従来の仮説検証型のユーザ調査に限界を感じ,エスノグラフィに代表さ
れる仮説構築型の調査技法に注目を始めている.しかし,これまでのエスノグラフィは,長期間にわたるフィールドワークと解釈の繰り返しによって成立し,また,プロセスの標準化が進んでいないことなどから,時間や人材に限りのあるビジネスのフロントラインでは導入しづらいと
いう問題があった.そこで,本セッションでは,エスノグラフィの本質を生かしつつ,企業のビジネスプロセスに則った調査技法を紹介する.「ビジネス・エスノグラフィ」と呼ばれるこれらのテクニックは,講演者らによって開発・体系化が進められているものだが,同様の流れは,米国で2005年に開始された,EPIC(Ethnographic Praxis in Industry
Conference)という国際会議の存在にも見て取ることができる.本セッションでは,合わせて,2007年10月に開催されたEPIC2007における主要な話題をまとめて紹介する.