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最終更新日:2007年5月23日 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
経済産業省「 高度IT人材の育成をめざして(報告書案)」 に関する意見 |
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経済産業省「高度IT人材の育成をめざして
(報告書案)」に対する提言 経済産業省「高度IT人材の育成をめざして
(報告書案)」に対するコメント 情報処理学会情報セキュリティ委員会では、文書の改ざんや成りすましを検知・防止する技術であるデジタル署名の活用を推進しています。
2007.5.21 情報処理学会 情報処理ITプロフェッショナル委員会
(社)情報処理学会では,アカデミックソサエティとしての活動に加え,プロフェッショナルソサエティの活動として,産業界の実務家との連携を推進するため,安西会長の下[1],「技術応用運営委員会」(委員長:徳田英幸(慶応義塾大学))を設置し,「ITフォーラム」などの実務家のコミュニティ活動やわが国のソフトウェア産業の文化変革を図る「ソフトウェアジャパン」の開催などの活動を行って参りました[3, 4, 5].この活動を推進し,ITプロフェッショナルの育成と社会的地位向上を支援するため,「ITプロフェッショナル委員会」(委員長:旭寛治(情報処理学会副会長,(株)日立テクニカルコミュニケーションズ))を設置し,検討を進めております[2].このような背景に基づき,本委員会は,2007年4月に公表された「高度IT人材の育成をめざして(案)」について以下の提言を致します. 高度IT人材の育成は,IT産業のみならず,わが国産業界全体の喫緊の課題であり,時期を得た報告書(案)であると考えられますが,以下の点で,課題ならびに期待効果,施策内容と実現可能性の明確化が必要であると考えられます. (1) 高度IT人材の需要の明確化とIT産業競争力強化のための施策との連携の必要性
論点: (2) 継続的技術の発展に見合う高度IT人材の水準引き上げと技術移転のための人材育成の必要性
論点: しかし,次の2点が欠けていると思われます.
根拠: 一方,欧米のリーディング企業は,これまで単なるアウトソーシング拠点であったインドや中国に相次いで研究開発拠点を設け,大量の研究者を雇用して研究開発拠点として育成しています.マイクロソフトの先進的ソフトウェア開発技術の一部はインドの同社の研究所で開発されています.IBMはインドで5万人以上を雇用し,すでに,わが国を上回っています.また,インドの大手企業はソフトウェア工学の研究所を設置するなど,最新の技術を積極的に導入し,欧米企業の要求を満たす研究開発に着手しています.わが国のIT産業は,インドや中国の企業と比して,グローバルな技術競争で優位性を失い,産業競争力の低下を招くと懸念されます. また,ソフトウェア工学の分野では,研究開発成果を実践に結びつけるには,研究開発から実践に至る技術連鎖をつなぐ多様な人材が必要です.現行のITスキルの技術者だけでは,現場を変革し,生産性と品質を向上する力には乏しいと言えます. 企業の研究開発を促進し,競争力獲得を促す産業政策とあわせて実施されることが実効力を高めると思われます.
図1:ITの3世代進化:イノベーションが新ビジネスを創出 (3) 高度IT人材の基盤としての標準カリキュラム(J07)の活用と現場技術者のリカレント教育
論点: 根拠: また,情報処理技術者試験などでも,基礎的な試験科目では,J07と整合した試験が行われることにより,国際的な基準に基づく人材の評価が可能となります.さらに,中国やインドなどへのアウトソーシングにおいても,技術者の評価や処遇の点で,公正な評価尺度としての役割を果たすことが期待できます. 一方,わが国のIT産業の実務者の多くは大学でITの専門教育を受けていないという状況にあります.このような実務者の技術力向上のためにもJ07を基礎とするリカレント教育の実施が望まれます.例えば,現実的な施策として,夜間開講の専門職大学院,OJL(On the Job Learning)などの産学連携教育などの拡充が挙げられます.このような教育プログラムの開発には,J07を策定した学会と産官学の連携を図る必要があります. (4) 高度IT人材(ハイエンドIT人材)像の明確化の必要性
論点: (5) 経営層における高度なIT人材の育成の必要性
論点: 根拠: 米国などの競争力の高い企業ではITのベンダ,ユーザを問わず,経営上で的確な意思決定をしえるCIO(Chief Information Officer)やCTO(Chief Technology Officer)の存在が鍵を握っています.一方,わが国では,経営層でこのような職務の重要性が十分に認知されているとはいえません.経営層での高度IT人材の育成を重要な課題と捕らえる必要があるといえます. さらに,高度IT技術者のキャリアパスとして,いわゆる,尊敬される職務として,CIO/CTO/チーフアーキテクトなどの活用を図る必要があります.(6) IT産業の魅力向上とIT人材のモチベーション向上
論点: 参考文献 [1] 安西祐一郎,未来への出発,情報処理,Vol. 46, No. 6, Jun. 2006, pp. 609-611. [2] 旭寛治,情報処理技術者の地位の向上を目指して,情報処理,Vol. 48, No. 5, 2007年5月,pp. 512-517. [3] 青山幹雄,IPSJ 2.0: フラット化する世界のコミュニティとしての学会像,情報処理,Vol. 47, No. 11, 2006年11月, pp. 1280-1283. [4] 青山幹雄,松井くにお,徳田英幸 (編),小特集:ITフォーラムへの誘い,情報処理,Vol. 48, No. 5,2007年5月,pp. 472-501. [5] 情報処理学会,ITフォーラム, http://www.ipsj.or.jp/10jigyo/forum/forumindex.html.
2007.5.21 情報処理学会 情報処理教育委員会
要旨 「高度IT人材の育成をめざして(案)」の第5章「具体的施策」中「5-5. 産学連携による実践的教育システムの構築(E)」において、以下の内容を追加することを提案します。 ・「●社会科学系知識と情報工学系知識の同時獲得」「●情報工学系知識と各種の工学系知識の同時獲得」の項目に共通する内容として以下の4項目追加。 また、同じく第5章中「5-4. 情報処理技術者試験と人材スキル標準の統合による客観的な人材評価メカニズムの構築(E)」において、以下の内容を追加することを提案します。 ・「●新たな情報処理技術者試験の基本構成」中「◆エントリ試験」に関して以下の1項目追加。 (7)「エントリ試験」の出題範囲に一定量の「手順的な自動処理」に関する問題を含める。 1. はじめに このほど産業構造審議会情報経済分科会情報サービス・ソフトウェア小委員会人材育成WGが、わが国のIT人材の育成施策に関する提言文書「高度IT人材の育成をめざして(案)」[文献0](以下「育成提案」と記す)を公表されたことは、関係各位に対してわが国のIT人材の現況とその問題を周知させ、将来に向けての検討を促す、貴重なきっかけとなり得るものである。この点にまず敬意を表したい。 さて、情報処理学会・情報処理教育委員会(以下、「当委員会」と記す) は、わが国の情報教育全般の現況について継続的に検討し、以下の文書を公表してきた。 ・「日本の情報教育・情報処理教育に関する提言2005」[文献1](以下「情報処理学会提言」と記す) 育成提言に含まれる内容のうち、以下の2分野に関する内容については、当委員会が行なってきた各活動の経験に照らして、既存内容に追加すべき内容があると考える。 ・学校教育における施策 以下では、追加すべきと考える内容、および追加すべきと考える根拠について説明する。 2. 「育成提案」5章における学校教育に関する施策について 「育成提案」の第5章は、「高度IT人材育成プラットフォーム」について述べた「育成提案」の中核部分であり、具体的施策として次のA〜Gを提案している。 A. 人材需給の好循環メカニズムの形成 このうち学校教育に関わるのは主としてEの部分であるが、その内容は大部分が大学教育(高等教育)に関するものである。その内容を要約すると、以下の4点にまとめられる(以下「4施策」と記す)。 ・独創的才能の発掘と実業展開 これらがいずれも重要であることは言うまでもない。 さて、当委員会では「情報処理学会提言」「情報処理学会コメント」の両文書において、わが国における国民全体の「情報水準」の底上げが必要であることを指摘した。そのために「情報処理学会提言」では、すべての国民が「手順的な自動処理」の構築を土台とする、一定水準以上の情報教育・情報技術教育を経ることを求めている。上記「4施策」を具体化させる上でも、国民全体の「情報水準」の底上げは必須である。その理由、およびその達成のための具体的施策について、次節以降で説明する。
これを教育内容に取り入れる場合、従来のプログラミング言語だけでなく、「表計算」「楽譜演奏」などを題材としたソフトウェアを利用することも考えられる。その結果、多様な題材を通じて、コンピュータによる処理の原理と、情報システムを手段とする問題解決の本質について、体験的な理解を持たせることが期待できる。 2.1 独創的才能の発掘と実業展開に関して 「育成提言」に含まれる「4施策」のうち、大学教育に限定されないものは次の1項目のみである。 ・独創的才能の発掘と実業展開 この項目の具体的内容として、次の2点が挙げられている。 ・初等中等教段階で多様なIT環境に触れる機会を創出する この「育成提言」を現実化させるに当たり、当委員会から提案を行ないたい。 現在の小学校〜高校の情報教育においては、たとえ情報・情報技術に適性や才能を持つ児童・生徒であっても、本人が自身の才能に気づく機会が少なく、大多数の児童・生徒は自身の才能に気づく機会がないまま学校を卒業してしまっている。これを正すこと、すなわち国民全体の「情報水準」の向上がなければ、「独創的才能の発掘と実業展開」も十分には達成できない。当委員会は、この問題を重要視し、「情報処理学会提言」において次の施策を提案している。 (1)小学校・中学校・高等学校それぞれの発達段階に応じて適切な「手順的な自動処理」の体験を持たせる。 (1)により、情報・情報技術に適性や才能を持つ児童・生徒が自身の才能に気づく機会を提供できる。(2)により、情報・情報技術に関心を持った児童・生徒がその能力を発展させ、後述の(3)とも併せて小学校〜高校から大学へスムーズに進学することが可能となる。 以上から、施策(1)、(2)は「初等中等教段階で多様なIT環境に触れる機会を創出する」「優れた独創的才能を持つ個人を発掘する」という2目標にかなうものであり、「育成提言」に取り入れることをぜひともご検討頂きたい。 2.2 ダブルメジャーで情報系の知識を持つ学生の育成施策について 「育成提言」に含まれる「4施策」のうち、残る3つは大学教育に関する内容である。 ・情報系のカリキュラムを実践的なものとなるよう改良し普及させる。 これらのうち後2者は「ダブルメジャーで情報系の知識を獲得」という共通した目標を設定している。これらの目標を現実化させるに当たり、当委員会から提案を行いたい。現在の大学教育では、大学生が入学時に備えるべき情報・情報技術の基礎知識についてほとんど規定しておらず、情報系を専門としない学生に対しどの水準まで情報・情報技術を学ぶべきかについても共通の認識がない。このままでは、情報系を専門としない学生に情報・情報技術に関して一定水準以上の素養を持たせることも、「ダブルメジャーで情報系の知識を獲得」も、十分には達成できない。当委員会は、この問題を重要視し、「情報処理学会提言」において次の施策を提案している。 (3)「情報」を学び、得意とする生徒が多様な分野へ進学できるように、大学の入試に「情報」に関する内容を追加する。 (4)大学の一般情報教育において、「手順的な自動処理」についての制作体験をさせる。また各専門において、その専門に関連した情報系科目を選択可能とする(教員養成系においては必修とする)。 (5)大学の情報関連学科において、「手順的な自動処理」の構築に対する適性を持つ学生を対象とし、将来高度ICT人材として活躍できる水準の教育を行う。 (6)大学・大学院の情報分野を含む各専攻において、「手順的な自動処理」の構築に対する適性を持つ社会人を学生として受け入れ、各分野におけるICT人材として活躍できる水準の教育を行う。 (3)については、非専門学科においても「情報」を入試科目とすることで、他分野を専門としながらも「情報」分野にも一定の適性や関心を持つ学生の輩出を促すものであり、そのような学生は情報系をセカンドメジャーとして取得する可能性が高いものと期待される。 (4)と(5)については、大学生全員にセカンドメジャーとしての情報系科目が選択可能であることを保証するものである。 (6)については、情報系の系統的教育を受けないまま社会人となった人材に対して新たにセカンドメジャーとして情報系の知識を獲得させるものである。 以上から、施策(3)〜(6)は「ダブルメジャーで情報系の知識を獲得」という目標にかなうものであり、「育成提言」に取り入れることをぜひともご検討頂きたい。 3. 「情報処理技術者エントリ試験」とその内容について 「育成提案」では、情報処理技術者試験を改訂して、「職業人として情報技術に関わる者に最低限必要な知識を問う」ための「エントリ試験」を追加することを提案している。 当委員会としても、高等教育に進み将来のわが国を担う人材を中心に、情報・情報技術について一定水準の理解を持つべきと考えるため、「エントリ試験」に賛同する。その内容については、「育成提案」では「初級システムアドミニストレータ試験を発展的に解消」することとしている。 当委員会は、前節までで述べたように、「手順的な自動処理」の構築を、すべての国民に対する一定水準の情報・情報技術教育の基盤部分となるべきと考えている。このため当委員会では、「エントリ試験」において、次の施策を提案する。 (7)「エントリ試験」の出題範囲に一定量の「手順的な自動処理」に関する問題を含める。 なお、「手順的な自動処理」に関する問題は、現行の情報処理技術者試験(基本情報技術者試験)や、大学入試センター試験(科目「情報関係基礎」)に含まれているので、これらを参考として作成すれば、コンピュータによる情報処理や情報システムの本質に対する理解を計る問題が十分可能である。 (7)は、上記(1)〜(6)の施策が十分な効果をもたらしていることを検証し、また(1)〜(6)の施策によって育成される人材が到達を自己評価する手段を提供する上で必要である。このため、「育成提言」に取り入れることをぜひともご検討頂きたい。
4. 結言 冒頭でも記したように、当委員会は「育成提案」の内容およびそこに至る活動については、重要なものとして賛同している。特に、「育成提案」の重要な目標の1つである「他分野を専攻としながらも情報技術について十分な理解を持つ人材育成」はわが国の将来のために不可欠である。 「育成提案」の実現を確固なものとするために、当委員会は過去の検討に基き、次の2分野において提案を行った。 ・学校教育における施策 これらの提案の「育成提言」への取り込みについて、ぜひともご検討頂きたいと願う次第である。 参考文献 [文献0] 産業構造審議会情報経済分科会情報サービス・ソフトウェア小委員会人材育成WG, 高度IT人材の育成をめざして(案), [文献1] 情報処理学会, 日本の情報教育・情報処理教育に関する提言2005(2006.11改訂/追補版), [文献2] 情報処理学会, 2005年後半から2006年初頭にかけての事件と情報教育の関連に関するコメント, [文献3] 情報処理学会, 高校教科「情報」未履修問題とわが国の将来に対する影響および対策,
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