抄録
L-023
Fuzzy Commitment Schemeにおける生体情報の推定困難性に関する一考察
◎披田野清良(早大)・市野正嗣(電通大)・小松尚久(早大)・高橋健太(東大)
生体認証においてシステムに保管されている生体情報(以下,テンプレート)は,機微情報であり,情報漏洩に対するリスクが大きい.このため,近年,テンプレート保護型生体認証が注目されている.しかしながら,それらの安全性に関する議論では,生体情報間の相関性により,生体情報の推定が容易となる可能性については必ずしも十分に検討されていない.そこで,本稿では,暗号方式の一種であるFuzzy Commitment Schemを用いたバイオメトリック暗号に着目し,生体情報間の相関性を利用した生体情報推定に関する脅威を明らかにすると共に,指紋認証を一例として,それらの脅威に対する安全性を定量的に評価する.