、KNOPPIX教育利用研究会事務局
長、Linuxの教育現場への普及を目指し、統合型IT教育教材KNOPPIX Eduシリーズ
を提案、普及に努める。IEEE、電気学会等所属
●[10:10-10:30]講演4:OSSコミュニティから見た教育市情
 鎌滝 雅久(OpenOffice.org日本ユーザ会)
1958年生まれ.出版・チケットサービスを手掛けるぴあ株式会社を経て,1994年よりフリー.演劇からITまで幅広く執筆活動を行う.2002年,OpenOffice.org 日本ユーザー会参加.2004年,「OpenOffice.org オフィシャルユーザーズガイド」,2005年,「オープンガイドブック OpenOffice.org 2.0」「OpenOffice.org 2.0 完全攻略ガイド」の執筆陣に参加.他に「UNIX USER」2005年6月号から11月号まで,OpenOffice.org Baseの連載を持つ.
●[10:45-12:00]パネル討論:どうやってOSS教育利用のエコサイクルをまわすか
 司   会:千葉 大作(アルファシステムズ)
東京工業大学大学院総合理工学研究科修士課程修了.
株式会社アルファシステムズにて,オープンソースソフトウェアに関する研究開発,および,ビジネス企画を推進している.
「学校教育現場におけるオープンソースソフトウェア活用に向けての実証実験」,「KNOPPIXの高速化」,「Open School Platform」等のプロジェクトリーダー.
KNOPPIX教育利用研究会事務局幹事.
 パネリスト:飯尾  淳(三菱総研)
1970年生.1994年東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程修了.同年(株)三菱総合研究所入社.画像処理ライブラリの開発とその応用システムに関する研究を遂行する一方で,オープンソースソフトウェアの技術開発,普及啓発,振興施策に関する調査研究活動に従事.電子情報通信学会,情報処理学会,ヒューマンインタフェース学会,各会員.
 パネリスト:鎌滝 雅久(OpenOffice.org日本ユーザ会)
1958年生まれ.出版・チケットサービスを手掛けるぴあ株式会社を経て,1994年よりフリー.演劇からITまで幅広く執筆活動を行う.2002年,OpenOffice.org 日本ユーザー会参加.2004年,「OpenOffice.org オフィシャルユーザーズガイド」,2005年,「オープンガイドブック OpenOffice.org 2.0」「OpenOffice.org 2.0 完全攻略ガイド」の執筆陣に参加.他に「UNIX USER」2005年6月号から11月号まで,OpenOffice.org Baseの連載を持つ.
 パネリスト:志子田有光(東北学院大)
1985年東北学院大学工学部卒業
1989年東北学院大学大学院工学研究科修士修了
1989年岩手医科大学物理学教室助手
2002年東北学院大学工学部物理情報工学科助教授
東北学院大学産学連携推進センタ副センター長、KNOPPIX教育利用研究会事務局
長、Linuxの教育現場への普及を目指し、統合型IT教育教材KNOPPIX Eduシリーズ
を提案、普及に努める。IEEE、電気学会等所属
 パネリスト:田代 秀一(情報処理推進機構)
1987年筑波大学大学院博士課程工学研究科終了.工学博士.
同年 通商産業省工業技術院電子技術総合研究所(現 産業技術総合研究所)入所.2001年,独立行政法人産業技術総合研究所へ組織変更.
2002年4月〜2005年3月,経済産業省商務情報政策局情報処理振興課課長補佐を兼務.2006年1月より独立行政法人情報処理推進機構オープンソースソフトウェア・センターセンター長.
 

 
リコンフィギャラブルLSI最前線

9月5日(火)13:00-17:30[第4イベント会場(A棟2F A202 )]
 [企画概要]
世の中では,ハードウェアは「硬いもの」,ソフトウェアは「柔らかいもの」というのが常識であろう.従来のハードウェアは,いったん設計・製作してしまうと変更が難しい.ところが,FPGAに代表される何時でも何処でもカスタム化できる,「柔らかいハードウェア」とも呼べるリコンフィギャラブルロジックデバイス(RLD)の登場によって状況が変わろうとしている.最近では,FPGAなどの汎用リコンフィギャラブルデバイスが益々発展を遂げる一方,動的リコンフィギャラブルプロセッサを代表とする新しいデバイスが登場し始め,リコンフィギャラブルLSIはいよいよ本格的利用の時代に突入しつつある.
本チュートリアルでは,このハードウェア・ソフトウェアという仕分けを超えた新しい統合的なプラットフォームとしてのリコンフィギャラブルLSIについて概説するとともに,電子情報通信学会RECONF研究会が総力を上げて編集したテキスト「リコンフィギャラブルシステム」発刊(2005年)後に姿を現してきた新たなリコンフィギャラブルLSIについて開発者をお招きして解説いただき,リコンフィギャラブルLSI最前線を俯瞰する.
 
 司   会:末吉 敏則(熊本大)
1976年九大・工・情報卒.1978年同大学院修士課程了.同年九大・工・助手.同大学院助教授,九工大助教授を経て,1997年熊大・工・教授.2006年改組により同大学院自然科学研究科情報電気電子工学専攻教授.工博.現在,電子情報通信学会リコンフィギャラブルシステム研究専門委員会委員長,同コンピュータシステム研究専門委員会副委員長,特定非営利活動法人FPGAコンソーシアム理事長.電子情報通信学会,情報処理学会,電気学会,IEEE各会員.
●[13:00-13:30]講演1:リコンフィギャラブルLSI総論
 
 [講演概要]
アプリケーションに合わせてハードウェア構成を適応的に変更できるリコンフィギャラブルLSI は,高い柔軟性と性能を兼ね備える手段として大きな期待が寄せられている.リコンフィギャラブルLSIは,論理ブロックあるいは基本セルに実装可能な回路規模の尺度,すなわち粒度(granularity)の違いによって細粒度方式と粗粒度方式とに分けられる.細粒度方式は,従来のFPGAの構成要素と同じルックアップテーブル(LUT)等を用いており,任意の回路を実装できる.しかし,デジタル信号処理等でよく使われる演算回路をLUTで構成した場合,実装面積が大きく,速度も遅い.一方,粗粒度方式はALUなどの演算回路を最小構成としているため,演算処理の多いアプリケーションには向いているが,演算器間のグルー・ロジックでオーバヘッドが生じる.本講演では,ベンチャー企業のみならず大手各社からも姿を現し始めてきている各種リコンフィギャラブルLSI について全体像を概説する.
 
 末吉 敏則(熊本大)
1976年九大・工・情報卒.1978年同大学院修士課程了.同年九大・工・助手.同大学院助教授,九工大助教授を経て,1997年熊大・工・教授.2006年改組により同大学院自然科学研究科情報電気電子工学専攻教授.工博.現在,電子情報通信学会リコンフィギャラブルシステム研究専門委員会委員長,同コンピュータシステム研究専門委員会副委員長,特定非営利活動法人FPGAコンソーシアム理事長.電子情報通信学会,情報処理学会,電気学会,IEEE各会員.
●[13:30-14:15]講演2:DAPDNA-IMSの性能と開発環境(コンパイラ)
 
 [講演概要]
DAPDNA-IMSは,富士通製90nmプロセス上に1500万ゲート相当を集積化したダイミックリコンフィギュラブルプロセッサである.特に,マルチファンクション・プリンタに代表されるOA機器の市場向けにターゲットを合わせた量産チップである.内部バス構成は,16ビット化を行い,PEマトリックスのクロック周波数を200MHzに上げて画像処理関係のデータ処理効率向上を図った.トータルのPE数は955個(DAPDNA-2のPE換算方式にて換算)と大幅に並列演算数を増加させた.PEを高効率化することで,フィードバックループ時のディレイを抑えた.また,データ処理同期機構,JPEG向けハフマンデコード処理等の特殊処理を専用PEとして内蔵した.外部メモリは,高速時266MHzのDDR2 SDRAMを実装してメモリバンド幅を更に向上させた.DAP(CPU)もパイプラインの段数を6段に上げて,マルチCPU化を図り266MHz動作を実現した.
 
 佐藤 友美(アイピーフレックス)
1983年茨城大学工学部卒業.1983年日立電線エンジニアリング株式会社,1988年ブイ・エム・テクノロジー株式会社,1993年ジー・シー・テクノロジー株式会社,1995年株式会社グラフィックス・コミュニケーション・ラボラトリーズ,1997年アスキー株式会社,1998年パシフィックデザイン株式会社,2000年アイピーフレックス株式会社設立,取締役副社長兼CTO就任,現在に至る.電子情報通信学会リコンフィギャラブルシステム研究会副委員長,IEEE会員.
●[14:15-15:00]講演3:デジタルメディア向け再構成型プロセッサFE-GA
 
 [講演概要]
組込みシステム用SoC(System on a Chip)に搭載するアクセラレータとして開発した動的再構成プロセッサ,フレキシブル・エンジン(FlexibleEngine/Generic ALU array,FE-GA)を紹介する.組込みシステム用SoCは低コストであることが強く求められるため,FE-GA開発においては,小面積であることを主眼に置いたアーキテクチャとした.具体的には,演算系として,動的に機能を変更可能な演算器を二次元配列状に接続した演算セル・アレイ,自由度の高い内部データ転送を可能とするクロスバ・ネットワーク,多バンクの演算用ローカル・メモリを組み合わせた.また,構成情報の2レベルの階層記憶とバックグラウンド転送,および自律的に動作するシーケンス制御を可能とする制御系を備えた.これらにより,90nmプロセスによる設計で4.5mm2と,高性能と小面積の両立に成功した.
 
 伊藤 雅樹(日立)
1987年京都大学工学部情報工学科卒業.1989年同大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了.同年,(株)日立製作所中央研究所に入社.論理DAシステムの研究・開発に従事.1997-98年カリフォルニア大学アーバイン校客員研究員.以降,C言語を用いたシステムレベル設計手法,リコンフィギュラブル・プロセッサの研究・開発に従事.情報処理学会,IEEE各会員.
 
●[15:00-15:15]休息(15分)
 
●[15:15-16:00]講演4:Flex Power FPGA
 
 [講演概要]
トランジスタの微細化スケーリングに伴い,漏れ電流に起因する静的消費電力の増大が大きな問題となってきている.柔軟な論理回路実現のために冗長なトランジスタを数多く必要とするFPGAにおいて,静的消費電力の問題はより深刻である.我々は,FPGAの静的消費電力を最小化する手法として,FPGAを構成するトランジスタのしきい値電圧を電気的にコントロールし,きめ細かくプログラム可能とした低消費電力FPGA「Flex Power FPGA ((FP)2GA)」を提案し,これまでに,(1)既存デバイス(バルクMOS)および将来デバイス(ダブルゲートMOS)を使用した内部回路の検討,(2)制御粒度などのFlex Power FPGAアーキテクチャの検討,(3)LSI試作サービスによる実験チップの設計・試作,(4)クリティカルパス上のデバイスのしきい値を適切に割り当てるパワーマッピングCADソフトウェアの開発などを進めてきてた.本発表では,これらの研究について紹介する.
 
 小池 汎平(産総研)
1984年東大・工・電子卒.1989年同大学院・工・情報・博士課程単位取得退学.同年同大・工・助手.1991年同講師.1996年同助教授.この間1994年より1996年までマサチューセッツ工科大学客員研究員.1996年通産省工業技術院電子技術総合研究所入所.現在,産業技術総合研究所エレクトロニクス研究部門エレクトロインフォマティクスグループ長.工学博士.並列処理ハードウェア・ソフトウェアの研究,リコンフィギュアラブルチップの研究,先端デバイスのモデリング・応用回路技術の研究などに従事.
●[16:00-16:45]講演5:VGLC(Variable Grain Logic Cell)アーキテクチャRLD
 
 [講演概要]
従来のRLD(Reconfigurable Logic Device)に見られるアーキテクチャは,論理ブロックで扱う入力粒度の違いにより,細粒度方式と粗粒度方式の2種類に大別できる.しかし,実装するアプリケーションには,処理の内容に応じて,細粒度方式と粗粒度方式それぞれに適したものが存在するため,粒度が固定された既存のRLDを,汎用目的で使用することは難しい.結果として,使用するデバイスが実装するアプリケーションの種類を制限しているのが現状である.そこで我々は,両方の粒度方式の特徴を組み合わせた粒度可変構造論理セル(VGLC:Variable Grain Logic Cell)アーキテクチャを提案している.提案論理セルでは,論理ブロック毎に入力粒度の切り替えを行うことで,アプリケーションに左右されることなく,高い面積効率と動作速度の両立が期待できる.本講演では,提案セルの概略と共に評価結果を示し,その有効性について述べる.
 
 尼崎 太樹(熊本大)
2000年九州工業大学情報工学部制御システム工学科卒業.2002年同大大学院情報工学研究科博士前期課程修了.2002年から2005年までNECマイクロシステム(株)にてアナログコア開発・設計に従事.現在,熊本大学大学院自然科学研究科博士後期課程在学中.次世代リコンフィギャラブルロジックデバイスの研究に興味を持つ.情報処理学会会員.
●[16:45-17:30]講演6:マトリックス構造の細粒度超並列SIMDプロセッサ
 
 [講演概要]
デジタル家電機器の進展やブロードバンドネットワークの拡大により,画像・動画・音声などのデータ処理量の拡大や,個体認証やコンテンツ検索処理のために,マルチメディアデータの飛躍的な処理性能の向上が要求されている.これらのマルチメディア信号処理を,低消費電力と低コストを維持しながら,より高速に処理を"柔軟"に実行するために,従来のDSPとは異なるアーキテクチャのプロセッサの研究に取り組み,ハードワイヤードロジック相当の性能とプログラマビリティを両立させた新構造のプログラマブルデバイスを開発した.このプロセッサはデジタルコンシューマ分野で多用されるフィルタリング処理,フーリエ処理,マトリックス演算,ソーティング,イメージ処理等を,これらの処理に適した新しいアーキテクチャとして,マトリックス構造の細粒度超並列SIMD構造を基本として実現する.本講演では,プログラマブルデバイスでありながら小面積かつ高い演算処理エネルギー効率を実現するハードウエア構成と超並列処理を効率的に実行するプログラミングのためのソフトウエア構成を中心に紹介する.
 
 有本 和民(ルネサステクノロジ)
1979年大阪大学基礎工電気,1981年同修士卒.1981年三菱電機(株)入社.以後,ダイナミックRAM設計,システムLSIのIP開発(機能メモリ,通信インターフェース,プログラマブルデバイス等),SOI回路設計に従事.2003年(株)ルネサステクノロジに転籍.現在,システムソリューション統括本部,システムコア技術統括部 副統括部長.電子情報通信学会会員.IEEEシニアメンバー.工学博士.
 

 
頑張れ日の丸テクノロジー

9月6日(水)9:00-12:00[第4イベント会場(A棟2F A202)]
 
 [企画概要]
我が国は技術立国を標榜しているにも関わらず,テクノロジー分野,特にIT関連技術において,米国はもとより韓国や台湾などの新興勢力の後塵を拝していると感じている人が多いと思われます.それはある面では真実ですが,だからと言って悲観的になる必要は全くありません.日本には世界でトップレベルのものすごい技術を持っている企業や,他の誰も思いつかない大きな夢を追って元気に頑張っている技術者がまだまだ沢山いるのです.
本企画では,
 1)若者文化の必須アイテムとなった携帯音楽端末を支える職人技術
 2)これからの物流,消費生活に大変革をもたらすであろう世界最先端ICタグ
 3)深宇宙探索で大きな成果をあげている日本の誇る世界最大級の望遠鏡「すばる」を支えるセンサ技術
 4)ロボット技術の実用化で最先端を走っているパワーアシストスーツ
という4つの異なる分野のトップランナーの方々をお招きし,技術に賭ける熱い想いを余すことなく語っていただきます.
聴講される方,特に日本の若い研究者の皆様が大いに刺激を受け研究に取り組むエネルギーが倍化されることを期待します.
 
●[9:00-9:05]講演会主旨説明
  司会・主旨説明:梶原 信樹(NEC)
 
●[9:05-9:45]講演1:iPodのきれいなボディを支える職人の技
 小林 一夫(小林研業)
1943年新潟県生まれ.男ばかり5人兄弟の長男として,7代続いた農家を継承する.趣味は,「環境にやさしい農業」を楽しむこと.根っからの負けず嫌いと意地張り.
<中卒>
貧しい農家であったことと,5人兄弟の生活と,弟達の進学を優先させるために,自ら進学をあきらめ,団体職員として就職の道を選んだ.
<脱サラと開業>
自分の腕一本で全てが決まる研磨業に魅力を感じ,6年余り努めた団体職員を自ら退職し,経験者2名と家庭生活用品・ハウスウェアの研磨業を開業する.ホワイトカラーからブルーカラーへの転身で,発足当事は苦労の連続であった.運転資金も底を尽き,取引のある親会社の社長に頭を下げ,銀行借入の連帯保証をお願いして,苦境を乗り越えたりもした.
その後,2〜3年で工場は軌道に乗り出し,ハウスウェアはもとより,魔法瓶・3層鋼耐熱鍋・ゴルフ製品・照明部品・自動車部品・美術工芸品など,受注は多岐に渡り,業況堅調に維持し,特にバブル期景気のあおりを受けた1990年頃からは,特注品の特殊加工を武器に,売上は順調に推移した.
<苦境とチャレンジ精神>
1998年.創業以来30年間も取引してきた地元大手主力メーカーの部門閉鎖に伴い,受注額の大半を失い,最大のピンチを迎える.思考錯誤の末,家庭生活用品中心の体制から,各種工業部品関係の特殊研磨に進路変更.高レベルの鏡面処理などの特殊加工を強みとして,定評を博した.一方で,アルミニューム・チタン・マグネシウムなど新素材の金属研磨の意欲的に取り組み,IT部品,ハイテク分野,医療部品なども手掛け,業界内の先駆者として日々挑戦を続けている.
●[9:45-10:25]講演2:世界最先端超小型ICタグチップ「ミューチップ」の開発
 宇佐美光雄(日立)
1971年東工大・工・電子物理卒.同年(株)日立製作所入社.以来,超大型計算機用超高速論理LSI,非閾値論理LSI,インタフェースLSI,薄型チップ応用薄型ICカード,超小型無線ICタグチップ(「ミューチップ」)の開発に従事.現在,同社中央研究所主管研究長.工博.
●[10:25-10:40](休憩15分)
 
●[10:40-11:20]講演3:音叉式高精度力センサの開発と世界最大の天体望遠鏡「すばる」への応用
 小林 政明(新光電子)
1972年3月 東京理科大学応用物理学科卒業.
1972年4月 新光電子(株)本社設計課に勤務.差動トランス、変位計およびこれらの応用製品を開発.
1983年6月 新光電子(株)つくば事業所開発課に勤務.音叉センサの開発に従事する.
現在 新光電子(株)つくば事業所統括技術部に勤務.
●[11:20-12:00]講演4:人間の身体機能を強化する世界最先端ロボットスーツHAL
 山海 嘉之(筑波大)
1987年3月 筑波大学大学院(博)修了.工学博士(筑波大学)
日本学術振興会特別研究員,筑波大学機能工学系助手,講師,助教授,米国Baylor医科大学客員教授,筑波大学機能工学系教授を経て現在,筑波大学大学院システム情報工学研究科教授.
日本栓子検出と治療学会会長,日本ロボット学会理事,計測自動制御学会SI2004学術講演会実行委員長,第8回神経・脈管超音波研究会学術講演会実行委員長,Cyberdyne(株)創設者,筑波大学産学連携ILC山海プロジェクトリーダー,早期動脈硬化研究会世話人,欧文誌Advanced Robotics委員長,医学雑誌Vascular Lab. Executive Editorなどを歴任・担当.
Cybernetics, Mechatronics, Informaticsを中心として,脳・神経科学,行動科学,ロボット工学,IT技術,システム統合技術,生理学,心理学などを融合複合した人間・機械・情報系の新学術領域「サイバニクス」を開拓し,人間の機能を強化・拡張・補助する研究を推進.主な研究業績として,人間の身体機能を増幅・拡張する装着型のロボットスーツHAL(Hybrid Assistive Limb)を世界で初めて開発し,2004年6月には"HAL"の製造/販売を行う大学発ベンチャー「CYBERDYNE(サイバーダイン)」を設立.ネットワーク医療,次世代医療福祉システムの研究開発も精力的に推進している.2005年11月The 2005 World Technology Awards(ITハードウエア部門)受賞.2006年5月,首相官邸での総合科学技術本会議にて,ロボットスーツを披露.
 

 
災害時安否確認システムの現状と今後の課題

9月6日(水)15:30-17:00[第4イベント会場(A棟2F A202 )]
 
 [企画概要]
災害時において被災者の安否確認を行うシステムにはいくつかの形態があり,様々のところで実用化・試行運用されている.中でも,インターネットベースのIAA(I Am Alive)システムと携帯電話事業者の提供する災害伝言板は,広く一般に利用され始めている.さらに,地方自治体や企業がそのコミュニティ・従業員に提供する安否確認システムもでてきている.最近では,これらの安否確認システムを相互接続する試みも始まった.一方,安否確認システムを狙ったクラッキングも増加してきており,セキュリティ面の対処がますます重要なってきている.今回,安否確認システムの現状について概観するとともに,相互接続やセキュリティ対策など,今後の検討課題とその解決法を討論する.
 
  司   会:中山 雅哉(東大)
●[15:30-15:50]講演1:被災者安否確認システムの在り方に関する調査研究
 海老名 毅(NICT)
1990年3月 横浜国立大学大学院工学研究科電子情報工学専攻修了
同年3月 郵政省通信総合研究所知識処理研究室
1995年7月 同研究所ユニバーサル端末研究室
1999年7月 同研究所非常時通信研究室
2004年1月 独立行政法人情報通信研究機構セキュアネットワークグループ
2006年4月 同機構情報通信セキュリティ研究センター推進室、現在に至る。
専門分野:非常時通信、ユニバーサルアクセシビリティ等
●[15:50-16:10]講演2:安否情報を含めた総合防災情報システム構築例〜岩手県宮古市の取り組み
 山崎 正幸(宮古市)
1965年9月28日生(岩手県下閉伊郡田老町).1986年4月 田老町採用.1993年4月 岩手県庁派遣 岩手県総務部地方振興課理財係主事.1994年4月 総務課財政係主事.1997年10月 同 主任.1999年4月 税務財政課財政係主任.2001年4月 総務企画課庶務係主任(IT推進特命:庁内LAN等新設).2002年4月 同企画防災係主任(地域づくり担当).2003年6月 同 企画防災係主任(防災担当).2004年10月 同 副主幹(防災担当).2005年6月 宮古市危機管理監危機管理室主任(防災担当).
●[16:10-17:00]パネル討論:災害時安否確認システムの現状の課題と今後の展開-相互接続など」
 司   会:山崎 克之(長岡技術科大)
1980年電通大・通信卒.KDD(現KDDI)(株)においてNo.7,ISDN,ATM,IPの情報通信ネットワークおよびマルチメディア通信の研究開発・実用化と国際標準化に従事.この間,情報通信ネットワークに関わる多くの産学官連携プロジェクトを遂行.2005-2006年九州工業大学情報工学部客員教授.博士(情報工学).(株)KDDI研究所・研究戦略室長を経て2006年から長岡技術科学大学電気系教授.
 パネリスト:伊藤 正憲(NTTドコモ)
1976年芝浦工業大学電子工学科卒,同年日本電信電話公社入社,同社大学部を経て,電話交換機の保守・建設に従事.1992年NTT移動通信網株式会社に転籍,移動通信用交換機開発,ネットワーク系の新機能導入担当課長,iモードセンター運用担当部長を経て,2006年現職.
国土交通省「災害時における公共交通情報システムのあり方に関する検討委員」,内閣府/文部科学省「防災のための地球観測衛星等の利用に関する検討委員」,「電氣通信事業者協会 安全・信頼性協議会副会長」
 パネリスト:今井  弘(KDDI)
1979年 埼玉大学理工学部卒.
1994年 第二電電(株)入社.以降,携帯電話ネットワークの設計・開発・標準化に従事.
2000年 KDD,DDI,IDOの3社合併によりKDDI設立.au 技術本部技術開発部課長.
2001年 au 技術本部無線アクセス技術部課長.
2003年 au 技術本部 au 技術企画部課長.
2005年 技術開発本部 au 技術企画部総括グループリーダー.
  パネリスト:中山 雅哉(東大)
 パネリスト:湯瀬 裕昭(静岡県大)
1986年秋田大・鉱山・電子工卒.1988年秋田大院・鉱山・修士課程修了,同年秋田県立西目高校電子機械科教諭.1991年静岡県大・経営情報学部助手,1996年同学部講師を経て,2002年同学部助教授,現在に至る.大学の安否情報システム,災害情報支援システム(東海地震ドットネット)などの開発と運用に従事,2001年から静岡県災害情報システム研究会の座長.情報処理学会,日本災害情報学会,教育システム情報学会などの会員.
 

 
夢を与える情報教育とは?

9月7日(木)9:00-12:00[第4イベント会場(A棟2F A202 )]
 [企画概要]
情報技術は21世紀社会の基盤技術として不可欠なものであり,我が国産業経済の重要な位置を占めるものである.このことを考えるとき,情報分野の人材育成は極めて重要である.しかるに,現在 少年少女たちの情報科学・技術への関心が薄れ,大学・情報関連学科への進学希望者が減少傾向にあるという憂慮すべき事態に直面している.
そこで,次代を担う若者たちに「情報」の学問的魅力を与え,情報について深く学んでみようという希望を持たせるような情報教育のあり方について議論する.パネル討論では,情報に関する学問(情報学)が情報科学・工学に閉じたものではなく,理科系・文科系にわたる学際的な領域に広がるものであるという視点にたって,情報学の学問的意義,大学における情報教育,初等中等教育における「情報学」教育,高校教科「情報」,大学入試への「情報」科目の導入,等,情報教育のあり方について議論する.
 
●I. 問題提起パネル討論
 
●[9:00-9:05]趣旨説明
 [討論概要]
標記パネル討論の趣旨に沿い,若者に夢を与えるような情報教育のあり方について討論を行う.「情報」を文理学際的な広い見地から捉えてその学問的意義を再認識し,大学における情報教育,初等中等教育における情報教育,高校教科「情報」の内容,大学入試科目への「情報」の導入について議論する.これらの議論を踏まえ,"若者に夢を与える"情報教育の実施に向けて高大連携して取り組むことの必要性を議論する.さらに,"情報の学問的意義"について広く世間の理解を得るために産学連携して教宣活動を行うことが重要であることを訴える.
パネル討論では問題意識をパネリストとフロアーとで共有し,情報教育のあり方について自由闊達な討論をしたい.特に,この問題を大学関係者だけのものと捉えるのでなく,広く教育界.官界,産業界の人たちの間で忌憚のない意見を交換する場としたい.
 
 司   会:雨宮 真人(九大)
1967年九州大学工学部電子工学科卒業.1969年同大学院工学研究科修士課程修了.日本電信電話公社(現NTT)研究所勤務を経て,1988年より九州大学大学院総合理工学研究科教授,同システム情報科学研究院教授.
現在同大学院特任教授.工学博士.プログラミング言語・処理系,自然言語理解,データフローアーキテクチャ,関数型/論理型言語,並列分散処理,知能処理アーキテクチャ,マルチエージェントシステム等の研究に従事.
現在,情報教育について関心をもっている.
情報処理学会理事,電子情報通信学会理事,情報・システムソサイエティ会長を歴任.現在電子情報通信学会副会長.
●[9:05-9:20]1. 情報学の学問的意義
 
 [講演概要]
情報学という学問分野の変遷と最近の動向と,初等・中等教育における情報教育の変化を踏まえて,大学における情報教育のあり方や京都大学で2006年度から実施されている全学共通情報教育について紹介する.また,文部科学省の「異メディアアーカイブの横断的検索・統合ソフトウェアの開発」プロジェクトを通じて我々が昨年度から行っている小学校における総合的な学習の時間の学習支援活動を紹介し,今後の初等教育での情報教育のあり方について述べる.
 
 パネリスト:田中 克己(京大)
1974年京大・工卒,1976年同大学院修士課程了.1979年神戸大・教養部・助手,1986年工学部助教授,1994年工学部教授を経て,2001年より京大大学院情報学研究科社会情報学専攻教授.京大・工博.主にデータベースとマルチメディア情報システムの研究に従事.ACM TODS Area Editor,情報処理学会論文誌:データベース共同編集委員長,情報処理学会理事など歴任.情報処理学会フェロー,日本データベース学会副会長,京都大学全学共通教育情報教育専門委員会委員長.
●[9:20-9:30]2. 大学全学教育における「情報学」教育について
 
 [講演概要]
夢を与える情報教育の一環として,大学での基礎教育としての情報教育について述べる.大学のレベルにおいても,情報教育というと,情報機器の使い方に終始するおそれがある.それに対し,情報学の基礎として,「コンピュータにのせる」ことの意義や重要性,その面白さ,を伝えるような側面も重要である.このような,コンピュータ・サイエンス的な側面を,どのように全学教育の中で展開していくかについて,東工大での教育例などを紹介しながら述べる.
 
 パネリスト:渡辺  治(東工大)
1980年3月東京工業大学理学部情報科学科卒業.1982年3月東京工業大学理工学研究科情報科学専攻修士課程卒業.1982年6月東京工業大学理工学研究科情報科学専攻博士課程中退.工学博士(東京工業大学1987年5月).1982年7月東京工業大学理学部情報科学科助手.1986年8月東京工業大学工学部情報工学科助手.1989年3月同学科基礎情報工学講座講師.1990年6月同助教授.1997年10月東京工業大学院情報理工学研究科数理計算科学専攻教授.現在に至る.
●[9:30-9:50]3. 初等中等教育における「情報学」教育について
 
 [講演概要]
夢を与える情報教育の一環として,初等中等教育における情報教育について述べる.初等中等教育,特に,小中学校における情報教育の現状を,高等学校や高等教育における情報教育への連結性の観点から紹介する.特に,小中学校においては,総合的な学習や各教科の教育を通じて,情報を一つの学問分野として認識し,高等学校や高等教育における情報教育の基盤を形成することが重要である.小中学校において,そのような教育を可能とするために,小中学校の教員と大学教員との連携の方法を探る.
 
 パネリスト:増澤 利光(阪大)
1982年阪大・基礎工・情報卒.1987年同大大学院博士後期課程了.同年同大情報処理教育センター助手.
同大基礎工助教授を経て,1994年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科助教授.
2000年阪大基礎工学研究科教授,2002年阪大情報科学研究科教授,現在に至る.
1993年コーネル大客員準教授(文部省在外研究員).分散システムに関する研究に従事.工学博士.ACM,IEEE,電子情報通信学会,情報処理学会各会員.
 
 [講演概要]
京都市立稲荷小学校では教育目標を「心豊かに自ら学び 活動する子どもの育成」と掲げ,自己教育力の育成を目指している.2003年より京都大学大学院 情報学研究科 生物圏情報学講座 酒井・守屋研究室と共同研究をおこなっている.主に高学年の「総合的な学習の時間」において,児童の情報活用能力の育成のため,モバイル機器を活用して情報を収集し,児童の課題決定支援,コンテンツ作成支援を目的としたアプリケーションなどを開発し,より効果的な支援システムについて,実践し研究を進めている.また京都大学総合博物館,大阪コミュニケーションアート専門学校とも連携し,実体験においても児童の探究心をより満足させ,豊かな感性を育てようと取り組んでいる.2006年からはさらに田中研究室とも連携し,児童の調べ学習における効果的なインターネット検索の方法等も模索している.私たちがめざしているのは,児童が感動を追究しようとする心であり「自分てすごい」と思える自己肯定感である.そのために情報機器や検索システムを活用し,また実体験をも重視する取組を行っているのである.
 
 パネリスト:綿越 貴久(京都市立稲荷小学校)
1984年 京都教育大学教育学部卒業.
同年 京都市立学校教員採用.
2002年より現在校勤務.
●[9:50-10:25]4. 高校教科「情報」について
 
 [講演概要]
大学進学を目指す生徒は,情報の科学的な理解,社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響の理解とともに,情報技術の基本原理を十分に理解しておく必要がある.このため,大学進学を希望する生徒向けに,4単位以上の新しい科目を設けることを提言する.新科目では,たとえば,現在の「情報B」と「情報C」を統合し,重複する部分を整理し,「情報B」の「(2)コンピュータの仕組みと働き」の部分を充実させ,情報技術の基本原理を理解させる.情報技術の基本原理の学習に,演習を含め,全体の半分程度の授業時間を割り当てることが望ましい.演習は「情報処理の仕組み」の理解に重点をおき,問題と基本操作を与え,手順を考えさせる.コンピュータのプログラミングである必要はない.なお,大学進学を希望しない生徒を対象に,現在の「情報A」を若干改訂した科目も用意する.
 
 パネリスト:高木 直史(名大)
1981年京都大学工学部情報工学科卒業.1983年同大大学院修士課程修了.1984年京都大学工学部助手.1990年〜91年スタンフォード大学客員研究員.1991年京都大学工学部助教授.1994年名古屋大学工学部助教授.1998年同大大学院工学研究科教授.2003年同大学院情報科学研究科教授.
 
 [講演概要]
高等学校の教科「情報」では,「考える楽しさ」といった,思考判断を通しての問題解決を1つのポイントにして指導していけたら,と考えている.小中学校の総合的な学習の時間や技術家庭の時間では,確かに発表をしたり,パソコンを使って情報検索をしたりはしているが,それは,「結果は・・・です.以上です」のような調査することのみが主体の発表が多いように見受けられる.高校では,自らがよく考える,つまり,「そこの・・・の部分に疑問を感じ」「それがそのような理由は・・・と考え」「実際に・・・を試してみた結果,・・・であったので」「私たちの考えは・・・」「さらに・・・といった疑問が・・・」といった思考と論理の展開を感じられる内容を求めたい.そして,広がりや深まりのある,論理的な内容の発表を通して,学ぶことの「楽しさ」,「探求する姿勢」をつくることにより,将来への夢を醸し出すことができたら,と思っている.
 
 パネリスト:小原  格(東京都立町田高校)
東京学芸大学教育学部特別教科教員養成課程数学科専攻卒業.1993年4月東京都立新島高等学校数学科教諭として入都.2000年4月東京都立町田高等学校へ異動.現職教員等講習会により,教科「情報」免許取得.東京都「東京の教育21」研究開発委員(情報),東京都高等学校情報教育研究会幹事(情報活用部会長).本校において,文部科学省学力向上フロンティアハイスクール及び教育課程研究指定校情報科担当教員.日本文教出版「情報A」教科書編集委員.
 
 [講演概要]
高等学校の教科「情報」は,大学入試になじまないという意見がある.「情報」が文書作成,表計算,プレゼンテーション,図形処理などのソフトウェアの操作方法を習得するためのリテラシー的な教科であり,ペーパテストには向かない,というのが理由の1つである.
しかし,こうした「情報活用の実践力」の部分は,中学校の技術家庭科に移行しつつある.これに対して,「情報の科学的な理解」や「情報社会に参画する態度」の部分は,大学入試に十分耐えうる内容を有しており,教科「情報」では,それらを学習する割合が増加する傾向にある.そこで本校では,「情報の科学的な理解」の指導を,座学やツール型の自作教材を使った実習で行っている.
「情報」を得意とする生徒に自己の適性を生かした大学教育を受ける機会を提供するとともに,小中高大を貫いた学問体系にするためにも,大学入試に「情報」を追加することが必要である.
 
 パネリスト:天良 和男(東京都立駒場高校)
三菱電機(株)を経て,都立高校の教諭となる.27年間物理科教諭として従事したのち,2003年度から情報科教諭となる.文部省・高等学校学習指導要領(教科「情報」)作成協力者,郵政省・電気通信審議会(デジタル放送端末)専門委員,日本物理教育学会理事・編集委員などを歴任.現在,東京都立駒場高等学校・情報科教諭,東京都高等学校情報教育研究会・情報科学部長,日本学生科学賞審査委員.
 
 [講演概要]
「情報教育=コンピュータ」と直結するイメージは,最近ようやく薄らいできた.しかし,一部ではまだイメージが残っている.このことに対する理由とコンピュータ操作スキルが情報教育でないことを伝えたい.高等学校における教科「情報」は全教科・全領域に必要な力であり土台になると考える.小・中・高での情報教育の体系化についてモラル,マナー,スキルの点から考えてみたい.また,発展的に情報学を専門的に学んだ子どもの進路についての意見交換を希望する.(将来への展望が夢であると考える)
また,2005-2006年度の二年間の研究として上月情報教育財団(現:上月スポーツ・教育財団)より研究助成を受け「モニタリングシステムを装備した遠隔制御による二足歩行ロボットの教材開発」(−専門教科「情報」及び工業における指導者養成カリキュラムの作成をとおして−)に取組んでいるのでその内容についても紹介したい.
 
 パネリスト:松尾 慶太(福岡県教育センター)
1989年福岡工業大学工学部通信工学科卒業.1989年福岡県立福岡工業高等学校機械科 実習助手. 1990年福岡県立戸畑工業高等学校 情報技術科教諭を経て2004年より福岡県教育センター指導主事, 現在に至る.
近年の活動としては,「School Automation(学校の情報化)に関するコンピュ−タシステムの開発と教育的効果の研究」.福岡県教育センター調査研究事業として「情報通信ネットワークの教育利用に関する研究−地域イントラネット相互のテレビ会議システムの活用に向けて−」及び,「先進的情報技術の教材化に関する研究−学校におけるロボット等先端技術の教育利用を通して−」等の研究活動に従事.
●[10:25-10:50]5. 大学入試における「情報」科目の導入へ向けて
 
 [講演概要]
情報学は数学,物理・化学さらには国語・英語と並んで重要な基礎学問であり,情報学の理解は自然現象,人文現象,社会現象を捉えるために必須である.従って,大学入学試験においても情報学の理解を問う入試科目を導入すべきである.
そこで,情報学を入試科目として導入するに至る二つの具体的なロードマップを提言する.一つに,高校教科「情報」の内容を充実し授業時間数を4単位にした上で,大学入試センター試験の入試科目として「情報」を採用し,さらに学部・学科によっては個別入試においても「情報」を独立した入試科目とする.もう一つのロードマップとして,現状の高校教科「情報」を仮定した上で,数学もしくは物理と融合した入試科目を設定し情報に関連した問題を出す.また,後期入試の小論文もしくはAO入試において,情報に関連した問題を出すことも現実的な方策として推進すべきである.
 
 パネリスト:萩谷 昌己(東大)
1982年東京大学大学院理学系研究科情報科学専攻修士課程修了.京都大学数理解析研究所を経て,現在,東京大学大学院情報理工学系研究科教授(コンピュータ科学専攻).計算システムをモデル化し,特に演繹的な方法を用いて,その性質を計算機上で検証することに興味を持っている.最近では,電子計算機から成る計算システム以外にも,生物系や分子系も研究の対象としている.特に,分子コンピューティングの研究を行っている.
 
 [講演概要]
学校教育で大切なことは,ものごとを考える筋道を教えることだと思います.考える筋道の教育とは,対象のしくみを教えることであり,ブラックボックス化を排除することです.現在,社会の新しい発展のために,国民の「情報」活用能力を高めることが求められています.それには,学校で,ブラックボックス化された情報機器の操作方法を教えるのではなく,コンピュータを用いた問題解決とは何かを体験的に学ばせることが必要です.東京農工大学情報工学科のアドミッションポリシーはそのような観点から策定され,入試に「情報」を出題しております.講演・パネル討論では「情報」入試の決定に至るまでの検討経過を紹介したいと思います.
 
 パネリスト:中森眞理雄(農工大)
1977年東京大学大学院修了,工博.同年東京農工大学講師,現在同大学教授.専門分野は最適化アルゴリズムとその応用.情報処理教育のモデルカリキュラムJ90の策定に参画.情報処理学会「数理モデル化と問題解決」研究会主査,「コンピュータと教育」研究会主査,カリキュラム委員会(現情報教育委員会)幹事等を歴任.
日本オペレーションズ・リサーチ学会理事.
●[10:50-11:10]6. 情報学教育に関する高大連携及び産学連携
 
 [講演概要]
現在,高校と大学が連携して教育活動を行う「高大連携」の取り組みが全国で盛んになりつつある.提言書で述べられている高校教科「情報」の改善,ひいては大学入試における情報科目の導入に向けた施策を検討するとき,高大連携の枠組みは現時点で最も現実的かつ有効な手段を提供すると思われる.ここ数年の高大連携の急速な活性化の状況や,高校・大学に与える影響を考慮すると,高校と大学の連携協力は情報教育の将来を考える上でもきわめて重要な潮流であると考えられる.各大学の情報系学部・研究科が中心となって,情報教育を中心とした新しいスタイルの高大連携を活性化させていくことが,とりもなおさず,学問としての情報分野の社会的認知を高めることにつながるものと期待される.
 
 パネリスト:青木 孝文(東北大)
1988年東北大学工学部電子工学科卒業.1992年同大学大学院工学研究科博士課程修了.同年同大学工学部助手,1994年同大学大学院情報科学研究科助手,1996年同助教授,2002年同教授.1997-1999年科学技術振興事業団さきがけ研究21研究者兼任,現在に至る.超高速ディジタル計算アルゴリズム,画像センシング,映像信号処理,バイオメトリクス,VLSI設計技術,多値論理,分子コンピューティングなどに関する研究に従事.
 
 [講演概要]
これまで大学は,学問を納めた優秀な人材を輩出することで産業界に寄与してきた.しかし,少子化と団塊の世代の勇退を控え,より効率的な人材育成が望まれてきている.加えて,理学や工学へと夢を持って進学する学生の減少が心配されている.
世界での地位を英知により確保すべき我が国では,学問と産業が手を携えて人材育成を行う必要がある.科学的探求心や好奇心を初等中等教育において育むために共同で何ができるかを考えようではありませんか?
 
 パネリスト:工藤 峰一(北大)
1988年4月,北海道大学助手(工学部情報工学科)に採用.
2001年4月より北海道大学大学院教授.
パターン認識,学習理論に関して研究を続けている.
 
●[11:10-12:00]II. 総合討論
 

 
IT分野から激震が起こる! 〜産業界から大学への「直接行動」が始まった〜

9月7日(木)13:00-16:00[第4イベント会場(A棟2F A202 )]
 [企画概要]
高校生の情報系離れが止まりません.少子化で全体の志願者数が減っているとはいえ,関東の中堅私大の電気・情報系学科の中には,ここ数年で志願者が半減したところもあります.日本のIT技術者の予備軍は質・量ともに危機的な状況を迎えています.一方で,永らく独自の企業内研修で人材を育成してきたIT産業界からは,国際競争力低下の著しい昨今,大学教育こそ見直すべきいう声が高まっています.昨年の経団連による大学のIT技術者教育批判とIT専門職大学院設立の提言は,産業界自らが求める教育の具体的な内容を示すものでした.このように,「入り口」「出口」双方から改革を迫られる情報系の大学教育・研究は,今後どのような方向に進むべきなのでしょうか.
今回は,ソフトバンクが設立し,全ての授業をeラーニングで行うサイバー大学,産学連携による大学院教育の新しい可能性を示す東芝,シリコンバレーの大学発ベンチャーからスタートし,現在は世界標準のユビキタスの基礎教育に取り組むシスコシステムズなど,企業発の新しい教育の試みを紹介します.さらに,人材育成政策を強化する経済産業省,「ITスキル標準V2」を新たに打ち出した情報処理推進機構,予備校から総合教育・情報産業に変貌しつつある河合塾を交えた白熱の議論は,まさに「淘汰の時代」の大学像を浮き彫りにするでしょう.
 コーディネーター・司会:阪田 史郎(千葉大)
1974年早稲田大学理工学部電子通信修士卒.同年NEC入社,以来同社中央研究所にて,コンピュータネットワーク,マルチメディア通信,インターネット,モバイルコンピューティング,ユビキタスシステム等の通信とコンピュータの統合領域の研究に従事.工学博士.同社パーソナルC&C研究所所長,インターネットシステム研究所所長を経て2004年より千葉大学大学院教授.1997〜1999年奈良先端科学技術大学院大学客員教授.情報処理学会フェロー.電子情報通信学会幹事・理事,情報処理学会理事・監事歴任.著書「マルチメディアとネットワークによるグループウェア実現技術」,「マルチメディアシステム」,「モバイルコンピューティング」,「インターネットとQoS制御」,「インターネットプロトコル」,「ユビキタス技術 無線LAN」,「ワイヤレス・ユビキタス」,「ユビキタスセンサネットワーク」,「SIP/UPnP 情報家電プロトコル」,「ZigBeeセンサネットワーク」,「UWB/ワイヤレスUSB」,「組込みシステム」他30余.
●[13:05-13:20][産業技術人材育成政策の針路]ポジションステートメント1:イノベーション型大学への期待
 白井 基晴(経済産業省)
1967年10月14日生.最終学歴:東京工業大学理工学研究科無機材料工学専攻.1992年4月通商産業省生活産業局繊維製品課.1993年6月中小企業庁指導部技術課.1995年6月科学技術庁原子力局調査国際協力課.1997年6月資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課.1999年10月科学技術庁原子力安全局原子力安全課原子力安全調査室長補佐.2000年4月総理府大臣官房原子力安全室長補佐.2000年6月同調査室安全調査官.2001年1月経済産業省大臣官房政策評価広報課長補佐.2002年5月外務省在べネズエラ日本国大使館.2006.1月経済産業省産業技術環境局大学連携推進課課長補佐.
●[13:20-13:40][new model]ポジションステートメント2:『サイバー大学』の挑戦
 吉村 作治(サイバー大学)
早稲田大学客員教授(工学博士).1943年東京生まれ.早稲田大学第一文学部卒業.
66年,アジア初となるエジプト調査隊を組織しエジプト全土をジェネラル・サーベイ.以来40年にわたり発掘調査を継続している.現在「吉村作治の早大エジプト発掘40年展」が全国巡回中.近著に『ぼッ♪ぼっ♪ぼくらはエジプト探検団』.著書多数.
公式HP http://www.egypt.co.jp
サイバー大学HP http://www.jcei.co.jp/
●[13:40-14:00][new model]ポジションステートメント3:産学連携による大学院研究教育の改善への試み
 山下勝比拡(東芝)
1978年 イギリス・London大学 Imperial CollegeでPh.D. 取得
1979年 株式会社東芝入社 (当時,株式会社 東京芝浦電気)
システムエンジニアとして,産業向,官公庁・地方自治体向けアプリケーションシステム開発.設計部長,技術部長,技師長を経て,経営戦略部で事業戦略,事業開発も担当.その後,インターネットサービス事業を立ち上げ,2003年に研究開発センター首席技監,2003年秋に技術企画室へ.現在,国内外の産学連携,技術者教育,海外開発拠点開発などを担当.
●[14:00-14:20][new model]ポジションステートメント4:民間が生んだグローバルなネットワーク・IT教育
 太田 順子(シスコシステムズ)
1993年にアメリカン・スクール・イン・ジャパンでNTTのマルチメディア網を使った4校間教育プログラムのコーディネートをしたのを始めに,世界中の子供たちから世界平和のための意見をインターネットで集約し大人に提言する会議を実施した「GIIジュニアサミット」のインターネット教育プログラムおよび会議でのインターネット技術担当,教育用ウェブコンテンツコンテストThinkQuest@JAPANの立ち上げなど「インターネットと教育」という切り口で,インターネットをK-12の教育にいかに導入するかを中心に仕事をしてきた.1998年からは,インターネットを利用する教育のインフラを支えるネットワーク技術者を学校において養成するプログラム「シスコ・ネットワーキングアカデミー」の日本展開を手がけている.現在そのプログラムを開講している学校数は182校.また,特定非営利活動法人インターネット・ラーニングアカデミーの設立メンバーで,現在シスコ・ネットワーキングアカデミーの教員トレーニングと学校サポートはそのNPOで実施されている.
主な著作書:「21世紀コンピュータ教育辞典編者」(旬報社),「インターネット教育イエローページ編著」(旬報社)
主な委員会メンバー:(社)日本教育工学振興会 情報化推進コーディネータ委員会協力委員,(社)日本教育工学振興会 新しい学習環境の整備に関する調査研究委員会
●[14:20-14:35][new proposal]ポジションステートメント5:ITスキル標準の活用は大学と企業をつなげる
 小川 健司(情報処理振興機構)
1976年日本IBM入社.アプリケーションSW,米国/英国研究所にてOS,ミドルウェア開発を担当後,オフィス製品のAPにおける開発責任者となる.APソフトウェア製品戦略,ロータス社のマーケティング部長等を歴任後,1998年PMとして長野オリンピックITプロジェクトの成功に貢献した.以降 コンピテンシー開発部長としてプロフェッショナル人材の育成を担当.
2005年7月独立行政法人 情報処理推進機構ITスキル標準センター長 就任.
●[14:35-14:50][new proposal]ポジションステートメント6:コンピテンシーによる新大学評価手法
 山本 真司(河合塾)
静岡県生れ.1990年学校法人河合塾入塾.
高校教員向け雑誌「ガイドライン」編集長を勤めた後,2005年11月には,理工系100分野の学問紹介と大学ランキング,トップ研究者の紹介を兼ねた『学問前線2006』(角川書店)を刊行し,反響をよんだ.
他には,別冊宝島『学問の鉄人−大学教授ランキング <文科系編>』『14才と17才のBOOOKガイド』(メディアファクトリー),『わかる!学問 環境・バイオの最前線−大学・研究者ランキング』
『わかる!学問 理科系の最先端』<共に角川書店刊>等.
●[15:00-16:00]パネル討論:大学ビックバンの仕掛けとは
 
 [講演概要]
日本のIT産業界の競争力は,久しく世界に大きく引き離されているといわれ,その原因が大学の人材育成の遅れにこそあると言う人も少なくない.昨年日本経団連公表のレポートによる大学のIT教育への批判と,新たなIT専門職大学院設立への提言は,大きな話題となった.小泉首相を座長とするIT戦略本部の新たな大綱,文部科学省による「先導的ITスペシャリスト育成事業」はまさにそれを受けた動きといえる.日本経団連も,産業界による教育支援を実際に行うことを宣言した.
その一方で,経済産業省では大学自らが変わるために,日本技術者教育認定機構(JABEE)を支援し,大学活動評価手法開発事業では質的・量的ミスマッチを可視化させることに始まり,大学自らが教育目標にするにたるだけの産業界サイドのデータや教育手法の抽出,教員評価や大学経営評価手法も検討している.また,情報処理推進機構も,「ITスキル標準」を大学との連携の中で位置づけようとしている.
そのような動きを受けて,本パネル討論では産業界も関与して本格的に変えようとしている大学のIT教育のあり方について,有識者による議論を行う.
 
 司   会:阪田 史郎(千葉大)
1974年早稲田大学理工学部電子通信修士卒.同年NEC入社,以来同社中央研究所にて,コンピュータネットワーク,マルチメディア通信,インターネット,モバイルコンピューティング,ユビキタスシステム等の通信とコンピュータの統合領域の研究に従事.工学博士.同社パーソナルC&C研究所所長,インターネットシステム研究所所長を経て2004年より千葉大学大学院教授.1997〜1999年奈良先端科学技術大学院大学客員教授.情報処理学会フェロー.電子情報通信学会幹事・理事,情報処理学会理事・監事歴任.著書「マルチメディアとネットワークによるグループウェア実現技術」,「マルチメディアシステム」,「モバイルコンピューティング」,「インターネットとQoS制御」,「インターネットプロトコル」,「ユビキタス技術 無線LAN」,「ワイヤレス・ユビキタス」,「ユビキタスセンサネットワーク」,「SIP/UPnP 情報家電プロトコル」,「ZigBeeセンサネットワーク」,「UWB/ワイヤレスUSB」,「組込みシステム」他30余.
 パネリスト:太田 順子(シスコシステムズ)
1993年にアメリカン・スクール・イン・ジャパンでNTTのマルチメディア網を使った4校間教育プログラムのコーディネートをしたのを始めに,世界中の子供たちから世界平和のための意見をインターネットで集約し大人に提言する会議を実施した「GIIジュニアサミット」のインターネット教育プログラムおよび会議でのインターネット技術担当,教育用ウェブコンテンツコンテストThinkQuest@JAPANの立ち上げなど「インターネットと教育」という切り口で,インターネットをK-12の教育にいかに導入するかを中心に仕事をしてきた.1998年からは,インターネットを利用する教育のインフラを支えるネットワーク技術者を学校において養成するプログラム「シスコ・ネットワーキングアカデミー」の日本展開を手がけている.現在そのプログラムを開講している学校数は182校.また,特定非営利活動法人インターネット・ラーニングアカデミーの設立メンバーで,現在シスコ・ネットワーキングアカデミーの教員トレーニングと学校サポートはそのNPOで実施されている.
主な著作書:「21世紀コンピュータ教育辞典編者」(旬報社),「インターネット教育イエローページ編著」(旬報社)
主な委員会メンバー:(社)日本教育工学振興会 情報化推進コーディネータ委員会協力委員,(社)日本教育工学振興会 新しい学習環境の整備に関する調査研究委員会
 パネリスト:小川 健司(情報処理振興機構)
1976年日本IBM入社.アプリケーションSW,米国/英国研究所にてOS,ミドルウェア開発を担当後,オフィス製品のAPにおける開発責任者となる.APソフトウェア製品戦略,ロータス社のマーケティング部長等を歴任後,1998年PMとして長野オリンピックITプロジェクトの成功に貢献した.以降 コンピテンシー開発部長としてプロフェッショナル人材の育成を担当.
2005年7月独立行政法人 情報処理推進機構ITスキル標準センター長 就任.
 パネリスト:白井 基晴(経済産業省)
1967年10月14日生.最終学歴:東京工業大学理工学研究科無機材料工学専攻.1992年4月通商産業省生活産業局繊維製品課.1993年6月中小企業庁指導部技術課.1995年6月科学技術庁原子力局調査国際協力課.1997年6月資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課.1999年10月科学技術庁原子力安全局原子力安全課原子力安全調査室長補佐.2000年4月総理府大臣官房原子力安全室長補佐.2000年6月同調査室安全調査官.2001年1月経済産業省大臣官房政策評価広報課長補佐.2002年5月外務省在べネズエラ日本国大使館.2006.1月経済産業省産業技術環境局大学連携推進課課長補佐.
 パネリスト:山下勝比拡(東芝)
1978年 イギリス・London大学 Imperial CollegeでPh.D. 取得
1979年 株式会社東芝入社 (当時,株式会社 東京芝浦電気)
システムエンジニアとして,産業向,官公庁・地方自治体向けアプリケーションシステム開発.設計部長,技術部長,技師長を経て,経営戦略部で事業戦略,事業開発も担当.その後,インターネットサービス事業を立ち上げ,2003年に研究開発センター首席技監,2003年秋に技術企画室へ.現在,国内外の産学連携,技術者教育,海外開発拠点開発などを担当.
 パネリスト:山本 真司(河合塾)
静岡県生れ.1990年学校法人河合塾入塾.
高校教員向け雑誌「ガイドライン」編集長を勤めた後,2005年11月には,理工系100分野の学問紹介と大学ランキング,トップ研究者の紹介を兼ねた『学問前線2006』(角川書店)を刊行し,反響をよんだ.
他には,別冊宝島『学問の鉄人−大学教授ランキング <文科系編>』『14才と17才のBOOOKガイド』(メディアファクトリー),『わかる!学問 環境・バイオの最前線−大学・研究者ランキング』
『わかる!学問 理科系の最先端』<共に角川書店刊>等.
 パネリスト:吉村 作治(サイバー大学)
早稲田大学客員教授(工学博士).1943年東京生まれ.早稲田大学第一文学部卒業.
66年,アジア初となるエジプト調査隊を組織しエジプト全土をジェネラル・サーベイ.以来40年にわたり発掘調査を継続している.現在「吉村作治の早大エジプト発掘40年展」が全国巡回中.近著に『ぼッ♪ぼっ♪ぼくらはエジプト探検団』.著書多数.
公式HP http://www.egypt.co.jp
サイバー大学HP http://www.jcei.co.jp/
 

 
FIT2006 論文賞セッション

9月5日(火)10:00-17:00[第5イベント会場(A棟2F A203)]

 
●午前の部[10:00-12:00]
DMDを用いた空間分割型可視光通信の基礎検討[10:00 - 10:30]
  ◎北村匡彦・苗村 健(東大)
 
Proposal of Dependable Clock Signal Distribution [10:30 - 11:00]
  ○三浦幸也(首都大)
 
ダブル配列におけるキャッシュの効率化[11:00 - 11:30]
  ◎矢田 晋・森田和宏・泓田正雄・平石 亘・青江順一(徳島大)
 
言語識別技術を応用した英語における母語話者文書・非母語話者文書の判別[11:30 - 12:00]
  ◎青木さやか・冨浦洋一・行野顕正・谷川龍司(九大)
 
●午後の部[13:00-17:00]
共起確率行列を用いた数式文字認識の誤り訂正法の評価[13:00-13:30]
  ◎瀧口祐介・岡田 稔(早大)・三宅康二(中部大)
 
MCMC法に基づく3次元環境情報を用いた複数人物追跡[13:30 - 14:00]
  ◎大澤達哉・ウ 小軍・数藤恭子・若林佳織・安野貴之(NTT)
 
単一周波数平面スペクトル拡散を利用した時間同期外し耐性を持つ動画電子透かし[14:00 - 14:30]
  ◎山本 奏・中村高雄・片山 淳・安野貴之(NTT)
 
楽譜記述言語MusicXMLからの楽譜自動点訳システム[14:30 - 15:00]
  ○田村直良(横浜国大)・後藤大輔(ヤフー)・後藤敏行(横浜国大)
 
SMTPセッションの強制切断によるspamメール対策手法[15:00 - 15:30]
  ○山井成良(岡山大)・漣 一平(日立)・岡山聖彦・河野圭太(岡山大)・中村素典・丸山 伸(京大)・宮下卓也(津山高専)
 
列車ダイヤ乱れ時における経路選択支援システムとその利用者行動への影響把握[15:30 - 16:00]
  ○土屋隆司・杉山陽一・山内香奈・藤浪浩平(鉄道総研)・有澤理一郎・中川剛志(JR東日本)
 
●ベストペーパー賞選考会議[16:00-17:00]

 
ウェブアルゴリズム-サイバー空間のためのIT技術の新潮流-

9月6日(水)9:00-12:00[第5イベント会場(A棟2F A203)]
 [企画概要]
World Wide Web(ウェブ, WWW)は,この10年間でマルチメディアやオンラインデータベースをとりこみながら急速に発展し,サイバー空間と呼ばれる巨大な情報の集積を構成している.これらの情報データ量の爆発的な増大は,人間がもつ情報理解能力の限界をはるかに超えている.そのため,サイバー空間の膨大な情報から,誰もが必要な情報を容易にとりだすことを可能にするための新しい技術が求められている.本企画では,サイバー空間の大規模情報処理に関して,社会との関わりを意識しつつ,情報技術の研究開発を指向している研究者の方々をお招きして,現在遂行中の研究プロジェクトの最新の研究成果を紹介し,サイバー空間のための情報技術の未来像を探る.また,情報分野の若手研究者に対しては,基礎研究と応用研究の関わりや,基礎技術が社会・人間に接する技術として発展する可能性について考えるための機会を提供したい.
 
 司   会:有村 博紀(北大)
北海道大学大学院情報科学研究科教授.博士(理学).
1990年九州大学大学院総合理工学研究科修了.
九州工業大学助手,同助教授, 九州大学助教授等を経て,2004年より現職.
1996年ヘルシンキ大学客員研究員.
1999-2002年科技団さきがけ研究員.
データマイニングと情報検索等の大規模データ処理アルゴリズムの研究に従事.
2005年より文科省科研費特別推進研究「知識基盤形成のための大規模半構造データからの超高速パターン発見」研究代表者(-2007).
ACM,情報処理学会,人工知能学会各会員.
●[9:00-9:50]講演1:新世代型データベースのための基盤技術
 
 [講演概要]
高速パターン照合は,テキストデータをはじめとする大規模非定型データの高速処理において核となる技術である.本講演では,高速パターン照合技術の理論と実践の最前線を紹介する.第一の話題は,講演者らの研究グループで研究を進めてきた圧縮パターンマッチング技術である.圧縮パターンマッチングは,圧縮されたデータに対して直接パターン照合を行う情報検索技術である.最近,講演者らのグループは,データを圧縮することでパターン照合を高速化することに成功し,情報検索の新しい技術パラダイムを提案した.第二の話題は,超高速パターン照合技術の実社会での応用事例である.SIGMAエンジンは,一方向遂次処理による超高速パターン照合技術であり,1980年代に九州大学の有川節夫らによって提案されて以来,九州大学大型計算機センター(現 情報基盤センター)で公開運用され,研究開発が進められてきた.最近では官民の大規模情報システムにおいて高速で柔軟な検索のための核技術として用いられている.このSIGMA技術の最近の進展について紹介する.
 
 竹田 正幸(九大)
九州大学大学院システム情報科学研究院情報理学部門教授.博士(工学).
1989年九州大学大学院総合理工学研究科修士課程修了後,同大学助手,助教授を経て,2004年より現職.2000年よりJSTさきがけ研究21「情報と知」研究員,2003年よりJST戦略的創造研究推進事業「発展・継続」研究員.文字列パターン照合,データ圧縮,発見科学,データマイニングなどに興味を持つ.
●[9:50-10:40]講演2:情報を発想力に変える連想エンジン
 
 [講演概要]
汎用連想計算エンジンGETAは,1000万件規模の文書DBに対して高速な類似計量計算機構を提供して,連想検索や特徴語抽出などを簡単に実装できるようにした.我々はGETAを用いて,これまでに図書館の蔵書DB(Webcat Plus),古書店の在庫DB(JIMBOU),テーマ別新書棚(新書マップ),博物館収蔵品DB(文化遺産オンライン)などの各種情報源に連想機構を付加して,それらを「知識の公共財」とすべく発信を行ってきた.
本講演では,制作目的やメディアの異なるこれら多数の情報源を動的に関連づけて人間の発想を刺激する,まったく新しい情報探索環境「想・IMAGINE」を紹介する.
 
 高野 明彦(国立情報学研)
国立情報学研究所 連想情報学研究開発センター長,教授.博士(理学).
1980年東京大学理学部数学科卒業.同年,日立製作所入社.2001年より現職.
2002年より東京大学大学院情報理工学系研究科教授(併任).
関数プログラミング, プログラム変換, 連想計算, 連想の情報学に興味をもつ.
ACM,日本ソフトウェア科学会,情報処理学会,言語処理学会各学会に所属.
Webcat Plus, 文化遺産オンライン, 新書マップ, ブックタウンJIMBOUなど「連想する情報サービス」の構築に情熱を燃やしている.
●[10:40-11:30]講演3:Web時代のツールとしての知識検索技術
 
 [講演概要]
World Wide Web上の検索ツールを使って,様々な調べ物や探し物をすることが日常的になっている.しかし,Webには統制がないため,必要かつ信頼できる情報だけを選び,そこから新たな知識を得ることはユーザの腕次第である.講演者は,Webから知識を効率よく取得するための研究プロジェクトを行っている.本講演は,こうした研究事例を紹介しながら,Web時代のツールとしての知識検索技術について概観する.知識検索では,情報検索,自然言語処理,人工知能などの技術融合が重要である.講演では,領域横断的な視点から概観することで,エンドユーザだけでなく,知識検索システムについて自ら研究開発しようとする研究者にとっても役立つ情報を提供する.
 
 藤井  敦(筑波大)
1998年3月東京工業大学大学院情報理工学研究科博士課程修了.現在,筑波大学大学院図書館情報メディア研究科助教授,博士(工学).自然言語処理,情報検索,音声言語処理,Webマイニングの研究に従事.IPA未踏ソフトウェア創造事業にて事典検索サイトCycloneを開発し,2003年に「天才プログラマー/スーパークリエータ」を受賞.その後も科研費特定領域研究「情報学」・「情報爆発」等を通じてCycloneを高度化している.NTCIRやNEDO「2005年度第1回産業技術研究助成事業」では特許情報処理の研究プロジェクトを行っている.ACL,情報処理学会,人工知能学会,言語処理学会,電子情報通信学会各学会に所属.
●[11:30-12:00]講演4:ウェブ・アルゴリズム−ウェブグラフにもとづく検索やマイニング−
 
 [講演概要]
ウェブで動作するアプリケーションの多くは,ウェブページのリンク構造を表現するウェブグラフと呼ばれるモデル上で,設計・開発されている.本チュートリアルでは,はじめにウェブグラフに関して知られている,基本的な観察事実や性質を概観する.その上で,検索エンジンを例として,それらが必要とするアルゴリズムをとりあげ,その特徴や解決すべき問題点などを考察する.つづいて,ウェブグラフをもとにして,ウェブ上の隠れた情報を発見する構造マイニングについて,その手法や研究成果のいくつかを紹介する.
 
 宇野 裕之(大阪府大)
1987年 京都大学工学部数理工学科卒業,1989年 同工学研究科修士課程修了,1992年 同工学研究科博士課程退学.工学博士.大阪府立大学総合科学部助手などを経て,同大学理学系研究科講師.主として離散構造とアルゴリズム,組合せ最適化,およびそれらの手法の現実問題への適用に関する研究に従事.ACM,電子情報通信学会,情報処理学会など会員.
 

 
ビジュアル最新動向2006

9月6日(水)15:30-17:30[第5イベント会場(A棟2F A203)]
 [企画概要]
昨今の大画面薄型テレビの普及や,Blu-ray disc, HD DVD等の次世代DVD,そしてIPTVやデジタル放送・ワンセグ放送,ブロードバンドインターネット上でのビデオストリーミングやVODなど映像に関連する様々なコンテンツ・サービスが急速に拡大しています.このたび企画しましたチュートリアルでは,これらの映像関連の最新動向についてわかりやすく説明し,更に今後拡大が見込まれる将来の技術として3次元画像をはじめ静止画・動画に関連する興味深くかつ我々に身近になりつつある技術に関する説明を行います.本チュートリアルでは映像に関連する業務を行う全ての方を対象とします.
 
●[15:30-16:10]チュートリアル1:次世代IPTVに対するNTTの取り組み
 
 [講演概要]
2005年ごろより,IPTVサービスを通信事業者が提供する共通サービスとの認識から仕様共通化の検討が各国で開始されています.米国では本年4月,IPTVの標準化に向けて家電メーカ(CEA)とAT&T社,Verizon社,ベルサウス社の間でネットワークと端末の接続についてのガイドライン協約を結びました.また,IPTVの普及が著しい中国では,国策として通信,放送,家電業界を跨り,IPTV市場の拡大を図っています.また,本年4月,ITU-TにおいてもIPTVの標準仕様策定を目指したIPTVフォーカスグループ(IPTV-FG)が発足しました.
本講演では現在,世界各国で検討が開始された次世代IPTVサービスのねらい,これまでのNTTの取り組み状況,ITUの動向,今後の技術的課題について説明します.
 川添 雄彦(NTT)
1987年 NTT通信網第二研究所に入社以来,衛星通信システム,パーソナル通信システム,誤り訂正技術の研究開発に携わる.
2003年 サイバーソリューション研究所第一推進プロジェクトにおいて放送と連携したブロードバンドサービスの研究開発プロジェクトのディレクタ/主幹研究員.ARIBサーバ型放送作業班副主任としてARIB−B38の策定に従事.
●[16:10-16:50]チュートリアル2:AVC/H.264と高品位映像アプリケーション
 
 [講演概要]
AVC/H.264は,ブルーレイ,HD-DVDへの採用によりHDTV高圧縮技術として着目され,最近ではデジタル放送のIP再送信を含むIPTV向け映像符号化方式としても注目を集めつつある.また,海外においても,HDTV放送にAVC/H.264を採用するケースが目立っているなど,放送・ストレージ分野でのHDTV利用に際して,AVC/H.264の重要性が高まってきている.
HDTVは近年の薄型大画面テレビの急激な普及のトリガとなっており,映像表示技術の進展に伴って,コンテンツ側の品質改善に対する期待も高まっている.現在AVC/H.264標準化では,映像コンテンツの高品位化に向け,色信号のサブサンプルを行うことなく4:4:4 RGB信号の直接符号化を可能とする4:4:4プロファイルの検討が進められている.
以上の現状を踏まえ,本講演では,高品位映像アプリケーションの視点からAVC/H.264の実用化動向と最新標準化動向,ならびに今後の展望について述べる.
 
 関口 俊一(三菱)
1992年早大・理工修士卒,同年三菱電機株式会社入社.
以来,映像符号化アルゴリズム,デジタル映像伝送システム,
コーデックLSI・ミドルウエアの開発に従事.1996年より
MPEG標準化に参加.1999〜2001年(株)NTTドコモ出向.
現在,三菱電機株式会社 情報技術総合研究所 専任.
電子情報通信学会,映像情報メディア学会,SMPTE各会員.
●[16:50-17:30]チュートリアル3:MPEGにおける3次元映像符号化MVCの標準化動向
 
 [講演概要]
3次元映像の映像信号の表現手法と符号化について,MPEG国際標準化団体で標準化が進められている.現在では,MVCという活動名での多視点映像符号化と,SSVという活動名での奥行き情報ベース符号化の標準化が進められている.このうち,MVCでは3Dシーンを撮影した複数のカメラ映像を効率よく圧縮符号化するための符号化方式の標準化が進められている.MVCはMPEG-4 AVC(H.264)の拡張標準として標準化が開始されている.MVCではカメラパラメータを積極的に利用した予測符号化やカメラの個体差を予測する符号化方法が提案されている.また機能面においては,多視点映像ならではのスケーラビリティやランダムアクセスを実現するための手法が提案されている.
本講演では3次元映像符号化に関するMPEGでの国際標準化動向を,MVCの活動とSSVの動向を中心に紹介する.
 
 木全 英明(NTT-AT)
1993年,名古屋大学工学部応用物理学科卒業.1995年,同大学院修士課程了.同年,日本電信電話(株)に入社.ヒューマンインタフェース研究所およびサイバースペース研究所において,画像符号化・誤り耐性および画像通信方式の研究開発に従事.現在,NTTアドバンステクノロジ(株)に所属.MPEG MVCアドホックグループco-chair.
 

 
日常生活を変えるサイバーワールド技術とは ? (デモ展示つき)

9月7日(木)10:00-16:00[第6イベント会場(A棟7F A715)]
 
 [企画概要]
ネット検索,ネットショッピング,ネットゲーム,携帯メイル,携帯音楽プレーヤなど,ネットワークの普及や機器の小型化によって,情報システム技術が日常生活に深く関係する時代が到来している.これは,従来,実社会またはリアルワールドで行われてきた人々の行動の一部がネット社会に移行し,サイバーワールドが自然と形成されつつあることの現れでもある.そこで,デモが可能な具体性のある技術をとりあげるとともに,Web2.0を中心としたネット検索に関する技術に焦点を当てることで,日常生活を変える次のサイバーワールド技術とは何かを探る.
 
●[10:00-12:00]デモセッション
 
 デモ講演1:A Remote Diagnosis System for Rotating Machinery Using Virtual Reality
  ベラミン・モエズ,安部 憲広,田中和明(九工大),瀧 寛和(和歌山大)
 デモ講演2:タンジブルなN-to-1コミュニケーションのための電子寄せ書きツール
  井原 雅行,小林  稔(NTT)
 デモ講演3:GUEST:GUI Editor by STate diagram; 状態遷移図に基づくWebブラウザプログラミング
  山本 瑞秋,米倉 達広(茨城大),岡本 秀輔(成蹊大),鎌田  賢,荒木 俊郎(茨城大)
 デモ講演4:嗜好の個人差と状況依存性を考慮した映画推薦システム
  小野 智弘(KDDI研),本村陽一,麻生英樹(産総研)
 デモ講演5:状態遷移図に基づくFlashムービー記述環境
  中川 昌幸(茨城大),岡本 秀輔(成蹊大),鎌田  賢,米倉達広(茨城大)
 
●[13:00-14:00]招待講演1:情報爆発NLP
 
  黒橋 禎夫(京大)
 
●[14:00-15:00]招待講演2:「Web2.0」へ導く技術
 
  佐々木 稔(茨城大)
 
●[15:00-16:00]デモ展示者による口頭発表
 
 デモセッション展示者による講演(各10〜15分程度)を予定.