FIT創設10周年記念特別講演 |
【講演概要】単細胞生物である粘菌(モジホコリ)の情報処理能力についてお話します。細胞は最もシンプルな生きたシステムですから、生き物としての根源的な性質を調べるには利点もありましょう。数億年も生き延びていますから、侮るべきではありません。粘菌の賢さはどれほどなのか?また、その賢さをもたらす「からくり」とはどのようなものなのか?三つのトピックス、 (1)迷路などの幾何学的なパズルを解く、 (2)周期的な環境変動を学習して思い出す、 (3)個性や逡巡とおぼしき行動を示す、 ことについてお話します。情報処理の「生き物らしさ」について考えます。参考図書:「粘菌 −その驚くべき知性−」中垣俊之、PHPサイエンスワールド新書。 【略歴】1987年北海道大学薬学部卒業、ファイザー製薬(株)中央研究所勤務の後、1997年名古屋大学大学院人間情報学研究科博士課程修了(学術博士)。理化学研究所をへて、2000年北海道大学電子科学研究所准教授、2010年より現職。その間、オックスフォード大学数学研究所などに留学。イグノーベル賞、函館市長賞、NHK [爆笑問題の日本の教養] 爆ノーベル賞など受賞。 |