情報処理学会ホームに戻る

最終更新日:2007年6月1日

平成18年度業績賞の表彰

 

 本会では,産業界における顕著な業績を顕彰するため「業績賞」を設けております.

 本賞は,情報技術に関する新しい発明,新しい機器や方式の開発・改良,あるいは事業化プロジェクトの推進において,顕著な業績をあげ,産業分野への貢献が明確になったものを選定し,その貢献者に贈呈するものです.

 本年度の受賞者は,「業績賞候補者推薦用紙」により推薦された候補のうちから,表彰規程および業績賞候補選定手続きに基づき,旭副会長を委員長とする選定委員会において厳正な審査を行い,第524回理事会(平成19年3月)の承認を得て,下記の2件の業績の貢献者10名に決定されました.

 受賞者には,本会表彰規程により,5月30日に開催された第50回通常総会において,受賞者に表彰状および賞牌が授与されました.



◆長年に渡る実験運用に基づく高精度・高信頼NTPサービス技術の確立

[推薦理由]
 独立行政法人情報通信研究機構,インターネットマルチフィード株式会社,株式会社インターネットイニシアチブ,及び日本電信電話株式会社は,共同研究並びに長年に渡る運用実験を通して,インターネット時刻配信システムに関する、精度とスケーラビリティを両立させる配信サーバ構築技術、時刻精度を長期的に維持する保守運用技術等の基盤技術を蓄積した。また、これらを活用した高精度・高信頼の時刻ソースをインターネット上へ無償提供し、タイムビジネスの普及拡大に大きく貢献した。 

石本 英隆  君(正会員)

 1985年茨城大学工学部卒. 同年, NTT入社. X. 25通信制御システムの管理・制御ソフトウェアの開発に従事. 2000年よりNTT情報流通プラットフォーム研究所にてVPNアプライアンスの研究を行い, 2002年にユビキタスコミュニケーション用802.1x無線LANクライアントソフトを開発. 2004年からタイムスタンプシステムをはじめとする時刻認証基盤の研究開発に従事.

小野  諭 君

 1954年生. 1977年東京大学工学部電子工学科卒. 1982年同大学院博士課程修了. 同年, NTT入社. 並列計算機, 時刻配送, 高品位映像配信, セキュア通信システムなどの研究開発に従事. 2005年より工学院大学勤務. 現在, 同大情報学部コンピュータ科学科教授. OSや通信システム, プロセス制御システム, 時刻認証など, 専用ハードウェアとソフトウェアを緊密に連携させたミッションクリティカルなシステムの設 計・実装・検証に興味をもつ. 電子情報通信学会, IEEE, ACM会員.

今村 國康 君

 1976年電波研究所(現情報通信研究機構)入所. 無線機器の型式検定・試験法に関する研究に従事. 1988年より, 静止衛星による国際間双方向時刻比較の研究に従事し, 以降, 周波数標準・日本標準時の発生・比較・供給に関する定常業務と研究開発に従事. 1999年, 2001年の標準電波送信所開局に注力. ネットワーク時刻供給では, 1992年より時刻同期実験や評価を実施し, 各種各機関との共同研究を経て実サービスに至る. 電子情報通信学会, 電気学会会員.

三宅 延久 君(正会員)

 1992年東北大学大学院工学研究科電気及び通信工学専攻博士課程修了. 工学博士. 同年NTTソフトウェア研究所入社. コンテンツ流通プラットフォームおよびデジタル著作権管理システムの研究・開発に従事. 2001年インターネットマルチフィード(株)に出向. インターネットデータセンタサービス, インターネット相互接続(IX)サービス, NTPによる時刻配信サービスのサービス開発・運用に従事. 現在, 同社取締役技術部長.

福田 晴元 君(正会員)

 1991年東北大学工学部精密工学科卒. 同年NTTソフトウエア研究所入所. 構造化ドキュメントを用いたドキュメントプログラミング, インターネット経路制御技術, 広域時刻同期技術を用いたインターネット通信品質測定, インターネットでの標準時配信に関する研究開発を行う. 現在高速タイムスタンプシステムの開発をはじめとする時刻認証基盤の構築に従事. IEICE, IEEE会員.

   


◆リアルタイム字幕放送のための音声認識の研究開発

[推薦理由]
 音声認識技術を利用して、放送向けのリアルタイム字幕制作システムを開発し、平成12年度に日本初のニュース字幕放送を実現した。その後同システムは、改良を重ねながら「NHK紅白歌合戦」「オリンピック」「大相撲」「プロ野球」など幅広い分野の番組で利用され、聴覚障害者や高齢者への放送サービスの向上に大いに貢献した。音声認識のリアルタイム字幕放送は、世界的にも類のないサービスで、情報化時代における聴覚障害者への情報保障の点で、社会的意義は非常に大きい。現在では、音声認識は生放送の字幕制作に欠かせない技術となっている。

今井  亨 君(正会員)

 1987年早稲田大学理工学部電気工学科卒. 同年NHK入局. 現在, NHK放送技術研究所(人間・情報)主任研究員. 博士(情報科学). 音声認識およびリアルタイム字幕制作システムの研究開発に従事. 1996年米BBN滞在研究員. 1998年日本音響学会栗屋潔学術奨励賞, 2001年第33回市村学術賞貢献賞, 第27回放送文化基金賞(放送技術), 2002年電子情報通信学会論文賞, 映像情報メディア学会第42回丹羽高柳賞業績賞, 日本音響学会技術開発賞, 各受賞.

佐藤 庄衛  君

 1991年東北大・工・電気情報卒. 1993年同大大学院修士課程了. 同年NHK入局. 仙台放送局を経て, 1995年より同放送技術研究所勤務. 1999年より音声認識の研究をはじめ, 統計的音響モデルの研究に従事. 2001年電子情報通信学会論文賞受賞. 電子情報通信学会会員, 日本音響学会会員.

安藤 彰男 君

 1978年九州芸術工科大学音響設計学科卒業. 1980年同大学院修士課程修了. 同年, 日本放送協会入社. 2002年まで音声認識の研究に従事し, リアルタイム字幕制作システムを開発. その後, 高臨場感音響システム, 電気音響変換, 音響認知科学, 音響信号処理などの研究に従事. 現在, 放送技術研究所(人間・情報)高臨場感音響研究リーダ. 博士(工学). 電子情報通信学会論文賞, 日本音響学会技術開発賞. 映像情報メディア学会業績賞など受賞. IEEE, AES, 電子情報通信学会, 日本音響学会, 映像情報メディア学会会員.

中村  章 君

 昭和60年東京理科大学大学院修士課程修了. 同年NHK入局. 大阪放送局を経て, 昭和63年より同放送技術研究所音響聴覚研究部に勤務. 現在, 広報局広報部担当部長. 高齢者の聴覚特性, 話速変換システム, 音声の超高能率圧縮符号化, 及びBS, 地上ディジタル放送などの研究・開発に従事. 平成5年日本音響学会粟屋潔学術奨励賞受賞. 平成7年日本音響学会佐藤論文賞受賞. 平成10年, および13年放送文化基金賞受賞. 平成13年新技術開発財団(市村財団)市村学術賞受賞. 平成13年日本映画テレビ技術協会技術協会賞受賞. 平成14年電子情報通信学会論文賞受賞. 平成14年日本音響学会技術開発賞受賞. 平成15年関東地方発明賞受賞.

椎名  努 君

 1986年日本放送協会入局. 主にポストプロダクション業務に従事し, 衛星放送/ハイビジョン放送の立上げに参加. 横浜放送局を経て1996年以来, 放送技術局において局内伝送システムの運用管理に従事. 2001年のリアルタイム字幕放送の開始にあたっては, 設備・運用面から実用化を推進. 以来, ダイレクト認識やキーボード入力方式を導入し, 字幕番組の拡大を進める.