FIT2011 第10回情報科学技術フォーラム 開催:2011年9月7日~9日 会場:函館大学
共催団体:一般社団法人情報処理学会/社団法人電子情報通信学会情報・システムソサイエティ/社団法人電子情報通信学会ヒューマンコミュニケーショングループ 一般社団法人情報処理学会 社団法人電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ 社団法人電子情報通信学会 ヒューマンコミュニケーショングループ
イベント企画
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サイバーフィジカル情報革命 ~情報爆発から価値創造へ~
9月8日(木)9:30-12:00
第2イベント会場 (函館大学 3F講義室301)
【セッション概要】ウェブを例にとるまでもなく、我々の身近においてデジタルデータは常に増大し続けており、必要なデータを単純に探しだすに留まらず、探し出したデータを有用に利用するために新たな付加価値が求められています。情報爆発、情報大航海、Internet of Things(IOT:モノのネット化)、Smarter Planet、Central Nervous System for the Earth、Smart+Connected Communities、そして、Cyber Physical Systems(CPS)など多様なキーワードで、情報社会の未来探索が模索されています。それらの目指す方向はおおむね一致しており、その本質は、よりアクティブなデジタルリフレクションとそこから生まれる情報爆発からの価値創出にあります。本企画では、近未来の情報社会における「あるべきIT社会インフラ」の目指すべき方向性、ITにおける技術的課題、さらには現在の先端的CPSシステム等を、研究の最前線にある研究者らによる招待講演にてご紹介いたします。
前半司会:中野 美由紀 (東京大学 生産技術研究所 特任准教授)
【略歴】東京大学理学部情報科学科卒業。博士(情報理工学)。富士通(株)勤務。1985年7月東京大学生産技術研究所助手(2004年助教)。2008年7月特任准教授。データベースシステム、ストレージシステム、データ工学の研究に従事。IEEE、電子情報通信学会、情報処理学会、ACM, 日本データベース学会各会員。
9:30-10:15 講演-1 Big Dataとサイバーフィジカル
喜連川 優 (東京大学 生産技術研究所 教授)
【講演概要】2011年現在、毎月300億のデータがFacebookにて共有され、一年間で7.4EBの新規データがディスクに格納されるBig Dataの到来を迎え、情報社会の未来探索が開始されています。それらの目指す方向はおおむね一致しており、その本質は、よりアクティブなデジタルリフレクションとそこから生まれる情報爆発からの価値創出にあります。すなわち、従来の小売業はもとより、ヘルスケア、都市、電力システム、ビルディング、ロジスティクス、農業など、あらゆる重要な社会インフラにおいて、従来とは桁の異なる膨大なサイバー情報を収集、適切かつ高品質な情報を抽出し、現状の詳細を具体的に把握すると共にただちに社会への還元することが求められています。米国を中心に各国が膨大な予算をIT社会インフラ施策に投入していることからも明らかなように、次世代ITのキラーイネーブラと見なされる新しい世界のうねりを紹介します。
【略歴】1978年 東大・工・電子卒。1983年 同大大学院工学研究科情報工学専攻博士課程修了。工学博士。同年同大生産技術研究所講師。現在、同教授。2003年より同所戦略情報融合国際研究センター長。データベース工学、並列処理、Webマイニングに関する研究に従事。情報処理学会フェロー、日本データベース学会理事。ACM SIGMOD Japan Chapter Chair、電子情報通信学会データ工学研究専門委員会委員長歴任。VLDB Trustee、IEEE ICDE、PAKDD、WAIMなどステアリング委員、SNIA日本支部顧問、文科省特定領域研究「情報爆発IT基盤」領域代表を務める。
10:15-11:00 講演-2 統合情報基盤としてのサイバー・フィジカル・システムにおけるオープン・スマート・フェデレーション
田中 譲 (北海道大学 大学院情報科学研究科 教授)
【講演概要】統合情報基盤としてのサイバー・フィジカル・システムにおいては、各種機関提供のリソースに加え、ウェブ上のオープンな膨大なリソースも必要に応じて選択しこれらと連携させて活用できることが望まれる。これらリソースの活用のシナリオも、目的に応じて多種類存在し、相互に関連しあうことが多い。リソースにはデータや情報のほかに機能的リソースとしてツールやサービス、さらには人々も含まれる。これらの膨大な共有リソースを目的に応じて選択、分析し、可視化し、戦略的意思決定に反映するためには、予め定まったシナリオに基づいたリソースのフェデレーションだけでなく、まったく新しいシナリオを試行錯誤的に試しながらフェデレーションを即興で定義実行できることが戦略的意思決定には必要である。本講演では、e-サイエンスや災害対策システムなどを例に、このようなフェデレーション技術の必要性を論じ、その実現性について私案を基に検討する。
【略歴】1974年京都大学電子工学専攻修士課程修了。同年北海道大学電気工学科助手。講師、助教授を経て1990年同教授。2004年同大学情報科学研究科教授、現在に至る。1985年より1年間IBMワトソン研究所客員研究員。1996年より北海道大学知識メディアラボラトリ長。1998年より3年間京都大学情報学研究科併任教授。2004年より国立情報学研究所客員教授。工学博士。データベース理論、データベースマシン、知識メディアなどの研究に従事。

後半司会:山名 早人 (早稲田大学 理工学術院 教授)
【略歴】1989年~1993年 早大情報科学研究教育センター助手。1993年~2000年 電子技術総合研究所。1996年~1997年 通産省機械情報産業局電子機器課課付。2000年 理工学部助教授。2005年 理工学術院教授、2005年 国立情報学研究所客員教授、現在に至る。情報検索、検索エンジン信頼性解析、計算機アーキテクチャ等の研究に従事。2010年より情報処理学会データベース研究会主査。
11:15-12:00 講演-3 ポストペタスケール時代の情報分析技術
森本 典繁 (日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所 理事/東京基礎研究所所長)
【講演概要】2011年、IBMによって作られた質問応答システム「Watson」は、アメリカの人気クイズ番組ジョパディ!の歴代チャンピオン2人と互角の戦いを繰り広げました。100万冊の書籍に匹敵する知識から数秒で回答を得ることのできるWatsonに備えられたシステムは、クイズという領域で人間と戦うためには十分でした。しかし現実の社会では、インターネット上で多数の人間が作り出す情報や、ソーシャルな場での人間の行動、センサーから取得されるデータなど、様々な情報が爆発的に生み出されています。また経済や医療の現場では、過去の知見と現在得られるデータから瞬時の判断をしなくてはいけない場面も多くあり、過去のデータから確定的な回答のみを返すシステムではない「学習するシステム」が必要とされてきています。本講演では「ポストペタスケール時代」における情報分析の技術について、弊社の技術戦略文書であるGTO(Global Technology Outlook)で議論された題材を中心に紹介を致します。
【略歴】1995年米国マサチューセッツ工科大学のEECS(電子工学およびコンピュータ・サイエンス)にて修士号を取得。1996年にIBM東京基礎研究所へ。Digital Watermarking、Digital Rights Management、Mobile Computing関連研究プロジェクトのリーダーを経て、2002年から基礎研究所の技術戦略および管理部門を担当。2006年IBM Research Divisionの上級副社長の補佐として米国ワトソン研究所赴任。2008年Worldwide Research Collaboratory担当責任者を経て、2009年4月に帰国し、5月より現職。